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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
2.死神の猟犬
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認識の違い

今日の夜にもう一話投稿します。

その後“逃水”さんにお別れを告げて雪さんと地下にある射撃場に向かう。


「今日は色々貰えて美世ちゃん良かったね♪」


「分不相応で困りますけどね。」


「そんなことないよ。とても似合ってるわ。」


「でもブーツが履き慣れていないので(かかと)高くて歩きづらいです。」


和裁士さんに履かされたブーツの中で1番踵が低いのを選んだけど転びそうで困る。訓練していなかったら何回か転んでいただろう。ここで先生との訓練が生きるとは思わなかったよ。


「そうやってどんどん可愛くなっていくものよ。今を楽しみなさい。」


イエス・マム!


エレベーターの中で“逃水”さんから頂いたケースを持ちながら雪さんと談笑を交わしつつ【探求】(リサーチ)をする。今の所は雪さん以外の能力者は居ない。ここのビルには能力者が居ないのかな?


地下2階にある射撃場に辿り着き雪さんに案内される。


(雪さんここの場所慣れているな。やっぱり雪さんも銃撃ったりするのかな。)


「美世ちゃん。今日は銃の扱い方教えてあげるからね!私こう見えて射撃上手いんだから!」


自白しよったよこの人…なんか許可とかいるんじゃないの?知らないけど…


私が雪さんにドン引きしていると男の人が出てきて話しかけてくる。


「初めまして、父から話は聞いています。息子の“後の月(のちのつき)”です。」


「初めまして伊藤美世です。本日はよろしくおねがいします。」


「のっさん今日は私も使わせもらいますね。」


のっさん!?良いのそんな呼び名で!?貴方の父親はちゃんと呼ばれてたよのっさん!?


「雪さんあのーここのコードネーム変わってますよね?元ネタとかあるんですか?」


「あー季語だよ。天分(てんぶん)って言ってその季節の天候の様子を表す言葉。」


へーそんな言葉があったのか。ここの組織って古い言葉使いがちだよね。組織自体が昔からあったからだっけ?


「勉強になります。…それなら私のコードネームも天分から取るんですかね。」


「「う~~~ん。」」


何故か二人とも唸りだす。え、私にはコードネーム付かないの?いじめ?新人いじめ?


私の様子を見た二人が慌てて弁解する。


「違うのよ!あのね?中には天分じゃない人も居るのよ!」


「あぁ組織から与えられたコードネームより他の名前で周りから呼ばれる者が居てな…特に敵対組織からな。」


「そんな人居るんですか?誰です?」


雪さんとのっさんがお互いの顔を見合ってから私に目線を戻してその名前を教えてくれる。


「「“死神”」」


死神…なんというかド直球な呼び方だ。確かに先生の強さを知っているとそんな感じの呼び方になるよね。


「ここが実際に射撃を行なうところだよ。私は伊藤くんの銃を持ってくるから淡雪くん。やり方を教えてあげててくれ。」


「ふふ最初からそのつもりです!」


のっさんが一度ここを離れて血走った目をした雪さんが詰め寄ってくる。


「じゃあ…ヤろうか♪」


私はこれから雪さんから人には言えない不健全な事を手取り足どり教えられることになるのか。


「初めてなので優しくしてください。」

「もう一回言って」


ヒィッ!怖いよこのお姉さん…


「もう一回、言って?」


「ハジメテナノデヤサシクシテクダサイ」


「りょーかい♡」


雪さんが敬礼のポーズを取って可愛い…やっぱり優しいお姉さんだよ雪さん。


「じゃあまずは拳銃の取り扱いを教えるね。」


「私一応は拳銃の扱い方分かりますよ。」


「え!?なんで〜!?」


「先生に指導してもらいましたから。」


2週間の訓練の最後は銃の撃ち方や注意点を叩き込まれたので問題ない。問題あるとしたら地下駐車場が瓦礫だらけになってしまった事だろう。あの訓練を最後に回した理由が分かる。


「美世ちゃん本当に死神と会っているんだね…」


「ははは。」


ここは曖昧な表情と笑いで誤魔化す。先生からは先生の情報を絶対に言わない様に言付けられている。確かに見た目と声が私と一緒なのは先生の沽券(こけん)に関わるだろう。その事を先生に言ったら


『ーーーそうだな』


って難しい表情で言っていたから間違いない。


「じゃあ教えることはないね…」


雪さんのテンションが今日1で下がったので慌ててフォローに入る。


「あの実際には撃ったことがないので撃ち方の見本を見せて欲しいです!」


「まかせて!」


雪さんがせっせと準備をしていく。ハンガーにターゲットの紙を吊るして20メートル先の位置まで移動させる。上にコンベア付いており機械で動く為スイッチを押せば誰でも操作可能だ。


(美世ちゃんに良い所見せなきゃ!)


私と雪さんがイヤーマフで耳を覆いちゃんと装着出来ているか確認する。そして雪さんが用意された拳銃を手に取り銃口をターゲットに向けて発砲する。


パンッパンッパンッパンッ!


弾丸はターゲットに命中し穴を開ける。


(手慣れてるなー。ここの組織の人はみんな銃を所持してるのかな?)


そして当たり前だけど薬莢が転がる事に驚いてしまう。私の能力()は薬莢が出ないから不思議な感じがする。こちらが普通なのに。


雪さんのターゲットの紙が運ばれてくる。おおー真ん中辺りに銃痕が集まってる!


「ふふふ今日1番にしてはまあまあね!」


これは大した事無いんですよ〜?的な事を胸を反らしながらドヤ顔を決める雪さん可愛い。


「雪さん凄いです!私も撃ってみたいです!」


「なら伊藤くんにはこれを試してもらおうかな。」


のっさんがいくつか拳銃を持って戻ってくる。のっさんという名前の割にかなりハードな物持ってくるから温度差が酷い。


「のっさん!ありがとうございます!」


それを聞いて雪さんが爆笑してのっさんが困り顔になるがもう私の中ではもうのっさんはのっさんなのだ。


「これはウチが設計して制作している拳銃だ。」


「拳銃って自分たちで作っていいんですか?」


あまりに流すことが出来ない情報につい反応してしまう。平穏に暮らす為には知らない方がいいとは思うんだけど怖いもの見たさでついやってしまった。


「そうだね普通は駄目だけど“組織”は国と連携して能力者の発見、保護を行っているから許可が下りているんだよ。」


えーーー!?この“組織”って国から認定されてんの!?え、じゃあ人殺していうか能力者殺しも許可下りてるの!?やべー組織じゃんここ!!


私の驚いた様子に雪さんが逆に驚く。


「“死神”…さんから聞いてなかったの?」


「先生からは“組織”について特には、勝手に非合法のやべー組織だと考えてました。」


私の発言にのっさんと雪さんが更に驚く。いや私も驚いてるから!


「後で私から説明しておきますね…」


「…頼んだよ淡雪くん。じぁあ、まず伊藤くんは無能力者専用の拳銃から始めようか。」


「能力者専用の銃もあるんですか?」


「ああ能力者は無能力者より身体能力が優れているから拳銃の口径と銃弾が大きく設計されているんだ。それに組織は世間に知られない様に動いているから静音性が高く作られている代わりに取り回しに欠点がある。」


無能力者と能力者の拳銃を見比べてみると大きさがかなり違うな。どれも私の“銃”より小さいけどね。


「早速撃って“美世(みよ)”ちゃん♪」


雪さんの言いたい事を理解したがあえてスルーして私は無能力者専用の拳銃を手に取り、さっき見させてもらった雪さんの持ち方を参考にして両手で構える。


拳銃を構えるがもちろん“軌道”は視えない。腕を動かして照準を付けようとするが良く分からない。今の角度で撃つと真っ直ぐターゲットまで飛ぶのかな?うーん取り敢えず一発撃ってみるか。


(美世ちゃんの実力がここで見られるのかな。ずっと気になっていたんだよね〜死神にここまで気に入られている理由がさ。)


“能力”自体は現状で見ても世界トップクラスなのは間違いない…ならその能力を使って後方で活動すればいいのに死神は彼女を現場に配置した。


その判断が解せないしリスクがデカ過ぎる。リターンはもちろんデカいだろうけど釣り合っていないように思える。


それなら現場に配置する理由は別にある。死神はそれを分かっているから彼女を育てたのだろう。


とても気になる…その実力と美世ちゃんの全てが!

美世の実力が“組織”に認識されます。

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