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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
4.血の繋がった家族
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ラストトライ②

いつも投稿が遅くなってすみません。

私も天狼さんも殺気を抑えて取り敢えず平静を保つ。いちいちこんなのでキレてきたらコイツは今頃289回は殺されている。天狼さんに。


「……話す気が無いのなら別に良いけどね。あなたが死ねばプリテイシアを狙う者は取り敢えず消える。」


私達はあくまでプリテイシアの身の安全を確保する為にここに来た事を印象付けないと。


「うふふふっ。そうだね。でも私達のグループが彼女達に価値を見出しているのは知ってた?」


知ってる。でもここは初めて知った(てい)で次の推測を述べた方がリアルかな……。


「……彼女達の能力を利用して何かを企んでいる……?」


「じゃあお前は私達がプリテイシアに接触したから殺そうとしたのか……!」


天狼さんの怒りは本物だ。もう私はあんな風にプリテイシアの為に怒れない。これから起こり得る悲劇に意識が向いてしまっているから。でもこのクソ野郎に対しての怒りだけは誰にも負けない。私だけがこいつの所業を完璧に把握している。……こいつに殺された人達の悲痛な表情を私は記憶している。


「それは正確じゃない。正しく言うとね……あなた達をここに呼ぶ為にプリテイシアを狙ったの。」


「……彼女達は私達を誘き寄せる罠か。」


天狼さんもそこを理解してそれでもかなりの怒りを募らせているけど、ちゃんとその理由と先の事を考えている。


もちろん私はその理由を知っているけど何故私達がここに集められたのかは天狼さんには話していない。時間が無かったし信じられない話だろうから話さなかった。あくまで雨女達をここで殺す算段だけを話した。


「思っていたより優秀でビックリしたよ。まさかこんなにもすぐに私を見つけるなんて思わなかった。」


雨女からしたらもうちょっと時間を掛けたかったんだろうね。脳にかかった負荷を休んで取り除きたかったんだと思う。でもこいつは強行してやり遂げた。能力者としてはかなり上の方に位置する強者で間違いない。


私が最初に任務で会ったあの念動能力者(サイコキネシス)の宮沢みゆきよりも遥かに強い。あの魔女の集会のラァミィよりも上の位置に居る。


「私達を舐めすぎだ。見つけられたからにはただで帰れると思うなよ?」


天狼さんは殺る気だ。私もかなり限界に近い。雨女の声を聞いているだけでストレス指数が跳ね上がる。


「わぁー怖い。今すぐ逃げたくなっちゃったな〜。ねえまゆ?」


良し……白雪姫が来た。時間通りに来てくれて良かった。雨女を置いて逃げる事も無くここに来てくれたという事は私の作戦はバレていない。


「遅れてごめん。」


雨女は振り返って白雪姫とキスをしてから席に座る。……ここも同じ光景。怪しい動きも無いから白雪姫は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……確定だ。


「天狼さん……準備は完了しました。もう良いですよ。」


私は隣に居る天狼さんに合図をする。


「そうか……やっとコイツらを殺せるな。」


天狼さんは首をポキポキ鳴らしながら獰猛そうな目を雨女と白雪姫に向ける。雨女達は鳩が豆鉄砲を食ったような反応をして私はニヤニヤしながら彼女達を観察しほくそ笑む。


「……何?どう言う事?」


「ここで殺るつもりなの?」


前回とは逆の立場だ。前回では彼女達は一般人を巻き込んで立ち回ったけど、今回は私達が一般人を巻き込んで立ち回ろうとしている。……中々に面白い構図だね。


「そうだけど?そっちもそのつもりなんでしょ?」


全てお見通しだよクソ野郎共。私はお前達をここで殺す。その為の準備はもう済ませてある。


「……正気?組織は一般人に知られないようにしていると思っていたけどね。」


「ならもうやっちゃおうよ。適当に数人、一般人を殺せばこいつらだって大人しく……」


「どこに一般人が居るの?」


私の言葉に反応して雨女と白雪姫は店内を見回した。店内には私達4人以外誰も居ない。客も店員もだ。白雪姫は訳の分からない状況に混乱している。


「……客が消えている?いや、そもそも店員も居ない……?休憩?それとも閉店………それはあり得ない。私達が残っているし……。」


私はある能力を行使し前回と違う状況に持ち込んだ。その影響で前回は店員が私達に注文を聞きに来たのに、今回はそもそも店員が来なかった。だからホットコーヒーは出されずにずっと会話に集中させられた。


「……まゆっ!あなたがここに来た時に他の客はどうしてたっ!?」


雨女は白雪姫がここに来る時の様子を聞き出そうとした。どうやらここ以外も同じ状況だと勘付いたようだ。


「え、えっと……みんなエレベーターに乗り込んでいたと思う。……それがどうかしたの?」


「それは()()()()()()()()()()()()()!?」


「そ、そこまでは分からないよ!いちいちどの階へ向かおうとしてるかなんて見ていないし……」


そうだろうね。この2人には分からない。だって一般の人達の事なんて興味無いんだから。誰が何をしているかなんて発想自体浮かばないだろう。こいつらには共感性が無い。だからあれだけ簡単に人の命を奪えるんだ。


「みんな下の階へ行ったよ。避難してもらったの。」


もう避難済みである。エレベーターに乗らないとスカイツリー(この場所)から出られないからね。


「まさかあなたが!?」


「あり得ないっ!私達はずっとここに居た!そんな予兆なんて無かったのにどうやって……」


白雪姫も雨女もどうやってみんなを避難させたか分からないのか。それも分からないなんて本当に他人に興味が無いんだね。自分達にしか興味が無いから視野が狭い考え方になって暴走するんだよ。


「結界型精神系能力だよ。射程は半径1km、全長634mのこのタワーなんてすっぽり入るぐらいの射程があるから簡単だったよ。」


夏休み中にハーパーから能力をコピーさせてもらってて本当に良かった。この能力がいつか必要な時が来ると思っていたけどこの時が正にその必要な時だ。


「結界……?嘘よ……あなたは探知能力でしょ?」


こいつ一体いつの情報を言っているの?


「あいの風は複数の能力を使えるっていうのが今のトレンドだよ。ちゃんとした所に所属していれば情報を得られたのに……残念だったね。」


私が席を立ち上がるとそれが合図になってみんな立ち上がる。私と天狼さんは雨女達に近付こうと一歩踏み出すと、雨女達は逆に一歩下がっていく。


「どうしたの?人質が使えなくなって日和った?……言っとくけど逃さないからね。」


「一般人を利用しようなんて、貴様達のやってきた事は到底許される事ではない。ここで死んでもらうが……いいな?」


こいつらは確かに強かった。でもそれで私達より強いかと言われれば違う。真正面から殺り合えば私達が100回やって100回勝つ。


前回でそれは証明されている。私と天狼さんが人質の居ない状況で見合った時は一瞬でケリがついたからね。


「……罠に嵌められたのは、私達だったって訳ね。」


「窓しか見ていないから客の出ていく姿を見逃すんだよ。客に混じって店員も外へ行っていたのにお前は気にもせず雨ばかり見ていたから足元をすくわれた。」


また一歩踏み出す。そうすれば彼女達がまた一歩下がっていく。これを延々とは続けられない。彼女達は壁を背にする羽目になるからだ。


「どうするショーコ……作戦はまた先にして今はこいつらを殺さないと駄目じゃない?」


白雪姫が雨女の方をチラチラと見ながらくそ生意気な事を口にする。出来もしない事を良く言えるね。


「……いや、作戦は続行する。」


雨女がそう答えた瞬間、私は完全にプッツンした。


「なら私の妨害を掻い潜りながらやってみろよ……!」


テレポートした私は雨女の目の前に現れてメンチを切りながら能力を行使した。


「なっ!?」


「ショーコっ!」


雨女と白雪姫は反射的に能力を行使しようとするが、私の方が先に能力を行使していたのでタッチの差で先制を決める事が出来た。


「遅えよ……!【振動(ヴァイブレーション)(ヴォーグ)】!」


両手の中に作り出した振動波を雨女と白雪姫のお腹に当てて……私はその衝撃波を開放した。


「カハッ!?」


「ぐぅっ!?」


圧縮された振動波は解放されて衝撃となって彼女達に侵入しその身体を大きく吹き飛ばした。その威力は余波だけで周りのテーブルやイスをも吹き飛ばして窓のガラスを波状に歪ませる。


吹き飛ばされた雨女と白雪姫は後ろにあるテーブルにぶつかりながらも直線的な軌道を描いて壁に激突し……無様に床の上に転がった。


「おい。私の分を残しておけ。あれではもう立てないだろう。」


それは過小評価というやつですよ。彼女達は絶対に立ち上がる。自分達の身勝手な願いの為に……ほらね。


「ゲホッゲホッ……くそ、ただの探知能力者じゃないな……。」


雨女がお腹を押さえながらも立ち上がる。タフで助かるよ。こんなジャブで死んでもらっちゃこっちが困っていた。


「だから言ったじゃん。複数の能力を使えるというのがトレンドだって。」


「いっつ……殺して、やる……あいの風……っ!」


白雪姫も腹を押さえながらも立ち上がってきた。彼女の足元には霜が生えてこっちにまで冷気が流れ込んで来る。


「やってみろよクソ野郎共が。お前達を殺す事が今の私の役割だ。」

第2ラウンド目です。

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