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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
6.私達の居ない世界
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釣り上げる

腕が痛くて長々と病院に通っていましたが中々治らず、ネットなどで色々と調べて地元で有名な整骨院に行ったら徐々に最善してきました。


どうやら腕に問題があった訳じゃなくて問題だったのは足だったらしいです。最初は医者に聞かされた時、こいつ何言ってんだ?とも思いましたが、言われた通りにストレッチしたり足の筋肉を鍛えたら腕の痛みが改善してきてビックリしました。


皆さんも運動不足気を付けましょう!

「もう知らない人について行っちゃ駄目だからね?」


女の子ふたりを車から降ろしてチキン野郎どもは車に乗ってどこかへ行ってしまった。病院行けよ〜診察はしてもらえると思うからさ〜。


「あの…助けてくれてありがとうございました!」


「…ました。」


おお、正直お礼なんて言われないと思っていたけどお礼を言えるのは良い子の証拠だ。どうかこのまま終わりかけのこの世界で強く逞しく生き残っていて欲しい。


「ここからそんな遠くない所に中学校があるからそこに避難したほうが良いよ。人も居るしご飯も多少はあると思う。そこの道を真っ直ぐ行くと大きな通りに出るから左に曲がって行けば中学校が見えてくるからさ。」


そう言って私はその場を離れる。人の好機の視線に晒されるのは好きじゃない。それに私は別に善意だけで助けた訳じゃない。ちゃんと目的があって彼女たちを助けただけ。だから私はさっさとここを離れるべきだ。日常生活に私みたいな存在は邪魔にしかならないから。


「あ、あのっ!お姉さん本当にありがとうございました!」


「お姉さん…ありがとう、こざいました。」


「うん、生きていたらまた会いましょう。」


多分同い年ぐらいだけどこんなお固いスーツを着て身長も高いせいか年上に間違えられたみたい。…不思議と悪い気はしないかな。


(音は鳴らした。後はベルガー粒子を見えやすいように…)


私のベルガー粒子は普段、ベルガー粒子内に仕舞っている。イメージとしては同じ大きさでいくらでも何でも仕舞えるマトリョーシカ人形みたいな感じ。だから収納出来る大きさとかの制限とかは無い。粒子自体がとても小さなものだからね。花粉よりも小さいぐらいかな。


そしてそんなベルガー粒子を全て解放するととんでもない量になって辺りに散らばる。私を中心に半径400メートル以上の球体状が出来上がるぐらい多い。


私の視点だと視界いっぱいに輝く粒子が映ってとても綺麗なんだよね。碧くて幻想的な輝きだ。蘇芳の粒子とかなり似た色合いをしている。


そんなベルガー粒子だけど、私の能力は探知能力なのでこのベルガー粒子が射程と効果範囲になる。つまり本気を出せば常時半径400メートルを記録し続けられるってことだ。


しかも別に球体状に留めておく必要が無い。頭の中でイメージして動かせばこうやって遠くからでも視認出来るように塔みたいに高く伸ばすことも可能。ベルガー粒子を視認出来る者なら都内に居れば必ず見つけることが出来る。


高さは約…700メートルぐらいかな?東京スカイツリーよりも高く、地中に対しても300メートルぐらい伸ばしている。調整体対策で地下への警戒は怠れない。


この直径1000メートルにもなる私のベルガー粒子は私が歩けば連動して動き、常に探知範囲を拡大させていく。こんなにベルガー粒子を保有している能力者は私しか居ない。


「早く釣れないかな。先生の読みとマザーの予測が正しいなら…。」


どんな人間にも目的がある。そして優先順位がある。欲しい物はひとつとは限らないし、やらないといけないことが山のようにあるからだ。


人によっては目的が一番になる者、手段が一番になる者が居るけど、多国籍企業どもの目的は世界征服で手段はテロ行為。恐らく一番目二番目はこれで確定。なら三番目はどうだ?


そんなの決まっている。わざわざ私に佐々木真央のような刺客を送ったりしている時点で私の排除が目的になっている。奴らにとって私が何度も調整体を始末していたりと邪魔で邪魔で仕方ないというのはよ〜く分かっているつもりだ。


警察にまで手を回しているのだから相当追い詰められているのは向こうの方だっていうことも分かっている。それに何人も取り憑かれた人達を私の手で始末されているし、そのことを向こうは何かしらの方法で把握している。それは確定事項として私は捉えている。


つまり多国籍企業の優先順位の三番目は私の排除っていうのが私達の結論。私が居る限り向こうの思惑は上手くいかない。だから私を殺したくて仕方ないんだと思う。


「隠れているのは分かってるよ。ほら、私はここに居るから早く来なよ。」


停電した初日はみんな外に出て買い物をしていた。急いで飲み物や食べ物を買い込む人達が居た。その次の日もお店を開く所もあって、結構外へ出ていた人達も居た。だけど今日はほとんど外に人は居ない。こうして住宅街を抜けて大きな通りに出ても車すら見かけない。


こんな寒い中で外へ出るなんて相当な目的が無いと有り得ない行動だ。私の周りで出歩いている人なんかは警察官や電力会社などの作業員などで、そんな特殊な仕事をしている人達しか私の探知能力に引っ掛からない。


だから私に近付く人は全員敵だ。どんな演技もしてもこの状況下では不自然でしかない。わざわざ私に近付く人なんて組織の人達か、多国籍企業の刺客しかいないだろう。


そんなことを考えているとさっそく私に近付く者達が現れる。あの白黒に塗装された車は…。能力で視えていたけど予想外だったな…。


「そこの君ー!ひとりで外に出るのは危ないよー!」


「…お巡りさん。」


大きな通りに出ればぽつんと立っている私は遠くからでもすぐに目に付く。だって一人しか居ないからね。だから不自然っていうわけでもない。寧ろ不自然なのはひとりだけで出歩いている私か…。


そんな不自然な私を見つけた警察官ふたりが50メートル離れて停まっていたパトカーから降りてきて私に話し掛けてくる。


ふたりのベルガー粒子の量は少なく能力者でも取り憑かれているわけでもない。ただの一般人に見える。


「家はこの近く?私達が送って行くから政府の指示が出るまでは外出は止めておいた方がいい。」


眼鏡を掛けた中年の警察官とまだ新人っぽさが抜けないちょっとチャラい警察官ふたりが心配そうに私の方まで歩いてくる。


だから私はすぐに腰に装着していたホルダーから拳銃を取り出し2回、引き金を引いた。撃ち出された弾丸は警察官ふたりの腹部に一発ずつ命中し…その場に倒れることなく拳銃に手を掛ける。


(やっぱり防弾チョッキを着てた。普段の警察官なんて防弾チョッキを着ないのに警戒し過ぎだよ!)


そこからは一呼吸する間もない攻防が始まる。私は拳銃を捨てて近距離戦を仕掛けた。相手が拳銃を構える前に左足から横蹴りを放ち、一番近くにいた中年の警察官の右腕を粉砕しながらそのまま蹴り抜く。


私に蹴り飛ばされた警察官は拳銃を抜こうとした腕、つまり利き腕が使えなくなり、咄嗟に受け身が取れないせいか地面に激しく叩き付けられるように車道を転がっていく。


そしてその間に拳銃を抜き、私の胸辺りに銃口を合わせた若い警察官が警告も無く引き金を引こうとする。警察官で警告無しに引き金を引くなんて有り得ない。そんな警察官はアメリカのアクション映画にしか出てこないよ。


「フッ…!」


足に力を入れてその場から瞬間的に横移動…からの男の側頭部目掛けて拳を振り抜く。若い警察官の視点では急に私の身体がブレて消えたと思ったらすぐ目の前に拳があって、反応も出来ないまま無防備な頭部を殴られていた…みたいな感じだったと思う。


彼の瞳は私の軌道を追えずに前側しか見れていなかったからね。だけど私は探知能力者があるから目で追えなくても正確に物を視ることが出来る。弾丸の軌道も認識出来るからね。


でも人間の反応速度では私の最高速度に反応するのも認識するのも不可能。3メートルの距離なんて0.1秒未満で詰められる私の脚力は無能力者にとって理不尽な択となって襲いかかる。


「…あ、つい殺しちゃった。」


若い警察官の方は側頭部が凹み左目が鼻の横辺りに埋まってしまっていた。私の探知能力で死んでいるのを確認し、どうするかを考えながらまだ生きている方の警察官の元へと向かう。


(へー…逃げようとする気力はあるか。)


無言のままその場を離れようと立ち上がった中年の警察官の背後を私は襲いかかる。前へ前へと走り出す彼を応援するかのように前蹴りで活を入れた。


「ゴホッ…!」


中年の男は勢いよく転倒し顔面を道路に強打する。前歯が折れたらしく道路に歯が数本転がっていくのが見えた。


「買収された?それともそもそも警察官ではない?」


真の警察官とは警察官採用試験に合格した者を指し、公共の安全と秩序の維持を職務にする者達だ。制服を着た者でもパトカーに乗った者でもない。


「私ね。子供の頃から警察官が大嫌いなの。お母さんが殺された事件をろくに調べ上げる前に圧力に屈して止めたからね。だから私がこの世で一番信用していないのは警察官。だからさ…そんな見た目で私に近付くとか殺されたいの?」


男の反応を伺うと私の言葉に対して無反応だった。…へーまだ逃げるつもりなの。匍匐前進で少しでも私から離れようとしている。


…いや、待て。なにか違和感がある。この違和感の正体はなんだ?ここから離れようとしているんじゃない…?これは目的がある奴の特有の動きだ。私の勘がそう言っている。


向かっているのは…パトカーかな?何か車内にある…のか?私の探知能力では助手席にも後部座席にも怪しいものは無さそうだけどな…。


「クソっ、なんでだよ…!話が違うじゃないか…!」


口から血を流しながら気になる事を口にする警察官を私はある程度の距離を離しながら観察する。話…話か。どうやらこいつは何か聞かされてここに居たらしい。待ち伏せ…だったのか?


そうだとしたら千里眼系の能力者が向こうに居るのかも。じゃないと私を先回り出来ないはずだ。こいつは私がここに来るのを分かっていて待ち伏せしていた。


「あなた達ってどうやって私の行動を読んでいたの。蘇芳ですら今の私の行動は読み切れないのに。」


「クソっ…クソっ…!」


「さっきから無視とか酷くない?お巡りさんは市民の声を聞くものでしょ?聞いてもらったこと無いけど。」


どうしよう…もうここで殺してしまおうか。今の私の行動は誰にも認識されない。【個人的範囲(プライベートレンジ)】を発動させているからね。この男が多国籍企業どもの刺客なら絶対に奴らに情報を奪わせたくない。


影の中に落とすか?それともサイコキネシスで首を折る?私が殺し方で迷っていると突然パトカーが爆発し強烈な爆風と爆音に私の身体は晒された。


「かッ…はっ…!?」


爆発の衝撃は私の身体を容易く吹き飛ばし、宙に浮かんだ私の身体は真後ろに向かって4メートル程飛んでから道路に背中から着地した。


(ば、爆発物がエンジンとか機械類の所に仕掛けられていた…?)


私が能力で車内を確認し、そこで怪しい物が無いと間違った判断をしたせいで余計なダメージを負ってしまった。…やっぱり現場を離れ過ぎて馬鹿になっている。こんな初歩的な失敗なんて一年前ならしなかったのに…!

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