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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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健康診断でF判定もらったので病院に言ったら水分不足ですねと言われて終わりました。1時間待って診察時間が1分間で会計は840円。


久々に時間を捨てた感覚に襲われましたが問題無くてホッとしました。

「ふたりともお疲れ様〜!私は理華を救護室に連れて行くね?」


竜田姫が血が流れ過ぎ顔色が青白くなっていた三船理華に肩を貸して救護室に連れて行こうとした。


「すみません竜田さん…」


「理華も良く頑張っていたよ!リベンジしようね!」


(竜田姫さん、あの体格なのに身体の軸がズレてない…見た目より運動系かもしれないな。)


自分より大きな三船を完璧に支えて歩いてるのも凄いけど竜田姫さんも血が付くのに気にせず密着してるし最初の印象と違うな〜。なんか、先輩って感じ?


「あいの風…」


三船が私に声をかけてきた。今にも気を失いそうな顔色なのに。


「次は勝つ…私の名前を覚えておけ。」


「三船でしょ?」


「理華だ。」


不敵に笑う理華の瞳はリベンジの炎に燃えてまだまだ戦えるんじゃないかと思わせるほどだった。私好みの性格で大変好ましい。こういう男勝りな性格は一緒に居ても気を使わなくていいから楽。


「理華さん。」


「同い年だ…呼び捨てで良い。」


「じゃあ、また殺ろうね理華。」


理華は満足した顔で竜田姫に連れられて道場を後にした。


「あいの風も怪我は良いのか?」


「まあそこそこ痛みがありますけど治療を受けるほどでは無いですね。」


「なら次は私と殺るか?」


天狼さんが真顔のままその獰猛な肉食獣みたいな目を向けてくる。先程の戦いでこの人の何かを刺激してしまったみたいだけど天狼さんも最初と印象違うんだよな…もっとダウナー系だと思っていたのに中身がキラーミヨと似てて戦闘狂の部類。


「殺りませんよ。何言ってるんですか?」


高めの位置で纏めているポニーテールが気持ちシュンとして垂れた。犬の尻尾みたいで分かりやすい。


「そうか…まあコンディションが万全の時に殺りたいからな。」


そういう意味で言ったわけじゃないのに…さては脳筋タイプだな?歓迎会の時は擬態していたなこの人。


「あ、あの…天狼さん!」


あ、そういえば他に居たね。まだ自己紹介し合っていないのに理華と模擬戦していたからね。どう考えても私を戦闘狂として勘違いされていそう……だって普通会って挨拶もせずに戦い出すとかありえないでしょ。


「ん?どうした?お前達も戦いたかったか?」


いや絶対に違うでしょ。流れ的に挨拶したいだけじゃないの?逆にこの流れで私も戦いたいです!って言ったらそれはそれで面白いけど。


「違いますよ!戦いにすらなりません!」


「3人があいの風さんに挨拶したいらしいんですよ。」


この優男、理華の隣に居た…年上っぽいけど声がまだ高い。声変わりしていないのかな?もしそうなら年下なのかもしれない。


「そうか、そういえばまだ自己紹介を済ましていなかったな。」


あいの風と三船を戦わせる事に集中しすぎて忘れてしまっていた。この3人には悪い事をしたな。あいの風と会うことを楽しみにしていたのに。


「良し。あいの風の事はもう知っているな?諸橋(もろはし)、お前から挨拶しろ。」


諸橋と呼ばれた優男が私の方を向いて挨拶を始めた。名前は諸橋って言うのか。


「諸橋です。年は15であいの風さんの1つ下で後輩になります。」


「ていう事は中3!?…背高いね君。」


「良く言われます。」


照れ笑いがやけに板がついてる。本当に良く言われるんだろうな。


「私は背が低いから羨ましい。戦いでも有利だし高い物が取りやすいし。」


「そうですね。でも成長痛が酷いので稽古できない時があります。あまり良い事ばかりではないです…」


背の高い人には背の高い人なりの悩みがあるのか。私には無縁の世界で共感出来ないね。諸橋くんの身長175cm以上あるし私より20cm以上も高い。


「諸橋はこれからまだまだ伸びる。身長も能力もな。慌てることは無い。」


指導者と生徒の会話だ。私と先生みたいな関係性…


(最近先生と話せて無いな…話したいなぁ。)


「次はどうする?誰からだ?」


「はいはいはいっ!自分からお願いしますッス!」


快活な女の子だ。私の経験上こういう手合いとは絶対に話合わないな。理華とは真反対なタイプだ。


横谷(よこたに)(あんず)ッス!よろしくおねがいしますあいの風さん!」


「…よろしく。」


「何で自分の時は小声なんですか!?」


いやー騒がしい…君が騒がしい分、私が静かにして世のバランスを保っているのだよ杏くん。


見た目は短髪のスポーツ少女って感じ。でも胸が道着の下からでも感じられるから私より大きい……仲良く出来ないな。


「次は僕で良いですかね…あの、あいの風さん!」


「…はい。」


この子は中学生で思春期真っ盛りの男の子って感じだ。髪型も剃り込みがあって髪を立たせてはいるけど真面目さとちょっと背伸びしたい気持ちが混ざったどちらでも無いって感じ。中学でああいう男子いっぱい居たな。


そして君も元気がいっぱいだね。お姉さんはさっきまでバトってたから疲れてるのよ。優しくお願いね?


「あいの風さんは今お付き合いしている人は居ないですか!?」


道場の空気が死んだ。死んだ理由は私が真顔で黙っているから。ここに天狼さんが居なかったらこのガキを転がしていた。


「ッスーーー……田中(たなか)角栄(かくえい)です。よろしくおねがいします。」


「ブフォッ!…アッハハハ!」


名前!この子の名前気合入りすぎでしょ!アッハハハ!この子の親のセンスやっばー!キラキラネームよりはマシだけどさ…アッハハハ!!!


「…良く笑われます。」


「ヒーお腹痛いッお腹痛いッ!アッハハハ!令和で角栄は卑怯だって!ひー駄目だこれゲロ吐きそう!」


ツボに入った私がこの後1分間笑い続けたおかげか道場の空気が改善されていた。角栄くんに対してもそこまで悪い印象が残っておらず、下手するとこの中で一番良い印象を持ったかもしれない。


「…もう笑い終わったか?これ以上は田中が可哀想だ。」


「角栄くんゴメンね?笑いすぎて。」


「いや、大丈夫です。こちらこそさっきはすみませんでした。初めての相手にアレは失礼過ぎました。」


しっかり頭を下げて謝罪してくれたからもう不問にしよう。


「あの…これ。」


前髪が長くて目元が伺えないけど最後に残っていた女の子が私の側まで来て両手で何かを渡してきた。…これは私の眼鏡?


「ありがとう。…これいつ拾ったの?」


私はこの子が眼鏡を拾ったのを認識していない。例え意識が他に向いていたとしても自分の眼鏡が誰かに拾われたら流石に気付く。


「……っ。」


私に眼鏡を渡したらペコリと頭を下げて杏ちゃんの後ろまで逃げていき身体は隠して顔だけ覗かしている。


照れ屋なのかな?それとも私が怖い?


「彼女は西条(さいじょう)京姫(みやび) もしかしたらここ以外で会うことがあるかもしれない。仲良くしてやってほしい。とても良い子だ。」


みやび?雅?漢字が分からないな…西条ちゃんで良いか。


「西条ちゃんありがとうね。」


拾ってくれた眼鏡を付けてお礼を述べた。そしたら西条ちゃんがちょっと嬉しそうにして頬を染めた。


惚れさせちゃったかな…ふっ、私って罪作りな女。


「全員自己紹介は済んだな。あいの風、これからお前と切磋琢磨する仲間達だ。よろしく頼むぞ。」


ん?どういう意味だ?()()()()


「これからとはどういう意味ですか?」


「これからはこれからだ。お前は私の元で訓練を積んで行くんだ。私は厳しいぞ?」


「私は先生の元で教えてもらうので良いです。」


(あいの風さんが私達と!?)(もしそうなら凄いッス!)(コクコク)


年下3人組が小声で話し合っているけど違うからね。何も聞かされていないからね。


「天狼さん。それは確定事項なんですか?」


諸橋くんが確認を取ってくれた。


「ああ。」


「それはいつ頃決まりました。」


「さっきだ。」


駄目だこの人……早く、何とかしないと。


「話になりません。そちらの都合を押し付けないでください。」


「私自ら指導してやる。お前のその歪さをどうにかしてやれるのは私しか居ない。」


歪さ…どの事を言っているのだろう。


(天狼さんは何を言っているの?)(自分には分からないッス!京姫は分かるッスか?)(ブンブン)


「まだ能力をコントロールしきれていないんだろ?死神だって分かっているはず。それを放置しているのはどう教えたら良いか分からないからだ。奴だって万能ではない。特に指導者としてはまだ未熟な部分があるはず。」


先生に未熟な部分なんて無い!…と言えないのが悲しい。特に能力の話になるとアクセル全開になる所とかがね。


「いきなり死神と関係を断てとは言わない。先ずは試しに私の指導を受けてみないか?お前の為にもなるし死神の為にもなるかもしれないぞ?」


その謳い文句はズルい。先生の為になるなら一回ぐらい受けても良いのかもしれない。


「条件があります。」


天狼さんのポニーテールがピクリと反応した。あの髪には神経が通っているのかツッコみたくなったけどここは自制した。


「何だ言ってみろ。」


私と模擬戦したいのか?そうなのだろうあいの風。


「定期的に理華と模擬戦やらせてください。彼女となら良い組み手相手になりそうなので。」


私がそう告げたら天狼さんのポニーテールがシュンと垂れた。やっぱりあのポニーテールには神経が通っているのかもしれない。

ブクマ、評価ポイントなどをして頂くと投稿のモチベーションに繋がりますのでどうかよろしくおねがいします!


明日はストックを作りながら次話を仕上げたいと思います。お楽しみに。

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