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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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ビルに縁のある女

美世の視点だと能力の説明が疎かになるので今回は説明してくれる天の声を多めに入れました。前書き後書きで書いている説明を本文に導入した感じです。

夜のビル、能力者、何も起こらない筈もなく…いやマジでビルに縁があるとかいうレベルではない。毎月ビルの中で戦っているんじゃないかな…。都心はビルばっかりだから敵がビルを活用して来るのは仕方ないと思うんだけどさ。


(…私が得意としている室内戦で戦えるから別に良いんだけどね。)


ビルの事になると急に饒舌になるあたり美世自身がビルの事を気に入っていることが分かる。関係の無い話だかバカは高い所が好きだと言う。…本当に関係の無い話である。


私はゴソゴソとカバンからソマホを取り出して一応連絡が取れるか確認してみたら無理だった。まだここ一帯でジャミングされているのだろう。もしそうならジャミングする機械があるはず。そしてその機械が稼働している間は相手も通信が出来ていないと仮定出来る。情報の共有をする前に殺せれば目撃者も私の能力の情報もこの世から消える。


ビルに侵入した私は視界を上の階に飛ばして索敵を始めた。もしサイコキネシスが居たのなら屋上近くの階に潜んでる可能性が高い。奴らは空を飛べるからね。


敵が逃げる前に殺せれば私の勝ち、敵が私に殺されずに逃げられれば相手の勝ち。つまり時間制限付きの鬼ごっこだ。ガオー捕まえた奴から殺しちゃうぞー。


頭の上に人差し指で角を真似して威嚇するあたり拘りが見える。


そういえばかなり昔にリアルな鬼ごっこていう映画あったよね?TSUTAY○で見かけた事がある。原作は…小説だっけ?…まあそれはどうでも良いんだけど今の状況と照らし合わせるとさ、もしかして私が悪い奴みたいじゃない?あっちから攻撃仕掛けてきたのにまるで悪役(ヒール)だ。全く、納得がいかない。


馬鹿な事を考えている美世の脳内に能力者達の情報が流れてきた。


「見〜つけた。まだ…逃げようとはしていないね。」


能力者が2人に無能力者が5人、能力者は辺りの警戒をしているのかキョロキョロと首を動かしていて落ち着きが無い。無能力者のほうはなんかアンテナがいっぱい付いた機械を弄っていた。あれがジャミングの装置かな?


美世は考えた。どうやって距離を詰めるかを。どう考えてもサイコキネシスがネックになっている。上手く距離を詰めて行かないと周りのフロアごと破壊されて最悪瓦礫に埋もれるかサイコキネシスにガン逃げされる。もし逃げられても軌道を創り出せれば…いや、直接触れるのも難しいのがあの能力の特徴だ。バリアとかいう品が無く頭の悪い能力が本当に厄介だからね。


「一瞬で距離を詰められないかな…」


美世の頭に浮かんだのはPOISONのリーダーの能力…テレポートだ。


1度はテレポートを成功させたのだから上手く再現出来れば私自身があいつらの所まで転移出来ないかな?可能性はあると思うけどちょっと無茶かな?脳への負担も大きい部類だったしねあの能力。


再発(リカー)】は3つの能力を複合した能力。その分脳への負担も大きい。だが効果は絶大だ。選択肢としては悪くないだろう。


(正直脳への負担が怖いけどまだ行けそうなんだよね。今日だけでかなりの能力を使っているはずなのに…先生との訓練のおかげかな?)


新しい能力を身に付けようと連日訓練をしていた。あの訓練のおかげで能力の持続性が伸びていたとしたらあの時の先生は一体何処までこの状況を読んでいたんだろう。海外の組織からの襲撃も読んでいたし先生はやっぱり凄い!


(一番弟子の私がここで頑張らなければ先生の名に傷がつく…)


美世の身体からベルガー粒子が漏れて周りの空気を歪ませた。この歪みは転移の兆候だ。…美世はテレポートで強襲をかける事を選択した。実に美世らしい選択と言える。


A地点は彼女の居る現在地で確定させてB地点は敵の居るフロアを選択。2度目になる転移だが今回は前回と違ってパスで繋がっているテレポーターは居ない。転移するには自身のベルガー粒子…つまり能力で賄わなければならない。一度は成功したとはいえ美世本来の能力ではない。この制約を破るには能力者としての資質が問われる。


(マンションに残っている軌道を再利用しようか…)


マンションには転移に使用した軌道が残り続けている。私は一日経ったあとでも軌道を追うことが出来る。1時間前の軌道を追うぐらい造作もない。


彼女はしれっとマンションから軌道を持ってきて自身の位置と敵の位置を繋いだが、これはとんでもない事だった。なぜなら彼女がマッピングした場所なら何処からでも軌道を持って来られるという事なのだから。例え地球の反対側であってもマッピングされているのなら軌道を持ってこれるという彼女の射程距離と効果範囲の凄まじさを物語っていた。


そして彼女は気付いていない。転移が出来るかどうかはまだ分かっていないと思い込んでいるが、彼女は()()()()()()()()()()()()()()()()()()


もう転移は出来ているのだ。自覚の無い能力の行使は先程の機関銃の(くだり)から行なっている。伊藤美世は無意識的に能力を行使出来るほど脳が開拓されていた。


これは彼女の能力【探求(リサーチ)】が常時発動型の能力だという事に起因している。


人は呼吸する事を意識するだろうか、瞬きの際に目を閉じて素早く開くと考えて実行しているだろうか…否だ。心臓を動かす時に自分の意思が必要か?…これも否だ。


彼女にとって能力を行使する事は苦でも意識する事でも無い。そもそも死神と出会い能力を貸し与えられてから初めて意識して能力を行使したぐらいだ。それまでは能力が別にもある事すら知らなかったしベルガー粒子も脳でコントロールする事も知らなかった。


彼女は知識が無くても能力を行使し続けている。他の能力者には不可能と言える事を幼少期の頃から当たり前のようにしていた。


これが世界最強の能力者…“死神”に逸材と言わせた能力者。そして予測不能と呆れられた能力者でもある。


「ヨシ。行くか……【再発(リカー)】!」


彼女の身体が一瞬で掻き消えた。彼女が居た空間には空気が埋まるように押し寄せそこに何かが居た事実が抹消された。


今回のテレポートの距離は約45m程度。このぐらいの距離ならほとんどラグが生じずに転移出来るだろう。それに2回目とは思えない程の熟練された転移だった。前回のような大きな空間の歪みもなく静かなもので、敵も転移の兆候に気付けない程に。


そう彼女は転移を行使出来た。出来てしまった…何度も言ってしまったがこれは異常な事態である。転移をコピー出来たのは死神の能力、時間操作型因果律系能力のおかげではない。美世の【探求(リサーチ)】が原因だった。


能力者は生まれながらにして基本的に能力は1つしかない。だが例外も存在する。先天的に複数の能力を持って生まれる者も中には居るのだ。しかし彼女は後天的に身につけている。しかもパスを通じずにだ。死神を以てしても同じ芸当は出来ない。美世の能力を借りなければ決して。


美世は【探求(リサーチ)】が成長していない…し難いと考えているがそれは間違いだ。時間操作型因果律系能力を行使する際、彼女は無意識的に【探求(リサーチ)】を併用している。軌道を探る時は特にだ。


考えてみてほしい。常時発動しながら他の能力を行使する時は必ず併用している。つまり複合能力として行使しているのだ。()()()()()()()()()。もしかしたら美世の能力の中で一番成長している能力かもしれない。


その証拠に彼女は転移をコピーする事に成功した。…インスピレーションに従い理屈を無視した突発的な行動ではあったが、この場にはいつも冷静に大人の対応をしてくれるブレーキ役の先生は居ない。


もし死神が居たら確実にツッコミが飛んでいた。


『ーーーミヨ…どういう事かちゃんと説明してくれ』


絶対に死神を困らせていたに違いない。…いや、彼女の現状を把握する事も出来る死神だ。もしかしたら現在進行系で困っているのかもしれない。


《ーーーは?》

突然ですがギャグ回とかストーリーに関係の無い日常回を書いてみたことが無いですね。いつかは書いてみたいと思っているのですけど難しいですね。特に今は。


美世が先生を朝早くから呼び出して朝マックに連れて行く話とか書いてみたいです。適当な会話をしながら朝の渋谷を歩いてマフィンを食う…みたいな感じのお話をいつか書こうと思います。

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