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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
5.終わらせた未来の軌跡
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工作活動

シルバーの協力を得られた僕達は倉庫の鍵を開けてもらい、目的の爆弾を手に入れる事が叶った。


「ここの爆薬は採掘用のダイナマイトが主だ。戦闘用の手榴弾は少しあるが、これで勝てる相手ではないんだろう?」


あのバグ相手では手榴弾を投げようとした所で向こうの精神支配の方が早く飛んでくるだろう。設置できるダイナマイトのほうが今回の場合効果を発揮する。


「手榴弾って爆発するとこの金属部分が辺りに飛んで対象にぶつかるような仕組みですよね?」


「ああ、ネストスロークで習った通りだが、こいつにはそこまで殺傷力はないんだ。バグに対しては目眩ましや音で方向感覚を奪ったりするのに使う。」


へーそれは良いことを聞いた。音か…習っただけで実際には爆発させたことが無いから貴重な情報だ。


「…使えそう。」


「だね。」


アネモネもこの仕組みが使えると睨んだか。範囲が広がるのは良いね。


「ねえ、これって私達だけでやるの?人手が多い方が良いよね?」


「フェネット、一人ひとりにハッタリをかますだけの時間が無いからシルバーにお願いして先輩達には丘の方へ行ってもらうように話をしてもらったばかりじゃない。」


「でも〜本当に私達で勝てるのかな。少しでも勝率を上げるにはやっぱり人手が…。」


フェネットの言い分も分かる。でも本当に僕達には時間が無い。一人でもファグのような奴が居たら計画が破綻してしまうし、ファグがこのあとどうなるのかを見られたくない。だからここに居る僕らでやったほうが後々のことを考えると都合が良かったりする。


「アインの話では丘の方からは人型バグは来てなかったんだし、そっちに先輩達という戦力を置いておくのは別に間違った考え方ではないでしょう。」


「マイ…お前、頭良かったんだな。」


「殴るよ?」


マイとエピのいつものやつを見れた。これを見ないと一日が始まった気がしない。


「よくやるよこの2人。もうバグとの戦争中だけど?」


「もうじゃなくてずっとでしょ。」


ユーとナーフが爆薬の入った木箱を外へと運び込みながらエピとマイにからかい半分、説教半分の言葉を投げかけた。


「爆薬を埋めるのはエピでしょ。ほら、さっさと行く〜。」


「分かってるから押すなって!」


エピの能力ならすぐに掘って爆薬を埋められるだろうから良い配役じゃないかな。問題はバグに気付かれないように配置をどうするかだ。


「どこに埋めるかはアインが指定して。人型バグが立っていた大体の位置は分かるでしょ?」


「うん。でもアネモネ、あの時とは条件が違うからどうなるかは分からないよ。」


「なら広範囲に仕掛ける?威力が分散してしまうけど。」


「う〜〜ん…それは本末転倒な気がするけどなー。威力が足りないとそもそも爆弾を仕掛ける理由が薄れちゃうし。」


「ならユーと私で密閉空間を作ってから起爆するのは?空気を閉じ込めてユーのバリアで蓋をすれば無駄が無くなる。」


「…バグがベルガー粒子を見れないって可能性に賭けるのならいいんじゃない?」


かなり良い方法だけど、もし僕がバグの立場なら辺りにベルガー粒子が舞っていたら近付かないだろうな。


「…一点狙いで行きましょう。もし間違ったらその時はその時で。最後は私達の能力でどうにかするしかないわ。」


あれと能力でやり合うのは本当に最後の手段だな…。僕とアネモネの能力ならある程度はダメージを負わせられるけど、他のみんなはあれに対抗する術がない。有効打点も出せるのかな?結局本体には何もせずに逃げたからな…。


「じゃあ仕掛けてくるからアネモネは基地内をお願い。」


「機械関係はそこまで詳しくないから早く終わらせてきてね。私に任せたら酷いことになるから。」


「分かったよ。」


アネモネと別れて建物の外へと出ると、手分けして運んだ爆薬が一箇所に積まれていた。


「おーいアイン!どこ爆薬仕込むんだー?」


エピが張りきって地面の上をうろちょろしているの見て少し肩の力が抜けた。あと数時間もしない内に人型バグが来ると考えていたせいでちょっと気を張りすぎていたかな。まだ集中しすぎる必要はない。焦らずに準備を終わらせよう。


「えっと、敵は多分丘の反対側から来ていたと思うからね。それで見晴らしが良いところだと…ここかな。」


車が走れるような広い所に爆薬を設置しようと思ったけど広すぎたか?もうちょっと範囲を絞って…


「えいっ。」


考えている内にエピが地面に手を当てて能力を行使してしまった。エピが触れている地面が次第に波打っていき土が液状化していく。


「深さは?」


「え、あー爆薬があれぐらいなら1メートルかな。」


「あいよー」


そう言ってエピは地面の中に腕を突っ込んでかき回していく。…相変わらず凄い光景だ。


「こんなもんか…良し。」


腕を地面から引っこ抜いてもエピの腕には土が付いておらず、腕を抜いた反動で地面の表面が水面のように波紋を作りだしていた。


「これどんな能力だっけ?」


どうやっているのかまるで分からない。ベルガー粒子を地面に溶かして混ぜているように見えるけど。


「んー?俺もよー分からん。分子同士の配置や動きをどうとかこうとかって言われたような気がする。」


「全く説明になっていない説明ありがとう。」


「いやめっちゃ難しい事を言われたんよ!原子の動きを観測出来る装置とか俺に使わせてもらえる筈無いし、実際にどうしているかは観測したことねえのよ〜!」


「あ、うん。爆薬落とそう?」


エピのこういういい加減な性格嫌いじゃないけど、ここが信用しきれない部分だったりする。そこがエピらしいんだけどさ。


「ディズィ〜〜アインの反応がおざなりだよ〜〜!」


「おざなりなのお前の性格だろ。よっと!」


ディズィーが爆薬を柔らかくなった地中へどんどん落としていく。水のような液体なのに音が土のそれだ。なんだこれ面白いな。


「…おもろ。」


ディズィーが僕と同じ感想を得て爆薬を落とすペースが早まる。僕も一緒にやろうっと。


「起爆ってどうすんの?」


ナーフとユーが額の汗を拭きながらこっちに近付いてくる。ユーの能力を使えば簡単に運べるけど、まだ脳への負荷は掛けたくないから能力を使わず手作業で運んだせいで暑そうだ。


「手榴弾って考えたけど、それだとちょっとタイミングが難しいから信管を使った地雷式で行こうかなと。」


「なにそれ?」


「僕も詳しくないからシルバーにお願いしたよ。アネモネがその手伝いに行ってる。」


「そうなんだ。あ、爆薬の上に金属片と手榴弾を載せるんだよね?」


「うん。少しでも威力を増して広範囲に爆発を食らわせたいからね。」


手榴弾は爆発の勢いで金属片を撒き散らし殺傷力を高める。その理屈を利用して爆発の上に金属片と手榴弾を載せて起爆する。そうすればあの人型バグにも効果的な威力を発揮するはずだ。


「餌の方は?食いつくかな。」


餌って…まあその通りだけど。ナーフはファグの事をどうでも良いと考えていそうだけど、今回の作戦はかなり非人道的だ。良心の呵責で抵抗があるかなとも考えたけど、みんなの感じだと本当にどうでも良さそう。


「活きがまだいいからね。暴れると悪いから気絶させてあの上に放置かな。起きて騒いでも身動き出来ないように縛ってさ。」


気持ちはさながら魚を釣りする時のような気持ちだ。あれは楽しい。でも魚型バグがたまに水から出てきて噛み付いてくるのがよろしくない。


しかも能力で空を飛ぶ奴と出会ったときの衝撃は凄まじかった。十秒ぐらい飛び回ったところで酸欠になり地面に落ちた時とか特にね。


「じゃあみんなは設置が終わったら食堂へ。僕はアネモネ達の進捗を見てくるよ。」

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