見えぬ敵
すいません投稿しようとしたらエラー吐いてこの時間まで投稿出来ませんでした。何回かあるんですけどこれってサーバーのほうが問題なんですかね?それともこっちの端末に問題があるのかな?
空から来た飛翔体が何だったのかは飛来している時は分からなかった。目にも止まらない速度だったせいもあるけど全力で能力を行使しようとしたから見ている暇もなかったから。
(死ぬっ…!)
反射的に自分の周りにある空間全体に能力を行使する。この空間に起こる事象を脳内で認識し自分のコントロール化に置いた。そのおかげで飛翔体が建物に激突しても一切の干渉は起きなかったが、その飛翔体が異常な物で僕はディズィーと一緒に空中で固定させたそれを見て言葉を失う。
(な、なんだこれ…透明だけど…氷か?)
飛んできたのは僕がすっぽり入ってしまいそうな体積の透明な塊。氷がこの空間に置いて干渉することが無いからこの透明な固体からは冷気を感じない。だから確証は無いけど氷以外でこんな物はないよな…?
ネストスロークでは氷を見る機会なんて画像データぐらいだから初めて見た。地球には氷の大地があるってのは知っているけどこんな暖かい気候の地で?どう考えても普通じゃない。能力による世界への干渉が無ければ有り得ない現象だ。
「…能力だ。ここからじゃ見えないような距離から狙って襲ってきた!」
下にいるみんなは急いで建物の下へと避難していく。僕達が無事なのは分かっているから自分達の身を護る為の判断だ。なら今は自分達のことだけを考えていれば良い。
「俺はどうしたらいい!?遠距離からなら何も出来ん!」
ディズィーがテンパっている。僕も状況を理解するのに頭を使っているから上手いことを言ってあげられない。
「えっと、ここは僕の能力で守れるから能力を継続し続けている間はゲートでいつでも逃げられる。」
取り敢えず僕の知っている情報をディズィーに伝えて情報を共有しないとだ。話しながらだと自分でも状況を整理出来るから丁度いい。
「お、おう。それは良い話だな。それで?」
「24時間はここを離れていても問題無い。それまでは能力で守れる。だから24時間以内に目的の物を見つけてゲートで逃げる。それを念頭に入れて作戦を続行する!」
「オッケー!で、ここからどうする!?どうすればいい!?」
ディズィーがテンパっていて説明していても埒が明かない!ここは仕方ない…無理やり連れて行くか!
「僕と一緒に落ちるーー!!」
「え、マジかよっ!?うっわ〜〜!!?」
ディズィーの腕を引っ張って無理やりダイブした。すると僕達の身体は重力に引かれて地面に向けて落下していく。その浮遊感といったら…全く生きた心地がしない。自分が死に向かっているってのが良く分かる。全身の毛穴から脂汗が吹き出てきて最高に気持ちが悪い。
「ふんっ!」
僕とディズィーの軌道を固定し地面スレスレで止めてその後に能力を解除し、ディズィーを引っ張ってみんなと同じく建物の下の階へと避難していく。
「ヤバいヤバい!人型バグレベルの探知能力を持ったバグだ!」
開口一言目で襲撃してきたバグの危険度をみんなに伝える。とにかくヤバい状況だって理解してほしくて言ったけど、もっと言い方があったんじゃないかって言ってから後悔した。
「…どうする?戻る?」
アネモネは撤退を口にするが、それだと何しに来たのか分からない。
「ゲート周辺の空間は固定しているから24時間は壊されることはない。だからその時間を活用して通信機を探したいんだけどどうかな?」
「いや無理でしょ!人型バグと同レベルのバグが来たら探す暇もないでしょう!撤退しようよ!」
「どこに何があるかも分からない土地でそれは無理じゃない?いつものアインらしくない破綻した考えに聞こえるけどね私は。取り敢えず撤退してから作戦を練り直しましょう。」
ユーとナーフは異常なほど周囲を警戒しているディズィーの姿を見て敵がとんでもない奴だと確信し撤退を進言した。…ナーフの言うとおり確かに焦っていつもとは違う考え方をしているかもしれない。でも戻った所で問題は解決しない。
これ以上は耀人には迷惑を掛けられない。
「…ねえ、攻撃って止んだの?」
マイもディズィーと同じ様に周囲を警戒し空を眺めたりするが追撃はやって来ない。
「…見失ったのかな。ここからだと氷が飛んできた角度から死角になるし。」
ちゃんと飛来してきた角度を知っているのが僕だけだから分かるのは自分しか居ないけど、能力による攻撃ならそんな理屈を無視して飛来してきてもおかしくない。
「…ねえ、ちょっとみんな外に身体出さないでよ。見ていて怖くなるから。」
フェネットが身体を出して空を見ている僕とディズィーとマイの3人を建物の影に入るよう震える声で注意した。
フェネットみたいな小さな身体を震わせられるとこっちも困る。周囲の情報を集めない方がこの場合は危険だ。
「大丈夫だよ。ここも空間を掌握しているから壊されない。寧ろ誰も見ないままここに居る方が怖いよ。僕とディズィーはここで周囲の情報を集めているからみんなでどうしたいか話し合っていて。」
「ああ、俺は周囲が気になりすぎて会話出来ねえわ。本当にヤベー感じだったからな。」
昔はここまでディズィーの感覚は鋭くなかった。ディズィーはこの前の人型バグとの戦いで大きく変わったのかも。死に直面した時のストレスが彼の異形能力者としての感覚を成長させたのかもしれない。
「じゃあこっちはこっちで話しているから周囲の警戒をお願い。」
僕とディズィーを除いてみんなで話し合いが始まる。最初は撤退する意見が多かったけど、話し合いが進むに連れて待機する意見からもう少し周囲を探索しようという意見に変わっていく。理由は話し合っている最中に攻撃が来なかったからだ。
あの攻撃はたまたまだったんじゃないかって意見もあったけどディズィーが間違いなく敵意がある攻撃だったと反対してその線は無くなった。だけど攻撃が来ないのはこうやって隠れているからじゃないかって意見で纏まり隠れながら建物の中を探索する意見で一旦は話し合いは終了する。
「どうする?エピの能力で地中を移動出来れば最高なんだけど。」
「う〜〜ん…難しいなそれ。隠せることは出来るけど移動は無理かな。サイコキネシスでみんなを運んでくれるのらアリだけど。」
エピの能力は成長したとはいえコントロールはまだまだ甘い。そこを補助出来れば一番良いんだけどユーは自信が無さそうだ。
「さっき能力を使った感じだとみんな全員を同時に動かすのは無理かもしれない。コントロールが利かなくて最悪手とか足を…その、ポッキリと折っちゃうかも…」
パワーは前よりもあるけどこっちもコントロールが利かないか…どうしたものか。
「別に全員動かす必要無いでしょ?ユー1人の身体をサイコキネシスで動かしてみんなで捕まって動けば?」
「…アネモネ頭良いね。」
ユーはちょっと悔しそうにしてアネモネの方法を褒める。あれは自分で思い付きたかった顔だ。僕たちには分かるよユー。自分の能力って自分で良い運用方法を思い付きたがるからね。
「じゃあ取り敢えず状態が良さそうな建物を見つけて中を探索。探索するときはアインが常に能力で周囲を固定しながらみんなで固まって行動ね。それなら急に外から襲撃されても対応出来る。」
うん、この方法なら問題無い。特に反対意見も上がらないしこのやり方で探索をしよう。
「僕が安全に能力を使えれる状態までを時間制限にしよう。常に能力を使うなら多分一日も脳が保たないから。」
ただでさえゲートの周辺をずっと能力で固定しているからね。能力を使えている間がタイムリミットだ。
「それじゃあみんな、命懸けの探索を始めましょうか。」
アネモネの合図でエピは能力を行使し地面が柔らかくなっていく。風が吹けば地面に波紋が出来るほど柔らかくなった地面に僕達は次々とダイブしていき、ユーの能力で地中の中を静かに潜航していくのだった。




