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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
5.終わらせた未来の軌跡
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ファーストコンタクト

キリが良いので短めに締めました

僕達は彼女からもたらされた情報に頭を悩ましながら付いていくことしか出来なかった。質問したいことは山のようにあったけど、その前に整理したい情報と感情が濁流のようにうねってしまい、そこで時間と思考を持っていかれる。そんな僕達の様子を面白そうに観察しながら先導する彼女はかなり嫌なやつだと思えてならない。


(…取り敢えずはもう能力を行使する必要はないかな。)


取り敢えずカイコガの周りを固定していた能力を解除するために地面へと落とした。遠くで何かが衝突する音が鳴ったけど誰も気にしていない。それならと思い固定した能力の効果範囲を狭めていく。


すると外側から固定が解かれて自身の重みで砕けていく。そして中央にあるカイコガのスペースの固定だけを最後にして完全に能力を解除した。これならカイコガが踏み潰されることはないと思う。徐々に解除したしカイコガの住処は糸で元々補強されていたからね。


僕がホッと一息をついたタイミングで先頭を歩く彼女が僕達に話しかけてきた。


「あっは〜無知とは罪で嫌なことだね〜。悩むがよろしい若人諸君。お姉さんは待っていてあげるからさ〜♪」


調子の良い挑発みたいな言葉に反応する余裕を今の僕達には持ち合わせていない。気が抜けたせいか戦闘の疲労がどっと出てきて歩くのもダルいのだ。


あれだけ建ち並んでいた建造物も消し飛び地面も溶けて凍ってを繰り返して乾燥しきっている。爆心地は確かこんな見た目をしていたな。


「あ、ここだね。ちょいちょい。」


手招きするおねえさん(自称)は地面に対して斜めに掘られた穴に入って僕達を寝招きする。…怪しすぎて逆に怪しくない。そんな気分になったせいか、特に反発もなく僕達はその穴に入り彼女の背を追うことにした。


穴は人が歩いて進めるぐらいの大きさで周りの土は固められているのか歩いていても足が沈み込むことはなかった。


「暗いね〜ちょっと待っててね。」


彼女はゴソゴソとしだし服の内側から小さな懐中電灯を取り出した。…最早驚くまい。ここに来て機械が出てきたとして僕達は何もツッコまずただ彼女の背を追い続けた。


「文明の利器だね〜。えっと〜〜〜お!居た居た!」


懐中電灯を照らした先には何故かカイコガが居た。…え?どういうことだ?ここにも居るなんて教えてもらっていないけど?


「この子は私が飼っている子なんで耀人は知らないと思いますよ。アマツに飼われている子の転移先は全て知っているのでね〜。」


さらっと耀人達の事情も知っていそうな発言をする彼女が恐ろしくて堪らない。こんな奴が地球に居たなんて…


「じゃあ私の家へご案内〜!どうぞどうぞ!」


カイコガの作った繭の中へ僕達は進んでいく。繭の先にはまた真っ暗な空間が続いており彼女の持つ懐中電灯で進んでいくしかない。


「どうぞ〜我が家へ〜〜。」


懐中電灯を持ったままクルクルと回って笑顔で我が家だと宣言したが、どう見ても真っ暗な空間しかない。


「えっ?…ここがそんなんですか?」


「うん!あ、ここは地下室だからね。今電気付けますよ〜。」


カチッと何かのスイッチを付けると証明が付いて部屋の中を照らした。天井は2メートルぐらいで部屋の広さは平方15メートルぐらいか?思っていたよりも狭いな。カイコガが繭の隣で寝そべっているよ。


壁には棚や箱のような物が無造作に置かれていて、あとドアが1つだけあってそれを彼女が開いて僕達を手招きしていた。


「いきなりだったからね〜片付けせずに迎えに行ったからさ〜。汚くてゴメンよ♪」


なんか…全体的に軽いなこの人。でもな…軽薄そうなんだけど油断出来ない感じがあるんだよな…。信用しすぎるのは駄目な気がする。


「…なんか流れで来たけど来て良かったの?」


「いや、私に聞かないでよユー。私も同じ感じで来ちゃったから…。」


ユーが隣に居たフェネットに声を掛けたけど、フェネットも流れでここに来たから誰もその質問に答えられない。


「取り敢えず行かない?あのまんまのポーズでずっと待っているんだけど。」


ナーフが顎で示すとおり怪しさ満点の彼女がドアを開いた体勢で僕達を待ち続けていた。…分かったよ。行くよ。


「は〜い、いらっしゃ〜い!歓迎するよ若人諸君!」


ドアは木製で出来ておりその先の廊下も木で出来ていた。どうやらこの建築物は全体的に木で作られているようだな。窓はガラス製で通路の途中に花が入った容器が飾られている。外の様子を見ると晴れ模様で草原と湿地が広がっていた。…ここってそもそも何処だ?


「8人もなると手狭だね。まあ狭かったら広げれば良いかっ!みんなここで住んでもらうしね!」


もうツッコむ元気はない。早く座って休みたいという気持ちで動いているからね今の僕達は。


通路を進んでいき左側のドアを彼女が開き、僕達を部屋の中へ招き入れる。部屋はそこそこ広い部屋でテーブルや椅子、あとは色々と本が仕舞われた棚が壁に沿って配置されていた。まるでシルバーの部屋に似ている。


「ここで待っててね。一応この家で一番広い部屋だけど椅子とか足りていないから床にでも腰を下ろしていてよ。今お茶を用意するからさ。」


彼女はそう言って部屋の外へ出ていってしまった。そこで僕達の疲労はピークになりお尻から床へ倒れ込んでしまう。…肉体的にも精神的にも疲れた〜。


「なんなんだよ〜この状況〜。」


エピは床の上をゴロゴロと転がり状況を飲み込めていない旨をアピールする。その様子にマイがイラッとしていつもの喧嘩が開始された。


「うっさい。みんなこんな事になるなんて思っていないから黙ってて。」


「でもよ〜〜なんなんだよあの女はよ〜。ネストスロークと連絡取り合っていて?俺達みたいな人間の姿なのに?ベルガー粒子はあの人型バグみてえだしよ〜〜訳分かんねえよ〜〜誰か説明してくれ〜〜…。」


確かに説明してほしい。そして出来ればネストスロークと連絡を取る手段を知りたい。彼女がネストスロークと連絡を取り合っているのなら間違いなく通信機がこの建築物のどこかに存在する。上手く聞き出して使えないものか…


「本当にあんたはうるさい。彼女が私達を招いたからには説明してくれるんじゃないの?それぐらい考えて喋りなさいよ。」


マイも言っている途中で面倒くさくなったのか床の上をゴロゴロとしだしだ。僕もそうしたいけど警戒を解くにはまだ早い。ディズィーやアネモネも警戒しているしここで寝るわけにはいかない。


敵地だと思って少しでも身体と精神を休ませないと。まだ味方だとは決まっていないから。


「あっは〜8人分の椅子も無いのにコップなんてあるわけないよね♪回し飲みしてねっ!」


お茶の入った容器とコップを持ってきた女はとても楽しそうにテーブルの上でお茶を汲み始めた。…目的が分からない。何だこの生き物?本当に人なのか怪しくなってきたよ。

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