能力の模造
感想を頂くとその日1日そわそわしてしまいます。返信したほうがいいのかな?迷惑かな?って日本人特有の読み合いが始まるの私だけでしょうか。
もちろん感想を頂けるのは嬉しいです!モチベに繋がりますしね。
私のベルガー粒子が向こうに流れているのは能力を行使するには響の持っているベルガー粒子では足りないからだろう。だから能力を行使するに必要な分は私が補填する。
そしてこれが大事な点だ。それは誰がテレポートの主導権を握るかだ。遠隔からでもパスを通じて能力を行使する事は先生が実証済みだ。恐らくではあるけど私もやろうと思えば出来るはず。
私が取れる選択肢は2つ、アイツ主導で能力を行使させてここにテレポートさせる…つまりは逆行させるのか、私が主導でテレポートを実行してアイツをここにテレポートさせるのかの2択。私的にはどちらでも良いけど後者はかなりこちらが大変だと思う。
(ここは前者を選ぼう。後者は失敗する可能性が高過ぎる。)
パスに意識を集中してアイツの周りの情報を収集しつつ流れていったベルガー粒子のリソースを振り分ける。テレポートの分と【逆行】の分だ。
まあ正確に言うと【探求】にもリソースを割いて周りの情報を収集しているんだけどね。…色々と。
私の【探求】はベルガー粒子を正確に視認出来る性質を持っていてその情報が直接脳に送られて来るんだけど…どうやら私はベルガー粒子と能力さえ認識出来れば再現出来るっぽい?
ぽいって言うのはやってみた事がないのに出来るという感覚があるからだ。こういう感覚がある時は出来る場合がほとんどだ。
若者特有の根拠の無い自信かもしれないけどこのワクワクは止められない!
私が補助に回ってテレポートに必要な工程を【再現】する。フッフッフ…戸惑いの感情が流れてくるぞ〜勝手にテレポートしようとベルガー粒子が蠢き始めたからな〜。
非常に悪い顔をする主人公であったが彼女は仕事の為、未来ある若者の無念を晴らす為に正義を執行しているのだ…多分。
「ここに転移された時の顔が楽しみだぜッ!」
やっぱり彼女は悪かもしれない。
(やはり私の脳のほうが処理速度も処理出来る情報量も上のようだ。だから転移先は私の方で決めさせてもらうよ悪いね。)
アイツの居る位置がA地点として私が居る部屋をB地点としてルートを創る。軌道とパスを流用すれば初めて転移能力でも簡単に行える。
「ん?これは…抵抗している?」
浅ましくもやつは抵抗しているようだ。だが残念な事に君の今の脳では私の演算力には勝てないのだよ。まあ、君がベストな状態であっても負けるつもりは無いけどね。
はっきり言えばアイツの能力が必要なだけでアイツ自身の脳なんかどうでもいい。
どうでもいいんだけど…アイツはもしかしてクールタイムが発生している状態の脳を無理やり動かされている状態なのかな?それだったら抵抗しているんじゃなくて単純に脳がオーバーフローしているのかもしれない。…可哀想に。
私が初めて【再生】を使ったあとの脳で再び【再生】使わされるようなものだ。脳が壊れそう…
もし脳が壊れたら報酬が減ってしまう!えらいこっちゃ!(生まれて初めての使用)
私のテンションもおかしくなり始めた。能力にリソース割りすぎて感情がコントロール出来ひん。てえへんだ。さっさと済ませてしまおう。
「こういう時なんて言えばいいんだ?【再現】?【逆行】?どちらでもあってどちらでもないし…新しい能力として考えてみるか…?」
綺麗に決めたい私は頭の中の英語辞典を取り出して必死に能力の名前を考えた。再現はもう使ってるしちょっと根本的に違うんだよね〜だから…recur?
能力の感じや状況と合っているように思えるからこれで行こう!ポーズ決めながらカッコよく決めよう!さっきはカッコよく決めようとして微妙な感じだったからね。ポーズは…と、こうだ!
「再び発動しろ!【再発】!」
軌道を探求し再現を行ない逆行させて能力を再発させる。プロセスとしてはこんな感じだ。つまり3つの能力を組み合わせた複合能力…この能力を使える能力者は多分この世界で私一人だけだ。フッ…カッコいいな私。
軽くポーズを決めながら発動させたけどすぐに結果が出るわけではないからちょっとだけ恥ずかしい。
一応はアイツはA地点からこちらに転移しているけどラグがあるからね。仕方ない。
(あれ?パスからの繋がりが薄くなり始めたけど…転移している最中はそんな感じなのか?)
いや違う!これは…死にかけているのか?【探求】で探ったら意識が切れて今にも死んでしまいそうだった。無理やり能力を実行させたから脳が潰れたか?
転移に必要な脳の処理はほとんど私単体で行なっている状態だ。私は急いで【逆行】にリソースを割いて無理やり転移を維持しようとした。
軌道を確定させ因果を逆行させるこの能力はインチキ臭い事が出来る。テレポーターである響は生きた状態でここから向こうに転移した。その因果を逆行させるので彼は生きた状態でここに転移させられるのだ。これは絶対に起きる現象であり制約に近い。
生きていなければ能力は行使できない。私は能力の行使自体を再現しているので、確定された因果を進む彼は逃れる事ができない。固定された軌道は私と先生以外では干渉出来ない。つまり彼が死に向かう行動すら軌道に対しての干渉になる。だから死ねない。これが因果を確定させるという事だ。
今も彼はこちらに向かって来ている。あともう少しだ。ここに転移した時の彼は最早生きているのか死んでいるのかも良く分からない状態だと思うけど軌道が固定されている間は死ねないはず。
彼がこちらに向かってくるにつれて部屋の空間の歪みも酷くなってきた。空間の景色が水でふやけた水彩画の絵の様な輪郭の無さだ。酷くぼやけて見えるしすごく不安定だ。
ヒビの様になっていた軌道が朧気に動き出し人のシルエットの形で固定された。響のシルエットだろう。その軌道の空間だけハッキリとしている…逆にそこ以外の空間だけはまだ歪だ。
軌道の空間がハッキリと見える程に周りの空間が歪になってある種の幻想的な光景にも見える。見るだけなら綺麗だけど実際にその場にいる私は戦々恐々な思いだ。私も歪んで見えているのかもしれない。いや実際に歪んでいるのかも…もちろんだけど性格の話じゃないよ?
そんな事を考えているとついにその時が来た。彼が…彼だったものが転移されてきた。
だがそれは目を覆いたくなるような光景だった。空間の歪みは転移が終了した時点で書き変わるように無くなったけど…彼の様子が予想外だった。
まずは頭を中心に湯気が立っている。おそらくは高温になっているのだろう。体内の水分を全て体外に排出する勢いの湯気が立ち昇っている。そして目の所が…何かが漏れている。多分脳みそだ。脳みそが湯気を出しながら両目から漏れ出して口、鼻、耳からも湯気と黒い液体が噴出されて辺りの床を汚している。
そしてその場に膝を着いて座り込むような姿勢だけど何かがおかしい。意識してその体勢を取っているような感じではなく力が入らなくなってこの体勢になったみたいな脱力された姿勢だった。
なのに死んでいない…パスが繋がっているから分かる。彼は死んでいない。死んでいないだけで生きてもいない。私の能力でただ能力を行使する分の必要な部分だけ抽出された結果が今の彼だ。
私が能力を解けば彼は死ぬ。コイツの生殺与奪の権利は私の手の中だ。他人に生殺与奪の権利を握らせてしまったね響くん。
人の人生をめちゃくちゃにした奴の末路が、文字通りめちゃくちゃにされて終わる。…これでもうこいつらの被害者は出ない。彼らの彼女らの無念も少しは晴れてくれることを願うばかりだ。
「あなたの最期は誰にも看取られずに私に観察されなが終わる。あなたを殺した報酬は課金に使わせてもらうね。」
私は彼を嘲笑いながら纏わせたベルガー粒子を霧散させて彼の死を確定させた。
伊藤美世は善人でも悪人でもありません。被害者を思って行動も取れますけど加害者を利用して実験するような残酷さもあります。
変なバランスを保っている主人公です。




