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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
5.終わらせた未来の軌跡
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連れられ進む森

ユニーク数が25000人を超えました!これからも毎日投稿を頑張っていきます!

言葉によるコミュニケーションのおかげか、ある程度の信用を得れた僕達は彼女達に引きつられて森の奥へと進んでいく。どうやら自分達のオサと呼ばれる人に会わせるつもりらしい。


「スマカッタ。」


「スマ…?あ、すまなかった。大丈夫気にしていない。僕こそすまなかった。」


多分先に攻撃したことに対して謝ったのかな。あれぐらいの攻撃は簡単に防げるけど、当たりどころが悪かったら大怪我してしまうのは確かだった。向こうも驚いたんだと思う。いきなり耳も尻尾もない自分達に似た生き物が居たらバグだと疑ってもおかしくない。


「なんか普通にアインが通訳として喋っているけど、アインがこの中で一番口下手じゃない?大丈夫かな。」


「余計な事を言わなさそうだからいいんじゃない?」


…後ろから心配そうにしている野次が飛んでくるけど、相手も口下手そうだし口下手同士相性が良いんだよ多分。


「オマエウチュ、キタ、イッタ。それ…ーー?」


最後のほうが分からないけど文の流れから宇宙から来たのは本当かって事を聞いているよねこれ。


「うん。えっと…宇宙から落ちる光が見えたりした?」


僕達が補給船に乗ってきた時に見えていたならそれが証拠になるけど分からないか。しかも反応を見るに僕が言った言葉の意味が分からないパターンか。早く僕達が使っている言語が理解出来る者に会いたいな。


「ココ、キケン…テキ、マモッタ。」


獣の耳をひょこひょこ動かす少女についていくと緑色の円錐状の植物らしきものが生えた一帯に辿り着く。これは今までに見たことがない植物だ。


「竹っていう植物だぜこれ。前に画像データで見たことがある。」


「エピ知ってるの?」


彼の知識量には驚かされる。でもこういう時はあまり活かされないのが通例になっているからな…


「ああ、生命力が高くてすげー速さで成長する植物だよ。土の栄養を独占するから竹が生えてる所って他の植物は生えないらしい。」


確かにエピの言うとおりこの辺りは竹しか生えていない。さっきまでは他の植物が生えていたのに見えない境界線があるみたいだ。


「クル。」


「来いってさ。」


先頭を歩く3人について行き僕が一番最初に竹林へと足を踏み入れた。するとその瞬間に地面から先端の尖った緑色の竹が生えてきて靴の裏に衝突する。その反動で急激に足が持ち上げられた僕の身体は後ろの方へと倒れてしまう。


「「「アイン!?」」」


僕の後ろを歩いていたアネモネ、フェネット、エピに身体を起こしてもらい竹林から距離を置く。こんなものが昔から生えていたのか…危なかった。下手すると身体に突き刺さって死んでいたかもしれない。硬い靴の裏に当たったから運が良かったよ。


「なっ!?ーー!!ーーーー!?ーーー!!」


先頭を歩いていた3人は予想外の出来事だったのか、とても驚いて生えた竹の周りをぐるぐるとしだす。…彼女達にとっても予想外だったのなら故意ではなさそうだね。


「待って…この竹ベルガー粒子が纏ってる。…バグよこれ。」


アネモネの言うとおり生えたばかりの竹にはベルガー粒子が纏っていて、この事象は能力によるものだと判明した。つまり僕を殺そうという意思がある植物型のバグだったわけだ。


「ならなんで先に行ったあの子達は無事なの?生えていないよね?」


これは試す価値があるね。僕は自分の身体にベルガー粒子を纏わせて軌道を固定させた。その状態でまた竹林に入ってみると…足の裏に衝撃を感じたと思ったら竹が裂けながらも伸びてきて、見上げると高さ3メートル程度まで成長していた。…良く見ると周りの竹の先端にはかつて生き物であった残骸が残っている。もしかしたらああやって養分を得ているのだろうか。


「…急に足で確認するの止めてよ。心臓に悪いわ。」


「あ、ごめん。気になっちゃって。」


相談なしにやったせいでアネモネ達に責められたけど、試したおかげでバグの特性を知れたような気がする。


「ボク…バグ、です?」


「違う違う。この竹って君たちには反応しないようだけど、反応するのは上で貫かれたバグ達だよね?」


指を指すと皆が上を向いて竹に貫かれたバグを確認する。


「これっておかしいよね。地面を踏んだ衝撃とかで反応していないってことだよ。…多分()()()()()()()()()()()()。この竹は僕のベルガー粒子を()()して貫こうとしたんだと思う。」


人間とバグの唯一の共通点であるベルガー粒子、これに反応しているのなら彼女達に反応しない理由が説明出来る。しかし…この理屈はバグが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「…奴が僕達を見つけて襲撃出来た理由と、先輩達を正確に見つけ出して襲撃出来た理由がこれで分かった。バグはベルガー粒子を探知して人間を襲っている。だから彼女達は生き残っているんだ。…ベルガー粒子が無いから。」


「なるほどね…ベルガー粒子が無いってことは能力が使えないってことなのに、なんでこのバグが支配した地球で生き残っていたのか疑問に感じていたけど…厄介ね。」


バグの生態について色々と分かってきたけどアネモネの言うとおり非常に厄介な生態だ。僕達はベルガー粒子を操るが粒子そのものを無くしたりは出来ない。つまり常に自分達の位置をバグに知らせているようなものだ。特にベルガー粒子量の多い僕とアネモネが標的になるだろうね。


「ーー?」


「ーーー、ーーー。」


あ、僕達の話分からないよね。ついこっちで話し込んでしまったけど、彼女達に案内してもらっている最中だった事を忘れていた。


3人は獣のような耳をひょこひょこさせ尻尾を上へ立てながらこっちを見ている。


…彼女達は僕達とは違う進化を辿った人類種ということだろう。ここからは僕の憶測になるけど千年前、地球に残された人類はずっと隠れて生きていた。それでもバグに見つかって数を確実に減らしていったと思う。


ベルガー粒子の多い能力者が見つかりやすいから最初に殺されていき、次第に能力を使える人類は地球上から消えていった。残った人類は能力が使えないベルガー粒子量の低い人間ばかりで、その者達の間に出来た子供もまたベルガー粒子量の少ない人間。


その為残った人類はバグに見つかりづらくなっていき、千年もの間に交配を続けていった結果ベルガー粒子が存在しない人類が誕生し、バグに人間と認識されない人類としてこの時代まで生き残っていた…大筋はこんなところだろう。


分かれた人類種…“セパレート・インフィニティ”と今は仮呼称し、彼女達をそう呼ぼうと思う。


「えっとエピ、お願いがあるんだけど。」


「え、俺?…ああ、そういうことね。」


エピが竹林の近くに寄って地面に手を当てる。そしてベルガー粒子を浸透させていくと…


「ーー!?ーーーー!!」


竹林に生えていた竹がズブズブと地中の中へ沈んでいき、その地面に立っていたセパレート・インフィニティの3人が慌ててこちらへと跳んでくる。その頃には数メートルもあった竹が完全に地中へ没んで、真っ平らな地面の道がずっと視界のずっと向こうまで…あれ?エピの射程ってこんなにあったっけ?


「マジか…出来ちまったよ。」


能力を使った本人であるエピですら想定以上の結果だったらしく、信じられないといった反応を見せた。人型バグとの戦闘で能力が大きく伸びたのかな。ストレスが一番能力を成長させる要因だからね。死の危険を感じるストレス程強いストレスはない。…つまりエピ以外のみんなも能力が成長しているかもってことだよね。

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