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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
4.血の繋がった家族
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魔女達と特異点

気が付いたら総合評価が400行ってました。ありがとうございます。

メーディアの天然ボケのおかげで地獄のような空気は霧散し、何とか話し合いにまで漕ぎ着ける事が出来た両者は改めて同じテーブルにつくことにした。しかし美世から話される内容はあまりにも混乱を招くような内容だった為に再び雲行きが怪しくなる。


「死神に私達の存在が知られている…?」


「終わったわね…」


特異点の記憶を共有した事があるルイスとラァミィは頭を抱えた。なんせ死神にどうやって殺されたのか知っているからだ。


「どうしてそんな事になったのですか?」


元は一番の後輩だったシークが特異点に質問する。その姿は堂々としたもので様になっているところを見るに、彼女も夏休みの間に色々と経験を積んだのだろう。


「…死神だからとしか言えない。まさかそこまで知られていて放置されてるなんて思いもしなかったし…。」


そう言われたら何も返せない。死神だから…これ以上反論を許さない返しは無いだろう。


「それでこれからどうするの?私達は基本的にメーディアとラァミィに従って動くけど、その2人は特異点に従うんでしょ?」


メリッサの言い分は上記に述べた者達以外の総意だろう。これからどうするのか決めなくては行動に移せない。


「どうするんです特異点。」


メーディアも話に加わる。ここはちゃんと納得のいく言い分を言わないといけない。そういう場面だ。


「メーディアは蘇芳を知っている?あなたの能力の完全上位互換なんだけど。」


一応聞いておかないといけない。私はこの2人と違って何でも知っている訳ではないから。


「私の能力の完成形のような能力がある事は知っていましたけど、その少女の事は知りません。」


「言ってる言ってる。少女って言ってるから。」


「特異点…気にしないで。いつもこうだから。」


そうか…この人にとってこれがデフォルトなのか。これは苦労するよ。予言者ってニュアンスが良く理解出来る会話だった。


「そのスオウって何者なの?私達は知らされていない情報よね。」


ラァミィはやはり鋭い。蘇芳という人物に対していち早く興味を抱いている。


なので私は彼女の事を話し、この場に居る私達以外にも仲間が居ることや、いつか会わせたいという旨も伝えた。


「なんて面倒くさい立場に居るのよあなた…」


私もそう思います。だから助けてください。私も貴女たちを助けるので。


「この話の内容も相手に知られているけど、特異点であるあなた自身は蘇芳でも読み切れない…という事かしら?」


ルイスは私の言った内容を完璧に理解したようだ。性格が終わってるだけで基本的に優秀なんだよなこの人。


「そうらしいですよ。それであなた達の言っている特異点と蘇芳の言っている特異点って同じ意味なんですか?」


そこが気になって仕方ない。それに人を特異点って呼ばないで欲しいし、みんなから色んな呼び方されるから自分の名前を呼ばれてもたまに反応できない時がある。割とこっちからすると大変なんだよ。


「それは私がお話しましょう。」


「メーディアが?」


確かにメーディアじゃないと分からない所だろうしね。特異点って確定された未来の中での不確定性の事だろうし。


「え?なんで特異点本人が知らないの?」


ステファニーから素朴な質問をされたけど私からしたらブチ切れ案件である。


お前いきなり特異点、特異点と周りから呼ばれてさ。終いには特異点って呼ばれているのに特異点の意味が分かんないの?なんで?って言われてみろよ。ぶっ殺すぞお前。


「なんであなたが知らないのよ。ルイスとラァミィに憑依したから知っているでしょ?」


…………1万歩譲ってまあ、サラからしたらそうなのだろう。でも私はサラと違う。


「記憶が定着しなかったの。まだ記憶の残滓は残ってるけど思い出す事はもう難しい。憑依した時間も後遺症を考慮して短くしたしね。ルイス達だって私の記憶全部覚えていないでしょう?」


私がルイスとラァミィに話を振ると、彼女達も覚えていないようで腕を組んでうーんと唸り出す。彼女達にも記憶は定着していないのだから私だけに言うのはお門違いである。


「では私が話す事で解決ね。」


椅子に座り優雅に私達のやり取りを聞いていたメーディア。彼女から直接聞くことに意味があると思う。


「はい。お願いしますメーディア先生。」


「では私達の言う特異点とは、この世界の破滅を防ぐ者を指します。」


うぅ~ん…なんかルイス達の記憶でそんな情報があったような〜無かったような…??


「続けて下さい。ちょっとだけ覚えているような気がします。」


正直魔女よりもその後の騎士達の方が印象があるし、アメリカ以外にも中国とかロシアとかいろいろ目白押しで記憶が埋もれてしまっている。かといって掘り起こしたくもないんだよね。混ざっちゃうからさ。


「私は何故世界が破滅に向かっているか、どう破滅するのかは分かりません。しかし私の能力でその事を知ったのです。」


そうか、逆にこの人が分かっていない事を言った内容は真実なのか。なんてあべこべな能力なんだろう。


「そして私はそれをどう防いだら良いか方法を探しました。」


メーディアは両手を組み神に祈る様なポーズを取って目を瞑る。彼女は自分の過去、能力に振り回され自分の生き方すら自由に選べなかったと言う。


私はそれを聞いて素直に凄いと思った。だってそれでも彼女はここまで来た。なんて心の強い人なんだろうか。私には出来ない生き方だ。


「そこからは私が話すわ。」


ルイスがその後の展開を教えてくれる。


「私が組織に追われて家も帰る所もない時にメーディアが私の事を匿ってくれたの。メーディアは私がそこに逃げて来ることを1年前から知っていて、ずっとそこで待ち続けてくれていたわ。」


メーディアの母性半端ねえな。と感想を抱いた経緯(いきさつ)だ。


「そして世界が破滅する事を知らされた。最初は信じていなかったけど、彼女の能力を知れば知るほどそれが真実なんだと考えるようになって気が付いたら彼女を信じるようになったわ。」


え、ルイスさん?あなたそういう所あるの?マトモな感性持っているなんて信じられないんだけど。


「だから魔女の集会を作り仲間を、同士を集めたわ。メーディアの能力にはある傾向があってね。それは能力者の位置を言うこと。彼女は能力者を見つけるのが上手いの。」


あーなるほど。彼女達みたいな能力者がどうやって組織のような勢力に見つかれずに集まれたのか気になっていたけど納得した。その特徴を活かしてルイスも見つけられたのか。彼女程に実力のあるフリーな能力者なんてそうは居ないと思うしね。


「魔女の集会の目的はね。私みたいなはぐれ者や社会からはじき出された奴を保護する事。ビアンカもメーディアが見つけてくれたの。」


「つまり能力者限定で、しかも恵まれない環境下の者を見つけられるってこと?それは狙った訳じゃなく偶然?」


それだとメーディアが狙って見つけている可能性が捨てきれない。彼女が嘘をついていることだって考えられる。人は窮地を救ってくれた者に対して恩を感じる生き物だ。能力者を仲間にするのなら恵まれた環境下の者より、彼女達のような環境下の者の方が御し易い。


「いやそれは違うわ。能力者はランダムよ。一回フランスの能力者の位置を予言したからみんなで行ってみると組織の関係者で全員捕まりそうになったもの。」


あ、ごめん。メーディアの能力はなんて精度が悪いんだ。しかもそれで良く信じて行けるな君達。捕まりそうになったとか結構な事じゃない?もし組織(うち)に捕まったら頭の中身全部見られてしまうと思うよ。処理課なら絶対にそうする。


「あの時はごめんなさいね。ビビッと来たものだから。」


本人の勘も悪いとか始末に負えない。能力者って結構勘が命だからね。そこが駄目とかもうね。


「あなた達も苦労しているんだね。」


私に同情されても嬉しくもないと思うけど、彼女達の活動はちゃんと記憶出来たよ。


「そうね…能力者を研究している施設に捕まった能力者とか救ったりしたせいで色んな所から目をつけられて今じゃ敵だらけだしね。」


それは悲しいね。特に悪い事をしていないのにあんまりだ。


「能力者を救うついでに施設を破壊したり偉そうな人間を片っ端から殺し回ったりしたからじゃない?私が入る前はそれが普通だったらしいわ。いらない怒りを買ったツケよ。」


ラァミィの告げ口で自業自得という事がバレる。やっぱりコイツ駄目じゃん…人格破綻者って言われるだけあるよ。


「何その目?悪い奴らを殺して何が悪いの?あなただって同じ事をしているじゃない。」


ルイスが悪びれる事もなく寧ろお前は私側だろ?って言い切りやがった。


「ルイスと同類扱いされるの気に食わねえ…」


「何よそれ!喧嘩売ってんの!?」


あ、心の声が口に出ていた。いけない、いけない。気をつけないと。


「はい脱線しているわ。話を戻しましょう。」


ラァミィが緩んだ空気を引き締めてくれた。有能過ぎて秘書に欲しいよこの人。給料月40万でどうですか?


「活動を続けている内にメーディアが特異点に関する予知を言い始めたの。最初は確か…破滅を防ぐには特異点が必要、みたいな感じだったわ。」


そうするとその時はまだ特異点が何を示すのか分かっていなかったのか。人物なのか物なのか分からずに探すのは大変だっただろうね。


「その道中で今のメンバーが大体揃ったの。みんなメーディアには感謝してるし、みんな似たような境遇だから馬が合ったりね。でも良く殺し合いや相手を罵ったりするけど。」


仲良いのかそれ?海外だと普通なのかな…。いや絶対に違うよね。思い出したよ。ルイスなんて仲間を能力が使える肉壁としか思ってなかったよ確か。


「それでも私達は特異点を探したわ。北は北極、南は南極まで探しに行った。でも見つからなかった。ヘトヘトになりながらメーディアの元へ戻ったら、特異点は日本の少女なのに大変ね〜って言ったのよコイツ。信じられる?ラァミィすらキレたわよ確か。」


そりゃあキレますわ。私なら一発殴っているね。


「でも旅は楽しかったのでしょう?良かったじゃない。」


…天然って怖い。悪意が全く無いから反省も無い。これに振り回されたら結束が強くなるだろうし、こんな恥ずかしい格好も出来るようになるものだ。


最後のは関係性があるかは知らない。


「…殺すぞマジで。」


あ、ルイスがキレた。昔の事を思い出してここまでキレられるのは相当根に持ってるよ彼女。


「止めなさい。…この人には通じないわ。分かっているでしょう?」


ラァミィも若干キレてる。こんな馬鹿にキレても仕方ないでしょう?って行間に書いてあるもん。


「…チッ。…あー、んでお前を見つけて無人島で待ち構えていましたおしまい。」


コイツ…最後は私に怒りをぶつけて来やがった。


(…落ち着くんだ私。)


私は彼女とは違う。私は彼女とは違う。冷静になるのよ。私は大人な対応をして上のステージに立つの。だから怒っちゃ駄目よ美世!


「表出ろよ。二度とその生意気な口をきけないようにまた泣かしてやるからな。」


駄目でした…。殺意には勝てなかったよ…。

次回でこのパートは終わります。その次は…なんでしょうね。色々と書きたいのがあってまとめきれずにいます。

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