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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
2.死神の猟犬
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才能の違い

ここで修行編が終わります。

一発撃ってみて色々と分かったことがある。私の“銃”には反動が無い。だから一発撃った後も照準がブレる事は無かったけど普通の拳銃は反動があり照準がブレる。


次は腕に力を込めてブレない様に2発目を撃ってみるとターゲットからは大きく外れて銃弾が走る。あれ?何でだ?腕に力が入り過ぎて照準合わせから駄目だったのかな…


出来るだけ自然体で照準を合わせて引き金を引く。次はちゃんとターゲットに命中するがその次の照準が遅れてしまう。やはり反動で上体が反れる。うーん難しいな〜映画ならすぐに撃ち続けてるんだけどなー。


あ!上体を(あらかじ)めに前側に傾けておけばいいじゃん!試しに実践してみるとさっきみたい照準がブレることなく、自分の思い描いた場所に命中した。


おお!いい感じいい感じ!姿勢を真っ直ぐにし過ぎたのが駄目だったんだ!私の体重じゃ衝撃を殺し切れないからね。


でも最初の照準が上手く合わせられないのと次の照準まで時間が掛かるのはどうにかしたい。


腕を真っ直ぐに衝撃を全身で受け流すようにしながら足の位置関係にも気を付けてと…。


今度は一発だけではなく続けて撃ってみる。どれもターゲットに命中し、後続の弾がズレたりもしていない。


良し!慣れてきたけどこの感覚を忘れないうちに…カートリッジを外してから…これか。


新しいカートリッジを取り換えてスライドを引き照準を合わせる。そして引き金を引いて何発も続けて撃ち込む。


…何とか全弾ターゲットに当たったけどまだ行ける。カートリッジを換えてスライドを引いて照準を合わせて撃つ。


(これ能力者専用の拳銃でも大丈夫そう。)


「のっさん、能力者専用の拳銃使わせてください。」


「お、おう良いぞ。」


拳銃を持ち替えてカートリッジを取り出し弾数を確認する。それからスライドを引いて構えてみると無能力者の拳銃より重く感じるけど私の筋力なら大丈夫。


反動が強い…けど問題ない。身体の動かし方は()()()()


その様子を静かに見つめる“淡雪”


(なるほど…“死神”が目にかけて育てる訳ね。私も能力者として身体能力と認識能力には自信があったけど美世ちゃんを見てるとその自信が無くなっていく。)


“淡雪”は“能力者”を良く知っている。だからこそ伊藤美世(非接触型探知系能力者)と他の能力者との違いに興味があった。能力者ならみんな興味を持つと思われる。


目の前に居るのはもうただの女子高生ではない。“組織”の服に袖を通し組織の拳銃を扱う者。


()()()()()()()()。私…いや他の能力者と美世ちゃんとでは比べ物にならないぐらいに。)


彼女の事は調べ尽くした。拳銃を扱うのは今日が初めてのはずだ。最初の様子を見れば初心者に知識が少し付いてる程度だったのにもう()()()()


私とのっさんは教えなかった。美世ちゃんが1人で考えて認識して理解した。その速度に恐ろしさすら感じた。


彼女は15歳だ。普通高校生で銃の扱い方を1人で理解する?


初めて美世ちゃんの事を知ったあの報告書。その報告書の内容と今の彼女について考えてみる。


(彼女が私達の仕事の後始末をしてくれたって“死神”から報告されたけどそれって能力者を美世ちゃんが偶然見つけて死神がその情報を美世ちゃんから聞いて対処したと思っていた。)


しかし、もしそれが私の勘違いだったとすれば?


(美世ちゃんが能力者を見つけて自分で()()()()()?)


…いや、ありえない。あの美世ちゃんがそこまでする理由がない。彼女と対象との間に関係性は無かった。もし理由が考えられるとしたら…正義感かな?


でもただの少女が正義感で人を殺せるだろうか?


能力者の中で動機もなく人を殺したいと考えている者は稀にいる。しかし彼女を調べてみてもそんな予兆も行動も見られなかった。


だから彼女が人を殺したがっているというこの考えは飛躍し過ぎかな。


私ともあろうものが美世ちゃんに嫉妬して変な考えを持ってしまった。ここで反省しておかないとまた彼女にあらぬ疑いの目を向けてしまう。


私がそんな事を考えている内に銃撃をマスターした美世ちゃんが拳銃を置いて私達の方に振り返る。


「ふー撃ち過ぎて手が痺れた〜雪さんどうでした私の撃ち方?」


「え?ええ良かったよー美世ちゃん!私から教えれる所はないかな〜なんて♪」


「やった!」


無邪気に笑ってる所を見ると年相応の少女に見えるけど。


彼女のターゲットが近くまで運ばれてくる。それを確認したのっさんは驚愕し、私はそうだろうなと受け入れた。


彼女が最後のカートリッジ分の弾痕は相手の頭の位置に全て集中していた。


「今日はありがとうございました雪さん。」


「こちらこそありがとうね。楽しかったわ!それとこれからは美世ちゃんと同じ“第一部”で働く仲間だからよろしくね♪」


「はい!これからもよろしくお願いします雪さん!」


お互い手を振り合って別れる。


「ふふふ。あ、美世ちゃん帰るとき忘れないようにね!」


()()()()()()()()()()()()?忘れないようにしまーす!」


時刻は19時を過ぎて辺りは暗くなり車が走る音や電車の音が目立つ。


私は私服に着替え“和裁士”さんに持たされたアタッシュケースとトランクケースを引きずりながら駅に向かった。このけーすの中にはスーツと装飾品が入っている。


(この2つのケースもカッコいいんだけど女性が持つと目立つんだよね。)


この2つのケースはペアになっていてトランクケースにはキャスターが付いているからラクラクと動かせるしアタッシュケースはトランクケースのハンドルにベルトで固定されているから持ち運びが簡単になっている。


(早くケースを預けに行こう。)


私は電車を乗り継いで家から1番の最寄りの駅にあるコインロッカーまで向かう。


(えっと雪さんが言っていたアプリは…)


コインロッカーを探しつつ組織から頂いたスマホを操作し雪さんに教えてもらったアプリを起動する。このアプリは組織が制作、運営をしているので組織に所属している者でしか使えないようになっている。


【探求】(リサーチ)でコインロッカーの場所は分かるけど使ったことないから記憶に無いんだよね…あった!)


トランクケースでも入る所は…ここは入りそう。私は“組織のスマホ”略して“ソマホ”をコインロッカーのタッチパネルに当てて操作する。


このコインロッカーはICカードなどで決済出来るタイプでカードリーダーにソマホを当てて決済を済ます。ヨシ!


これならいつでも取りに来れるしアプリからここのコインロッカーの様子が分かるので便利だ。最悪トイレで着替えれるしこの駅を拠点の1つとして考えていこう。


【探求】(リサーチ)でここの様子は見れるしここら辺で能力者を見た事がない。立地的にも問題無いだろう。


さてやるべき事はやったし…帰りたくないけど帰るか。


私が帰宅した時には20時を過ぎていて父にまた連絡するようしつこく注意されてしまった。うぐぐぐ…今日1日楽しかったのに最悪な気分になってしまった…不貞寝た不貞寝!


それから一週間後、再び和裁士さん達のミヨちゃん人形になりしたけどアタッシュケース2つ分の服を頂いた。まあすぐにコインロッカーに仕舞ったけどね。


そうした中で雪さんと和裁士さん達とラインで連絡を取り合いながら組織の事や私生活について色々と聞いたり教えたりしながら過ごした。


そんな友達とも呼べる人達と楽しく過ごした3日後、私のラインの友達の数とグループの数が3桁の大台を超えたあたりで“組織”から初仕事の連絡が入ったのだった。

次回から主人公の初仕事、もとい2度目の殺人が始まります。

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