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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
2.死神の猟犬
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歓迎会

これ二章終わるかな?

今日は用事があって第一部ビルの特定課にお邪魔しており、特定課課長から正装で失礼の無い格好で来るように厳命されている。


「あいの風。」


「あ、はい。」


未だに慣れないよこのコードネーム。私のコードネームを呼んだのは特定課の課長さん。課長のコードネームは知らない。みんな課長課長って呼ぶからもしかしたら課長がコードネームなのかも。


「今日は処理課に案内するから失礼のないようにな?本当に本当に失礼のないように頼むぞ!」


この腰の低さには日頃の苦労が読み取れて悲しくなる。中間管理職が1番苦労するって何かの本で読んだけど本当なのかも。


「分かりました。雪さんは付いてこないんですか?」


こういう時は雪さんが率先して案内してくれるイメージがあるからちょっと気になる。雪さんは苦笑しながら理由を説明してくれる。


「処理課には課長以上じゃないと行けないルールがあるの。私もいつかは行きたいと思っていたんだけど美世ちゃんに先を越されちゃった。」


「おい淡雪!ここではあいの風と呼べ!」


「外ではちゃんと呼びますよ〜。」


雪さんにあいの風って呼ばれるのはかなり何と言ったらいいか…違和感がすごい。


「というか処理課ってこのビルにあったんですね。」


今まで一度も処理課に行った事が無いし処理課の人とも直接会ったこともない。だけど本当は処理課の人達は能力で把握している。ここで知らなかったふりをすることで私のマッピングの範囲を誤認させたい。だからここは知らないフリをする。


「秘密組織って感じだからね〜。真ん中から上の階が処理課の管轄だけど処理課の人達が下の階に降りてくる事も無いから私達も全容がわからないの。」


それはそれは。先生から話を聞いた事はあるけどやっぱり行ってみないと分からないね。


「あ、課長そういえば“あいちゃん”の組織図の位置ってどうなっているんですか?」


「あいちゃん?ああ、あいの風か。そうだな…管理上ちゃんとした紙で渡されていないから私の記憶だよりなんだが…」


課長の歯切れが悪い。やめてなんか怖くなってきた。


「死神の下に位置していた。」


部屋の空気感が変わった。そして何故か課の皆さんがこちらを注目する。私が死神の下に配置される事に何か問題があるの?処理課で1番偉いんでしょ?


「あいちゃん…やっぱり恐ろしい子。」


「え!?何でですか!皆さんも何なんですか!」


「あのね死神は今まで誰かの下についた事も部下を持った事も無いの。」


「え?先生って1番偉いって雪さんが言ってたじゃないですか。」


「死神は特別なんだ。組織に所属してはいるが基本的にフリーの殺し屋なんだ。誰も命令出来ないし誰の指図も受けない。それでも偉いのは実績があって死神無しではこの組織自体存在していなかったからなんだ。」


課長の説明に疑問を感じる。あれ?組織って昔から存在していたんだよね?先生って一体何歳なんだろう。話し方から私よりも年上だと思うけどそこまで年齢が行っているようにも感じないし。


「時間だな…あー行きたくない行きたくない!あいの風!やっぱり1人で行かないか?」


「課長早く連れて行ってください。」


特定課から処理課に向かうエレベーターは1つしか無く課長と私は操作出来るが他の一般の職員は操作出来ないようになっている。


[課長 あいの風 計2名 乗車 目的階 50階]


このビル50階に処理課があるの?私の【探求(リサーチ)】が正しければ最上階だよね?社長とか居るのかな?


「おい!私の表記が課長になっているぞ!」


やっぱり課長は課長だった。今日から課長って言い続けよう。


このエレベーターが到着階に着いた時の音好きなんだよね。私結構の音フェチかも。そんな事を考えているうちに扉が開かれ、その先には別世界が広がる


このビルは内装にお金と時間をかけていると思っていたがここのフロアは断トツでお金がかかっている。“視界”で見ていたから分かるけど天井が高い高い。噴水もあるし鳥が飛んでいる。未だに鳥とかの小動物はハッキリとシルエットを認識出来ない。前よりは分かるけどね。


「本当にここは金がかかっている。」


課長の意見に賛成だ。地面に土が敷かれていてブロックで道を作っている。この道を進んだ先に9人の能力者が居ることが分かるけど…絶対に強キャラが待ち構えている。お決まりだもん!


暫くは課長と動植物園のような有り様の道を進んで行くとお茶会を楽しんでいる団体が見えてくる。優雅なのか馬鹿なのか判断に迷う。判断が遅い!


「やあ!課長、案内ご苦労様でした。後はこちらで引き継ぎますのでご退席を。」


「はい!分かりました!失礼致します!」


今日1番の発生とお辞儀をかまして風の様に去っていく。私は課長の背中を追うように振り返る。一人にしないでー!なんかみんなキャラ濃そうだもん!陰キャには無理だよ!


背中に視線が突き刺さっているので振り向くと品定めをするように上から下まで見られる。


(な、なんだよ…見るなよ…)


どうしたらいいか分からずに立ちっぱなしでいたら声がかかった。


「座ったら?」


「あ、はい。」


お茶を楽しんでいる貴婦人に援護射撃をしてもらったのでこの女性の近くに座る。この人は雪さんと似た雰囲気をしているから私を守ってくれそう!20後半ぐらいの女性でかなり美人。それに座っていても体幹の良さが分かるぐらいに姿勢が良い。


「砂糖とミルクはいるかい?」


ティーポットを持った男性が私に話しかけてくる。かなり優しそうな見た目で年は20代前半か…後半かな?かなりのイケメン力を持っていて目が潰れそうだ。見た目だけで凄く誠実そうななのが伝わって来る。


「あ、はい。」


「あいの風、ちゃんだよね?高校生だって聞いたけどマジなの?」


髭を生やしたちょい悪オヤジがテーブルに肘を置き前屈みになりながら質問してくる。うーん数々の女性を泣かしてきたような感じのする40代男性だ。


「あ、はい。」


「何で処理課なんかに来たの?非接触型探知系能力者なら特定課でも良かったでしょ?」


ポニーテールが似合う高身長の女性から結構キツめの表情と口調で答えにくい質問をされる。


「あ、はい。」


「皆さんあまり質問してばかりではあいの風が可哀想でしょう?」


貴婦人さんが再び援護射撃をしてくれる。優しい!もう好き!絶対に連絡先を交換してもらおう!


「そうですよ皆さん。今日はあいの風の歓迎会も兼ねているんですから。」


紅茶を用意して私に渡してくれるイケメン。行動も性格もイケメンとかイケメンじゃん?逆に裏がありそう…疑り深い美世ちゃんは確信する。こいつ絶対にラスボスだったりするやつだよ!


紅茶を受け取り口に運ぶ。うっま!何これ午後ティーが霞むレベルで美味い!ゴクゴクゴクゴク!


「俺はそんなつもりで来たわけじゃあねえけどな。」


筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ!!みたいな見た目の怖い兄ちゃんだ。割と最初から睨まれていたけど気にしないようにしていた。どうやら私の事は歓迎してくれていない様子。


「“炎天(えんてん)”そんな言い方は無いだろう。彼女に謝罪しなさい。」


イケメンが立ち上がりマッチョマンを睨む。やめて!空気が!空気が悪いよ!しかも私のせいみたいで居心地悪いよ!


「“宵闇(よいやみ)”テメーは引っ込んでろ!」


私は無関係そうな顔をして紅茶を楽しむ。紅茶美味しい心ぽかぽかする。もうやめて。


「死神が連れて来たとかよーこっちは知ったことじゃねえんだよ。処理課はエリートの集まりなんだよ。しかもあの訓練を乗り越えねえと組織から認められねえ…それをコイツはコネだけ入ってしかも俺達より上とかふざけんじゃねえ!」


「あ、はい。」


そうなのか私はこの人達より立場が上なのか…そうか。


(え!?先生そんな事聞いていないよ!?)


そりゃあ面白くないよ!ぽっと出の高校生に上を立たれたら絶対に反発するよ!


「はい、じゃあねえだろ!!」


炎天だっけ?文字通り熱くなりやすいタイプか面倒だな…周りも静観して私の反応を見ている…うーん、どうしたもんか。


「あのー炎天さん?」


「新入り!様を付けろ様を!炎天様の前だぞ!」


炎天の隣に居る神経質そうな男に注意を受ける。誰だコイツ?


「え?柱の人ですか?ちょうど9人居ますし炎柱様ですか?」


クスッと二人ぐらい笑い出す。流石ジャンプネタ、こんな場所でも伝わる。


「おい、ふざけるのも大概にしろよ。」


炎天が一瞬で私の目の前に現れる。テーブルの上に靴で上がるなよマナーがなっていないな。


私は炎天を気にせずに紅茶を口に運ぼうとしたが、私の紅茶が叩かれて床に落ちる。もったいないな…まだ飲みかけだったのに。


「死神も老いたよな?こんなガキを下に付けてよー。見た目はまあまあ良いから愛人枠で入れたのか?」


炎天と取り巻きの男がゲラゲラと笑うが私は気にしない。愛人枠でも隣に居られれば嬉しいからね私は。


「なあ、あいつと寝たなら死神の能力とか知っているんだろ?なあ教えろよ。そしたら俺がお前を飼ってやってもいいぜ。」


前に先生から私達の繋がりと能力を探ってくる奴が居たなら処理していい、と言われた事を思い出した。


「死神も噂ほどじゃ無いのかもな。こんなのを側に置くほどだ。どうせ暗殺を恐れてこいつを利用しているに違いない。なあそうなんだろ?」


炎天がニヤニヤとしながら私にそう告げた瞬間、一気に頭に血が登ってベルガー粒子が身体中から放出される。それに反応して周りの人が立ち上がって私から離れる。左手に凄まじい力が入って骨が軋む音が鳴り、そしてその日初めて私と炎天との目が合う。


「あ?」

最近土日が忙してくて中々ストックが作れません。助けて。

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