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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
5.終わらせた未来の軌跡
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将来の進路

アインと美世は結構考え方とか寄せて描いています。性別が違うんで印象とか違うんですけど。

能力に目覚めてから10日が過ぎた頃、自分の意思で能力を行使する範囲を決められるようになっていた。能力の測定のたびにネストスロークが停止状態になることもなくなったのが本当に、本当に良かったよ。マザーAIに毎回機能を停止させていると聞かされた時は心臓が止まるような気持ちだったから。


あ、あとマザーからは能力の話をしないように厳命されたんだけどアネモネは僕が能力の測定に行く度に停電になるから僕が原因であることはすぐにバレてしまった。アネモネは他の個体達とはやっぱり違う。考え方もそうだけど見ているものが違う。


悪い言い方をするとネストスロークに従順ではない。寧ろ疑ってかかっているような言動が見られる。…本当は報告したほうがいいんだと思うけど、自分には出来なかった。彼女が悪い不良個体とはどうしても思えなかったから。


彼女は最近他の個体とも話すようになってきたし僕よりもコミュニケーション能力は高い。能力も凄いしこれから先はきっと良い役割を与えられて幸せに暮らすだろう。


「今日は皆さんにお渡しするものがあります。大事に保管しておいてください。これが証明書の代わりにもなりますので。」


授業を受けようと机についていた僕達にAIはあるのもを渡した。かみ…というものらしい。初めて触るさわり心地で今着ている服と似てペラペラしていて面白い。…上の階層に行けばもっと面白いものがあるのだろうか。


「封筒の中にはあなた達の今後の進路が書かれてあります。中には複数の進路から選べるものもいれば一つしか進路がない者も居ます。」


そう言われた瞬間から教室内の空気が変わる。自然と笑顔が消えてまじまじとフウトウと呼ばれたこの紙に目線が向く。…自分たちの今後が記されている。どうあがいても自分達はこの紙に書かれた道を行くしかない。


「皆さんは能力に目覚めて確定し我々は全て観測しました。そしてそれらの情報をマザーAIが選別しあなた達に進路としての結果をその封筒に封入し、今あなた達の手元にあります。」


そう言われても誰も封筒を持ったままで中身を見ようとはしない。あれだけ将来について笑って語り合っていたのに……。


「今日一日は自由時間を取ります。今日中に中身を確認し進路を決めてください。後日確認をします。」


そう言い残しアナウンスはそれ以上何も言ってはくれず僕達は自然と食堂へと集まったのだった。


(殺処分…とかではないよね流石に。)


やらかしている自覚はある。何回マザーAIに迷惑をかけたのか分かったものじゃない。だから可能性はゼロじゃない。調整…という進路もあるのか?コミュニケーション能力は壊滅的だしネガティブな思考パターンを持っているし愛想もない。


「んーー…」


「何悩んでいるの?進路のこと?」


考え事をしていたらアネモネが隣の席に座っていたことに気付かなかった。…椅子を引く音していたっけ?


「進路もあるけど…自己評価についても悩んでいたよ。」


「ふ〜ん。そうなの。」


興味無さそうなのになんで聞いてきたんだろう。


「アネモネはどう?進路とか悩まないの?」


「悩まない。やりたいことはずっと決めていたし向こうが出した就職先とかどうでもよかったから。…アインはどういう進路を示されて悩んでいるの?」


「…実はまだ見ていない。でも僕も進む先はずっと前から決めていたからそこに関しては悩んでいないよ。」


「なら早く開けちゃいなよ。」


アネモネはそう言ってテーブルの上に置いていた封筒を取り上げて封を開けてしまった。


「なにやってんの!」


声を上げたせいでみんなの視線が僕とアネモネに向いて注目を集めてしまった。


「ねえ開けるらしいよ。」


「ほんと?」


「…なんて書いてあるんだろう。」


みんなテーブルの上や手の中に封筒を置いたまま誰も開く人が居なかったから、開けると聞いて興味津々に僕とアネモネの座っているテーブルの周りに集まってくる。


勘弁してよ……人に見られるのは苦手なんだよ。


「アネモネ人のを勝手に開け…」


「もう遅い。」


アネモネは僕の静止を聞かず封筒の封を開けてしまっていた。…汚い開け方をしたせいで封筒が斜めに破れてしまっていてとても嫌な気持ちになる。せめて丁寧に開けてほしかった…。


「…これかな。」


アネモネが封筒の中から何枚かの紙を取り出してみんなに見えるようにテーブルの上に置いた。どうやら裏表があるらしく何も書いていない裏の方を上にしてまだ内容が見えないようにしている。


「「「「おおおぉ〜。」」」」


過去最高の盛り上がりを見せる食堂。そして過去最低のテンションの僕。もしかしてみんなの前で今から僕の進路を晒される?


「こういうのは一人で見るもんじゃ…」


「確かR.E.0001だよね?ファーストナンバーの進路を見れるなんて貴重な体験かも!面白くなってきたな〜。」


えっと誰だっけこの人。確か…たまにアネモネと話している個体だったはず。金髪の髪に小柄な体格、…フェネットと呼ばれていた記憶がある。いつの間にか僕とアネモネとの間に椅子を持って座っていた。


「あーフェネットだっけ?」


「あ、私の名前知っていたんだ。いつも誰とも話していなかったから誰にも興味ないんだと思ってたよ。」


まあ…間違っていないのかな。そこまで興味が無かったから誰とも話していなかったのかも。話そうとも思わなかったし。


「…そろそろ裏返すよ。」


不機嫌そうなアネモネのジト目を向けられて何故か悪いことをしてしまったような気がしてしまう。どう考えてもアネモネが悪い事をしているのに。


「ふぅ…。」


アネモネが息を吐くと自然とザワザワしていた周りが静かになっていく。そしてアネモネが紙に手をかけると緊張した空気が流れる。…まさかこんな風に見ることになるとは予想していなかった。


「裏返すね。」


紙を裏返し表の面が上になってみんなの視線が紙に注がれ…


「え?」


そんな間抜けな声がポツリと聞こえた。僕もみんなも同じ感想を抱いただろう。だってアネモネの手にあった紙が無くなってしまっていたからだ。


「…アネモネ、どこにやっちゃったの?」


フェネットがアネモネに話しかけたけどアネモネは今の現象を目にして固まっていた。


「…あったよね?」


「うん…あったけど無くなっちゃった。」


「どういうこと?」


「誰か隠した?」


さっきとはまた違うざわつきだ。みんな期待していたのに紙が目の前から無くなってしまった。どこにいったかテーブルの下を覗く者も現れたけど、僕にはそれが見えてしまい原因が分かってしまった。


「…アネモネ、封筒返して。」


「え?あ、うん…ん?」


アネモネは最初気にした様子もなく言われた通り封筒を渡してくれたけど、()()()()()()()()()事に気付き手の動きが止まった。それでも僕は奪うように手にとって懐にしまう。


「え、なに?今のアインがやったの?」


気付かれてしまった…無意識で能力を行使してしまった。ここでの能力の行使は禁止はされていないけど推奨はされていない。みんな行使しないように気を付けているのに…。


「え、なになにっ。アインが隠したのっ?」


「多分だけどね。どうやったのか分からないけど能力だと思う。アインのベルガー粒子が少し乱れてるから。」


そんなことを言えばみんなが僕のベルガー粒子を見て観察してしまう。…マズいよこれ。マザーからは僕が能力を行使すると観測したものにも干渉してしまうって言われていたのにっ…。


「マジかよ…すげーな。」


「ファーストナンバーなんでしょ?どういう能力なんだろう…。」


「なんかもっと気になってきたな。」


ヤバいヤバいヤバい…!自分のせいでもっと注目を集めることになっちゃったよ!

そろそろ雪とか無くなってきて過ごしやすくなってきましたね。こういうときは事故とか病気とか多くなるらしいので皆さんもお気をつけて。

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