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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
1.初めての殺人
6/602

牙を得る

戦闘は次です

何かが超高速でこちらに向かってきた音と共にガラスが割れる音がビルを襲う。それは私を襲おうとする男を襲う一撃。私たち二人は同じ感想を口にする。


「「え?」」


私の視界では男の右腕が不意に横から叩かれたようにブレて見えた。右手に持った注射器を落とし、パリンと音を鳴らして床の上で割れる。


男の右腕には穴が開いて向こう側が見えた。私と男の多数の目がその風穴に向けられる。


私は今見ている光景に目を奪われながら、瞬時に<地図>で状況を確認する。壁に穴が開き、窓ガラスが割れて床に散らばってる。


(なにこれ?狙撃?)


しかし()()()()()()()()()()。恐らくビルの外から狙撃したのだろう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


私はひとつの発想に至る。


(まさか気弾!)


テンションが過去一に上がる。私はまじまじと風穴を覗き込むが、男が自分の置かれた状況を理解し始め、激痛に襲われる。


「ううぅ〜〜〜!ああああッ…!いってええーーっ!」


男は激痛に襲われて横に倒れてそのままのたうち回る。


私は劇的に変わる状況に興奮を覚えた。これは手段だ!この劣勢を覆す力。あの声が私に言ったことは本当の事だった。

 

自然と口角が上がり笑みがこぼれる。


(手段、欲しい!先ずはここから逃げて生き残らないと!)


美世はすぐに立ち上がり、男の風穴に蹴りを決めてからカバンを回収した後、男の絶叫を背に階段まで走って向かう。


人影は揺らめきながら美世の動向を見守っていた。


《良いなあの(むすめ) コチラが指示しなくても動けるようだな》


銃を下ろしそれは観察する。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() あの娘には丁度良い練習相手になりそうだ》


私は<地図>でアイツを確認しながら階段を下りる。


(赤い○のままだし、まだ死んでない。あれだけの傷。太い血管をやられてるはずだから出血多量で死ぬとは思うんだけど…。)


私の予想とは裏腹に赤い○がよろよろと動き出す。方角は…私だよね。あそこからでも動くとは正直ビックリだが男の体積ではあの風穴では致命傷に達しなかった…もしくは()()()()に起因するものかと思考を切り替える。


あの能力は身体の一部を好きな部位に生やせる。という感じだと思う。


(どこぞの海賊団かヒーロー学界かよ!現実では只々気持ち悪いよね。)


これから起きる戦いに自分は挑めるか確認する。


(心は…大丈夫。身体も動けてる。あとは殺るだけだ。)


私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


()()()でアイツに復讐しようね。私が殺してみせるから!)


『迎え撃つのか?』


(!!)


またあの声が聞こえた。いきなりだからビックリした。けど、何かおかしい。声がさっきとは違う。

 

先程まではノイズが混じっているというか、複数の声が合わさって聞こえていたのに、今は()()()()()()()()()()()

 

私の年齢に近い女の子があの謎の声の口調で喋ってるの…?


(あの…さっきとは声が違うというか、同じ…人?)


『あぁ 【ユニゾン】でパスが強固になった影響だな 今はキミの声で話してるように聞こえるはずだ』


【ユニゾン】?パス?なんの事かは分からないが興奮するものだと理解する。ついこの間まで中学生だったのだ。仕方ない。


(その【ユニゾン】とかパスとかは?どういう意味な…んですか?)


『その辺りの話はここを片付けから詳しく話そう まずキミに知ってほしいのは()()()


(恩恵…?)


またしても頭に?マークが出る。説明してほしい気持ちと少し前に()()()()()()という彼…女?の発言も気になる。しかし今はこの人の言う通りにした方が賢明か。


『さきほど伝えたとおりキミに能力を貸す この能力を使えばヤツを殺すことが可能だ』


能力ッ!気弾ッ!?気弾なのか!?


(気弾ですか!!??)


『ーーーキダン?』


困惑が声に現れる。


(あのさっきのやつです!アイツの腕を撃ち抜いた!)


『ああ さっきのやつだ コレはキミの能力と()()()()()


来た!来た!来た!!


『ーーー先ずは相手を迎え撃つ場所を決めろ そこで能力の説明をする』


(それならこの階で迎え討ちます。)


『ーーー色々と考えた上でだろうが この階で迎え撃つという理由と根拠を説明出来るか?』


私は自身が感じたアイツの違和感や疑問に対しての答えを喋る。 


(多分…なんですけど、アイツの能力の厄介な所は鼻や目といった部位を生やして死角を無くす…だけではなく、そこから得られる情報の処理が早くて正確な所なんだと考えてます。)


『ーーー続けて』


(はい。私もなんですが<地図>、あー私の能力なんですけど、<地図>を見て得る情報と肉眼で見て得る情報が常に入ってくる状態って結構最初の方はゴチャゴチャーってなって訳が分からない頃があったんです。でも使ってるうちに上手く処理出来るようになって混雑する事が無くなったんです。)


『なるほど』


(だからアイツだって目がいくつもあったらそこから入ってくる情報でパンクするはずなんです。いきなり頭の後ろと前の両方見えたらどっちが前か分からなくなると思うんですよ。でもアイツは後ろに居る私を認識して腕を捕まえた。)


私は自分の考えをまくし立てる。


(それだけじゃ無いんです。鼻を生やして私の匂いを嗅いで、思い出そうとしたんです。匂いって確か記憶と深い繋がりがあるって聞いたことがあります。生やすだけじゃなくて()()()()()()()()。脳と繋がっているのかは分かりませんがアイツは情報を得るだけじゃなくて情報も発せられるんです。)


アイツを腕から生やした口を動かして私に話しかけてきた。そこに情報の差異やラグが無かった。感覚が鋭い。…と言えるだろう。一つ一つの感覚は人並みだとしても数で人間を超えたあの超反応を見せた。


これらは全て推測の域を出ない話だが、私は私の考えと経験を信じる。


『それで何故この階なんだ?他にもあるだろう?』


(この階は臭いが強いんです。アイツは鼻が多いから私の位置が匂いでばれるのが嫌だったんです。)


アイツに匂いを嗅がれ覚えられた。それに私は自分のシャツの襟に指をかけて広げる。そうすると汗の匂いがしてきた。ここまで走ったり緊張したりして汗をかきすぎたからだ。アイツ以外でも気付くだろう。


『ーーー素晴らしい いや実に喜ばしい 嬉しい誤算だ キミになら使いこなせるだろう』


本当に嬉しそうな声が聞けて私も嬉しくなる。私の考えを肯定された。誰かに認めてもらったり期待されるのは、もしかしたら初めての経験かもしれない。


『早速だか時間は少ない 手短に済まそう 銃を知っているか?見たことはあるだろう?まずは銃をイメージするんだ』


私は言われたままに銃をイメージする。


『形は回転式拳銃 リボルバーだ 弾数は6発で口径は そうだなアイツの腕に風穴を開けられるぐらいの大きさだ グリップも大きくキミの手では大き過ぎるだろうが持てなくはない バレルも総じて長く無骨さがある』


私はイメージする。指定されたその銃を。


『その銃を持ってみろ ちゃんと握ってな そしてトリガーだ 位置を確認する為に人差し指をかけてみろ トリガーガードもあるから間違えないように』


鮮明にイメージする為に目を閉じる。左手を実際に動かし手を握る形にする。


『ここからが重要だ その銃に()()()()() 弾丸を撃ち出すためにトリガーを引くとハンマーが撃鉄を起こすが()()()()() ()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()


なぞなぞだろうか。でも何だろうこの感じ…不思議と()()()()()…。


『何故ならこの銃は()()だからだ 本物ではない なら何故()()する?』


私は先程の光景を思い出す。そこに正解があると分かるからだ。男の腕に風穴が開いたあの時…あれが理由だろう


『そうだ 銃を撃てばその軌道には弾丸が走り標的を貫くだろう 必要なのは()()() 他は取り除かれて軌道だけが残る 軌道だけを()()する それが私の能力【再現(リムーブ)】だ』


不必要なプロセスをリムーブ(取り除く)…それがあの()()()()()()()


私は()()を理解し、目を開け左手を見る。


()()()()()()()()()


『ーーー成功だな』


私は自分の目と能力を疑った。本当にあった。


そして視認して思った事はこの銃かなり大きい。イメージ通りだが私の知らないデザインだ。多分この世界には実際に存在する銃では無い。2つの意味でね。

 

1つ目としてデザイン性がかなり奇抜だ。現代風では決してない。未来的な何かがある。マンガやアニメ、ハリウッドの映画に出てきそうなイメージ。しかしこの世界のデザインから大きく外れてもない。


2つ目は右手で銃に触れる。触れた。何の感触か分からない。そこに在るという事だけが分かる。これが【再現(リムーブ)】…!


銃を床に押し当ててみる。


(何これ!?貫通した!干渉されない!?実際にある訳じゃないってこと?)


<地図>を使い()()()()。しかし見えない。<地図>にも見えないということは物体じゃない!


『それがキミの新しい能力だ 気に入ってもらえたかな?』


気弾では無かったがこれはこれで大好物だ。…銃かっちょええ…好き。


『使い方を教える 構えてみれば分かるが それは軌道を作る為だけのハリボテ 本質は軌道だ』


銃を構える。そうすると銃口の先端から真っ直ぐ線が伸びる。それだけじゃない<地図>にもその線が映し出された。


私は眼鏡を外し目を擦る(こす)。そして裸眼で見ると線が消えた。再び眼鏡を付けると見える。


(え?何、レーザーサイト?みたいな。…軌道がコレなのかな?眼鏡をはずすと見えないし全然分からない。)


私は今見た状況を話す。


『ーーーなるほど 面白いな その線は軌道で間違いない 眼鏡有る無しで視認出来ないのはキミがそう認識しているからだ 私の声がキミの声で聞こえてるように眼鏡が無いとよく見えないというキミの認識が影響しているのだろう』


なるほど?私がカッコいいって事?


『その軌道は()()()()()()() トリガーを引けばその線の軌道線上に弾丸の軌道が【再現】される それを利用して相手に致命傷を負わせればキミは今日自分のベットの上で眠ることが出来る ここまでは理解したか?』


(理解しました。あと、もう話してる時間は無さそうです。)


<地図>では赤い○が階段を下りこの階に侵入してきた。


アイツから見えない位置に私は待ち構えてる。逆に私はアイツの位置が見える。地の利も得て殺す手段も得てる。アイツを殺すために文字通りこの拳銃で仇を撃ち、後は言われたとおり自分のベットで眠って夢の中でお母さんに褒めてもらう。


(さっさと終わらせて風呂に入ろう。)


《さてこの娘が本当に人殺しが出来るかどうか お手並み拝見といこう》

戦闘は次です

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