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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
6.私達の居ない世界
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情報提供

順調にブクマ数やアクセス数が増えてきました。ありがたいことです。そして誤字脱字の報告もいつも助かっております。少しづつですがまとめて直していますのでもう少しお待ちくださいませ。

まあ、この二人が無実なのが分かっただけでここに来た意味はあった。あとは情報を交換してここを離れるだけかな。


「こっちは順調で、私が見つけた対象全員処理し終わった。このあとは向こうの多国籍企業どもが釣れてくれるかを待つ感じ。」


「…ふん。天狼連れてんだから当たり前だ。オマエは早く敵を見つけろ。」


初雷の言い方、炎天とは違って別ベクトルでムカつくな。殺しちゃうぞ?


「分かってますよ。ちゃんと役割を全うします。」


私は襟を正して背筋を伸ばし、そのまま部屋を後にしようとした。だけど炎天に後ろから声を掛けられて私は足を止める。


「おい、なにかオメエ勘違いしてるかもしれねえから言っておくが、死ぬ選択は逃げだ。死んでお詫びしますなんてのは死にたがりが勝手に弁明する言い訳だぜ。そんなことでこの件が片付くとは思うなよ。」


「…へ?」


あまりのことで頭が混乱して何も言い返せない。まさかこんな事を言われるなんて思ってもいなかった。


「あなたはムカつく下賎な女ですがまだ子供です。死ぬには早すぎる。ちゃんと責任を取るのなら私達が取らせます。一生を使って組織にその命を使いなさい。付き合いますから。」


そして炎天に続き初雷が責任を取るのなら付き合うと私に言った。あの腰巾着野郎がだ。これ逆に怪しく思うんだけどコイツら取り憑かれていない?


「…あなた達誰?私の知ってるコンビじゃないんだけど。なにか拾い食いした?それとも映画のジャイアンの法則でなんか良いやつに見えるだけ?」


「早く行けッ!」「早く行きなさいっ!」


おっと、さっさと退散しないとそのノートPCを投げつけられそうだ。私はすぐに部屋から出てテレポートでビルを後にする。そしてテレポートしてから気付いたけど別に部屋を出てからテレポートする必要無かったよねこれ。


だってみんなには私がテレポート出来ると教えたんだもん。…長年の癖はすぐには消えないみたいだ。私は頭を切り替えてイザ姉に連絡を取った。向こうにも情報を共有しないと。


『イザ姉、聞こえる?』


『美世か?ルイスはどうなった?』


『無事に戻せたよ。今は雪さんと一緒にビルの防衛をしてもらってる。』


『ソプリの掲示板にそれらしい書き込みがある。敵の狙いは本部か…。』


イザ姉も待機しながら情報を集めてくれていたんだね。流石だ。


『うん。しかも日本中で同時に事件を起こして処理課の人間を外に誘き寄せてからルイスの強襲だったし、敵は私達のことを良く理解している。』


『…蘇芳からそのことについて話は聞いたか?』


『いや、私が対処出来ると知っていたんじゃないかな?』


蘇芳は基本的に意味のない情報を言わない。こっちが言ってほしい事は特にね。


『はあ…困ったちゃんだな。私の妹たちはどうしてこう…』


『私からすれば上と下に挟まれて大変だけどね。それでそっちは何か釣れた?』


『いや、特に無いな。周りには一般人の人々が居るからもしかしたらこの中に潜んでいるかもしれないが私には分からない。合流するか?』


合流か…それもありだけど私は他を当たろうかな。


『ううん、私は私で探してみる。イザ姉たちは休みつつ駅の周辺を彷徨(うろつ)いていて。そこなら私の射程圏内だからさ。』


『了解した。』


ふぅ…これであらかた連絡するべき相手には連絡し終わった。あとは向こうの出方を伺うだけなんだけど…


その時、私のスマホが震える。流石に炎天との連絡の行き違いがあったからサイレントマナーを解除しておいた。連絡があれば通知してくれるように設定をしておいたのだ。


そして私のスマホに電話をかけてきたのはとても珍しい相手で、恐らく初めて電話をかけてきた相手だ。…いや、前に一度ぐらいはあったかもしれない。だけどそのぐらい珍しい相手というわけだ。


私はそこでとても嫌な予感と確信を持つ。状況は私の知らない間に知らない場所で急展開を迎えていたみたい。


私はスマホを手にとって耳元まで近付ける。本当は知っていたのに知らないフリをして怪しそうな相手ばかりに目を向けていた。私はあの人が裏切者だって心の何処かで気付いていたのに…、そのせいで他の人に苦労を強いることになった。


しかもその相手がこの子だなんて…。


「…もしもし。…うん、今は大丈夫だよ。…私?平気平気。」


はあ…とっても嫌だ。この子の声からどのような要件で電話が掛かってきたのか分かってしまった。私の確信は正しかったようだ。


「…お母さんのことでしょう?……うん、なんとなくね。そんな気はしてた。でも、まさか君が気付いていたなんて考えもしなかった。……うん……うん、うん。」


本当に本当に嫌になる。何故こんな役割を果たさないといけないのだろう。君も私も損な役割を果たす運命にあるみたいだね。


「私の仕事は分かってるよね?……そう、でも分かっててお願いしてきたってことはさ……うん、そっか。」


蘇芳はこの展開を知っていた。だから言わなかったのか。お姉ちゃんやっと分かったよ。本当にこの世界はクソだ。


「確約は出来ないよ。それは分かるよね?私の仕事は殺すこと、でも…話してみるよ。最初に説得は必ずする。だけど説得出来なかった場合は…私は私の仕事をするだけだよ。それでもいいの?」


お願いする相手として私を選ぶ理由はなんだ?頼れる人が居なかったとしても私なんて下の下の選択肢だろうに。


「…そうか、うん…その気持ちは痛いほど分かるよ。お母さんを止めたいって気持ちはね。だからこそもう一度聞くけど、私で良いんだね?………分かった。全力を尽くすよ。」


この子が私を選んだのは私なら確実に事態を収集出来るからか。被害を出さない為には強い能力者で対応しないといけない。この子にとってそんな相手は私しか居なかったのか…。


「…え、そこにお母さん居るの?…そこまで知っていたんだね。辛かったよね…頑張っていたんだね。もっと早く気付いてあげれなくてゴメンね…。」


私にもう少し勇気があったら良かった。そうすればもっと早くこの子からこんな事をお願いさせることだって無かったのに。


私だってこんなことしたくなんてないんだ。裏切者も殺すなんて口では言っているけどそんなこと…したいわけがない。もう殺しなんてうんざりだ。なんであの人を殺さないといけないんだ。


もう…本当に嫌になる。


「絶対に説得して元の通りに…とは言えない私を許さないで。もしお母さんが帰ってこなかったら私のせいだから。その時は絶対に私を許さないでね。私を死ぬまで恨んでいいから。…だからどんなことがあっても君のせいじゃない。そこは分かって。」


この子に責任はない。子供に責任を感じさせるなんて駄目だ。じゃないと私のようになる。私は私のような人間が居ないようにしたい。だから…これだけは絶対に防がないといけない。


「…ううん。君は何も悪くない。だから今日はもうベッドに入って寝るんだよ。何も考えないで寝る。必ず明日連絡を入れるから。……………………うん、おやすみ。ありがとう。」


私は通話を終了しスマホをポケットにしまいこむ。ここからあそこまでは…何度かテレポートすれば行けるはずだ。私は能力を行使し東京から遠く離れて日本海側へと瞬間移動する。


ロシアや中国へ向かった際の航空ルートから私は遥か上空へと瞬間移動し、そこからは肉眼で見た範囲に何度も何度も瞬間移動して裏切者を探す。あの子の言う通りならばここら辺に居るはず。


私はそんなに目が良くない。というかかなり悪い。眼鏡をしていても遠くの物は凄く見えづらいしぼやけて見える。だけど能力者でベルガー粒子を視認出来る私は人を認識しなくても量の多いベルガー粒子を見つければいい。そこに彼女が居るはずだから。


「お願い…外に居て。室内だと見つけれな…」


私の視界に明らかに大きな揺らぎが映り私はそこに焦点を合わせる。あれは見覚えのあるベルガー粒子…間違いない。あそこに私達を裏切り続けた彼女が居る。


サイコキネシスで高度を下げていき私は裏切者の後ろに着地した。…彼女ならば私の存在に気付いているはずなのにずっと背中を向けたままだ。…私がここに来ることをある程度予想がついていたのか。


でも逃げなかったなんてどういうつもりだ。まさか私に勝てるつもりなのか。彼女は私の能力を知っているのに?私が()()()()()()()()()()()()()()


「…説得、しに来ましたよ。」


さあ、この長い夜に決着をつけよう。私が本当にしたいことを、私のような人間が生まれないように役割を果たそう。


じゃないと、私は…私を決して許せないから。

裏切者の正体が次回で判明します。もしこの段階で正体が分かっていたら凄いです。


一体誰のお母さんなのでしょうか…。

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