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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
6.私達の居ない世界
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犬猿の仲

投稿が遅れてすみません。投稿しようとするとエラーが起きて色々と対処をしていました。

私の左には蘇芳(ディアルガ)、右には先生(パルキア)。そして私の後方には理華(ダークライ)。遂に、遂にこのメンバーが集まってしまった。劇場版特有のバカが考えて盛り合わせたバイキングの皿みたいな盛り合わせが今この場に集結してしまったのだ。


狭い部屋に伝説級モンスターが3人、何も起きないはずもなく…


『ミヨ ワタシの声を皆に届けられるようにしてあの男を外に出せ』


『かしこまりました。』


私は堂本さんに聞かれたくない話をしないとだから外へ出ているように誘導し、先生の声をパスを通じて皆に流す為にシェアリング?を図る。


「突然どうしたの?」


蘇芳が不思議そうに私の行動を見ている。つまりまだ先生のことは完全に把握することは出来ていないってことだ。弱体化しているとはいえ、流石は私と同じ特異点。蘇芳に先生のプライベートを覗かれる心配はなさそう。


「先生が来てるからみんなと話したいんだって。」


「…へえ。」


うわあ…嫌そうな顔をしないでよ。先生だってかなり嫌そうな表情してるけれども。…私の顔で嫌そう顔をされるとなんか腹が立つな。私ってこんなにムカつく表情出来るのか。


「…死神が来ているのか?」


「うん、伊弉冊と理華とも何か話したいことがありそうだよ。」


「…へえ。」 


「う、うん…。」


こらこら、2人とも。蘇芳と同じく嫌そうな顔をしない。先生ちょっとショック受けてるじゃん。


『…嫌われているな どうやらワタシよりもスオウのほうが慕われているらしい』


ああ…。気付いてしまった。遂に先生が周りに良く思われていないことを知ってしまったようだ。


『…あー、みんなと繋いでいるパスに先生の情報を流しますね。』


なんだ、このいたたまれない気持ちは。まるで特に仲良くもない人をラインのグループに呼んでしまったようないたたまれなさを感じる。もうグループとしてのコミュニティは出来上がっているのに、知り合いの知り合いがそのコミュニティに入ってきてしまったみたいな感覚を覚えてしまう。


『…これでワタシの声は届いているのか?』


「…美世そっくりなんだけど、これが死神?」


伊弉冊が私の軌道に入っている先生をしげしげと見ながら確証を得られずにいる。


「前に話したよね?先生は私の軌道を使って現れるって。今の先生は私の姿を模倣している感じなのかな。」


「いや、しれっと言っているがこれは凄いことだぞ。しかもそれが私達にも見れるなんて、どんな能力を使ったんだ。」


伊弉冊が私のやったことを驚いて驚いたリアクションを取る。…私も私がやったことには説明出来ないよ。なんか出来ると思ってやっただけだし。


「まあ、そこは今はどうでもいいよねイザ姉。今は死神が私達の前に現れた事を気にするべきだよ。」


結構カッコいい事を言いながら伊弉冊の後ろに隠れる我が妹はマジで可愛い。なんだかんだ先生はまだ特異点としての力は失っていないから、先生が蘇芳にとって天敵であることは変わらない。


まあ、戦ったら蘇芳のほうが勝つとは思うけどね。蘇芳は逃げ続ければいずれタイムリミットで先生が自動的に負けるから。だから蘇芳ちゃんはああやって伊弉冊(実姉)を肉盾にして時間を稼ごうとしている。


「オイコラ蘇芳。せっかく会ったんだから挨拶しなさい。」


伊弉冊が蘇芳の首根っこを掴んで自分の前に出して挨拶をしろと言い放つ。言っていることもやっていることも姉の立場からすればマトモそうな行動にも思えるけど、妹を天敵の前に差し出しただけというね。いや、流石は我らが長女、その鬼畜っぷりには惚れ惚れする。


「お姉ちゃん?」


蘇芳が上目遣いで伊弉冊をお姉ちゃんと呼び、また肉壁になってくれと頼む我らが三女の面の厚さには驚きを隠せない。


「くっ!こういう時だけその声でお姉ちゃんと呼ぶな…!」


効果は抜群のようだ。分かるよ伊弉冊。私も蘇芳にお姉ちゃんって呼ばれるの好きだからね。というか蘇芳も蘇芳で分かっていてやっているからズルい。


蘇芳は見た目もそうだけど声が可愛いんだよ。あ、分かっててやってんなコイツって感じのあざとさが強い小悪魔系の声質で、そんな蘇芳が甘えてくると普段の彼女とのギャップで姉ーズは毎回やられてしまう。


でも今回は流石に私達でも庇えない。先生怖いもん。


「…ダメだダメだダメだ。蘇芳、お前の問題だ。甘やかさないからな。」


伊弉冊が頭を振って雑念を振り払う。蘇芳は当てが外れるのを知っていたのか、特に気にした様子もなく死神に振り返り挨拶の言葉を口にする。


「…オリオンとはお会いしていましたが、死神との貴方とはお久しぶりですね。」


『ああ 久しいなスオウ』


2人の挨拶も終わったし、なんで先生が此処にこのタイミングで来たのかを知らなくては。


「先生、今日はどの用でいらしたのですか?正体がバレるリスクを冒してまで来たということはそれなりの理由があるのですよね?」


『ああ 世界中で調整体が目撃が報告されている ワタシは奴らがどこから来て 何を目的としているのかを探っていた』


先生はこの世界を平穏な世界へ導くという目的で動く能力だ。そんな特性を持った能力(せんせい)が動いたということは、私と世界の目的である平穏な世界にとって邪魔な存在であることを意味している。つまり私の敵ということだ。


「そんなに強いのか。調整体は。」


『天狼 それは間違った認識だ これは強いとか弱いの問題ではない ()()()()()()()()()()()()()()()()()


「歴史?」


先生が動く時はいつも1巡目の世界での出来事をこの2巡目の世界で引き起こさせないという目的があっての事が多い。私は先生の話を聞いて1巡目の世界で引き起こされた事件を思い出す。


『そうだ 歴史だ お前はどこまで知っている? スオウやミヨから話は聞いているか?』


「…いや、その感じからすると恐らく聞いていない。どうやら私の異母妹たちは秘密が多いらしいな。」


伊弉冊が獰猛そうな笑顔を私と蘇芳に向ける。…説明してよ蘇芳、役目でしょ。


「色々な説明は美世お姉ちゃんがしてくれるらしいですよ。」


あれ?蘇芳って嘘が言えない制約が無かったっけ?なんで嘘が言えるんだ〜?


「ASMR…。」


「あ、私から説明させて頂きますですはい。」


「ASMR…?」


『…何かの略称か?』


理華と先生は知らなくてもいいことです。そして伊弉冊はちょっと居心地悪くしないでよ。なんの単語か分かってる反応を隠せていないから。


「ええっと…何から話したら良いのかな。…伊弉冊って、この世界が2回目だって言われたら信じる?」


私は壁に背中を預けて伊弉冊に問いかける。この前提を信じてくれないとここから先は何も話が進まなくなる。


「信じるもなにも私には2回目なのか20回目なのかも確証は得られない。だから信じるかは情報を得てから決める。とにかく話せ。」


「…分かった。堂本さんを待たせているからもの凄くかいつまんで話すね。」


私は1巡目の世界は悲惨な未来を辿ることと、先生が2巡目の世界へ時間軸を動かしたこと、それと1巡目の世界と2巡目の世界では共通点が数多く存在することを話した。


「…良し、今日の晩御飯はお前たちは抜きだ。」


「「FUCK!!」」


私と蘇芳は同じタイミングで叫ぶ。ご飯がここ最近生きていて唯一の楽しみなのに!それを奪うなんてあんまりだ!


「良かった…私はセーフ。」


理華が胸を撫で下ろしているけど、理華も私と一緒に地獄に落ちてもらいます。


「理華も知ってました!」


「ちょっ…!」


「理華もご飯抜き。」


「SHIT!!」


理華も叫ぶ。先生はその光景を見て可哀想なものを見る目で私達を見つめていた。


『…本題に入っていいだろうか』


「構わない。コイツらには後でキツいお灸をすえておく。」


それから先生は私達に新たな情報を提示し、それを聞いた私達は新たな厄災に見舞われることを予感するのだった。

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