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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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ふるえるぞフロア!燃えつきるほどヒート!おおおおおっ刻むぞ軌道のルート!

昨日の一日のPVが初めて600を超えました。感謝感謝。

………………あれ!?何でゴーレムが壁にめり込んでいるんだ!?へっ!?記憶が飛んでるっ!?どういう事!?()()()()()()()()()()()()()()()


私の【探求(リサーチ)】は完璧に相手の動きを捉えていたのに何でだ?…いや、待て落ち着くんだ私。冷静になれ…。最後の記憶は何だ?大門寺ゴーレムが私に対してタックルを決めようとして私は蹴りで迎撃しようとした……そこまでは覚えている。だけどそこから先が()()()()()()()()()。気が付いたらアイツが壁にめり込んでいた。


(まるで軌道が…私の記憶が()()()()()()()()()


ということはまさか、削除…したのか…?私の軌道、いや記憶を削除したんだ。自分の能力で!何らかの理由で私はアイツを蹴った後と蹴る直前の間の軌道を【削除(リボーク)】し【逆行(リワインド)】した。そして現在(いま)()()()


(そうか私は【再生(リヴァイブ)】を使ったんだ…自分自身に!)


何らかのダメージを負ってアイツが気を失っている間に戻したのか。まさか記憶まで戻されるなんて…いや当たり前か。それこそ色々と戻されているだろうし削除したんだからもうこの世に存在しないんだ。


この時の伊藤美世の認識は正しかった。【再生(リヴァイブ)】の制約には複雑な点が複数存在する。その1つが例え行使する能力者本人であっても記憶を引き継げないという制約だ。


そして伊藤美世はひとつの可能性に気付いた。


(私自身の時間を戻せるなら…不老不死に到達するんじゃないか?)


私は一日前の軌道だって追える。だから一日過ごしたらその一日分の、24時間分の軌道を【再生(リヴァイブ)】して戻せば私は年をとるという生き物全てにある制約からも逃げ出せるはずだ。


しかし同時に私は記憶も翌日に持ち越せないという事でもある。経験も思い出もだ。つまりそれは()()()()()()()()()()()()()()()


先生は前に言った。私達は進めないって…


それは私も成長出来ないって事なのかな…便利すぎるが故に乱用すればこの世界に置いて行かれるという縛り。


先生の能力は強力すぎる。だから自分自身にすら多大な影響を与えてしまっているのだろう…。恐らく私のこの考えは当たっている。正確では無いのだろうけどかなり近いと思う。


でも…何か違和感も感じる。もし先生が定期的に…頻繁に戻っていたら記憶もかなり失っているはず、紙や何かに記録を残しておいてそれを読んだり聞いたりしていたとしても所詮は記録だ。経験じゃない。だけど先生との会話に違和感は無かった。だからこそ違和感を感じる。


まだ別の何か…先生を縛っている何かがあるんだ。


(いやこんな事を考えている暇なんて無い!)


またエレベーターが動き始めて能力者が一人降りてきた。切り替えないと…別に先生の正体を暴きたいなんて考えていないしこれから先も思わない。私はただ先生の役に立てばいいんだ。


先生が私に求めているもの、それは“成長”だ。成長の出来ない先生の代わりに成長してこの世界に寄与する事こそが私の役目だ。


だから私は自分に【再生(リヴァイブ)】を使用する事は出来るだけ無しにしよう。経験も削除してしまうこの能力は私の役割には不必要だ。例え大怪我を負っても病院に行けばいいし自然治癒で治るならそのままにしよう。


私が新たな決意を胸に刻んだ時、エレベーターの扉が開く。出てきたのはドンキに居そうな女だった。最上階にドンキがあるのかな?


人の気配を察知した剛毅が目を覚ます。目を開けたらエレベーターが開きコチラに近付こうとしている人影を認識してすぐさま警告を発する。


「ほ、(ほむら)ッ!出てくるなッ!」


「え?何々どうしたの剛毅?」


「チッ!」


俺は激痛の走る身体にムチを打って起き上がり焔とあいの風を遮るような立ち位置、焔を守る壁になる為に走る。


走っている最中、腹部から装甲の欠片が落ちていく。この装甲が壊されるなんて考えた事も無かったぜ…。


「ねえ!どういう事よ!説明して!なんでアンタがやられてんのさ!」


「説明している暇はない!早く(ひびき)に連絡して俺達を逃がすように言ってくれッ!」


「二人でやろうよ!あんなヤツ一人ぐらい!」


焔と呼ばれた女が射線を通す為に横にズレた。左手にはベルガー粒子が圧縮され高密度の塊が生まれる。


「燃えちゃいなよ!」


焔によって操作されたベルガー粒子は高温の熱を発し発火した。それからバレーボール大の炎球が焔の左手から放たれる。


(やっぱり発火能力(パイロキネシス)か…)


炎球の速度は100km前後かな…訓練を受けた能力者なら簡単に避けられるレベルだ。


横にステップして炎球を避ける。私の軌道は固定していても衝撃と熱は防げない。だからバカ正直に受ける必要なんてない。


炎球は私を追尾して方向転換…なんて事はなくそのまま後ろの壁にぶつかって弾けた。


「…あいの風、炎球を避けたな?」


私の行動に何かを感じたらしく避けたことに対して指摘を入れる。しかも指摘しながら焔の前に立って壁役に徹する徹底ぶりだ。


(勘がいいな…やっぱり異形型の能力者は勘が鋭い。何とか誤魔化さないと。)


今の今まで攻撃を避ける行動は最低限しかしていなかったのにあんな火球1つで避けたのが引っかかったのかな?


「いや、当たったら服燃えるじゃん…会ったばかりの人に裸体見せる趣味なんて無いけど。」


「そ、それはそうだな。」


良し良し!何とか誤魔化せたね。本当はこの服は防火性の素材で作られているから燃えたりしないんだけどね。


「剛毅…それはさ、流石に思いやりが足りないかな。」


まさかの援護射撃が来た。いじられ役なのかなゴーレムさん。


「ありがとう焔さん。あなたは即死させてあげますね!」


「この女ヤバいんだけど!さっきも私の炎球避けたし何なのっ!?」


「だから早く連絡を取れと言っているだろッ!」


「わ、分かったわよ。」


焔さんが応援を呼ぶ為にスマホを取り出そうとしたので私はすかさずに銃を再現して軌道を創り出す。


「焔ッ!身を低くして俺の後ろから出るなッ!!!」


「えっ?」


引き金を引くと同時に軌道は確定し、進行方向に存在する物体を破壊する事象を引き起こす。


「んぐッ!?」


悪魔の銃弾がゴーレムの装甲を砕く。あの顔…しっかりと銃痕が残っているのに銃弾が残っていないのは不自然だと疑問に思ってそうだね。


「あいの風…貴様一体なんだその能力はッ!?」


私は相手の質問を無視して引き金を引き続ける。何発も当たるとゴーレムの肌はヒビ割れて衝撃を殺し切れないのか後ろへたたらを踏む。


「もしもし響!?お願い私達を連れて逃げて!」


「響…あなた達のリーダーはもしかして空間転移能力者(テレポーター)?」


「聞こえるか響ッ!俺は良い!焔一人だけでも逃してくれッ!!俺が隙を作るッ!」


ゴーレムが捨て身の突撃を仕掛けようとし両腕を広げた。後ろの焔さんを守ろうとしながら突っ込んでくる辺り好感を持てる。感動的だな。


「【再現(リムーブ)】」


だか無意味だ。


「ゴボァッ!?」


数発分の銃弾が一斉に襲ってゴーレムの突撃を阻止する。胸の辺りの厚い装甲を完全に砕けて後ろ向きに倒れた。


「剛毅!?」


駆け寄る焔さん。見た目は結構キツめなのに優しいね。でも私も優しいよね。軌道線上にあなたが居たけど銃弾を再現しなかったんだもん。


ゴーレムをその小さな身で覆い被さる様にして守る姿勢を取る焔さん。健気で可愛いとは思うけど絵面が完全に美女と野獣だ。野獣は石材で出来てるけど。


「お前なんか…お前なんかっ!!」


(あ、不味い追い込み過ぎた…来る!)


焔の身体中からベルガー粒子が吹き出て床から天井まで高温の粒子が舞う。その粒子が光ったと思った矢先、紅く激しく燃えた焔の壁となって私に目掛けて突っ込んでくる。


これをまともに食らったら確実に死ぬ!


(出ろ!怪腕!【削除(リボーク)】ッ!)


身体から生やした悪魔のような見た目の怪腕を床に目掛けて振り下ろした。その速度は私ですら認識し切れず“軌跡”と床を砕くという事象だけを残して消える。


部屋半分を埋めるような炎の壁は避けようがない。だから床を砕き下に逃げるしかなかった。幸いあの炎はそこまで早くないから私の“怪腕”が床を砕くほうが早い。


床の瓦礫と一緒に下の階に落ちた私は幸いにもノーダメージだったけど塵が舞うせいで呼吸がままらない。


「ゲホゲホ、くっそ…ゲホッゲホ。」


(…響!早く早く!……敵は下に落ちたッ!)


上から声が聞こえたと思ったら突然もう一人の能力者が現れた。恐らくリーダーのテレポーターだろう。


(ピンを指してと…出来た。これで逃げられても追える。)


たった一人のテレポーターが能力者二人を連れて逃げられるのなら逃げてみろ。もし二人を連れて逃げてもお前は遠くにはいけない。


私は転移能力者の制約を知っているから焦らない。転移させるもので一番負担がかかるのは能力者自身だ。ベルガー粒子も一緒に転移させないといけないから脳への負担が凄まじいとマニュアルで読んだことがある。だから予めゲートを繋いでAからBへと繋ぐルートを設計しておかないと遠くに転移出来ないのが転移能力者共通の制約だ。


私の【探求(リサーチ)】で周りをマッピングしたけどこのマンションにはゲートの存在は無かった。組織のビルにも自宅のマンションにもゲートが有るし、私自身良く利用している影響でゲートの感覚を覚えているから間違いない。


上の階の3人を観察していたら一瞬で消えた…転移したね。場所は最上階。やっぱりそこら辺にしか行けないよね。


奴は最上階からここに来た、だから頭の中に簡易的なゲートは出来ていたのだろう。もしくは咄嗟の判断だったのかもしれない。


これで奴は暫く転移は出来ない筈。便利な能力ではあるけど制約が厳しい事がこの能力の欠点だな。


(3人の能力の詳細は分かったし、これで報告も大丈夫…これで心置きなく殺せるね。)

ブクマや評価ポイントをして頂きますと作者のモチベが天上天下唯我独尊になります。どうか天下統一の為にお願いします。

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