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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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私の進む道

美世の青春は続いていきます。

その後、色々と話をしたあとにオリオンさんと連絡先を交換し合い、お店を後にした。


(お会計の額は…見なかったことにしよう。)


「あの、今日はありがとうございました。話も聞いてもらって、あとお寿司も。」


「こちらこそだよ。久々に誰かと食事を取れて楽しかった。ありがとう。」


顔も心もイケメンとか凄い超人だなオリオンさん…私の人生で2番目に尊敬する人物として後世に語り継いでいこう。もちろん1番は先生だ。


「じゃあワタシはこの後仕事があるからここで解散にしようか。」


えッ!?中国から帰国して来たばかりなのにもう次の仕事に向かうの!?確かにオリオンさんは凄い人だからこき使いたくなる上層部の人達の気持ちも分かるけどさ…


「私が上層部(先生)に話してきましょうか?」


「フフフ大丈夫だよ。平穏な世界を創り出す為にこの仕事をしているから。その為にも働かないと。」


…オリオンさんも私と同じ目標を持って仕事にあたっているんだ。


「…私も同じ思いです。平穏な世界を創り出す為に私も仕事したいです。」


これから先も人を殺す度にストレスを感じてしまうだろう。それでも私は殺し屋として世界に寄与していきたい。


「この先の事を思うと少し不安にはなりますけど、何もしないで生き続けていたあの時にはもう戻りたくありません。だからこれからも仕事を続けていきます。」


「キミの本心がそう思っているなら続けると良い。…それと最後にミヨはもっと周りを頼る事を覚えてほしいかな。キミの周りには頼って欲しいと言ってくれる人が居ないかい?」


「雪さん…って知ってますよね?雪さんに昨日言われました。頼って欲しいって。」


「身の回りの人間を頼る事は何も悪いことではないんだよ。相手もやりたくてやっている事だし、キミも誰かに頼られたらそれに応えようとするだろう?」


「はい…誰かに頼られるのは、嫌いじゃないです。自分の行いが誰かの為になっていると信じて来たからここまで来れたと思っています。」


「ちゃんと自分の本心を言えるようになったね。」


優しい笑顔で私の成長を褒めてくれた。…なんだろう。この暖かな気持ちは。…もし、私にお兄ちゃんが居たらオリオンさんみたいな人が良いな。


「また、話聞いてもらっても良いですか?」


「次はフレンチをご馳走してあげるよ。」


そう言い残してオリオンさんは夜の街に消えていった。


「カッコいい人だったな。…先生の次ぐらいだけどね。」


私はスマホを取り出して雪さんにラインを送った。


[相談に乗ってもらえますか?]


次の朝、私はスマホのアラームに無理やり起こされて何とか学校に向かった。昨日は夜遅くまで雪さんと電話していたせいで寝不足気味の私の足取りは重い。


昨日の深夜、ここ最近の私の状態や幼い頃の話などを雪さんに話した。私が話している間、雪さんは黙って静かに聞き続けてくれてた。でも途中ですすり泣く雪さんの声が聞こえてきて私もつられて泣きながら話し続けた。


その後、話し終わった私にありがとうと言ってくれた。話してくれてありがとう…と。そして色んな人達に話を聞いてみて解決策を考えてみると。


私の状態や過去の話を言わずに聞いてみるから時間はかかるかもしれないけど待っていて欲しいって…本当に雪さんには頭が上がらない。


雪さんと話していて殺し屋としての自分はあまり好きではないと気付けた。残酷な事も人を殺すの事も好きじゃない…これが私の本心。だけど私はこの仕事を辞めない。客観的に見てもったいないと思うから。


伊藤美世という非接触型探知系能力者は能力者を殺す事に長けた能力者だ。殺す事に躊躇いが無いし期限は守る。以上の点で私には殺しの才があると…客観的に思う。これが私の本心だ。遊ばせておくにはもったいない人材として私は私を捉えている。


それに私の能力だと何もしないという選択肢が取れない。マッピングされた場所は常時認識出来る。だからマッピングされた場所で誰かが殺されればそれは自分のせいだと思ってしまう。自分なら防げた筈なのにと、絶対に思ってしまう。


マッピングを無かったことには出来ない。地図のエリアが減少することは無い。それがこの能力の制約。ただ拡張されるのみ…減衰はない。


よって何もしなくても私の能力は少しずつ成長していく。だからもう一人の私、“キラーミヨ”(仮称)の存在も大きくなり続ける。


このキラーミヨは雪さんが初めて呼称してそれを私が流用した。雪さん曰く、キラーミヨはどこぞのRPGに出てくるキラーなマシンから取っただとか。私はコイツと違って1ターンに2回攻撃はしない。雪さんのセンスには流石にナンセンスだと言わざるを得ない。


「おはよう美世。」


うわッ!マリナさんの接近に気付けなかった。寝不足気味の頭ではピンを指していない人間の識別はむずかしかったかな。


「お、おはようございます。マリナさん。」


ついマリナ様のことをさん付けで呼んでしまって睨まれてしまった。マリナ様は堅苦しいのがとてもお嫌いでいらっしゃるのだ。


「ま、マリナ…。」


怖いんですけど!朝から肝を冷やす展開は勘弁して欲しい。気温は高いのに冷や汗が止まらない。マリナ様は今週も絶好調でおられる。


「美世ってこっちから来てるの?今まで1度も合わなかったよね?」


「今日はちょっと寝坊しちゃっていつもより遅いから…」


「ふーん…いつもは今より早いんだね。美世はバス乗ってるよね?」


「うん…この先のやつに乗ってるよ。」


嫌な予感がする。この先の展開が予想できる…さよなら私の朝の平和な登校時間。


「今度から時間合わせて一緒に行こうか。」


「ワーイヤッター…マリナトイッショニトウコウデキルヨー…」


「嫌なの?」


「朝ラインして時間合わせるね。」


私の言葉に満足したのか笑顔を浮かべるマリナ姫。女子高生はみんな女王を君主として統治されている国に所属しているから王族に逆らったら首が飛ぶ。恐ろしい国やでホンマ。


「ラインで思い出したんだけど、美世さぁ、ライン何で既読スルーすんの?」


「既読スルー?それって何か問題あるの?」


「…まあ悪気があってやっている訳じゃなさそうだからこれ以上は言わないけど、結構それ女子の間ではアウトだよ。」


知らなかった…私結構やってるよ既読スルー。だって言うことがないんだもん。グループのラインに誰かがメッセージを送ってきたとしても私以外の人が反応していたら別に私が反応しなくても良いのかなーって考えていたし。


「絶対に反応しないといけない?」


「絶対に反応しないといけない。」


「…今度から反応出来るようにしておくね。」


問題を解決しようとしたらまた別の問題が浮上して来た。人生ってこれの連続ってマジ?生きるって何だ?(哲学)


「美世って休日何してんの?」


マリナ姫の尋問は止まらない。これが教室の中に入っても続くのだから地球は凄い。地球くんも生まれたばかりの頃は自分の表面でこんな問題が発生するなんて考えてもいなかっただろう。生命の誕生、文化の発展が

「美世?」


「休日はYou Tub○見ながらゴロゴロしているよ。」


くだらない事を考える暇も無い。ボッチは常に頭の中にくだらない事を詰め込んで孤独を紛らわしている。じゃないと精神的健康を保てない。だから人との会話にはラグが発生するのは仕方ないことなんだ。良く考え良く…

「美世?」


「はい。私は元気です。これはペンです。」


「いや、今日の美世は逆に元気なさそうだけど大丈夫?」


「…なさそうに見えますか?」


元気が無いのは昨日のせいか、寝不足気味のせいか、マリナ姫のせいか…問題が立て続けに起きているから私でも良く分からない。


「何かあったん?またあの先輩に何かされたの?」


マリナ様と私との関係性が自分でも良く分かっていない。正直な話、イマイチ距離感が測れなくて苦手意識があったけど、この子も私の相談に乗ろうとしてくれる人なんだよね。…大切にしないといつかバチがあたっちゃうね。


「…ううん。あの先輩には特に何もされていないよ。ありがとうねマリナ。」


とびっきりの笑顔を向けてお礼を告げたら何故かマリナがそっぽを向いてしまった。でもその理由はすぐに分かった。何故ならマリナの耳が真っ赤に染まっていたからね。

次回は先生視点で書いていきたいと思っています。

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