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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
4.血の繋がった家族
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母と父

投稿したつもりが出来ていませんでした。エラー落ちというオチ。

父の反応を見るに…お母さんの事は見えていない。見えていたら呑気にソファーに座ってテレビなんて見ていないだろうし、あの人がキッチンでご飯の準備はしていないと思う。


「……今日はね、バイトも無かったしテスト勉強したかったから。」


「…そうか。だったら自分の部屋で勉強してきなさい。」


勉強は別にしたくもないしここを離れる訳にはいかないでしょう。


……さっきから背中からの汗が止まらなくて気持ち悪い。


シチュエーション的には父と母の感動的な再会の筈なのに全く良い感情が1つも湧いてこない。だってこの空間には父の再婚相手が居て、2階にはその息子が居る。気まずいとかそんなレベルでは済まされない状況と緊張感だ。


お母さんはさっきから笑顔を私に向け続けていて直視出来ない。あの笑っていない目を見る事が出来ない…。


「美世どうしたの?そんなに緊張しちゃって。ただ家に帰ってきただけじゃない。」


だったらなんで視認されないようにしてここに居るの。なんでお母さんはここに来たの。


疑問はつきないけど……答えは知りたくない。だけど知らないと対処出来ないから聞くしかない。もう迷っているする時間はないのだから


『お母さんの家はここじゃないでしょ。早く帰ろうよ。あとでそっちに帰るから。』


私はこの家と自宅のマンションを行き来している。流石にどっちかの家に居続けることは出来なかった。


「…………」


無言の笑みに私は気圧される。あの笑っていない青い目が怖い。今のお母さんは何をしだすか分からないから、私が目を離しちゃ駄目なのに目を合わせられない。


「美世、まだ何か用か?」


父もあの人も不審がって私を見る。普段の私ではあり得ない行動を取っているからだろう。でもそれはお母さんも同じ。なんで今日に限ってここに来たのだろうか。


「今日ね……結婚記念日だったの。流石にお線香ぐらい上げてくれていたけど、2人仲良く話していたから来ちゃった。」


そうなんだ…今日が2人の結婚記念日だったなんて知らなかった。お母さん達が祝ったりしていた記憶が無いから知らなかったけどお母さんも父もその日を覚えていたんだね。


『………未練とか、あるの?それとも…………怒ってる?』


浮気をしていた父と自分の代わりにこの家に居座っているあの人を。


お母さんは父の事を好きではないんだと思っていた。夫婦仲は良くなかった……ううん、悪かったと思う。父とお母さんが仲良さそうにしている所を私は見たことがない。


「え?なんで?この人に未練なんて無いわ。まあー少し怒りを感じているけどね。でも私の美世をここまで育ててくれた事には感謝してるから。だから美世の心配しているような事はしないわ。それは約束する。」


それを聞いて胸をなでおろす。ここで父を殺すんじゃないかってヒヤヒヤしていたから。


「おい美世、体調悪いのか。病院行くか?」


私がいつもと違う様子に父が私を病院へと連れて行こうとする。違うから!寧ろあなたが病院送りにされないかこっちが気にしてたんだから!


「ううん、ちょっとね。体育がマラソンだったから疲れちゃっただけ。ちょっと頑張りすぎちゃった。」


私は出来るだけ自然に笑顔を作って父に嘘をついた。そしたら父はたいそう驚いた顔で私を怪しむように顔を覗いてくる。あの人も私の笑顔を見て菜箸を床に取り零した。


(あ、やっちゃった。)


私がこの人達に対してこんな笑顔を向けた事がないのになんで笑顔を作ってるんだ私は。怪しまれるのなんて少し考えたら分かるだろうに。


「あっ…あーー部屋に戻るね。勉強しないと…」


私はすぐにリビングから出ていって階段を上っていく。


『お母さん付いてきて。お願いだから。』


「…ええ。美世のお願いなら聞いてあげないとだからね。」


良し、お母さんはついて来てくれている。またあのリビングに死体が置かれるような事態は無くなった。最悪の展開は回避出来たと考えていいのかな…。


「ふぅー……お母さんちょっと話があるんだけど。」


部屋へと入り私はドアを閉めてベッドに座り込む。するとお母さんが()()()()()()()()()()()()()()()()


今のお母さんに干渉出来るものは私と先生ぐらいなもの。ああやって壁や物体に干渉されないように出来てしまう。つまり透明人間みたいに見えなくもなれるし幽霊みたいにすり抜けたりも出来る。今のお母さんに壁や床なんて関係ない。


でも制約は存在する。お母さんは私が訪れた場所にしかいけない。その存在を確定させられないからだ。だから私が行ったことのない場所にはお母さんは行けない。


だけど逆に言えば私の行ったことのある場所にはすぐに行ける。こうやってすり抜けたり瞬間移動も出来る。だから誰も勝てないし誰も追えない。生き物としての制約が無いから死ぬという工程(プロセス)もない。……だから生きていないとも言えるけど。


「何度も見たことがあるけどこうやって部屋に入ったのは何年ぶりかしら。」


「8年以上ぶりじゃない?そもそもお母さんってあまり私の部屋に入ってこなかったし私もあまり部屋に居ない子だったしさ。」


「そうね…リビングとかで二人っきりが多かったわね。懐かしいわー。」


お母さんもベッドの方へと来て私の隣に座る。するとベッドはお母さんのお尻に踏まれて沈み込む。私と全く同じ体重だから同じくらいの沈み具合だ。


お母さんは好きに干渉出来るからこうやってベッドに座る事も出来る。これがとても優れた特性でお母さんを無敵にしている要因の1つ。死なないし老いもしない。時間という概念すらお母さんに干渉し切れないのだ。


お母さんが私に願ったことに死者蘇生と不老不死があった。それを私は叶えた。それに関しては後悔はしていない。だけど思っていた生活とは程遠いと感じてしまう。


「なんで来たの。」


女同士、親娘同士の会話、建前や遠慮はいらない。単刀直入に私は聞いた。お母さんの目的がなんなのかを。まさかホームシックとかじゃないよね。


「私の家でもあるのよ。帰ってきてはいけない理由なんて無いでしょう?」


……そう言うんだお母さんは。だったら私にも考えはある。かなりキツい言い方になるけど無関係な人間を私は巻き込みたくない。


「もう違うでしょ。ここは父とあの人と誠の家だよ。私とお母さんの家は…」


「誠ってなに?なんであの子の事を下の名前で呼ぶの?」


お母さんの方を見たら鼻と鼻の先がくっつきそうな距離まで顔を近付いてて、私の目をその青い瞳で凝視していた。私はあまりの事に言葉を失い身体を震わせる。


「あの子って美世に全く似てないし私の子供じゃない。だから美世、あの子とはもう話さない方が良いわ。美世には私という血の繋がった本物の家族が居るんだもの。だから………必要ないよね?」


無表情だ。笑っているのに無表情に見えるのは顔が近くてあの青い目しか見えないからだ。全く笑っていないこの目が怖くて仕方がない。これがお母さんの不機嫌な時の反応であることを私はつい最近知った。今のお母さんは最高に機嫌が悪い。


「……必要無いけど、この家の人達には何もしないで、私とお母さんは下手に動くと見つかってしまう。私達以外は効果範囲外なの。だから私の身の回りの人に何かあればそこから今の生活が崩壊する可能性が出てくる。」


私は自分の頭と口の上手さに称賛したい。(もっと)もらしい言葉をすぐに言えるのが数少ない私の特技だ。


「ーーーいいわ。()()()()()()()()()()()()。今回だけだからね。」


バレてる…!私がこの家の人達を庇っている事が知られてしまったのはマズい。お母さんの言動を見ればこの家の人達を良く思っていない事は分かってる。しかも私が父や誠と仲良くしているのがどうやら気に食わないようで、私の人間関係をコントロールしようとするフシがある。


「……ありがとうお母さん。大好きだよ。」


「私もよ。世界で一番恋してる。」


私達は抱き合った。お互いを信用し信頼している証にハグをするのが私達の間では当たり前になっている。


「でもね…」


しかしお母さんは抱き合いながら私の耳元で…


「お母さん隠れているの飽きちゃった。」

頑張ってもう1話仕上げます。

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