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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
4.血の繋がった家族
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出会ってしまった2人

まだ幸せそう。まだね。

理華とハーパーが私の高校に来て初めての放課後、早速だけど理華に動きがあった。この微妙な時期に転校してきてせいで絶妙に距離感のある立場に立たされた理華が私の席にまでやってくる。


真っ直ぐ来すぎでしょう!おかしいって!


「美世、ご飯食べに行こうよ。」


……あ、初対面のフリとかしないでガッツリ絡むのね。


「良いよ。食堂とか購買案内するよ。」


私がそう答えて席を立つと教室にどよめきが起こる。


そうだよね。転校生がいきなり私と親しく話していたら驚くよね。京都から転校してきた子が私と知り合いなの謎だもん。


「え?ちょっとどうゆう事?」


マリナ様も席を立ち私の元へ駆け寄ってくる。するとクラスのみんなは何か始まるかという期待を込めて私達の動向を注視し、いつも食堂や購買に駆け込むクラスメートすら席を立たずにいた。


しかし勘のいい数人はこれから起こる事を予期して早々に教室を後にする。ああ……私もアッチ側が良いな。


教室から脱出した彼らは正しい。恐らくだがマリナと理華は相性が……


「はじめまして。美世の親友をやらしてもらっている三船理華です。美世と先約があるので後にしてもらえますか?」


理華は最初からお前と仲良くする気はねえと暗喩に告げた。何故お前は開幕から喧嘩腰なのか……。


いや、私の時もこんな感じだったからこれがデフォルトなのか。なんて厄介な性格をしているんだ。


「はあ〜?うちと美世はずっと前から一緒にお昼してんだけど?」


カーストトップのマリナ様が食って掛かる。この時点で教室を後にする者多数。私もそっち側に行きたいよ……


「どうどう!2人とも落ち着いて!なんで初対面から仲悪いの!?ていうか美世と転校生知り合い!?」


情報量が多いこのカオスみたいな、この世の終わりみたいなシチュエーションに正義の味方であるマキさんもパニック状態。本当にうちの理華が申し訳ありません。


「理華さ、もうちょっと言い方気を付けようよ。私と初めて会った時もそんな感じだったじゃん。」


理華を諌めるついでに説明を挟む。この説明を聞けばこの対応が彼女にとって普通なんだと皆に認知してもらえる。


「そう?美世の時の方が私つんけんしてなかった?」


つんけんって表現使う人初めて見たよ。


「今より酷いって何?美世に何言ったの?」


ここに来てマリナ様のボルテージが上がり今にもプッツンしそうだ。最早教室に残っているのはこの光景をおかずにご飯を食う猛者しかいない。


「別にあなたに関係なくない?美世、早く行こうよ。」


理華が私の右手を引っ張ると、すかさずマリナ様も私の左手を掴んで引っ張り合いに発展した。しかし筋力的に理華が強過ぎるので私は若干マリナ様側に踏ん張って無理やり均衡を保つ。


「おっ、修羅場発生〜!」


レナさんがスマホを取り出し私達の一部始終を撮影し始めた。止めてください!事務所を通してください!


「いきなり来てなんなのあんたっ!」


「私は美世の相棒だから一緒に居るのは当たり前なの。美世も何か言ってやって!」


この二人……会って早々こんなに仲悪くなれるって寧ろ相性良いのでは?


「理華、ちょっとお話しようか。マリナもちょっと待ってて。」


私は理華とマリナ様を物理的に距離を離し理華に事情聴取した。


「何やってんの何してくれてるの何で転校してきたの何で言わないのていうか喧嘩するな私の交友関係滅茶苦茶にしたらお前の顔面も滅茶苦茶にするぞいいか?」


教室の隅で理華にしか聞こえない声量で脅してから向こうの出方を伺う。


「さ、サプラ〜イズ……はいごめんなさい知らない人ばかりで緊張して知り合い美世しか居ないから美世居なかったら私ボッチだしごめんなさいごめんなさい。」


私がかなりキレている事を理解したのか、後半から声が萎んでいき最終的に私に対して謝り尽くした。


しかし私が理華に詰め寄りコソコソ話しているのが気に入らないのかマリナ様が……とても笑顔になってニコニコしだした。周りの人も怖がって距離を置いている。私だって距離を置きたい。


「はっきりさせたいんだけど、組織絡みなの?」


流石に個人でここに来ましたはちょっとね。理華との付き合い方が変わってくる。


「……うん、派閥絡みで私に白羽の矢が立ったの。」


理華も真面目なトーンで返してくれたから納得はしてあげた。だったら私が彼女のサポートをしてあげないと。


「それは分かったよ。理華の言い分はね。次は私の言い分を聞いて。今あなたが喧嘩売った相手はこの教室でカーストトップの子で私の友人兼番犬なの。」


「友人と番犬をセットにしている時点で友人では無いのでは……?」


はあ〜?何であの行動を取っておきながら正論を口に出来るの?


「お前の言い分は聞いたと言ったでしょ?私が話しているよね?ねえ?」


かなり凄んで脅す。こんな顔を知り合いに見せたことが無い。この顔を知っているのは父とあの人と私を怒らせて死んでいったバカ共だけだ。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」


効果はてきめんで理華が半泣き状態で謝罪を述べ始めた。心做しかマリナ様達も引き気味に私達を見守っている。理華のごめんなさいの連呼に引いているんだろうね。


「仲良くしろとは言わない。仲悪くなるな。いいね?私何回も同じ事を言わせる子嫌いだから。」


「分かったから……!その顔止めて……!夢に出てきそう……。」


今の私の表情を説明すると、感情が抜け落ち瞳孔が開いてドス黒い瞳を瞬き無しでずっとピントを合わせず理華を見ている感じだ。私が結構怒っている時に良くする表情で、あの人相手にすると怖がって暫く寄って来ないから昔は頻繁に使っていた。


「私に合わせろ。そうすれば無傷で帰宅出来る。おっけ〜?」


「オッケ〜……」


私は良い笑顔で振り返るとマリナ様達が更に引いて私を見ていた。


「あ、この子緊張しちゃって無礼な態度を取ったけど許してくれる?ほ〜ら理華、言うことあるでしょう?」


私は理華の両肩をガッチリ掴んでマリナ様の前へ引きずり出す。理華の口から言ってもらわないと困るからね。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」


もう…ドン引きだったよね。みんななーんにも言わないの。時間停止の能力に目覚めたと思ったもんね。それぐらい教室の時が止まったの。


「……………うん。ワカッタヨ。」


「…ほらっ!マリナも許してくれるって!良かったね理華!」


「ワーイワーイウレシイナー」


それから私達は無言のまま昼食を食べ終えて午後の授業も静かな教室で受ける事になった。


そして放課後になって私は1人で下校し、気が付いたら自室のベッドの上で眠っていた。


理華が転校して来て初日が終了し、私の高校生活も一緒に終了した。



                〜おしまい〜









という訳にはいかないので私は次の日の朝、マリナ様にラインを送り一緒に登校しようと誘った。これは普段から一緒に登校しているけど、もしかしたら今日からマリナはバス停近くで待ってくれていないかもしれないから保険としてラインを送ったのだ。


私は支度を整えて玄関へと向かうとラインに反応があったので通知を開いてみた。


<三船理華


[今日一緒に登校しない?美世の家の近くで待ってる。だから無視したり違う道使って回避したりしないでね。


しないよね?私達親友で相棒だもんね?]


既読スルーして私はいつものバス停へと向かった。だってマリナ様の反応があったもん!Fooooooo!


私の高校生活は……私の戦いはこれからだ!


                〜おしまい〜







「あ、おはよう美世!」


「おはよう美世。この子話してみたら面白いわ。」


私がバス停に向かう途中で理華が既読スルーに気付いたのだろう。私が使っているバス停まで一直線で向かい(何で知ってるの?)マリナ様と邂逅、それから割と良い感じの雰囲気になり今ではお互い笑顔で話している。


…女子こわ。昨日あれだけバチクソやって翌日は普通に談笑している。


「おはよう…2人とも、仲…良さそうだけど…?」


「「美世の話で盛り上がったからね。」」


私の何の話で盛り上がったのっ!?悪口!?悪口だよね絶対!?女子は悪口でコミュニケーションする生き物だもん!!

次回からストーリーを動かしていこうと思います。

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