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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
5.終わらせた未来の軌跡
414/602

宇宙からの使者

彼女の言うとおりこの世界の終わりが近付いてきた。宇宙から僕達の知り得る限りの終わりが…。


それは金属で出来た飛来物。僕達にとってそれは見覚えがあるもので懐かしさを覚えるデザイン。見間違いをするわけがない…。


「…遂にしびれを切らして来たのね。」


「うん…。」


アネモネはこの時が来たと察し状況を理解していた。そしてこの時を知らされていたアインも状況を受け入れ理解していた。家から他の仲間も続々と出てきて同じ様な感想を抱く。


僕達の頭上から降りてきた物は宇宙船。ネストスロークから送られてきた部隊達が乗っているであろうその宇宙船は幾つもの数に上った。まるで僕達を取り囲むように飛来した宇宙船は地上に降りる際にバーニアを吹かし、地上の草木を飛ばしていった。


宇宙船の大きさはアインとディズィーが乗っている船を更に6倍程の体積にしたもので、その中には最新装備を全身に装備した能力者が搭乗していた。宇宙船は地上に降り立つと扉が開閉し搭乗していた能力者達が続々と降りてきてアイン達の居る家を包囲するよう走り出す。


「目標ポイントへ降下成功。作戦を次のフェイズに移行し素早く447期生を包囲せよ。」


「「「「了解。」」」」


通信機を通じてお互いの声を届けながら走り出す。装備品は頭の先から足のつま先までガッシリと包み込んだものであり、通信機無しでは会話もままらない。


全身黒く染まったその装備はまるで筋肉の塊のようなフォルムで、全身骨格で装備した能力者を保護し動きを阻害しない造りになっている。異形能力者がその装備を着れば更に身体能力を高め、サイコキネシスが装備すれば容易く全身を包むスーツを動かす事が可能。


当にネストスロークが全力で戦闘行為をするために設計・製造をした一品。例え相手がどのような相手であろうとも後れを取らない。標的がバグであろうとも、S()()()()()()()()()()()()()()()


「目標を視認。接敵します。」


この通信はこの場に居る仲間達と宇宙船に置かれた通信機を通じてネストスロークの本拠地であるノアの方舟へと送られている。そしてその通信を受け取るのはアイン達を地球へと送ったマザーAI。この降下作戦もマザーの判断であり目的はアイン達である。


「R.E.0001を見つけ次第接触し、洗脳されていないかを確認、もし精神支配系の能力に侵食されていた場合は能力の解除をするように。」


「了解。」


この降下作戦で現場責任者である男はマザーの指令を受けて第2目標であるアインの身柄を確保するために包囲網を狭めていく。


[R.E.0001のベルガー粒子を探知 距離500メートル]


ベルガー粒子を探知する装置から報告が入る。男の背中には様々な装置が取り付けてあり、ネストスロークで登録していた各個人のベルガー粒子の波長パターンを探知し目標の位置等を知らせる機能が備わっている。


「R.E.0001は時間を操作する能力を持っている。射程距離には気を付けろ。」


男はアイン目掛けて銃を構えながら確実に距離を縮めていく。そしてある程度の距離で停止しアインに話し掛けた。


「R.E.0001で間違いないか?」


「…ネストスロークの人達ですね。」


アインは警戒レベルを最大限まで引き上げる。相手は自分の事を最初に口にした。恐らく自分の能力、脳を確保しにきたのだろうと察したからだ。そして自分だけではない。仲間達全員の生体サンプルを確保しに来たのは間違いない。


でないとそんな重装備でここに来るわけない。この辺りには危険なバグは居ない………いや、居たか。未来を知っている彼女が。…もしかしてモミジも標的か?


もしそうなら、僕は同胞であろうとも敵対を選ぶ。


自然と身体が強張り警戒心が表情に出てしまう。相手も警戒している自分を警戒しているのが伝わってくる。全身を黒いスーツで纏っているから表情は見えないけど、不穏な空気感をこの距離からでも感じてしまう。


「質問に返答せよ。貴様は個体ナンバーR.E.0001で間違いないか。」


声はマイク越しの音質で機械的だが敵意と不信感を感じる。…僕の返答次第でここは今すぐにでも戦場へと変わってしまう。そんなプレッシャーを感じて返答に戸惑っていると再び男が僕に声を掛けてきた。


「再々度問う。これが最後だ。…貴様は個体ナンバーR.E.0001で間違いないか?」


最後…これは本当に最終通告だ。気が付いたら家を取り囲むように男と同じ様な見た目をしたネストスロークの兵隊達が銃を持って待機している。


「…はい。自分は447期生のR.E.0001です。」


本当は向こうの情報が欲しくて質問をしようと思ったが、向こうは僕よりも階級というか命令系統では上の人だと思うから聞かれていない事は口に出来ない。僕の後ろにいるみんなも周囲を警戒しながら口を噤んで状況を見守っていた。


「後ろにいるのは同じ447期生達で間違いないか?」


「…はい。」


やっぱりそうか…目的は僕達。まだそれだけならどれだけ良いか。モミジや耀人達には興味があるとしたら…モミジはとにかく耀人達に抵抗する術はない。


「貴様達には帰還命令が出ている。これはマザーの決定である。拒否権は無い。」


…そう来たか。ここで拒否することは敵対を意味する。これは…踏み絵だ。僕達にまだ忠誠心があるのかを見ている。


「帰りません。」


「…何?」


「アネモネっ!?」


後からアネモネが出てきて男の命令を拒否してしまった!周囲を取り囲む兵隊達が銃の構え方を変えていつでも撃てるよう待機している…。マズいぞこれは!


「私達は、地球で生きていきます。もう…ネストスロークの指図を受けるつもりは、ありません…!」


…かなりマズい。向こうが何も言わない所が更に状況の悪さを物語っている。何故アネモネはわざわざ向こうを刺激するような事を言ったんだっ!?


「アネモネ!何を言っているんだよっ!?訂正、訂正してっ!」


アネモネの肩を抱いて揺さぶりながら説得を試みる。下手すればここで戦いが始まってしまう!まだモミジは家の中に居て見つかっていない。ここは相手の言うとおりに動いて…


「…なるほど了解した。それが貴様達の意思なのだな。こちらZ.Z7889…」


男がどこかへ通信を行なっている。…マザーか?もしそうなら望みはあるかもしれない。


「…了解しました。こちらで操作を行ないます。」


男は腕に付いているモニターを操作をし始める。その瞬間にアネモネ達のベルガー粒子が大きく乱れてその場に倒れ込んでしまった。


「アネモネっ!?みんなっ!?…何をしたッ!?」


間違いない!この男が操作をし何かをしたッ!!男が能力を行使したわけじゃないのに何故っ!?


相手のベルガー粒子の動きに異変は無いから間違いないのに…!


「答える必要はない。おい、こいつらを宇宙船へ運べ。」


男の命令で周囲を囲んでいた者達がアネモネ達の下へ集まり出す。今のアネモネ達は身体を上手く動かせなくなっていて抵抗が出来ない。強制的に僕達をネストスロークへ連れて行くつもりかっ!


「させないっ!」


別にこんな事象はなんてことない!ほんの数秒前までは元気だったんだ。数秒前まで戻すかあの男のモニターを破壊すればアネモネは自由になる!


「ーーー抵抗するかR.E.0001。」


男はアインがこちらに明確な敵意を向けたことを確認しモニターでアインを標的にし操作した。そうするとアインもアネモネ達のようにベルガー粒子が乱れる。つまり脳に異常が起き呼吸といった生命活動に支障が起きてしまった。


「がはっ…!?」


アインはその場で倒れ込み涙とヨダレを垂れ流す。最早立つことも出来ない。アインは急激な身体の異変に対応しきれず能力で打ち消すことが出来なかった。


「貴様達には生まれながらにして脳にはマイクロチップが埋め込まれている。操作ひとつでこのようになってしまう貴様達が我々に歯向かうなどと身の程を知るんだな。」


男は再度アイン達を確保するよう命令をし、マザーへアイン達を確保したと報告するのであった。

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