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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
5.終わらせた未来の軌跡
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束の間の一時

今週の土日は少し家を離れてネット環境の無い場所に行きますのでもしかしたら投稿が出来ないかもしれませんのでここで報告をしておきます。

どうしてそこで寛いでいるのかと聞けば、それは紅茶を飲んでいるからだと答える奴に全滅しかけられたと考えると感慨深いものがある。


「…よし分かったモミジ。話せる範囲で情報を共有してくれない?」


僕はモミジと名乗る彼女に責任を追求する。彼女にしかこの状況を打破できない。


「どこから話せば良いのかな…。えっと私達兄妹は全員で5人居るんだけど前にも話したよね?その長男がそこで紅茶飲んでいるイカだね。」


「コロスゾ」


…うん、仲は良くなさそうだね。イカって体長5メートルの足が何本もあって湖にいるやつだよね?確かに似てるっちゃ似てる…のか…?


「…ごめん聞きたいのはそういうのじゃないんだけど。」


ナーフがモミジに対し冷静なツッコミを入れる。危機的状況は続いているからこっちからすれば早く重要な話を聞きたいのだ。


「大丈夫ちゃんと分かってるから。少しだけ時間をちょうだい。」


「…分かったわ。」


ナーフは渋々といった様子で聞くことに専念すると応える。


「ありがとう。それで次男が東京に篭っているやつね。」


あのエネルギーの指向性を操作する奴も兄になるのか…。なんか変な感じがするな。


「で、雲を張っているのが…長女というか三男として評していいか微妙なラインなんだけど、まあ性別はどっちでもないんだけど、その子が私とアインの兄妹の1人。」


「…誰か雲を張っているのがバグだって知ってた?」


「…俺とアインは気付いたけど話す機会が無くてみんなに言うのが遅れた。すまん。」


ナーフの疑問にディズィーが答えた。みんなから手厳しい眼差しを向けられたけど甘んじて受けるしかない。正直それどころではなかったんだよ。


「それで次女が増殖能力の娘なんだけど今は小屋に居るのは知っているよね。まあ一応は私ってことにもなるのかな。生まれた順番的には末っ子なんだけどね。それで最後に三女は今ここに居るよ。」


そう言いモミジは自分の真下を指さした。だけど特に何か居るような雰囲気はなく、人型バグ特有のベルガー粒子も見えないし感じない。床は木の板だし本当になにもないのだ。


「イルナ」


「…居るんですか?」


隣で寛いでいる兄…、に尋ねる。くそっ立ち位置が良く分からない。敵ではなさそうなんだけどどうしても警戒心を持ってしまう。


「…ねえ、アイン。もしかして…喋っているの?」


「喋っているって何が?」


アネモネの聞きたい事が分からないし、なんでみんなそんな目でこっちを見るのか分からない。何かしたか?


「…多分だけどアインとモミジにしか聞こえていないと思うけど、そちらの方の声は私達には聞こえていないんだよ。」


「あ〜〜…、そういえばそうだったね。聞こえているの僕とモミジだけだったみたいゴメン。」


まだ能力かは分かっていないけど、僕には聞こえない声が聞こえたり様々な言語を聞き取れたりする。でもモミジは聞こえているっぽいんだよね。不思議だ。


「なら()()()()()()()()()。そうすれば意思の疎通が出来るようになるし。」


モミジがさらっととんでもない事を言う。パスを繋ぐとそんなことが出来るようになるの?というかなんでそんなことをモミジが知っているんだ?未来では当たり前のことなのだろうか。


「因みに私とコイツともパスが繋がってるよ。だから通信装置が無くても呼びつけられるしお互いの近況とか教え合ったり出来るの。」


「…あれ、前に雲の上に居るのにどうやって連絡を取るのって言ってなかったっけ?」


モミジからそう言われてその場は納得した記憶があるのにそれだとその場で連絡が取れていたことになるよね?もちろんパスを繋いでいればって条件つきだけど。


「…てへ。」


モミジが舌を出してあざとさを全面に出してきた。もはや何も言うまい。その場で連絡が取れていようが特に聞きたい事があったわけじゃないし今はそんなことを議論している暇も無いから。


「…それでパスの使い方を私達よりも知っているモミジに聞きたいんだけど、今の今まで黙っていたことは取り敢えずここでは言わない。とにかく必要な情報を提供してほしい。」


アネモネがモミジについての言及はしないで必要な情報を提供してほしいとお願いした。それに対しモミジは少し申し訳無さそうにしながら情報を提供してくれた。


「パスは能力者同士の脳と脳を繋げる技術みたいなものかな。正直私にも良く分かっていない。パスを繋げると能力とベルガー粒子を貸し出しすることが出来る。そして意思疎通もね。一度パスを繋げばどれだけ離れていても繋がった状態を保持できる特徴を持つ…ってところかな。」


「…能力の貸し出しってそのままの意味?私達はそんなこと出来たことないけど?」


「出来るって知らなかったからやらなかっただけで出来るよ?さっきもアネモネとフェネットが能力を貸し合って能力を行使してたよね?」


アネモネとフェネットは心当たりがあるのか神妙な表情を浮かべたまま黙り込む。…僕も遠目で見ていたけどあれは1人の能力で出せる出力を超えていた。


「じゃあ早速やってみましょうか。この子たちとパス繋いでほしいんだけど良い?」


「ナンテワガママナイモウトダ」


人型バグは飲み終えたコップをテーブルに置いてベルガー粒子の操作をし始めた。間近で見るとその動きと濃度に目が奪われる。個人が持っていていいものではない。とてつもない力がを肌で感じる。


「…本当にパスを繋ぐの?というか出来るの…?その…バグと、さ…。」


ユーの疑問はもっともなものだ。人と人なら分かるけどバグの脳は能力者の脳と繋げられるものなのか?


「兄は見た目がこんなのでも内臓とかは割と人間寄りにできてますよ。じゃないと言語を使えませんし。」


「ねえ、その兄って呼び名どうにかならない?私達からすれば自分たちを殺した人型バグなのよね。何かちゃんとした名前は無いの?」


ナーフはモミジに人型バグの名前を聞いた。確かに人間の見た目だった頃の名前とか分かればこの微妙な距離感が多少は縮まりそうなんだけどな…。


「私は知らないよ。兄の名前なんて脳味噌に入れるほどの価値無いし。」


「…イチバンシタデアマヤカシスギタカ」


モミジがさっきからこの地球上で最も強い存在相手でも憎まれ口を叩いているから聞いているこっちからしたら冷や汗が止まらないんだよ…。でも反応を見る限り結構モミジに対して甘そうなんだよなこの長男は。


そういえば次男相手でもかなり強気で交渉していたしモミジってかなり甘やかされてる?あまり怒られたりしていなさそうだ。


「えっと、その、お名前ってあるんですか?」


代表して僕が隣に座っている最強生物に名前を聞いてみた。あるのなら僕もそっちで呼ばせてもらいたい。


「ナマエ…ナマエカ…オボエテイナイナ ヨバレテイタノハセンネンマエダカラナ…」


そう…だよね。名前で呼ばれることなさそうだもんね。もし名前を呼ぶ機会があっても兄妹同士だろうけど、その末妹が知らないんだから兄妹同士でも名前では呼び合わないんだろうね。


「…なになに、どんなことを言っているの?」


「…名前で呼ばれる機会が千年もの間なかったから覚えていないってさ。」


「…な、なるほど?」


フェネットは納得したようなしていないような反応でまた黙ってしまう。…どうするんだこの空気。


「アインが名前を考えたらどうです?ネストスロークでは名前を付け合う習慣があるんでしょう?」


「え、僕!?」


モミジからの提案で何故か僕が長男の命名をしなければならなくなった。自分を殺そうとした相手の名前か…。


「キラー…?」


「…うん、兄に対して抱いているイメージは伝わってきたよ。でも流石に可愛そうだから止めようか。」


モミジにダメ出しをもらって無事に却下をもらった。僕も駄目だって分かっていたけどイメージがね。どうしてもそっちに引っ張られるんだよ。


「…じゃあ太陽の光(レイ)は?能力からのイメージなんだけどどう?」


「…良いですね。なにより呼びやすいですし時間ありませんから今から兄の名前はレイです。」


アネモネがモミジに提案をしてみると即座にOKが出た。…そういえば僕の名前もアネモネにつけてもらったっけ。


「…レイ マァ ワルクナイ」


「兄も気に入ったらしいんで早速パスを繋ぎ自己紹介をしあいましょうか!初印象が最悪でしたもんね!」


モミジの提案で自己紹介をする流れになった。まさか殺し合った仲なのに半年後にこうやって自己紹介をし合うことになるなんてかなりおかしな関係性だよね。

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