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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
202/602

決戦の地

気が付いたら200話超えてました。作者ってもしかして暇人?

雨のように向かってくる弾丸の中で、3発の弾丸が理華に直撃するのは分かっていた。理華の能力は攻撃や潜伏、回避面では無類の強さを誇るが防御面ではあまり効果はない。弾丸を熱で溶かす事は出来てもその熱には耐えられない。このままでは理華にダメージが入る。


私は影から手を出し軌道を固定する。そして弾丸を3発ともキャッチしてそれを防いだ。私の能力は防御面では理華より優れている。ナビ役が満足に出来なかった分、ここで取り返さないと。


「あちち…流石に素手で弾丸は熱い。」


「急に背中に重みが感じたと思ったら…何してんの?」


理華からしたら突然自分の背中から腕が生えてそのまま弾丸をキャッチし、しかも私の腕の分背中が重くなったとか意味分かんないよね。


「ほら、まだ来るからしゃがんで。」


理華は私の言う通りしゃがみ込み弾丸を回避する。敵からすれば窓からこちらを伺う事でしか視認出来ない。だから敵は理華の頭のある辺りを適当に弾をばら撒いている。


「理華、能力解除したら…」


今の理華はしゃがみ込み両手を床につけている。その時に理華は能力を解除してしまっていた。


「あ。」


慌てて能力を行使しようと手を前に出そうとした所で理華の身体が石のように硬直して動かなくなる。


(…なるほど、メデューサみたいな能力か。)


石のようにと言ったが本当に石になった訳ではない。自身で身体を硬直させていると言った方が適切かもしれない。理華は自分で自分の身体を硬直させている。恐らくそういう命令を視線で行なうのが相手の能力。目から光を放出して対象に触れる事でそれを可能にしている。


多分だけど目を合わせたり目を見ないとこの能力は発動しない。全身ボディスーツを着ている理華は肌の露出が少ない。身体の皮膚に光が触れる事は無いしね。露出しているのは頭だけだしその制約で間違いない筈。


だって顔を出さず手だけを露出している私には効果はない。私は手袋をしていないから手の部分が露出しているのに全く硬化する効果はない。こうかなだけに…。


いやダジャレを言っている暇はない。理華は姿勢を低くしているからまだ無事なだけで敵がこちらに向かって来たら危険に晒さられる。


「ぶっ殺す…。」


理華の背中から出た私は影を操り廊下を塞ぐように広げた。これで視線は切れる。そしてこのまま影を動かして敵のベルガー粒子を剥ぐ事にした。


壁の様に変形させて廊下を塞いでいた影をメデューサ(仮名)に向かって押し出していく。敵からしたら黒い壁が物凄い速度で突っ込んで来るように見えるから、相当な恐怖だろう。


影がフィルターのように働いて彼女のベルガー粒子を引き剥がす。ベルガー粒子は何も無い空間に押しやってメデューサの無力化に成功した。


「きゃっ!」


奥の方から女性の悲鳴が聞こえた。メデューサは突然の事で腰を抜かし床に手をつけてその場に座り込んでいたので、私は影で相手の両手と足を飲み込んで身動きが取れないようにしてから別の能力を行使する。


「【再現(リムーブ)】…。」


左手に銃を再現し引き金を引く。軌道は確定し弾丸は軌道線上を走る。そして弾丸は腰を抜かしたメデューサの胸から侵入しうなじ辺りまで突き進み貫通した。風穴は腕が一本通る程の大きさで誰が見ても即死だった。


私は引き金を引いた瞬間から視線を外していたので彼女の死に様を肉眼で視認する事はなかったけどね。


「理華は…まだ動けそうにないね。」


敵の能力者は死んだから能力の行使は無理やり停止させたけど、まだ上手く身体を動かせないらしい。その証拠に話し掛けても声による返事は無い。


そしてあの妙な感じも消え失せた。もしかしたらあの感じは彼女の能力が射程ギリギリのラインで私達が居たから中途半端に身体が硬直していたのかな?もう知りようも無いけども。


私は理華を掴んで元居た階段付近まで投げ飛ばした。勿論バリアで保護してね。でないと後で殴られかねない。


「ハーパー!理華をよろしくねっ!」


私は大声でハーパーに声をかける。その後すぐに彼女が階段から降りてくるのを能力で探知したのでそのまま理華を任せる事にした。


「リロードっと。」


私はリボルバーのシリンダー部分を開放しリロードする。撃ち合いは大の得意だし付き合ってあげるよ。


敵は窓に向けて銃弾を撃ち込んで来ているから多分この分厚い壁は撃ち抜けない。でも私の銃なら貫通出来るかもしれないから試しに一発撃ってみる。


するとボコッと壁に穴が開きコンクリートの破片が床の上に飛び散った。穴は開いたけどこれマズいな。敵からも私の事が丸見えで格好の的になってる。


銃撃も激しさが増し私が空けた穴に向けて敵の攻撃が殺到した。私は回避行動を取りその場から撥ね退けて廊下を走り抜ける。


「おっと!」


低姿勢のまま移動しドアノブに手をかける。ドアの向こうに出ると男3人に女2人の能力者がコンテナが積まれた箱の裏に陣取っていた。こちらには顔を出さずモニターでこちらを確認している。


それと自動照準された機関銃が…5つかな。これで私達を狙っていたのかな。彼等の手元にはリモコンやパソコンが置かれているしあれを使って操作していた?


「もうあんた達の種は分かったから出てきたら?あそこに居た女はもう殺したよ。」


もう敵は私の射程圏内。距離としてたったの50m程度。天井も10メートルぐらいしかない。地下にしては高いけど。


そしてあのコンテナ以外に障害物も無くただただ広い空間が広がっているだけだ。 


やり合うとしたら単純な能力のパワー勝負になりそうだな。…と、暢気に構える。すると敵に動きがあった。


「はじめましてデス・ハウンド。」


そう言って一人の男がコンテナの裏から出てきた。見た目は正に軍人といった見た目でとても偉そう。勲章とか付けているし高そうな時計をしている。服装はそんな感じで本人は40代ぐらいの白人男性で髪の色も瞳も茶色。


正にここの偉い人で〜すって感じのいけ好かない男だ。


「私と会話したいのならまず自分の名前から名乗りなよ。お前達はいちいち偉そうで困る。」


取り敢えず煽る。これで敵が何かしらアクションしてくれたらやりやすい。


「それは失礼。私はビリー・マッケン。一応はここの最高責任者を任されている。」


任されているという事は更に偉い人達が居るって事だね。情報ゲット!


「お前が夜道に集団で女子高生を襲った大人達のトップ?」


言葉にすると犯罪臭が凄いね。でも間違っていない。彼らは変態だ間違いなく。


「これは手厳しい。だがな、人は古来から群れをなして狩りを行なう。特に狼を狩るのは大変な事だ。」


私を狼って…夜道に女性を襲う奴こそ狼だろうに。


「因みにあとどれくらい待てばこの会話終わる?」


プレッシャーをかける意味で静かに歩きながら彼に近付いていく。


「…何のことだ?」


ビリー…ホニャララはしらを切るけど、バレバレだよあんた達。


「コンテナの中にあるものをパソコンを使って何かしてるんでしょ?それ後どれくらい掛かるの?待っててあげるから。」


パソコンから出てる配線を辿ると機関銃には繋がっていない。コンテナの方へケーブルとかが全部向かっている。


「…良いのか?これが起動すればデス・ハウンドとはいえ死ぬ事になるぞ?」


「どうぞご勝手に。ここまで大した事無さすぎて拍子抜けだったから期待せずに待ってるよ。」


時間を稼ぐ為に彼が出てきたと思うけど、私も時間を稼ぎたい。理華はハーパーと話せるぐらいまで回復したみたいだけどまだ本調子ではない。取り敢えず立てるぐらいまで時間を稼ぐ。


「凄い自信だ。若者特有の無謀か、それとも強者のみ持てる余裕か。」


「そんなのこの後に戦えば分かる事だしどうでも良いよ。私が知りたいのは一つだけ。」


この施設を探索した際に得た情報とこの男を探って分かった事実を組み合わせると最悪のシナリオが見えてくる。


「なんだ?言ってみろ。待ってもらう礼に答えよう。」


男は余裕そうに答える。時間という最後の懸念が消えたから精神的にも高ぶっているのかな。


「お前を殺すとこの施設が爆発される仕掛けがあったりする?」


男は冷静に間も空けず、自然なタイミングで声を出した。


「何故そう思った?」


「服の下に装置着けているよね?しかも心臓の位置にさ。あっちこっちに仕掛けられている爆弾と連動しているのかな〜って。」


心臓が止まったら爆弾が起動する…そんなシナリオが見えてくるから殺さずにこの男を放置している。


「…そこまで探知出来るとは驚きだ。」


男は本当に驚いて関心したように私に拍手を送る。


「そうだ…その通り。私が死ねばお前達も死ぬ。ここは地下5階、爆発が起きれば上から落ちてくる瓦礫の重さでお前は圧死、又は窒息死する。」


ほらね。愛国心とか言っちゃう奴がやりそうな事だ。好き好んでやっているのが少し話しただけで良く伝わってくるよ。


「私はもう勝っているのだよ。お前はもう私に殺されているのだ。ここを破棄する段階でこの施設はデス・ハウンドを閉じ込める檻…」


男は上着を脱ぎ爆弾の装置とバカを晒す。もう勝った気になって気持ちよく喋りだしたよこいつ。面倒くさいので話している最中に私は割り込むことにした。


「長えよおっさん。早くしないと後悔する事になるよ。」


「…あるからして…何?後悔だと?」


話の腰を折られたので少し不機嫌そうな声色を出す。


「あんたさ、ここの職員達を無事に逃したと思っているでしょ?」


パソコンを操作している奴らも私の言葉に反応して手を止める。


「…いや、有り得ない。全ての通路を知っている訳がない。それに周りに動きは無かった。」


「カメラで見た?先に人を数人だけ外に出して安全か確認してから避難させた?…だから何?()()()()()()()()()()。」


私の言葉の意味を理解した男の表情が固まった。

ラストスパートです。

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