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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
2.死神の猟犬
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袖を通す

主人公の髪型は黒髪のストレートミディアムで肩辺りで切り揃えてあります。参考までに

先生との約2週間の訓練期間を終了してついに“組織”に向かう日がやって来た。かなり不安な気持ちになるけど雪さんに会えると思うと嬉しいと思う気持ちの方が大きい。


雪さんとは良くラインで通話してお話するけど、ちゃんと顔を合わせて話すのはデート以来だからテンション上がる。


私は自室で雪さんコーデの洋服に着替えていた。地味な色合いだけどシンプルで私の趣味にも合うし、我ながら似合っていると思う。


「よし行くか。」


ベルト付きのキャスケットを被って立鏡の前で最後の確認をしてから自室を出て階段を下りる。そうするとリビングに居た父が近づいてくる。


「出掛けるのか?」


「バイト」


何でここで父が話し掛けてくるのだろう。何かあるのかな。


「最近帰りが遅いじゃないか」


(昔から帰るの遅かった気がするし私は高校生だ。何で急にこんな事言うのだろうか?)


「普通じゃない?高校生がバイトしてたら。あ、お金家に入れてほしいの?」


「違うそんな事は言わない。最近は治安が悪いから遅くなるようなら電話しなさい。車出すから。」


はあ?何だコイツ急に父親ヅラしてきたな…年頃の娘に構いたくなる年頃かぁ?


「いいよ別に…遅れると大変だからもう行くね。」


出鼻をくじかれたみたいで機嫌悪くなり適当に流したけど、この人は父親なりに私を心配はしてくれてるのかな…ただの一応は心配していますポーズかも知れないしね。どーでもいいか。


父に背中を向けて玄関を出る私は家の事などすぐに忘れ新たな門出を飾るために走り出していた。


「あのー伊藤美世と申しますが“淡雪”に私が来たことを取り次いでもらいたいのですけど…」


“組織”の警備室で雪さんに取り次いでもらう為に強面のおにーさんに話しかける。


「少しお待ち下さい。」


【探求】(リサーチ)でおにーさんが操作してるタブレットを認識して画面を覗くと光情報が読み取れた。


(【マッピング】と違ってスマホやタブレットの画面が視えるのは便利というか普通に犯罪レベルだよね。)


この事実は誰にも言わないようにしようと考えていたらおにーさんが顔を上げて私を見た。


「中央の白い線を沿って進みますと途中で右側に黄色の線が伸びる建物がありますのでそちらに向かってください。」


「右側ですね?ありがとうございます。」


“組織”の東京拠点には3つのビルに分けられている。正面にあるビルが能力者の特定を業務にしている部門の“第一部”


“特定課”もここで普段の業務を行なっている。


左側にあるビルは能力者の研究や能力の測定を基本業務にしながら組織で働く人々の健康管理を行なう医療機関も兼ねている部門の“第二部”


そして今から美世が向かおうとしている右側のビル。ここでは“和裁士”が組織で働く人々の衣服や装備品を制作、供給を業務にしている部門の“第三部”がある。


(また和裁士さん達に剥かれるのかな…雪さんが居てくれたら心強い…いや、雪さんも剥いてくるタイプだった。)


この前のデートの日に雪さんに何回も試着をさせられて着せ替え人形の労働環境のブラックさを肌で感じた。


(ここで右側に曲がって真っ直ぐ行けば良いよね?)


リカちゃん人形の精神力に感嘆している間に黄色の線が伸びてる中間地点まで辿り着き右側のビルを見上げる。


(最上階が分からないぐらい高いなーやっぱり。距離感がおかしくなりそう。)


しばらく進むとビルの玄関前に雪さんが居る事に気付いた私は急いで向かう。ごめん待った?


「こんにちは美世ちゃん。それ私が買ってあげた服ね?可愛いよ!似合ってる!」


「こんにちは雪さん。雪さんに買ってもらった服で決めてきました。これお気に入りなので雪さんに選んでもらって良かったです!」

「美世ちゃん!」


雪さんの高速の抱き付きに対して瞬時に反応して抱擁(ほうよう)を受け入れる。


ガシィッ!たわわん!


雪さんの包容力と弾力と女性らしさを愉しんでいると雪さんが耳元で囁いてくる。


「美世ちゃん…身体鍛えた?前より体幹と体格がガッシリしてるし私に反応出来たね?」


(こっわーー!!服の上から触って分かるものなの!?ていうか私の一瞬の挙動でそこまで読めるの!?)


「…成長期なもので。」


私の成長具合を確かめるように雪さんが私のお尻を鷲掴みしながら首筋に顔を埋めて深呼吸をする。スーハースーハー


そして女子高生の肉体を愉しんで満足そうな顔をした雪さんが離れる。


「久しぶりに美世ちゃん粒子を取り込んだから生き返ったよありがとう!」


「雪さんの助けになれたのなら嬉しいです。」


美世ちゃん粒子って何?ベルガー粒子の親戚?私の能力でも認識出来ないけど雪さんは認識出来てるの?


そのまま雪さんに連れられビルに入る。一階のエントランスの作りは正面のビルと似ているけど明るい色調で纏められてこちらは明るくて活発そうなイメージだ。


「じゃあ美世ちゃんの晴れ着に会いに行こう!」


土曜日に働いている大人とは思えないほどテンションが高い。ここの勤務形態は良く分からないし働いた事も無いけど休日に働くというのは嫌な気分にならないのかな?


雪さんがエレベーターを操作して2人で乗り込む。このビルにも“能力者”は居るのだろうか…やろうと思えば【探求】(リサーチ)()()()()()()()()()()()()()()()()()。でも先生から私の“探知系の能力”を他の能力者が認識して気付かれる可能性があると注意された。だから能力者に対してピンを指すのも禁止された。下手をすると敵対行動として見られるからだ。


エレベーターの扉が開くと“和裁士”さん達の軍勢に出待ちされていた。みんなの視線が私に降り注がれて(あ、私ここで死ぬんだ)と覚悟を決める。


「あなたが美世ちゃん!?」「本当に可愛い!」「女子高生の服作れるなんて夢みたい…!」「女子高生のスーツ姿なんて犯罪よ!」「どんな服が好きなの!?パンツスーツ!?スカート!?」「両方着させましょうよ!」


「美世ちゃん大人気だね♪」


「…っすね。」


ミヨちゃ〜ん♪は〜い!わたしミヨちゃん人形のミヨちゃん♪色んなお洋服着させてほしいな♡


それから和裁士さん達の猛攻を退けて、私専用のスーツがお披露目される。


「こちらが伊藤美世さんに用意されたスーツ一式のプロトタイプです。」


(ふおおおお!めっちゃカッコいい!え?カッコいいんだけど!ていうか、すっごく高そう…)


「本当に本当に私の為に用意されたのですか?」


和裁士さんが私の疑問に対して本当だと肯定してくれて更にスーツの素材やら性能の話をしてくれたが聞けば聞くほど不安になってくる。これ絶対に汚せないしかなり気を使いそう。


「…着るのが勿体無いと感じたのは初めてです。」

「着てください。」


ヒエッ!?怖いよ和裁士さん…


「美世ちゃん取り敢えず着てみましょうよ。」


雪さんが苦笑しながら私に勧めてくる。仕方ない着るか…まあ本当に嫌な訳じゃないよ?本当は着たいよ?でもユニ○ロで育って来た私には荷が重そう。でもやっぱり着てみたい…かな。


数分かけておっかなびっくりに着替えを終える。


「あの、似合ってますかね?」

「「「「キャーーー!!!!」」」」パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ


全身黒色で統一されたスーツを着こなした女子高生に興奮する女性陣の図がそこにはあった。見ようによっては宝塚歌劇団の追っかけによる写真撮影か男装コスプレイヤーの撮影会に見える。


「伊藤さんが黒色の服が好きだと聞いたので黒色で統一してみました!まあ組織のスーツはみんな黒色ですけど!」


確かに嫌いじゃないよ。黒色のスーツはカッコいいしね!ていうか肌触りが尋常じゃないよこの素材。しかも普通の服より重いなこのスーツ。先生との訓練が無かったら動きづらかったかもしれない。


「伊藤さん着心地どう?少し動いて違和感があったらすぐに直すから!」


着心地はかなり良い。所謂(いわゆる)オーダーメイド?の服なんて初めて来たからこんなにフィットするなんて逆に違和感が凄い。


「いや着心地は今まで着た服で1番です。こんなに凄い服作れるなんて和裁士さん達って凄いですね。」


「それ程でもあります!じゃあ説明していきますね!」


和裁士さんの説明が始まる。スーツとシャツの下に着ている物から教えてくれる。


下着の上に着用しているタートルネックは温度調節に優れた素材に防刃加工が施されている作りで雪さんも良く着ていると教えてくれる。そして肘上まである手袋はシェイプサテングローブと言ってこちらもタートルネックと同じ素材と同じ造りがされている。


肘の部分は戦闘時を想定して他より厚い作りになっており静電気が発生しない生地だが指先は違う素材でスマホやスマートウォッチの操作を阻害されないように設計されている。


下に履いてるタイツはかなり厚いがこれは防弾防刃を設計されているので殆どフィットパンツのようだ。でもムレないし伸縮性があって擦れないのが良い。


次に上着に説明が移る。女性用の作りだがブラウスではなく今回はワイシャツを用意したらしい。ブラウスとシャツの違いとか私には分からないけどカッコいいから大丈夫です!


こちらも例に漏れず防弾防刃で更に防火加工と絶縁加工がされている。これは能力者対策で設計され評判が良いとの事。


そして下に着ているのはキュロットスカートだ。私が女子高生だと聞いてインスピレーションが働いたと言われるが確かに制服と似た作りかも。こちらも言わずもがなの加工と作りで出来てる。


最後にジャケットだが、こちらも学校の制服をイメージした作りで着慣れているはずなのに比較出来るからこその違いが分かる。腰の部分は私のウエストに合わされてボディーラインがハッキリとしたシルエットだけどこちらの方がカッコいい!


「似合ってるけどもうちょっとゴシックに寄せたほうが私好きかな」「いやゴスロリぽさのある中世の作りでも似合うよ。」「足が長くて綺麗だからスリットスカートも似合いそう。」「もうちょっとメンズに寄せて燕尾服みたいなテールが長いジャケットでも良いね!」「雪さんみたいにパンツスーツでも良いかもね。」


収集が付かないよこれ。どうしよう殆ど自分の趣味の話をしていない?でもカッコいいんだよなこの服…和裁士さんが作った服が色々とあるなら着てみたいな〜。


「和裁士さん達の服もっと着てみたいのでどれでも良いですよ?」


「「「「「「「来週までに作っとくね!」」」」」」」


「はいっ!お願いします!」


…これは良く考えずに発言しちゃったかな?

健全回です。

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