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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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収集

美世があまり関わらなかった組織との交流の話です。次回から組織のあり方や詳しい内容を描いていこうと思っています。

私が敵対組織に襲撃を受けてから次の日曜日。処理課からの収集の連絡を受け、休日の昼間から私は第一ビルに訪れていた。


何の用かは、まあ大体察してはいるけど説教とか年寄りの有り難い小言は止めてほしいな…。あれはもう一人の私が勝手にやった事だから私に怒らないでほしいよ。


第一ビルの最上階、なんの植物かも分からない植物園を抜けた先に私を収集した張本人とその同僚の人達がまた紅茶を愉しみながら座っていた。


「報告書なら提出しましたけど?蜃気楼。」


「直接聞かないと分からない事もあるのだよあいの風。」


処理課のまとめ役こと、蜃気楼に呼び出され直接顔を突き合わせてのお話をしなければいけないようだ。


「最近だとネット上で顔を合わせながら会話出来ますけど今度からはそうしてもらえますか?」


「情報の漏洩を防ぐためにそれは出来ない。」


「…では紅茶を頂けますか?」


紅茶を入れてくれたのは天狼さん。相変わらず雰囲気がこう…鋭いって言ったらいいのか。日本刀の刃を見ているような感じだ。一流の達人の間合いに入ったような嫌な感覚を覚える。


「お砂糖はどう?あいの風さん!」


お砂糖を差し出してくれたのは竜田姫さん。相変わらず可愛らしいけどこのメンツだとかなり浮いているように思える。この人も私に用事があるのかな?


「頂きます。ありがとうございます竜田姫さん。」


私が受け取ると嬉しそうに頬を緩めてとても可愛らしい竜田姫さん。私は今日から処理サーの騎士(ナイト)になろう。俺が姫をお守りする!


「そして紅茶ありがとうございます天狼さん。」


無言で完璧な所作で紅茶を用意してくれた天狼さん。背も高いけど腕も長い。テーブルの向かいの席から腕を伸ばして私の所までティーカップを置けるとは私には出来ない…私ももう少し身長伸びないかな。リーチが伸びると戦闘面で有利に働くからなあ。


「まあ紅茶を愉しみながら話を聞かせてくれ。時間は取らせないつもりだよ私は。」


こう言って早く済んだことないからな。私としは長期戦を想定していたから別に時間取られても構わない。


「今日中に帰られるなら時間は大丈夫ですよ。」


「それは良かった。なあ天狼?」


天狼?天狼さんもここに居るって事は私に用があるとは思っていたけど何だろうな。天狼さん…イマイチ掴みどころが無くてちょっと怖いんだよね。マリナ様に近い高圧的で肉食動物のような怖さがあるんだよこの人。


「…」


天狼さん、今日一言も喋っている所見てないけど大丈夫?風邪で喉が死んでる?もう帰る?無理しちゃ駄目だよ?


「天狼さん!先着チケット取れなかったからといってお二人に失礼でしょ!」


先着チケット?何かの暗喩かな?業界用語?


「…3ヶ月前から楽しみにしてたのに選考落ちたんだ。でも二人には関係のないことで当たって…済まなかった。」


「毎年行っていたからな。仕方あるまい。」


あ、ライブのチケットなんだ。天狼さんそういうの好きなんだ。しかもみんな認識していたんだ。


「因みになんのライブですか?」


「プリテイシアの3周年記念ライブだ。」


「私そのライブチケット取れましたよ?」


カッ!と目を見開いた天狼さんが私を睨む。


「ひっ!?」


めちゃくちゃ眼光の鋭い視線を向けられた身体が硬直して喉から引き攣った悲鳴が漏れてしまった。危険な肉食動物が逃げ出してきてますよ〜…


「…あいの風、知ってるの?プリテイシアを。」


「私が唯一全曲知っているアイドルグループですし…お金が入ったら絶対一回はライブに行きたいと思っていたので。」


プリテイシアは5人で構成されたアイドルグループで女子のファンが多いのが特徴だ。You ○ubeのおすすめに出てきたPVを見てから大ファンになりアルバムやグッズを財力任せて買い込んでマンションの一室を占領している。女子高生に大金を持たせてはいけない。(戒め)


「誰推し?」


おっとここで戦争を起こす気ですか?アイドルの推しの話は必ず戦火が広がって良いことなんか何一つとして無いですよ。


「私は箱推しです。でも強いて言うなら真夏と真冬のペアが好きです。」


この二人は所謂(いわゆる)、百合営業をしている二人でこの二人のSNSを眺めているだけで休日が過ぎていく。一回見てみろ、飛ぶぞ。(13時間)


「あいの風…私はお前のことを誤解していたかも知れない。お前…いい奴だな。」


いや、その判断基準でいい奴認定されても嬉しくない。天狼さん結構俗物でおもろい人だったんだな。もうちょっと孤独を友達にしているタイプかと思っていた。


「お二人さんが仲良くなったのは良いことだが時間を取らせないと行った手前、本題に移らせてもらうよ。」


「そうですね。本題に移りましょう。」


紅茶の入ったティーカップを置いて話を聞く姿勢になった。一応今日は仕事のような物だ。しっかり熟さなければならない。


「あいの風はもう分かっていると思うが先週の件だ。上の人達があいの風を過小評価し過ぎていたと気付いてな。なんとか自分達のコントロールの下に置けないかと私の元に話が舞い込んだんだ。」


「それを私に話しても大丈夫なんですか?」


「大丈夫ではないな。しかし個人的な話をするとだな。あいの風をコントロールしようなど無茶な話だと思っている。最早我々と同等か、もしくは我々の上に行く能力者だと認識しているからな。」


「…それはどうでしょう。過分な評価かと。」


「初めに君に会ったとき、そのベルガー粒子の量の多さにはびっくりしたが今日直接会って分かったよ。この組織内でも君に勝てる能力者は天狼ぐらいだと。」


「…私は皆さんの事を知らないので何とも言えないですけど。」


「えー!あいの風さん天狼ぐらい強いんですか?」


オーバーリアクションが似合うな俺の姫は。だけどちょっとだけわざとらしいから姫様も知っているな…私のベルガー粒子の多さを。


「天狼さんってやっぱり強いんですね。」


「死神程でもないけどな。アレと比べられたら他の能力者はどんぐりの背比べだ。」


確かにそれはそう。先生は最強だ。


「では私が話したかった事は終わりだ。」


「え!?これだけなんですか話って?」


「そうだが?」


ええー…それぐらいの話なら電話で良く無い?


「不満顔の所悪いんだがこれは君自身の立ち振る舞いのせいでもある。前回はここで暴れただろう?コチラとしては話だけでは済まない可能性を考慮しての話し合いだったんだ。今回も暴れ出すのでは無いかと思ってな。その為に二人に声を掛けておいたんだ。」


「その節はご迷惑をおかけしました。」


もう皆さんの中では私の存在はアベンジャー○のハルク枠だったんだね…

明日は誤字脱字などを直しながら1本仕上げていきたいと思っています。

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