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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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現況報告

今月の平日はあまり時間が取れそうにないので本文が少なくても区切りよく纏めて投稿する事にしました。今回は3000文字以上ですが日によっては2500文字前後で投稿しようと思います。

『さて先ずは何から話したらいいか…ワタシがチュウゴクに行っていた事は分かるな?』


倉庫の中にあったソファーに座りながら先生の話を聞きコクッと頷く。


『敵対組織の本拠地を【削除(リボーク)】で消し飛ばしたのだが アレはミヨへのヘイトをワタシに逸らす為に行なった ミヨが世界中からマークされるのは分かっていたからな』


まさか私が都市部で暴れた事や貨物船を沈没させた件を有耶無耶にする為に!


『そんな…私の行ないで先生にご迷惑を掛けていたなんて!』


あまりのショックで目の前が真っ暗になる。絶望が私を支配した。先生の為と思った行動が先生を苦しませる事に繋がった…もう何を信じて行動したらいいか分からない。


『迷惑を掛けたのはワタシの方だ ミヨをこの道に引き摺り込んだワタシに責任がある 本来であればミヨの能力が世界中に知れ渡る事は無かった筈だったのに』


ミヨはこの年になるまで誰にも能力者として知られる事が無かった。それぐらいこの能力は隠密性が高い。彼女の人生を狂わせたのは間違いなく私達の責任だ。


『そんな事はありません!私がもっと上手く立ち回っていれば!』


『ミヨは上手く立ち回っていたさ だからこれからの話をしよう 誰のせいかどうかは重要な話では無い…そうだろう?』


微笑みかけてくれた先生はとても優しく正に生徒を導く“先生”だった。見た目は高校生だけど。


(そうだ、失敗してしまったなら挽回すれば良い。)


敵が現れたなら全員殺せば良い。その中に私のお母さんを殺した能力者が居るかもしれないし。


『はい。その通りです。』


ヘラった精神をなんとか持ち直して先生との対話に集中する。少しでも役に立たなければ。


『チュウゴクでの一件以降 ワタシとミヨは世界中の組織や機関から注目を浴びている 逆に言えばワタシ達以外はフリーに動けるという意味でもある』


『おっしゃる通りかと。つまり私達がヘイトを集めている間にオリオンさんなどの諜報員?の人達に動いてもらっていた…みたいな話ですか?』


『その通りだ 理解が早くて助かる ワタシは海外の方で仕事を続けながら情報を集めていたんだ ミヨと接触するのはその後の方が良いと思ってな』


『確かに私達が一緒に居るより離れ離れの方がヘイトが分散出来て良いですね。相手は別々の所を同時に見ないとですから労力がかかる筈。上手くいけばあっちから尻尾を見せてくれる…良いこと尽くしです。』


『そういう訳だ ワタシがミヨに話したい事は以上だ …ミヨはワタシに話したい事は無いか?』


これは…純粋な心配とこの前の事を含んだ聞き方だね。先生を見れば分かる。凄く心配そうな顔をしているけど絶対に踏み込まないようにしている。そういう気遣いを私に対してしてくれるからとてと嬉しくなる。私をちゃんと大切にしてくれてるって感じられるから。


『…オリオンさんは何か言ってましたか。』


『オリオンは誰にも話していない ミヨはワタシに対してそういう話はしたがらないと思い派遣させたが迷惑だったか?』


『いえ、とても助かりました。自分の状態をちゃんと理解出来るようになったので不安な気持ちとかが無くなりました。』


『そうか なら良かった …では改めて聞くがワタシに話したい事はあるか?』


『…順を追って話しても良いですか?長くなってしまうんですけど。』


『構わない 1週間だって付き合うさ』


『ありがとうございます。では…』


私はオリオンさんに話した事と別にあの時に感じた能力の事などを話した。能力の話は先生にしか話せない。


『ーーーふむ 興味深い こちらから質問をしても良いか?』


『はい。』


『ミヨはミューファミウムの兵士達にピンを付けなくても判別が出来たんだな?』


『はい。六本木駅に向かう為に電車を利用したんですけどそこに外国人のツアー客が一緒に乗っていたんです。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。』


『それはどこでどのタイミングで気付いた?』


『最初は戦闘中に何か見たことがあるような錯覚?があったんです。もちろん服装とか全然違ったしツアー客をまじまじと観察もしていなかったので見比べをしたわけではないです。死体も判別不能な奴が多かったですし。』


『続けて』


『私の能力は相手を3次元で捉えているのは分かりますよね?でも肉眼で見た映像って3次元に見えて立体的というか奥行きが感じ取れるように見えますけど本当は面としか見えていないんです。脳がそう錯覚させて奥行きがあるように見せている。』


肉眼から得られた情報なんて脳が補正してなんとか3次元に見えているようにしている。


『でも【探求(リサーチ)】は完璧に3次元なんです。しかも肩幅や骨格の形、筋肉の量も正確に捉えられて顔を見なくて同一人物かどうかを()()()()()()()()()()。』


『それは凄いな ミヨがそういう風に脳が認識出来るように成長したのだろう』


『こんな感覚、今まで無かったのに最近ではしょっちゅうです。この短期間でここまで知らなかった感覚が増えていくのは大丈夫なんでしょうか?』


この感覚は無能力者には分からない感覚だろう。だって存在しない感覚なのだから。


誰にも分かりやすく言ったら自分の手の指が5本だったとしよう。みんなも5本だよね?でもね自分も5本だと思っていたら6本7本だった…みたいな話だ。急に6本目の指の感覚が生まれて手の指が6本になったら驚くでしょう?


しかも尻尾や羽の感覚も生まれて実際に生えていた…そんな事が短期間に発生したら普通自分の身体を心配するものだ。


能力は自分の身体の一部みたいに感じるのは能力者共通の認識だとマニュアルで読んだ。本当にその通りだ。もはや身体の一部分として認識している。腕、足、頭、能力。この並びに能力があっても私は違和感を感じない。


『それはミヨが特別な能力者だから…としか言えない 普通はそこまで色々な感覚を有さない だが似たような感覚を持っている能力者は知っている』


『私と似た…?それは探知能力者ですか?』


『いや違う 何と言ったらいいものか…実際に会って話せば分かる事だからな ミヨが良いならワタシの方から話せる場を設けようか?彼女ならミヨの悩みを理解してくれるかもしれない』


『会ってはみたいですけど…私の能力は話せないですよね?』


『彼女はもうミヨの能力に対してはある程度知っているのではないかと考えている そういう能力だからな』


『え?そんな能力者が居たら私達の事だって知られているんじゃあ…』


『その点は心配ない 彼女は情報を無闇に喋ったり漏らしたりはしない 気に入った者にしか必要な情報を渡さない偏屈な娘だからな』


私の嫉妬レーダーが反応を示した。その娘…どこの娘?


『先生?その娘は可愛いんですか?』


『ワタシは直接会ったことが無いから分からないな』


良かった…その娘とは殺し合いにはならないで済みそうだ。


『じゃあお願い出来ますか?』


『ああ 向こうの都合もあるからな 明日明後日とはいかないと思うが早めに予定を組んでもらえるよう頼んでみる』


先生はこの日の夜の内に連絡を取ってくれて向こうからは直ぐに連絡が返ってきた。場所は山梨県、時間の指定は翌日の放課後で良いと先生から教えてもらったのはその日の寝る前の事だった。

京都の次は山梨です。転移門は全てを可能にする。

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