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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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幹部達へお届け

今回はグロくない。でも次回辺りから戦闘があったりなかったりします。

3人の処理を終えた私はソマホを取り出して組織に電話をかける。まだこういう業務は緊張するな…。


「あ、もしもしお疲れさまです。」


この場所のクリーニングを頼むために処理3課に電話をしたのだけど未だに緊張する。なんか電話している間は本当に自分が組織の一員になった自覚が芽生えてくるようだ。


「現在地の建物に“荷物”が3つあるので片付けをお願いします。…はい“リフォーム”も必要だと思います。」


外での通話なので色々な業界用語を駆使して用件を伝える。


「…あー荷物のリサイクルは出来ないと思います。中が壊れていますので。」


死体は色々と使える。臓器などは需要があるし死体そのものは偽装としてアリバイ工作なので使い潰せる。だが今回は破損が内と外の両方とも激しいので再利用は難しい。


「進捗ですか?今日中には会って来てもらえると思います。」


もちろん来てもらうのは能力者達だ。生きたままコチラに来ることは出来ないだろうけど。


「第二部からですか?」


第二部は能力者の研究を行なっている部門だ。そこから私に対して言伝を預かっているらしい。なんだろ?


「“頭”を…ですか?やってはみます。その代わりに他は駄目になるかもしれませんよ?…分かりました。」


能力者の脳を損傷させずに処理してほしいとの依頼だった。確かに脳で能力をコントロールしているから能力の研究には必要だよね。


「後、綺麗に処理出来ましたら報酬のほうは…はい!尽力致します!…はい!いつもの口座の方で、はい!ではそういう形で。」


綺麗に処理出来たら追加報酬を第二部から出してもらえる事を確認してモチベーションが上がった。やはり現金なモノだ人は。


「よ〜し〜お仕事頑張るぞ!」


人の遺体が3人転がっている室内でこんなにも明るい表情を浮かべられる女子高生など、はたしてこの世に何人居るのだろうか…


クラブハウスに到着する頃には太陽も真上にまで上がり、地面を這っている生き物達を見下していた。


正面の扉を2回ロックして建物内部を探る。ここのお店は夜から開店するのでまだ従業員の姿は認識出来ない。居るのは…ここのオーナーぐらいだろう。


「ウーバーイーツです。品のご確認をお願いします。」


店の奥から男性が出てきて不審そうな足取りでコチラに向かってくる。


「ケイデリバリーから女子高生の盛り合わせを注文されましたよね?」


設定ではクスリと酒で良い感じ仕上がった女子高生のグループがこの店にハレンチな行為をしに来るというクソみたいな設定だ。だがこんなクソ設定でも喜んで信じるアホがいる。ほら、嬉しそうに扉を開けてくれた。


「いらっしゃい。他の娘達は?」


扉を通って店の中に入った私は彼に告げる。


「【逆行(リワインド)】」


彼は私が触れた扉に触れた。扉越しの相手であっても私の射程圏内である事が証明された。


ベルガー粒子は物理的干渉は受けないからね。扉だってすり抜けちゃう。…あれ?


そこで私はある事に気付いた。


(私が直接触れる必要なくない?)


ベルガー粒子を操作出来るんだからベルガー粒子を纏わせた物体を触れさせるんじゃなくて、ベルガー粒子単体を相手の方に伸ばせば良くないか?


美世が考えているこの考えは正しかった。実際、死神はこの方法で射程距離を延ばした戦い方をしている。


(今までの実験はなんだったのか…)


徒労に終わった…と思ったが最後に行なったあの実験は良かったと思う。トラップみたいに物体を設置するやり方自体はいいアイデアだった。多分この先でも活かせる場面が出てくるはず!そう考えて切り替えよう!


逆行した男について行きながら考えを纏めていたらそこそこ広いフロアに辿り着いた。そこには4人の男が椅子に座っていたり寝そべっていたり話しながら酒を飲んでいたりしていた。


(5人ちゃんと居るね。ヨシヨシ!)


「橘さん…何で後ろ歩きなんですか?」


「ひゅーー!写真より可愛いじゃん!」


こいつが橘だったのか。オーナー自ら出迎えとかどんだけ楽しみだったんだ…


「あなた達の上に立っている能力者の情報を教えて下さい。そしたら苦しませずに殺してあげますけど?」


私の言葉を聞いた5人の雰囲気が変わった。ふーん…貫禄あるね流石に。幹部連中なだけはある。


「君、能力者?」


能力が解けた橘が私に質問してくる。


「そうだよ橘さん。能力者知っているでしょ?だから抵抗しても…まあ良いけど苦しませずには死ねないよ?」


橘は私の答えを聞いて満足したのか両手を上げて降参の意思を見せた。いや、橘だけじゃない。他の4人も両手を上げて抵抗を見せなかった。


「…抵抗しないんですね。」


「能力者の理不尽さは良く知っているからな。」


「やり合おうなんて考える奴は死に急ぎ野郎だな!」


これから殺されるというのにみんな笑顔だ。こういう人達も居るのか…それとも私の油断を誘って…?


「一応拘束させてもらいます。それから能力者の情報を吐いてもらいますが…良いですね?」


5人の腕時計と腕輪、指輪を空間に固定して拘束した私は適当に持ってきた椅子に座り尋問を行なうことにした。尋問とは言ったが世間話みたいなノリであったけど。


「はあ〜スゲーな動かせねえわ。」


「写真撮りたいよな!?自慢出来るぜ!」


「女に拘束されるのは初めての経験だわ!」


これが幹部と呼ばれていた人達か…大人の余裕を感じる。


「で、3人組の能力者の話をしてくれますかね。」


「ああ!そうだったそうだった。POISONのトップスリーのガキ共だな。」


「敬っていないんですね。」


「あいつらが暴れていたから隠れ蓑として利用していただけさ。」


なるほど…ドライな関係だったのか。


「男二人と女一人のクソガキがアホガキの上に立ってお山の大将してんだよ。」


「バカは高い所が好きだからな。ここの地区の一番高いマンションを買い占めて住んでるよ。」


「下の階は手下で固めて上を自分達で占領してんのさ。」


「能力はよー分からん!女のほうは多分火を使う。手下の数人を燃やしているのを聞いたからな。」


「男の方は一人だけ、すごい腕力の持ち主だ。銃弾を生身で防いだって噂だ。」


「もう一人の男がPOISONのリーダーだ。こいつはすまないが分からない。用意周到なチキン野郎だ。」


約束通り情報を頂けたので私はリュックからタブレットPCを出してリストを開く。


「点呼取っていいですか?」


「「「「「は〜い!!」」」」」


(たちばな)光幸(みつゆき)くん!」


「はい!」


渡辺(わたなべ)天祥(てんしょう)くん!」


「はい!元気です!」


なんだこれ。おもしろいなこの人達!


その後も点呼は続きリストに載っている幹部5人だと確認出来た。


「情報提供ありがとうございました。約束通り苦しませずに殺してあげますね。」


「死ぬ前に一つ聞きたいことがあるんだが良いか?」


「良いですよ。」


「俺を殺したあと、家族も殺すのか?」


先程までのおふざけモードから一転、真剣な眼差しで私を見るちょい悪オヤジAくん。


「リストに載っている人達しか興味ありません。それは依頼主も同じです。多分なんですけどあなたのご家族はちゃんと天命を全うすると思いますよ。」


「そうか…それが聞けたなら十分だ。」


「次は俺だ。俺が死んだら保険が下りて家族に支払われるか?」


「あなたの遺体は一度こちらで回収します。その後は事故として処理すると思われるので大丈夫だと思います。私達はあなた達を殺すことが目的で一般人を不幸な目に合わせる気はさらさらありません。ご家族は無関係ですから。」


それを聞いた残りの人も納得した表情だった。なんか…すんなり受け止めてて怖いな。


「死にたくないんですよね?」


「そりゃあ…なあ?」


「死にたくはねえよな?」


「でも仕方ねえよ。いつかはこんな日が来ると知っていて悪さしていたからなぁ…」


リスクを承知でやっていたんだから仕方ない…か。ここまで来ると清々しいな。


「今までで一番カッコいい標的ですよ。あなた達。」


「最後ぐらいカッコつけないとなッ!」


「私も殺される時は皆さんみたいにカッコつけて殺されようと思います。」


腰から拳銃を取り出して構える。


「では皆様…良い夢を。」


その日、私は初めて礼を尽くして対象の命を奪った。毎回こうなら楽なんだけど…クソガキ共は苦しんで死んでもらおうっと。

また土日頑張ってストックを作ろうと思います。

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