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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
6.私達の居ない世界
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回る質問

理華の認識が改まり、未だに戦いは継続されていることを悟る。そんな中で誰にも悟られないよう立ち回っていた美世には少しだけ畏怖の念を抱いた。


「あの……神よ。我らは日本語を理解出来ません。どのような話をしていたのですか?」


「え?ん〜〜とね……。」


向かいの席に座っているラァミィから質問が来る。どう返したものかな。


「理華にも世界が滅びそうだって事を説明していたの。彼女の力を借りることになりそうだからね。」


「なるほど……流石は我らが神。全てを委ねます。」


「委ねないで。少しは自分達で考えてね?それにいきなり過ぎて心臓に悪いよ。だって冗談じゃないでしょ?ラァミィが冗談言うようには見えない。」


ラァミィの目はマジだ。ガンギマリしている。先生ASMRを聴いた後の私みたい。


「あ〜〜ルイスの報告は以上だよね?えっと次は隣のテーブルに座っている……えっと、ここまで名前が出てきているのに出てこない……。」


ルイスの右隣に着席しているのは憑依する能力を持った明るい茶髪の女性だ。どんな名前だったかな。


「サラです神よ。」


「お〜サラだっけ。あ〜そんな気がしてきた。サラは私に言いたい事とかあるの?」


そうだそうだ、サラだ。理華が少し気まずそうにして彼女を見ているけど、昔に理華がサラに憑依されていた経験があるからかな。


「えっと、言いたい事というより聞きたいことあります。」


「あ、そうなの。何が聞きたいの?」


「世界の滅亡を防ぐ為に何か行動を起こしているでしょうか。何か我々に出来ることがあれば何なりとお申し付けください。」


「誰?」


完全に臣下かそれに近い何かだ。こんな女を臣下に持った記憶はない。


「もういちいち構わない方がいいよ美世。宗教系はこんな人達ばっかりなんだから。だから組織が関わるなって教えているんだよ。」


「……組織のマニュアルとか教えって大体の場合凄く参考になるよね。」


昔の人達も苦労したのだろう。なら何故私は現代で苦労しているのだろうか。


「神よ!私のお言葉を聞いてくださいっ!」


挙手をして立ち上がるな。お前は小学一年生か!先生はトイレ(でご飯を食べる人)ではありません!


「はいはい……。えっと、少し具体的じゃないからサラの求める回答は出来ないかもしれないけど、色々と動いているよ。この集会もその一つだし。」


「その色々とは?」


グイグイ来るな……。全部を話すと長くなるから省略して簡潔に説明しようかな。


「先生……、えっと死神とお話をしてある推測を立てて、メーディアの予言は限りなく間違いない事だって前提で動いたりとかかな。」


「死神と立てた推測とは……?」


うーん……この魔女たちに話しても良いものなのか判断がつかないな。でも話さないとこの魔女たちは正直使い物にならない可能性が出てくるし、理華にはいつか話さないといけないって思っていたからこの際話してしまおうか。


「理華にも聞いてほしいから話すけど、この世界は2巡目の世界なの。1巡目の世界は消え去り、この世界は2回目になるんだけど……。」


「……ごめん、私の翻訳が悪かったのか変な単語が聞こえたんだけど。もう一度言ってくれない?」


「さっき言ったでしょ?世界は滅ぶって。もう世界は滅んだ後なの。この世界は2度目の世界。私達は一度は死んでいる。」


私は魔女たちにも話し、皆の反応を伺う。魔女たちも驚いているからこの事実は知らないみたい。メーディアの能力で明言されていないのかな。


「あまりに信じ難い話ですが、神が言うのなら間違いありません。そうでしょみんな?」


ルイスが私の言葉を肯定してみんなに同意を求めた。……誰?リーダーっぽいことをしてるけど、今の貴方たちのリーダーが誰なのかは知らないんだよね。もしかしたらまたラァミィからルイスになったのかもしれない。


「神の言葉は絶対です。」


「星々……つまりはこれはいくつもの世界があることを示唆している。星と星を繋ぐものが特異点ということなのですね。」


「これも星々の巡り合せ……。」


また出ましたよ「星々の巡り合せ」が。好きだね〜君たち。


「はい!はい!神よ!次はこのメリッサ・ハンベルに質問の許可を!」


あ〜言われて思い出したよ。先に言ってくれると助かる〜。このプラチナブロンドの魔女がメリッサね。あとメリッサの苗字ってハンベルだったんだ。多分1話過ぎたら忘れるけど。


「はいメリッサ。」


「何故1回目の世界は滅んだのですか?」


「それは前の章を読んでください。」


「意味が分かりません神よ!」


おっと、変な電波を受信してしまった。先生が主人公で私が具体的には伏せられた扱いの話なんて私は知らない。


「滅んだというよりも終わらせたというのが正確かな。多分この世界も終わらせるんだと思うよ。」


「終わらせる……ですか?」


みんなの頭上には、はてなマークが浮かんでいるけど私もそっちサイドの人だからちゃんとした説明をする自信はない。


「うん。蘇芳が企んでいるのはそこだね。この2巡目の世界を終わらせて3巡目の世界にしたいんだよ。」


「……何故終わらせたいのですか、あのチビガキは。」


「ち、チビガキ……。」


一応わたしの妹だからそんな言い方は止めてほしいな。本人結構気にしていそうなんだよ。姉2人が平均値よりも身長とバストが大きいからさ。


「ゴホン、えっとその理由は知らない。でも蘇芳にとって3巡目の世界に魅力的なものがあるからでしょうね。」


推測の域を出ない話だけど、共通点の話があるからほぼ間違いないと思う。


「では次は私でいいでしょうか。」


この人は一番最初に殺された可哀想な人だ。えっとフルハウスに出てくる姉妹の内、3人の誰かと名前が同じだった気が……。


「ステファニーです。」


あ、ステファニーか!次女の方ね!髪色はジェシーおいたんみたいな黒髪だけど。


「ステファニー、何が聞きたいの?それとも別の何かを言いたかったりする?」


「いえ、何故神はそんなに詳しいのかなと思いまして。神だから知っていると言われればそれまでなのですが。」


これには先生の名前を出さないと説明出来ないな。さて、どうしたものか。


「……先生が絡む案件だから、私個人の判断では話せない。だけど私のこの知識は先生から聞いたものだから。」


「……分かりました。今は話せないということですね。承知致しました神よ。」


ちょっと納得がいってなさそうだけど、そこまで知りたいのであれば死の神から直接聞いてください。同じ神でも向こうの方が上位神なのです。


「では次は私でお願いします。」


向こうのテーブル組で最後になるボーちゃんが挙手をして私に目線を送ってくる。彼女は一体なにを聞きたいんだろう。


「はいボーちゃん。何が聞きたいの?」


「いえ、私は聞きたい事というよりも言っておきたい事がありまして。」


「ボーちゃんが?」


「はい……。あの、これはあのクソチビ腹黒ガキから聞いたのですけど……」


う〜〜ん。個人を特定出来る単語から私は何故か自分の妹を連想したけど、これは話の流れから推測したもので決して単語のみで蘇芳だと断定したものではない。


「子宮を……無くされたのですよね?私もそうなので、少し気になりまして。」


あぁ、そうか。ボーちゃんって昔わたしみたいに子宮を無くしていたんだっけ。憑依した時の記憶から知っていたけど、言われて思い出した。


「それで、子宮を無くすと女性は上手く男との付き合いがしづらくなります。極端になると言いますか、男を避けるようになるか逆に股が緩くなったりしますのでお気をつけくださいね。」


「それは……妊娠しないから?」


「はい……。私は幼い頃から娼婦として日銭を稼いでいましたが、子宮が駄目になってからはかなり酷くなりました。妊娠の心配がないのでいくらでも男たちのを受け止めましたが、精神が非常に擦り減るのです。」


ボーは己の経験から私を心配し、自分のようにはならないでくれと話したくもないであろう自身の過去を話してくれた。


「女は妊娠出来ないと男たちから性欲のはけ口として見られるようになりますし、自分でもそう思うようになります。ですが貴方は神です。他にいくらでも自分の存在価値を見い出せる。だから……何かあれば相談は乗れます。」


ボー・ペティット……。彼女は良いやつだ。前に殺してしまって本当に申し訳なく思うぐらいには善人だよこの人。


「……ありがとうボーちゃん。何かあれば相談させてもらうね。」


「はい!相談してくれれば女との楽しみ方を教えますよ!女は良いですよ〜。精神の繋がりを重視しますし何でも相談し合えるので!」


「……はい?」


あれ?流れ変わったな。まさか女性同士を勧められるとは思いもしなかった。


「み、美世。わ、私も相談乗れるから女の紹介なんていらないでしょう?ね?私は親友だから何でも相談出来るし、私なら美世のことを分かってあげられる。……心も身体もね。」


左隣に座っていた理華が私の肩を掴んで突然意味不明のことを言ってくる。……この子は一体どこへ行こうとしているのだろうか。


「……盗撮していた理華にはちょっと相談出来ない案件かな〜。」


「グハッ……!」


理華はダメージを負いテーブルの上に突っ伏した。私はあの事を決して忘れない。蘇芳に暴露された盗撮の件を。


昔から思っていたけど私の周りの女性達ってレズビアンが多くないか?

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