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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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ループする話

訓練はここで終わります。

『落ち着きましたか?』


『ああ…すまない 少しはしゃぎ過ぎてしまったな』


あれからも先生のテンションが落ちる事はなく色々な話をまくし立てられた。曰く世界初で画期的で凄いらしい。良かったね先生。


(まあ10分間も語れば流石に落ち着くよね。)


『それで先生は具体的に何をしたのですか?』


『ミヨを媒介に能力を行使したのだ ワタシとミヨの間にパスが繋がっているだろう?そこからベルガー粒子のやり取りが出来る事は分かるな?』


それは分かる。訓練の時もベルガー粒子のやり取りをしたからね。私はコクッと頷き先生の話の続きを促した。


『ミヨが知っているパスの使い方は能力とベルガー粒子の貸し出しとパスを通じてお互いに能力を行使するぐらいだった だが今回はパスを通じてミヨの周りにあるものを対象として能力が行使したのだ』


『えっと…話の腰を折るようですみませんがパスを通じてお互いに能力を行使出来るのですか?』


そんな事をした記憶が無い…私が知らないだけで何かあったのかな?


『現在進行系で能力を行使しているだろう?ワタシがこの場に再現されて話している事自体が答えになっている』


『あーそっか、なるほどなるほど。もう当たり前の事すぎて忘れてました。』


『なんだかんだでこの状態も長いからな あとワタシがミヨに対して能力を行使する事も可能だ 例えばミヨが外傷などを負った場合 ワタシがその場にいなくても【再生(リヴァイブ)】させる事も出来る』


『それは…便利ですね。私がピンチの時はよろしくお願いします。』


『ああ勿論 話をまとめるとワタシの射程距離と効果範囲がミヨの周りにも及ぶという事だ』


それは確かに凄い。パスの射程距離自体は分からないけど、もし地球の反対側でもパスが繋がっているのなら射程距離が国外にまで及ぶって事だよね?


『何故急に出来る様になったのですか?』


『ミヨの能力を知った時から出来る可能性は感じていた 言ってしまえばミヨの能力の応用のようなものだ 前にミヨがマッピングされた場所の物体を【削除(リボーク)】で核爆発させられないかと言っていただろう?』


『言ったような気がしますけどよく覚えてますね。』


私ですら先生の言葉を一字一句覚えきれていないのに。もしかして先生は私の言葉を全部覚えてくれているの!?


『あの時の言葉は衝撃的すぎて忘れようが無い だがワタシもその方法に可能性を感じた ミヨの能力はワタシの一部では無いからな 伸ばすなら【探求(リサーチ)】しか無いと考えた』


『あ、はい。』


『ミヨがワタシの能力を使いこなす一方でワタシもミヨの能力を使いこなしていたのだ その結果がこの卵にある』


まさかスーパーに市販されている卵がここまで私達に関わってくるとは思ってもいなかった。この卵ドラマ生み出し過ぎじゃない?キーアイテムかな?


『なるほどなるほど分かりました。訓練に移りません?』


『いやまだ話す事があるのだ!使いこなしたと言っても…』


『訓練に移りましょう。その話は帰り道にでも聞きますので。』


絶対にこの話は長くなる。先生は能力の話になると饒舌になる傾向があるからね。


『そうか…そうか…訓練の話に戻るか』


(´・ω・`)とした表情になる先生。どんだけ話したかったの!先生ゴメンね?絶対にちゃんと聞きますからっ!


『先程の卵の軌道の向きをループさせたのだがイメージとしてはこうだ』


先生が卵の周りに指で円を描くような軌道のシルエットを空中に描く。そうすると本当に空中にシルエットが残る。


『これも新たに出来る様になったんだがな』


まだ話足りないの!?後でちゃんと聞くから!


『先生…?』


『いやちゃんとした説明なんだ!聞いてくれ!』


『本当ですか?』


コクコクと頷いて強調してくるけど……本当かな〜?まだ語り足りなさそうな顔してますよ〜?


『これは本当に分かりやすく説明する為に必要なんだ ミヨは動画を見るときに操作を行なうだろう?』


『再生とか一時停止の事ですか?』


『そうだ ワタシの能力は動画で表すと理解しやすい 【再現(リムーブ)】は再生だ 【削除(リボーク)】はスキップ』


先生は真っ直ぐ引いた矢印、つまり▶に[remove]と表記して▶❙には[revoke]と表記した。確かに先生の能力は時間操作だから動画で表せる。面白い考え方だ。


『【逆行(リワインド)】が逆再生 【再生(リヴァイブ)】が巻き戻し そして今ミヨに教えた能力…【反復(リテイン)】はループ再生になるかな』


『【反復(リテイン)】…イメージとしてはこうですか?』


私が指先で円を描く。軌道の始まりと終わりを繋げることで終わらない軌道を描いているのだと思う。


『そうだ この能力は軌道を動かせる事が特徴だ ループと言ってはいるが別にループしなければならない訳ではない』


『それはつまり……この能力は軌道に変化を付けられるのが本質なのでループ自体は副産物ということですか?』


『この能力は自由度が高くて色々と出来る その色々な例を見せよう』


再び卵が回り続ける。先生?また?


『手を避けてほしい』


『卵が落ちますけど良いんですか?』


『問題ない』


手を退かすと卵が落ちることもなく空中で回転し続ける。なにこれ!?重力の影響を受けていない?軌道が確定しているのだろうけど…もしかして空中に固定されているのか?


『これ…空中に固定されているのですか?』


『初見で正確に認識出来るのは流石は探知系能力者と言ったところだな その通りだ 軌道を固定する事で()()()()()()()()()


『私のモーションを確定させて身体能力を強化するのと少し似ていますね。熱と衝撃の影響は受けるのですか?』


『勿論だ だがこの能力の利便性は凄い』


先生が卵を下から突き上げるように手を上に動かすと回転した卵が上昇していく。


『回転させながら動かせるのですね。私もやってみて良いですか?』


『ああ』


私が手の上で卵を回転させるとずっと止まらずに回転し続ける。


『…何でいつもすぐに出来るのだ?ワタシの時は…』


『だって先生が見せてくれたでしょ?後は再現するだけではないですか?難しい事なんてないですよ。』


軌道もベルガー粒子の動きもちゃんと観測出来ていたのだ。出来ない訳がない。先生は誰にも教えられずに一人で能力の訓練をしたのかもしれないけど私には先生が居るんだ。条件も環境も違う。


『…これで訓練は終了する 気を付けて帰るのだぞ』


ああー!不貞腐れてしまった!先生の話を中断させて訓練に移ったのにすぐに出来てしまったばかりに!不味い!どうにかフォローを入れなければ…!


『そうですね帰りましょう。先生の話の続きを聞きたくてその為に早く訓練を終わらせましたもん。』


『…そうか そんなに気になっていたのか?なら仕方ないミヨに話してあげよう 能力の真髄というものを』


『ワーイタノシミダナー』


帰り道の間、先生の話はとどまる事をしらずに2時間にも及んだ。先生が満足するまでには遠回りしなければならずに途中の駅で降りて後半はずっと先生の話に相槌を挟みながら歩き続けて帰宅した。


「先生のあの能力に対しての熱を出さなければ完璧なのに…まあそういう所も好きなんだけど…」


自室のベッドに寝転びながら今日の出来事を思い出す。先生はちょっと抜けている方が親しみが湧いて個人的には好感が持てる。付け入る隙があるからね。


悪い笑顔をしているとソマホが光る。仕事の連絡かソプリのアップデートかな?通知を見た瞬間に正解が分かる。今回は前者の方だった。


「新しい能力を試せる良い機会だね♪」


仕事の内容を確認した私は更に悪い笑顔をするのだった。


「今回は()()()()()()()

次回から伊藤美世が暴れ出します。お楽しみに。

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