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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
2.死神の猟犬
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スマートでシークレットなプロフェッショナル

第2章も折り返して後半部分まで来ました。

「じゃあ美世ちゃんのスマホと“これ”貰いに行こうか♪」


雪さんが自分の左手に巻いてるスマートウォッチを指しながら私をエレベーターに誘導してくれる。早くここを出ないと和裁士さん達の微調整が終わらないのでその申し出に全力で乗っかる事にした。


「という事らしいので失礼しますね皆さん!」


「あとこれだけだから!ちょっと待って!」「美世ちゃんのラインみんなに回しちゃったけどブロックしないでね?」「来週ね?」「本当に作るよ?」「美世ちゃんまだ成長期だから毎月サイズ測定するからね?」「私服も作っておくね。」


「ありがとうございましたっ!失礼しますっ!」


雪さんを連れて脱出した私達はエレベーターで下の階に下りた。


「ゴメンね〜?和裁士さん達みんな若い娘に興奮しちゃってさー。普段は出来ないような仕事が出来て盛り上がってるのよ。」


「私みたいな若い子は他に居ないのですか?」


「居るわけ無いじゃない!高校生が“組織”に所属するなんて前代未聞だから!」


「でも“能力”が優れていたらすぐに仕事出来ません?」


「美世ちゃんねぇ…能力があっても幼い子に仕事を任せる訳無いでしょ?」


「あれ?それなら私は?」


「…上が決めたんだから下は粛々と受け入れるのみよ。」


社会の仕組みと闇を感じながら目的の階に着く。エレベーターの扉が開いた先はまるで高級デパートのようだった。


うわあーなんか高級なお店って雰囲気が凄い。インテリアの家具が計算し尽くされた配置に置かれてて完璧なモデルハウスみたいだ。


そして奥の方から男性がやって来る。50代ぐらいかな?ナイスミドルな見た目に眼鏡をかけていて知的な印象を受ける。シャツの上にベストを着て物差しや色んな工具をベルトに付いた工具入れに入れている所から職人というイメージが浮かぶ。


「こんにちは“淡雪”様、それに伊藤美世様。」


「“逃水(にげみず)”さん、こんにちは!今日はよろしくお願いしますね。」


「えっと、こんにちは。本日はお時間を頂きありがとうございます。」


「いや、こちらこそ礼を言いたい。久しぶりに面白い仕事をさせてもらいました。年甲斐もなくはしゃいでしまいました。」


笑顔で受け答える逃水さん。絶対に若い頃は女性に困る事が無かっただろう立ち振る舞いに私は嫉妬する。私もあんなダンディズムな雰囲気出せたらな〜。


「ではこちらの準備は済んでおりますので奥の方にどうぞ」


逃水さんが奥の方を示し私達を案内してくれる。途中では様々な部屋で色んな人達が時計やらの精密機器を(いじ)っており、どんな作業をしているかは素人目では良く分からないけど皆が真剣に物凄く集中して作業している事は伝わってくる。


「淡雪様がこちらに来られたのはもう半年前になられますかね。」


「そうかも知れないですね。色々こちらも忙しいもので、まあ“第三部”ほどではありませんが。」


「ははは。仕事が無いよりマシですよ。腕は鈍りますし孫に小遣いもあげられませんから。」


「あ!お孫さんおいくつになられました?」


「上が4歳で下は今年2歳になりました。やはり孫というものは目に入れても痛くないものですね。」


逃水さんが孫の話をしている時は優しいおじいちゃんの顔をして本当に可愛くて可愛くて仕方ないように話してくれる。私もこんなおじいちゃん欲しかったな。


「逃水さん実は美世ちゃんに銃を用意してあげたいんですけど良いのありますかね?」


銃!?モノホンのやつだよね!?やっぱりこの組織やべー組織じゃん!分かっていたけど!


「あるんですか?その、本物の銃が…」


「ええありますよ。女性でも扱いやすくて初心者におすすめ出来る物が。」


あったよ銃が。まさか笑顔で銃をおすすめされるなんて逃水さんが怪しい武器商人に見えてきたよ。素敵。


「良かったね美世ちゃん!」


この人最初は私が殺し屋やるの心配してくれなのに今では銃を勧めてくるなんてやっぱりサイコパスなのかな雪さん。


「はい良かったです!」


それでも本物の銃に触れるのならここは乗るしかない。このビッグウェーブに!


(せがれ)に連絡しておきましょう。射撃場を押さえてもらい実際に伊藤様に銃の感触を知ってもらった方が良いでしょうし。」


「逃水さんありがとうございます。」


「お礼はまだ取っておいてください。これから伊藤様に御渡しする装飾品までは。必ず御満足なさると思いますよ。」


それは楽しみだ。早く見てみたい!


「この部屋です。どうぞそちらのソファーに。」


「「失礼しまーす。」」


私と雪さんが顔を見合わしてお互いに笑い出す。緊張しながらドアを開けて入ったから職員室に入るような雰囲気と重なってしまい多分お互い同じ事を思い浮かべてハモってしまった。


「まるで姉妹の様に仲がよろしいようで。」


「「え!姉妹に見えますか!?」」


また雪さんとハモって3人で笑い出す。誰かとこんなにも笑ったのは久しぶりだった。


「ではこちらが伊藤様の為に御用意させて貰いました装飾品です。」


凄い!今日はずっと凄いとしか言ってないけど凄い!目の前に用意されたケースからして高級感がある。早く開けてみたい!


「まずは検査が終了しているかを御確認して頂き、伊藤様に暗証番号を決めてもらいます。」


「あの、暗証番号ってどういうのが良いんですかね?」


「それは美世ちゃんが決めるの。私達に知られない自分だけの暗証番号をね。」


「なるほど。」


雪さんと逃水さんが私の手元が見えないように対面に移動してくれる。そこで気付くがこの部屋には監視カメラが無い。道中は何処にも設置されていたから珍しい。


ケースを手元まで動かす。大きさは長方形で小さなアタッシュケースみたいだ。案外軽いな。それに持ち運びが出来るように引くと取っ手が出てくる様なギミックがされている。


ケースは何段かに別けられて色々と収納されていそうだ。その境目に何か貼ってある。


[最終検査済み 2020 05/30]


なるほどさっき言っていたのはこれか。剥がしていいよね?


剥がしたあとは暗証番号を打ち込むだけのはずだけど…どこだ?見当たらないけど。


色々と触ってみたら取っ手にそれらしきモノを発見する。7桁のダイヤル式だ…ダイヤル式?これってどうやるんだ?


桁は全て0に合わせられている。取り敢えず私が考えた最強の暗証番号にダイヤルを動かす。その途中でダイヤルの横に押し込める突起物に気付く。取り敢えず押すか…ポチッとな。


そうするとケースが自動的にスライドしながら開き始める。カッケェーー!


その一部始終を見ていた雪さん達が笑いを抑えている。


「良かったね美世ちゃん…くふふ。」


「まさかケースだけで御満足なさるとは思いませんでしたよ…ふふ。」


この二人ワザと私に開け方教えなかったなー!意地が悪過ぎるよこの二人!!


私はいじめっ子を無視してケースの中身を拝見する。ケースは3段になっていて横からもスライドして小物入れの段がある。まるで化粧ケースみたいだ。


まずは上の段から見ていくと様々なフレームの眼鏡とピアスとイヤリングが綺麗に揃えられてる。


「逃水さんこの眼鏡って私の度数に合ってますか?」


「はい。伊藤様が高校で受けた視力検査の結果と今掛けていらっしゃる眼鏡の度数を調べて御用意させて頂きました。」


調べられるものなのかそれ?視力検査ぐらい受けに来ても良かったのだけどこれがプロフェッショナルなのだろうか。


それに私はピアス穴を開けていないからつけられないね。


二段目にはスマートウォッチとブレスレットが並べられている。私はスマートウォッチ取り出して右腕に装着してみると起動して私の名前が表示された。


「伊藤様は御若くていらっしゃるので今回御用意させて頂いたのは“第三部”で取り扱っている中で最新のもので機能が多く搭載しているモデルです。」


なるほどそれはいじり甲斐があります。家で色々とやってみよう。


で、このブレスレットは何だろうな?金属で出来ていて所々に装飾が入っている。しかも多分宝石も使われている…取り敢えず左腕に巻いてみるか。


うーん今まで着けた事が無いから良く分からないけどこの服装に良く合っていると思う。


「それはね“組織”の身分証明の代わりで、どこに所属していて階級はいくつなのかが分かる様になっているの!それに警備員に見せればすぐに通してくれるから美世ちゃんにとっては便利だと思うよ♪」


「なるほどなるほど…雪さんもしているんですか?」


「もちろん!このイヤリングも自分が“組織”の者だって分かる人には分かる様につけているのよ。」


雪さんが両耳につけたイヤリングを見せてくれる。そういう意味があるのか。


確かに“組織”って言っても伝わらないよね。何の組織だよってなるし共通認識があれば言葉に出さなくても分かり合えるし便利かもね。


最後の下の段を見るとスマホと指輪が並んでる。指輪は全てで9つあるけどデザインが一つ一つ微妙に違うしあしらってる宝石も色と形が違うかな。


「この指輪も身分証明のやつですか?」


「はい。その通りでございます。他にも“能力者”かどうかを識別する意味もございます。」


「そんな意味もあるのですか?」


「能力者に支給される装飾品には宝石があしらわれております。私のように無能力者には宝石が付いておりません。」


逃水さんが私に指輪を見せてくれる。確かに宝石が付いていないシンプルなデザインだ。


私はスマホを手に取り起動させる。あれ?もしかして高校生の内にスマホ2台持ち?私すげー。


「後でスマートウォッチとスマホの使い方教えるね♪」


「雪さんありがとう♪」


さて後はサイドの段だ。開くと主にアクセサリー類が入っている。


左側にはペンダント、ネックレス、チョーカーが上から吊るされて収集されていて右側にはヘアアクセサリー類が収集されている。あまりこういうのは興味なかったけど実際に目の前にあると色々と着けてみたくなるな。


総評としてこのケースは夢が一杯詰まっている。プリキ○アが好きな女の子も仮面ライダ○が好きな男の子も大好きな仕様で仕上げられているので星5です。


私は逃水さんの方を向く。


「逃水さん…大満足です。」


逃水さんの今日1番の笑顔を頂きました。

アクセサリー類は雪さんの声がかかって量が多いです。

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