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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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結界型能力者

いつもこの辺りで次の章に移ったりするのですけどまだまだ3章は続きます。美世の青春はまだまだ終わりません。

転移している間、私の身体は現実世界から消えていた。じゃあ私の身体はどこに行ったと言うと……分からない。自分でもどうなっているのかが分からなかった。


身体の感覚が消えて情報が頭に…いや頭部の感覚も無いから自分の意識に情報が入ってくると言ったほうが正しいか。


その情報とは光情報だ。私の能力で視界を飛ばす事が出来るんだけどあれに近い。B地点に行くまでの景色が視える。壁や床はすり抜けて一直線に向かって行くから恐らく軌道上を通っているのだろう。


そして敵の居るフロアまで近付いてくると停止して身体が構築されていく。まるで分子レベルまで拡散した身体が押し固まるようなイメージだ。


そこで私の中にある考えが生まれた。


転移とはつまりベルガー粒子に自身の情報を移す事なんじゃないのか?


……突拍子もない話かもしれない。未だに転移の原理を解明出来ていないのに初めて自身を転移させた私が言ったところで説得力の欠片も無いのは分かるけど、感覚としてはこの理屈が一番しっくりする。こういう時の感覚が外れたことは無い。


それに感覚の話だけじゃない。理屈としても説明出来る。ベルガー粒子は物理的干渉を受けないしない。つまり壁や床を貫通出来る。しかも粒子は小さ過ぎて目に見えないから転移したらその場から掻き消えたように見える。


憶測を憶測で語っているけどそれ以外でこの現象を説明出来るかな?


ベルガー粒子が情報を吸収、または保存出来るとしたら他の能力も色々と説明出来る。例えばパイロキネシスが火球を創り出した時はベルガー粒子そのものを発火させた。もしベルガー粒子に発火させる命令、つまり情報を送ってベルガー粒子がその命令を保存してから実行に移っていたとしたら?


前に先生が一度放たれた能力はキャンセル出来ないと言っていた。それは能力という情報をベルガー粒子に移した影響でキャンセル出来ないという事。…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


…もし、もしもの話だ。この理屈が正解だとしたら、ベルガー粒子には様々な情報を保存出来る性質があるという事になる。脳から発せられた電気信号も能力者の身体も保存出来る粒子。そしてどんな情報(命令)も実行出来る万能の物質。テレポートだろうがサイコキネシスだろうが時間操作だろうが実行出来る。


(こんなものが現実世界にあっても良いのか?)


そこら辺のファンタジー世界もビックリの超物質だ。しかもあちらこちらに存在して誰もが持っている。


…危険だ。私は改めてその危険性を痛感した。先生が躍起になって能力者を見つけようとしている訳だ。何でみんなが非接触型探知系能力者を探していたのか真の意味で理解した。


能力者がそもそも危険な存在だからだ。だから保護するか殺すの2択なんだ。放置はありえない。今になって心の底から組織のやり方に賛同出来たかもしれない。


「…殺さないと、この世から消し去らないと…あれ?」


思考の海に沈んでいたらいつの間にか私の身体が無事に再構築されていた。良かった…五体満足でこの世界に出現出来た。マニュアルには転移に失敗して身体の半分しか構築されなくて死亡したケースがあったらしい…怖いよね。


「…敵は私の存在に気付いたかな?」


探求(リサーチ)】で探ったら敵はこちらの事を気付いた様子は無かった。現在、敵と私は同じ階に居るけど壁を挟んだ位置に居る。壁越しでも攻撃する手段がある私にとってこの位置は都合が良い。


(ベルガー粒子の話はこれが終わった後に先生に聞いてみよう。まずは敵を処理しなければ。)


左手に銃を再現して銃口をサイコキネシスの頭部に合わせる。銃口の先には軌道線が伸びて壁を透過した。壁の向こう側に居る敵は能力で視認出来るからこの位置から仕掛ける。実に私らしい能力の運用方法だ。


先生が前に私には暗殺が向いていると言っていた。その通りだと私も思う。特に室内戦の暗殺に置いて私より上手く立ち回れる能力者が居ないと自負している。何故なら選べる選択肢が他の能力者より多いからね。


(敵が応援を呼んで混戦する前に仕掛ける!)


室内に敵は7人しか居ない。このチャンスを見逃すほど私は馬鹿ではない。こいつらが応援を呼んだり逃げ出したりする前に私は引き金を引いて軌道を確定させた。壁を破壊しながら標的の頭部に向かって軌道が走る。


敵にとって音速を超えた不可視の悪魔の弾丸が頭部に向かってくるのは正に悪夢だろう。この初見殺しの能力こそが私が暗殺に向いている思う理由だ。壁越しでも正確に射撃する事を可能にする【探求(リサーチ)】と組み合わせる事で能力者相手でも一撃で仕留められる攻撃になる。


「ガァッ!?」


サイコキネシスの頭部に着弾したが貫通はしなかった。バリアを全身に纏わせていたおかげで命拾いをしたがその威力に頭は弾かれたようにブレて失神を起こした。その影響でバリアは解除される。


(…バリアの強度は宮沢みゆき以下か。その代わり射程距離が比べ物にならないぐらい長いけど。)


倒れたサイコキネシスに向かって引き金引き絶命させる。残りは6人…もう一人の能力者は手ぶらだし、まだ能力を解除してほしくないから後回しにしよう。


結界型の能力者は女性で私と似た体型で軍人に見えなかった。だからすぐに死なないように左足の足首に向かって引き金を引いて足を飛ばした。…悲鳴がここまで聞こえてきた。


(ゴメンね。君にはまだ能力を行使してもらいたいからさ。)


あとは消化試合みたいなもので引き金を3回引いて【再現(リムーブ)】を一回しただけで無能力者の兵士5人の処理は終わった。こいつらは後方支援役であまり戦闘向けの人員では無かったっぽい。あまりに呆気なさ過ぎて拍子抜けの気分だ。


もう隠れるのもバカバカしいので私は姿を晒して結界型能力者とご対面する事にした。多分こいつも戦闘員では無さそうだしね。…ていうかめっちゃ泣いてるし。


「うえっうえっ…ひっく、うえ〜ん。」


…尋問出来るかな?……う〜ん英語で話しかけてみるか。


「あー…あなたは結界、能力者ですか?」


「えっ!?…誰っ!?」


「誰っ!?私分かんないの!?何で!?」


コイツ私の顔も知らないのかよ!?事前に作戦とかでさ聞いたり見たりしていないの?…もしかしてこの娘、残念な人?


「あなた、軍人?こいつらの仲間?」


死体に指を指して質問を投げかける。


「し、死にたくないです!助けてください!私、この人達に監禁されて、えっとなんぁ……」


急に呂律が怪しくなったと思ったら顔の血の気が引いて青ざめ始めた。恐らく興奮した影響で血圧が上がって血が流れすぎたのだろう。


「えー…どうしよう…この人ただの一般人かも。」


白目剥いてピクピクしてるしなぁ…なんか可哀想になってきたな。


色々とこの人の背景を考え始めたら助けたいって感情が湧いてきちゃったなぁ…どうしよう。


…ワンチャンこの人組織(こっち)に引き込めないかな?結界型能力者って物凄く貴重だからこのまま殺してしまうのが惜しいっちゃ惜しい。


(恩を着せて引き込むか。)


「じゃあ、恐らく本日2度目の【再生(リヴァイブ)】行っときますか…」


巻き戻すのは彼女の足が吹き飛ぶ直前で良いか。


「【再生(リヴァイブ)】」

今週中に美世の仕事が終わる予定です。






予定なので確定ではありません。あくまで予定です。(念押し)


あとブクマありがとうございました。毎日投稿頑張ります!

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