新たに見つけた実験所
取り敢えず3人目です。
身体中から血が吹き出ることは無かったけど目玉の血管が切れているのかドンドン真っ赤に染まり鼻や耳からドス黒い血がどくどくと流れ出て床を紅く染める。
(なるほど血液を逆流させたらそうなるのか。)
心臓はポンプの役割を担っているので血液が逆行し続けるとぶつかり合ってしまって心臓が破壊されるのか。
血液の軌道を認識出来る私は今回の実験結果を正確に認識出来た。
「ゆ、勇斗?」
声をかけたところで返事なんかする訳ない。死んでいるんだからさ。…あ、そうか普通の人間は人が死んだかどうかは正確には分からないのか。心電図のような視認出来る情報がないと静止の判別がつかないか私以外。
「死んでるよ。」
死んではいるが血液は動き続けている。あ、もしかすると血液がとんでもなく硬くなっているから血管の内壁を削っているかもしれない。能力を解かないとまずいかも。
私は能力を解いて血流を止める。そしてついでに水柱も能力を解く。動きが止められていた水は重力と空気の影響を受けて分散し床を濡らした。
「次は助けを求められたのに何もしなかったケイ君だね。」
暗器のワイヤーをしまって軽く腕を振るう。試したい能力はある程度試したからこいつは普通に殺しちゃおう。
対戦よろしくお願いします!
「ハァハァハァ!うぐぐぐ…!」
実験に夢中になっていたから気付かなかったけどケイ君はかなり痛々しい有様だった。
右腕に巻かれたブレスレットと指に嵌めた指輪が固定されてしまっているので逃げる事が出来ない状態であっても少しでも私との距離を取ろうとしていた。
なんと自分の右手首辺りの骨を折った事で私からほんの数歩分の距離を取ることに成功していた。痛くないのかな?
「それ痛くない?」
首をブンブンと振って自分の右手首引き千切らんとばかりに動かし続けるケイ君。人の腕ってどれぐらいの力で引っ張ったら千切れるんだろ。
(最後まで見てみたい気もあるけど今は早く仕事を片付けないと。)
「君は普通に殺すから身構えなくてもいいよ。」
ケイ君の動きが止まる。疑いの目を私に向けられても困る。私は言った言葉は守るほうだ。
「頼む…!なんでもするから命だけは!」
これを言った人間が本当になんでもやった試しがない。それにこいつにはもう興味が無い。
私は左手を構える。
「な、何でも渡す!俺の全てをお前にやる!」
ビクッと私の左手が震える。今の一言には私の心を揺さぶるものがあった。私も先生に自分自身の全てを上げたから…
「その言葉に嘘偽りは無い?」
私の言葉を聞いたケイが好機と見たのか畳み掛けるように己の価値をプレゼンしてくる。
「俺は役に立つ!そ、そうだ!橘さんとその仲間を一箇所に集められる!俺が連絡すればすぐに!」
それはかなり魅力的な提案だ。リストに載っている奴を集められるならこいつの話に乗っても良い。
「あんたは“使える人”なのか?…………信じたい。もしかして使える人なのかも?と……信じたい。」
急に作画変わった私は上々な立ち方をする。
「信じてくれ!俺は使える人だ!本当になんでもするぞ!こいつらの肉を食えと言われたら俺は実行する!」
「でも“保証”がない………あんたは屑だ。その拘束を解いたとたん“だまし討ち”をしてくるかもしれない。」
「だまし討ちなんてしない!できる訳が無い!君の超能力の前では俺は本当にゴミ屑同然なんだから!」
「だからそれを私に“信じさせて”みろ!!」
「あんたが“使える人”だと言う事を…力と才能のある“ゴミ屑”ではなく“使える人”であるという事を…今!ここで私を説得してみろッ!!」
「“誓い”を守る使える人間であることを私に説得出来たら喜んで拘束を外してやるッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「…俺のスマホの暗証番号は0721だ。」
酷い暗証番号だな…だからこそ言うにも勇気が必要だっただろう。人によっては下手するとここで殺されたかもしれないからだ。
「決して君を裏切ったりだまし討ちをしたりしない!」
「ハァー ハァー ハァー ハァー」
私のテンションはボルテージMAXだ。こんな状況が人生に訪れるとはッ!
「信じるよ……………ヴァレンタイン大統領。」
ポカンとした顔を作るケイ君。貴様見ていないなッ!!
腰に仕舞っていた拳銃と彼のスマホを床の上を滑らせて彼の足元近くに置いた。
「その“銃”は私のものだ。私を撃つことだって出来る…そういう事も出来る“銃”だ。もう片方は君のスマホだ。それで橘達を一箇所に集められる…そういう事も出来るスマホだ。」
ケイの目線が2つの間を行ったり来たりしてその目線の動きから迷いが見える。
「試しに拾ってみろ」
私は敢えて両手を上げて後ろに一歩下がる。片手は固定されて動けない彼でも足元の銃やスマホは拾えるはずだ。腕折れてるしね。
「私は…あんたの“誓い”を今…………100%信じることにした。だがあと“1%”信じたい。あんたの“誓い”に“だまし討ち”と“裏切り”が潜んでいない事を…」
私の話は全く聞いていないなこいつ。銃とスマホしか認識していない…まあ私も言いたいだけだし良いけどね。
「あんたの自分の手で拾い上げるだけでいい」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「拾ってみろ ヴァレンタイン大統領。」
スマホを取るケイ君。え〜〜………つまんな。つまんないって言われない?
「今から橘さんに連絡するから待っていてくれ!」
彼の位置と私の位置ではスマホの画面を視認する事は出来ないが私の【探求】は光情報すら認識出来る。二者択一をしかける事で視界を狭くさせて二重のトラップの存在を気付かせない。お前がスマホで助けを呼んだとしても私はそれを認識出来る…さてケイ君は私の策略に気づけるかな?
やった!やった!やった!まだ生きている!生きていればどうとでもなる!上手く行けばこの女の元で生きていける!こいつの手下になれば誰も手を出せないポジションだって手に入る!
しかし冷静になれ俺!この女は危険だ。殺す事に躊躇がなさ過ぎる。
(…何やら思考中のようだけど手止まっているよ?)
私は自身の毛を一本抜いてベルガー粒子を纏わせる。咄嗟の思い付きだけど上手く行けば面白い事できそう。
一歩一歩、歩んで近づくにつれてスマホの操作スピードが上がる。私は両手で張った髪の毛を適当な空間に固定して彼の近くに寄る。
「まだ?」
「…今ラインを送った。」
知ってるよ。まだ連絡が来ないかを聞いてるんだけど…
(お願いだ早く返信来てくれ…!)
連絡を待って5分が経ちその場の空気が死んできた。もうちょっとで俺も死にそうだ。何で無言なんだよ…こいつ怖えーよ。
何か…何か話さないと多分殺される…!思い付きで殺される!
「お、俺達って君に何もしていませんよね…?」
言ってから気付いた。やっちまった!!反感を買うような発言をしてしまった!もう頭が死んできたから本音を言ってしまった!
「何を言っているの?あなた達が私に何か出来るわけ無いでしょ?」
何を言っているんだこの女は?そんな事を聞いているんじゃない!俺達はお前に何もしていないのになんでこんな事が出来るのか聞いているんだ!!この悪魔め!!!
2人の思いが交差する。まるで恋のやり取りみたいに。
何を言っているんだこの男は?お前達が私に何か出来るわけ無いでしょ?だから私が派遣されたんだよ。お前達みたいなバカを処理する為にね。
まさか俺達は君にはまだ悪い事をしていないのにこんな仕打ちを受けるのはおかしい!っと考えているの?バカ過ぎる…ここに連れ込んで最初に俺からヤラせろって言ったのはお前じゃ無かったっけ?
ったく…胸に手を当ててここ数ヶ月の自身の行ないを振り返ってみろよ。多くの少年少女を不幸な目に合わせてきたんでしょ?私が朝に電車乗っていたら出会ったよ?お前達が不幸のどん底に落とした少年少女達と。
「あ!連絡来ました!」
片手だけでスマホを操作しているからもたもたしていて苛つく。もうこいつらの存在そのものにも苛つく。
(そんなに被害者面したかったら被害者にしてあげるよ…)
「私の写真を撮って送って。」
「え?」
「魚を釣るには餌が必要でしょ?」
顔を上手く隠して個人の特定が難しいいかがわしい写真を撮影して橘に送信した。
「釣れた?」
私はスマホに夢中になっている彼の後ろに回る。
「…爆釣りです。」
「場所と時間は?」
「えっと…橘さんのクラブハウスで一時間もしたらみんな集ま…」
「ご苦労さん。」
名前も忘れてしまった男の頭を後ろから鷲掴みにし私の髪の毛を固定した空間に向けて投げる。
「…すけっ!?ふぶッ!?」
大の大人が吹き飛ぶ程の力で投げ飛ばしたが不自然に空中で停止する。手と足がぷらぷらと揺れて次第に床が血で染まった。
私の髪の毛が彼の頭部の半分まで切れ込んだことで停止したが上手くいって良かった。これを上手く使えばトラップのように使えるね。狭い廊下や必ず通らないと行けない道に私の髪の毛を固定すれば視認のしづらくて殺傷力の高いトラップの出来上がりだ。
ジョジョをのダイマです。




