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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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オリオンの輝き

オリオンは一度登場した人物ですね。読者の皆さんは覚えていますか?

仕事を終えた後、何故か組織の第一部ビルに呼び出された私は処理課の休憩所という名のホテルの一室みたいな部屋で仮眠を取ろうとしていた。


(約束の時間まで時間あるし、流石に徹夜明けからの仕事は堪えた。)


私が呼び出された理由は私に会って話したいという人物からの要望だった。普通なら即断っていだろうけどその人物がオリオンさんだったので私はOKを出した。


だって先生と繋がりのある人間という情報だけで気になってしまう…中国で何があったとか、先生との関係性とかを逆に色々と聞きたい。渡りに船みたいな話だ。だから承諾してここで待機している。


オリオンさんはまだ中国で仕事をしているからその仕事が終わり次第こっちにワープしてくると、それまでは少しでも休まないと…





8時間もガッツリ眠ってしまって夕方になっていた。え、マジ…?時刻は18時過ぎか……。


(…もしかしてやっちゃった?)


私は急いで身支度を整えて約束の一階にある休憩所まで駆け付けた。いっけなーい遅刻遅刻!もう私のドジ!


バタバタ走るよミヨ子さん。もう休憩所には本を読みながら寛いでいるオリオンさんが居る!あの感じだと結構待たせているぞ!


エレベーターから降りた瞬間トップスピードのまま左にカーブしながら休憩所のインコースを攻めた。


「大変長らくお待たせ致しました!すいません!」


綺麗なスライディング土下座を決める私に対してオリオンは優しい笑顔を向けてくれる。


「こちらが急にお願いしたのですから気にしないでください。それにたったの3時間しか待っていませんから。」


「ホントすいませんでしたッ!!!」


女子高生のガチ謝罪がそこにはあった。我ながら潔い土下座であった。


「…場所を変えましょうか。寝ていて何も食べていないでしょうしついでに何か食べに行きましょう。」


今の時間、一階にはそれなりに人が居るので私達の一部始終を目撃している人達がまたスマホをこちらに向けて記念撮影をしようとしていた。本日2度目のバズりはマジで勘弁して欲しい!


「…奢りですか?」


「フフフ。勿論ですよ。予約しているのでお寿司食べに行きましょう。」


「回るやつですか?」


「銀座のやつです。」


「行きましょう!今すぐ!」


30分後お店の中に入店してから気付いたけど簡単にほいほいと付いて来て良かったのだろうか。だって怪しくない?わざわざ個室まで予約して二人っきりなんてさ。


私は昨日の事を思い出した。クズ三兄弟の事だ。私は割と男性が好む容姿をしているとそこで自覚した。いや、学校での出来事で何となくは気付いてはいたけど考えないようにしていた。だってストーカーメンヘラ男子から告白されたんだもん。こいつはノーカウントで考えたいんだよ。


(まさかオリオンさんは私と、その…深い関係になりたくて誘ってきたのかな?もしそうならごめんなさい。私には心に決めた死神(相手)が居るの。)


「早速なんですけど本題に入っていいですか?」


「もちろんだよ。会計はワタシが持つから遠慮なく食べて欲しい。」


「え?マジですか?値段ヤバいってグルメサイトに載ってましたよここのお店。」


「何回か来た事があるから心配しないで。これでも稼いでるから。」


「じゃ、じゃあこの大将のおまかせ(25000円)で…」


「ではワタシもそうしようかな。…あの、ワタシと彼女でおまかせを2つで。」


あれ?今ナチュラルに私の本題=お寿司って認識されたんだけどどうなんだ?私ってオリオンさんからそんな風に見られているの?先生からの情報か?


そしてさり気なくお店を予約して注文もすんなり出来る男アピールしてきたね。これが大人の魅力ってやつか。


「騙されませんよ。私がその辺のゆるゆるの女と一緒にされては困ります。お寿司でなんか釣られませんから。」


「…うーん。何か途轍もなく勘違いしている気がするね。今日誘ったのは昨日の、君の周りに起きた事を聞きたいのと死神について話をしたくてね。他意は無いよ。」


それが事実ならめっちゃ良い人やんこの人。お寿司奢ってくれて私の欲しい情報を教えてくれるなんて…いや、待つんだ私。まだこいつからは情報なんて話されていない。信用するのはその後でも遅くない。


「がるるる…わん!」


「取り敢えずこっちが持ってるデータを渡すね。」


私の威嚇を軽くスルーしてスマホを操作し始めるオリオンさん。え?面倒くさい女に対しての対処慣れてない?メンヘラ女子と付き合った事があるのかな?


ソマホが震えたので表示させるとオリオンさん宛から情報が送られていた。…なるほどなるほど。


「…ありがとうございます。…助かります。」


「それは良かった。あ、お寿司が来たね。話の続きは食べてからにしようか。」


お寿司キタ!…いや、早まるな私!同じ轍を踏むな!惑わされるな!例え高級寿司だからといっ…


「うん〜ま〜〜い♡とろける〜♡」


一口目から私は陥落した。


美味すぎて脳が蕩けちゃう〜。もう無理や…アカンわこれ。マグロが鮪!って感じ…上品さがある舌触りに震え上がるよ。


(いや絶対オリオンさん良い人だ。こんな美味しいお寿司奢ってくれる人が悪い人のはずがない。)


「…うん。美味しいね。」


オリオンさんも目を閉じてお寿司を味わっていた。同じ釜の飯を食ったんだ。信用して大丈夫だろう。


「おかわりしていいですか?」


「ワタシもそうしようと思っていた所だよ。」


以心伝心のコンビ誕生の瞬間だった。私達なら先生のサポートも完璧に行えるだろう。


「ふー…さて話の続きでもしますか?」


「うん、そうしようか。」


おかわりも平らげた私達は完全に寛ぎながらお茶を啜っていた。もう解散でも良いんだけど奢ってもらった反面、ここで帰るなんて出来ない。…もしかしたらこれが狙いだった?


「まずはキミの事だけど、昨日は何があったのか話してもらえる?」


「…あの、図々しいのは承知なのですが、まずはオリオンさんの事と先生との関係性を話してもらえませんか?先生には基本的に仕事の内容は話すなって言われているので。」


「信用した相手じゃないと話せないか…良いでしょう。何が聞きたいのですか?」


「オリオンさんって何者ですか?」


「うーん…それはどういう意味として捉えれば良いのかな?」


「オリオンさん、日本人では無いですよね?どこの出身なんですか?」


「…それはワタシにも分からない。日本人では無いと思うけど親も兄弟も居ないし自分がどこの出自なのかも分からない。言葉もここの国のものでは無かったから日本生まれでも無い。ワタシが分かるのはそれぐらいだ。」


「…なんかすいません。踏み込んではいけなさそうな場所に踏み込んでしまって。」


ナイーブな所を聞いてしまったかもしれない。申し訳なさすぎて落ち込んでしまう。私も聞かれたくない部分はある。


(どうしよう…自分から地雷を踏むのは慣れていないからどうしたら正解なのか分からないよ。)


「気にしないで。…昔、組織の創始者に拾われたおかげでワタシはオリオンとして生きてこれたしそれなりに楽しい人生を送っている。…知り合いや友人と呼べる人も出来たからね。」


めっちゃ幼い頃に苦労してそう…それなのにこんな面倒くさい女に優しくしてくれるなんて。


「分かりました。オリオンさんを信じます!」


「えーと、それはそれでどうなんだ?」


苦笑しながら照れ笑いを浮かべるオリオンさん。…なんか思っていたより幼い?


「あの、オリオンさんの年齢っていくつなんですか?」


「…これも難しい質問だね。誕生日も自分の正確な年齢も分からないからね。…推測になるんだけど20歳前後かな?」


確かに外見と話した感じはそのぐらいの年齢っぽい。…そしてオリオンの過去の話は地雷だらけでこれ以上踏み込めない。私にはもう無理だ。


「ありがとうございます。…話してくれて。次はそっちの番です。何でも聞いてください。答えられる範囲なら答えます。」

伊藤美世はお寿司をオリオンと一緒に堪能していますが、昨日から人を殺しまくって今日の朝にも人を殺してます。胆力が凄いですね。(他人事)

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