感じたことの無い現象
昨日の一日のPV数が500を超えたので記念として早く投稿しました。読んでくださりありがとうございました!
屑共が生息していると言われているパチ屋の情報を手に入れた私は港区の奥地へと向かった。
スマホを使って港区にあるパチ屋を調べてみたら結構あった。流石は東京でも一二を争う建物の多さを誇るパチ屋だ。しかも私は未成年だから入れない。これはマズイ。
男達の特徴は聞いていたが顔写真は無かったから正確には分からない。名前は分かるんだけどね。
(あっちから声掛けてくれれば楽なんだけど。)
取り敢えずはパチンコ屋の辺りをウロウロしてマッピングしてそれらしき男達を選別して監視するしかないな。
一番近くにあるパチンコ屋に向かう為に歩いてる途中、怪しい視線を感じる。チラッと見る感じじゃない…あとをつけられてる?
私の後方に停められている車から視線を感じたから【探求】を使って車内を見てみる。車内には男が3人乗っていて、しかも聞いていた特徴と見た目が一致している。もしかしたらまた当たりを引いた?
(敢えて人通りが少ない道に行って誘ってみるか。)
私は車は通れるけど人が通っていない道を探しながら移動した。そうすると車も私の後を追うようについてくる。間違いない、こいつらがそうだ。
歩道を歩いてる私を例の車が追い越した後に停車する。あ〜絶対にそうだ。向こうからこっちに来てくれた。もしかしてこれを見越して和裁士さん達はこの服を送ってきた?
(いや絶対に無いな。絶対に趣味だ。)
車の窓が空いて男が腕と顔を出して声をかけてくる。ヨシ!ピンも挿したしこれで逃がすことは無くなった。
「ねえ今1人?」
「うん1人だよ。お兄さん達ナンパ?」
「そうそう。後ろ姿が可愛いかったからさ声掛けちゃった。」
グラサンをかけたウェイ系とパリピな見た目は情報通りだし声の掛け方も一致している。こいつらだな。
指輪も時計もキンキラキンで俺は金持ちだぞーと主張が激しい。乗っている車も高そうだ。まあ悪趣味な成金が乗ってそうな車って感じだけど。
「ええ〜そんな事ないもん〜本当にそう思ってる〜?みんなに言ってな〜い?」
頭と股が緩そうな女の喋り方で答える。(ド偏見)
「そんなことないよw俺ら結構ピュアだからさ!可愛いものは可愛いって言っちゃうんだよ。」
「お兄さん上手〜手慣れてない?」
早くこの会話を終わらせたい!左手が疼いてきたよ!
「いやいやそんな事無いよ。あ、そうだ。自己紹介してないね俺は三島。君の名前は?」
三島…情報通り。逃がすわけには行けなくなった。
「う〜んじゃあ三島さんたちが私を何処か楽しい場所に連れて行ってくれたら教えても良いよ〜♪」
「マージ!?乗って乗って!楽しい場所に連れて行ってあげるよ!」
私も連れて行ってあげるよ。あなた達にとって楽しい場所ではないだろうけど。
色々と質問攻めされながらドライブを楽しんだ私は人気のない建物に連れてこられた。先ほどまでの紳士的(本人たちにとっては紳士的)な態度は消え失せて下半身で思考している猿に変貌した。いやこの場合は戻ったと言ったほうがいいか。
「ここが楽しい所だよw」
「もう分かるよね?美世ちゃん♪」
「大丈夫、俺ら上手いし朝まで余裕だから…楽しもうよ。」
そうだね。お前たちは私が楽しめる場所に連れてきてくれたね。みんなでいっぱい楽しもうか。
一人がドアの鍵を開け二人は私の腰と尻に手を当てて逃げられないように建物の中に連れて行かれる。
しかし赤ちゃんに掴まれているような感覚だ。筋力に差があり過ぎて逆にこっちが気を使う。相手に気取られないように歩くのがしんどい。
ドアを通って連れて行かれた部屋は所謂ヤリ部屋って感じの部屋だった。大きいベッドにソファー、冷蔵庫も置かれていてすぐ隣に浴室があるけどガラスで仕切られているだけで丸見えだ。
(外見の割には中は新しい…リフォームしてこの部屋を作ったのだろうな。)
「じゃあ美世ちゃん、スマホちょーだい。」
「リュックは下ろそうね。これから先は必要無いから♪」
「今回は俺が先な!美世ちゃんを初めて見た時から治まんなくてよ!」
(壁は補強して厚くされているね…この部屋は防音室でもあるのか。なら始めるか。)
私は左右に居る男の腕に巻いてる腕時計やブレスレット、指輪に意識を向けた。こいつらは私を触っている。つまり私の射程距離であり効果範囲に入っている。
「【反復】」
私は二人の男から離れる。そうすると私を追おうとした男達の挙動に異質な現象が起きる。
「お、おい!手が動かねえぞ!?」
「なんだこれ!?固まったみたいに動かねえ!」
彼等の腕時計やアクセサリー類の軌道を空中に固定した。この前の訓練では卵を回転し続けたが別に回転し続ける必要が無ければしなくてもいい。停止も一つの軌道だ。停止を反復し続ければずっと空中に停止させられる。
「スマホ頂くね?」
私は素早く二人のポッケからスマホを抜き取りテーブルの上に置く。
「て、てめえあいつらに何しやがった!?」
「楽しい事だよ。それより三島さん、あなたのスマホもちょうだい。」
「も、もしかしてこいつ能力者じゃねえのか!?」
後ろの男から能力者というキーワードが出てくる。こいつらを絶対に逃せない理由が出来た。能力者を知っているという事はPOISONの能力者を知っているという事だ。
「ねえ三島さん…能力者について知っている事を話したら苦しませずに殺してあげるけど?」
「ば、バカ野郎!あの人達の事を言うじゃねえ!」
「バカはてめえだよ。人の話を聞けっての。」
一瞬で私は間合いを詰めて腹に拳が埋まるような一撃を決めて行動不能状態にした。
「うっ!…うぅぅ。」
腹を抱えて膝を付く三島。多分こいつがこの男達の中でリーダー格だ。だからこいつを嬲って二人の抵抗心を折る。
「タカくん!?」
「俺たちの事は良い!やり返してくれ!」
(やり返してぇのは分かってんだよ!)
良い所に打ちやがるこのアマ!喧嘩は慣れているから分かる。服の上から急所を狙うのは結構難しい。鳩尾を殴られたから吐き気がすげえ。
独特の気持ち悪さが襲ってきやがるがここで吐くわけにはいけねえ…。俺は今まで色んな荒事を進んでやってきた。だからPOISONの中でもそこそこ良い位置に居られた。ガキ共を誑かすのも楽しかったし向いていた。なのに…
(頭が、上げられねえ!)
膝が笑ってやがる…この女の拳が決まったからなのかそれとも恐怖からか。暴力沙汰は専売特許のつもりだったがこいつの踏み込みに反応すら出来なかったし強烈な一撃を貰っちまった。
しかも何だよこの女のプレッシャーは!あの人達と同じだ!あの人達はヤクザだって手出しできない程の存在だ。その人達の下に就けば怖いものなしだった。でもこの女はそれ以上に怖え!頭を下げてるから女の足が見える。今も無言で俺を見下ろしていやがる!俺の一挙手一投足を見られているような感覚だ!
中学の時の空手の全国大会を思い出す。その年優勝した奴と当たった時も同じ感覚に陥った。自分の動きも考えも知られたような感覚だった。この女からも似た感覚を覚える。
(あはは、やべーこんな昔の事を思い出すなんて走馬灯か?)
ただのガキならあれやこれやで言い包められるがこいつは無理だ。俺達がどういう人間でどう行動するか分かっててここまで付いてきた。いや…誘導されたんだ俺達は。
まず、やり合うのは無しだ。ここから逃げる事が出来れば何とでもなる。そうだ…橘さんのところに転がり込めば命は助かるかもしれない。
(やるしかない…)
少しだけ顔を上げて勇斗と圭に合図を出す。こいつらなら目を合わせただけで伝わる。時間を稼げ!
「お、おい!情報が欲しいなら俺が話してやるぜ!」
「そ、そうだ!俺達の方が知っている事が多いからな!」
(女がそっちに意識が回った…今だ!)
俺はすぐに立ち上がって部屋の後ろにあるドアまで全速力で向かう。このドアは外から鍵をかけられる!もし警察やヤクザがこの建物に押し入った時の為に用の逃走ルートだ!そしてこの先には窓があるから逃げられる!
ドアを開けてすぐに部屋から出る。そして鍵を2つ閉める!このドアや鍵は特別頑丈だ!壊すには時間がかかるぜ!
(俺の勝ちだ!アハッハハ!)
「はあ〜…」
何かをするだろうとは分かっていて泳がせたけど愚かだな。こいつら能力者を知ってはいるが理解はしていないな。どういう能力か分からない相手に背中を見せて逃げるなんて自殺行為だ。能力の種類、効果範囲、射程距離を知らなければどこまで逃げればいいかすら分からないのだから。
「【逆行】」
私はアイツに触れている。
「え?」
(か、身体が動かねえ!?い、いや違う!身体が勝手に動く!?)
軌道は逆行する。自分で開けた窓も自分で閉めて、自分で閉めた鍵を開けてドアを開ける。そして後ろ歩きでこちらに向かってきて最後に膝をついた元の姿勢に戻る。そこで能力が切れるが蹲った姿勢から動くことは無かった。
「ここがお前の結果だよ。」
彼女の声が耳に入ってきたが頭の中はそれどころではない。有り得ない現象に脳味噌が麻痺したようにうまく働かない。
(俺はなんで、ここに戻った…?)
「ハァハァハァハァ…」
さっきのは何だったんだ?自分の意志で呼吸も出来なかった。自分で身体を動かす事が一切出来なかった。これが超能力か…ははは勝てねえ…この女に逆らうなんて出来やしなかったんだ…
ブクマも評価ポイントもありがとうございました!投稿頑張ります!




