表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.5
211/602

姉と弟の関係 前編

色々な経験を得て少し大人になった主人公を描きたいと思ってこのシリーズ?を始めました。


でもまだ幼さを出したい、寧ろお姉さんぶるから幼く見えるみたいなバランスを出したくてですね。(早口)

僕は伊藤誠。僕の家はお父さんとお母さんとお姉ちゃんの4人家族。仲はあまり良くない。


でもお父さんとお母さんと僕は仲が良い。でもお姉ちゃんは誰とも仲が良くない。良くお父さんと喧嘩したりお母さんの悪口を言ったりするけど、僕の悪口は言ったことはない。


だからなのか昔からあまりお姉ちゃんの事を嫌いではなかった。寧ろカッコいいとも思っていた。大人の人にも負けずに言い返していたからだと思う。


クラスの友達もどんなに威張っていたって先生が来ればみんな黙って人のせいにしていたりしてカッコ悪い。でも僕のお姉ちゃんは違う。絶対に折れないんだ。自分の思っている事をズバッと言って泣いたりもしない。でもそこがちょっと怖かったりする。


だからいつかその矛先が自分に向くんじゃないかって考えて自分から話しかけたりする事は出来なかった。だってお父さんと言い合いになっている時とお母さんに怒っている時の内容が僕にも関係のある事だったから。


お姉ちゃんのお母さんと、僕のお母さんが違う人なのは今より小さい時から知っていた。それはあまり良くない事で他人に話す事じゃないって。世間体?ってやつが悪いらしい。


お姉ちゃんが僕に話しかけないように僕もお姉ちゃんに話しかけたりは絶対にしなかった。お父さんもお母さんもその方が良いって言っていたしそれに従った。お姉ちゃんも僕への接触は最小限にしていたんだと思う。お姉ちゃんがリビングに居て僕がリビングに行くとすぐに外に行くか部屋に戻って行ったから。


僕とお姉ちゃんは一般的な姉弟関係では無かったけど、僕は好きだった。だってお姉ちゃんは“黒神みずき”かもしれないから。


黒神みずきは僕が今ハマっているカードゲーム“デュエルエクスターズ”の敵キャラだ。主人公達とは敵対しているけどお母さん思いのキャラでお姉ちゃんに良く似てる。髪型も眼鏡も性格もそっくり。


学校の仲のいい友達にその事を話したら会わせてくれって言われたけど、とてもじゃないけどお姉ちゃんに友達と会ってほしいなんて頼めない。だからそいつらに嘘つき扱いされているけどお姉ちゃんは黒神みずきに違いないっ!……多分。


黒神みずきで思い出したけど、今月発売のパックも黒神みずきが使っているデッキのシリーズだから欲しいな〜。でもお母さんはそういうのをあまり買ってくれない。サッカークラブとかパソコンとか、そういう将来に役に立つものは言わなくても用意してくれるけど、遊びに関するものは全然買ってくれない。だから毎月のお小遣いで少しのパックを買うしか手に入らない。


友達はみんないっぱいカード持っているから余っているやつとか貰ったりもしてるけど、やっぱり自分でパックを開いてカードを手に入れたい。その方が楽しいもん!


「お父さんとお母さんな、お母さんの実家に行かないといけなくなったんだ。」


朝ご飯を食べ終わった後に録画していたデュエルエクスターズのアニメを見ていたら突然そんな事を言われた。お母さんの実家はお盆とか年末とかに行ったりする。僕はあまりあそこは好きじゃないから嫌だな〜って思っていたらお父さんが続けてこんな事を言った。


「誠は連れていけないからお姉ちゃんと留守番していなさい。」


「え?」


そんな事を言われたのは初めての事で凄く緊張した。いつものリビングなのに急に別の場所に感じてほんのりと手と足に汗が滲んで気持ち悪かった。


「あなた、誠とあの子の2人きりにしておく事なんて……」


僕もお母さんと同意見だ。お姉ちゃんが良いって言うわけない。最近はお父さんとも喧嘩しないしお母さんの悪口も言わなくなったけど、お姉ちゃんは僕達の事を嫌ってるから……。


「美世も最近はとても落ち着いている。もう昔みたいな事は無いよ。」


「でも……」


僕は会話に入らずアニメに集中しているフリをした。凄く緊張して何をしたら良いのか分からなかったから。お姉ちゃんの事は嫌いじゃないけど……2人きりでお留守番は嫌だな……。


「だったら美世に聞いてくるよ。美世の反応を見れば大丈夫か大丈夫じゃないのかぐらい分かるから。」


お父さんはそう言ってお姉ちゃんの部屋へと向かった。僕は怒声が響くかと思ったけど2〜3分程度でお父さんが戻って来て大丈夫だと僕とお母さんに言いその話を終わりにした。


お母さんもおばあちゃんの事が心配なのかすぐにでも向いたそうだったから特に反論せず準備に移っていった。僕はお姉ちゃんとの留守番が確定した事にすっごく驚いて心臓がバックンバックンだった。


2人きりなら僕に味方は居ない。もしお姉ちゃんが僕の事を虐めてきたらどうしよう……。黒神みずきも主人公にイジワルをしたりしているからちょっと怖いよ。


僕がそんな不安に襲われていると二階からお姉ちゃんが降りてきた。なんで降りてきたんだろう……気になるけど僕はアニメを見ているフリをし続けた。


お母さんと廊下ですれ違った……?でもそのままお母さんは玄関に向かって行く。前なら信じられないよ。チラッと玄関へ続く廊下の方を見るとお姉ちゃんは特に気にした様子も無く落ち着いていた。


だからだろうか、少しだけ緊張感が取れた。今のお姉ちゃんはなんだろう……落ち着いている?昔ならお母さんが廊下とかに居たら絶対に上の階に行っていた。お姉ちゃんはもうお母さんの事とか嫌いじゃない?


「じゃあ行ってくるよ。」


お父さんとお母さんはそう言って家を出ていった。……ヤバい。また緊張してきた。お姉ちゃんがリビングに来た。


それからお姉ちゃんはバイトに行かないといけないって言ってきて僕は不安から無理だと言って迷惑を掛けてしまった。電話でバイト先?に色々と話していたりして凄く申し訳無かった。僕が一人で留守番しておけば良かったのに急にこんな状況になったから頭の中がパンクしていた。


こんなの言い訳にしかならないけど、一人でこの家に居るのはとても怖かった。明日の朝には帰ってくるって言ったけど、もしかしたら明日も居ないかもしれない。それがとても怖かったんだ。


「バイト先に託児所みたいな所あるからさ、そこなら他に人居るし同い年ぐらいの子たちもいるかもしれないから一緒に来ない?」


また急にそんな事言われたって……困る。


「……無理。知らない人と一緒は無理。」


その時の僕は意固地になっていた。お姉ちゃんが僕の思っていたより普通に話してくれるしワガママを言っても良いんだと勝手に思い込んでしまった。多分お姉ちゃんは僕の事を怒らない人なんだと話してみて分かったからだ。


だからアニメを見る事集中する事にした。テレビでは僕が欲しくて仕方ない黒神みずきのパックのコマーシャルがされていてちょっと前屈み気味に見ていた。そしたらお姉ちゃんが……


「このカードゲーム買ってあげるから一緒に来て。」


僕は笑顔で承諾し着替えの入ったリュックと宿題を背負ってからデッキを持っていつも使っている近くの駅へと向かった。その道中で僕は初めてお姉ちゃんと2人きりでお出掛けした事に気付き、また心臓がバックンバックンになってお姉ちゃんの後ろをついて行った。


(子供の考える事は分からない。)


私も子供に分類されると思うけど小学生と高校生はもはや別の生き物だ。魚で言うとイナダとブリぐらい違う。


……例え悪かったね。でも私の言いたい事伝わるでしょ?物事の捉え方考え方が全然違うの。私と2人きりなのは嫌だろうに1人は嫌だと言う。私のアルバイト先について行くのは最初嫌がっていたのにカードなんかでウッキウキになって準備した。


しかも途中で不安になったのか下を向いて歩いていたと思ったら電車に乗り込み普段降りたことの無い駅に行くとテンションが上がって窓に張り付きずっと景色を眺めている。


夏休みだから人が多い電車内でこの子が押し潰されないように後ろから壁役になっている事にも気付かず窓の外を凝視している所はちょっと可愛いとは思った。これは猫を見て可愛いと感じる感覚で弟に対して感じる感覚ではない事をここで言っておこうと思う。


「ここで降りるよ。」


弟のリュックを軽く押して誘導しながら改札にへと向かい第一部ビルにまで歩いて向かう。


あの子は周辺のビルや歩いている人をキョロキョロと見ながら歩くもんだから私がそのままリュックを掴んで誘導。何もそこまで珍しい光景では無いと思ったけど、小学生の行動範囲ではこんな所までは来ないかと考えを改めて納得した私。


「雪さんっていう女性が面倒見てくれると思うから迷惑を掛けないでよ。私の100倍は優しいけど私の100倍は怖いから。」


「……そんな人居るんだ。」


その反応が少し面白く道中で雪さんの話をした。流石に仕事に関する話はしなかったけど一緒に出掛けた話や初めて会った時めっちゃ怖かったとか面白おかしく話すと、この子も不安やら緊張が無くなっていき次第に笑顔でいることが多くなる。


あれ、もしかしてだけど、私……お姉さんやれてる?雪さんの話をしていたらちゃんと年上として年下を面倒を見てあげないとという気持ちになるから雪さんは凄い。1人凄い人が居ると周りも凄くなる。ミラーリング効果だっけ?人の真似を無意識にしちゃうやつ。私にとって大人の女性のイメージは雪さんで固定されちゃっているからかな。


そんな事を思いつつ私は目的地の第一部ビルに着き顔馴染みになった警備員と軽く話し門を開けてもらう。


「ここ……?」


本当に?みたいな言い方だけどここだ。私の勤め先である第一部ビルはとても大きい。超高層ビルは東京に生えまくっているけど、小学生なら入る機会無いよね。当たり前の景色になっていたビルに入れるなんて嬉しいだろう。ちょっと歩く速度が上がっているのを私は気付いていた。


「雪さーん!」


手を振ると外で待っていてくれた雪さんが手を振り返してくれた。


「美世ちゃん急にゴメンねっ!助かるよ〜本当に♪」


相変わらず美しい。この子も凄く驚いていてまた緊張している。年上のお姉様は少し刺激が強かったかな。


「いえいえ、仕事なので構いません。この子が私の……()()()。」


少しつっかえてしまったけど、ちゃんと紹介出来た。私偉いっ!


「……伊藤、誠です。きょ、今日はお世話になります。」


「は〜い誠くんね?私は淡雪。雪お姉ちゃんって呼んでね♪」


雪さんの先制パンチ強すぎる。初対面のショタにお姉ちゃん呼びを強要するお姉さんの鏡。


「あ、淡雪さん……」


スルースキルを発揮するショタことマイ・ブラザー。


「雪お姉ちゃんって呼んでね♪」


壊れた蓄音機かな?それともRPGゲームのNPCかな?


「雪お姉さん……」


この子も雪さんの怖さを理解したのだろう。これで迷惑を掛けることは無さそう。この初対面でちゃんと上下関係をハッキリさせる雪さんのやり方を私は真似したいね。


「じゃあ行こうっか!」


雪さんの案内で私達はビルの中へと向かって行く。……あれ?私もなんか緊張してきたぞ?自分のエリアにこの子が居ることが妙におかしくて仕方が無いのかな。


「ねえ、言ったでしょ。雪さん怖いって。」


「うん……ちょー怖い。」


雪さんのおかげで、私とこの子との間にあるわだかまりが少し無くなったような気がした。

能力バトルも書いていて楽しいですけどキャラの内面を書くのも楽しいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 黒神みずき・・・   もしもし組織さん? 表の仕事のひとつで、能力者を題材にカードゲーム作ってません?(白目
[良い点] 誠死ね。 [気になる点] 誰も書いてないから書かないといけない気がした。反省はしている。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ