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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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作戦会議

あと…10話以内に3章を終わらせようと考えています。ここまでお付き合いしてくれた皆様、もう少しだけお付き合い下さい。

室内は地獄のような様だった。もはや誰も声を出さずファイルも開かずの状態から一時間が経過し、皆が虚無に陥っている。


「いっその事この作戦全部無視して任務に当たれないかな。」


私がぼそっと呟いた言葉がやけに部屋の中に響いた。それに理華が反応して虚ろな目に生気が戻る。


「それだ。」


あ、これは良くない流れだ。私には分かる。


「駄目だよ。自分で言っておいてなんだけどさ。」


ここは訂正しておかないとね。


「……悪くないかもしれません。」


ここでまさかのオリオンのOK発言。良くないよ。実に良くない。


「その場合手柄は全部私達になるんですか?」


ハーパーも参戦!なんでこういう時に限って人はイエスマンになるのか、私はその疑問を解決する為にアマゾンの奥地へと向かった。


「なるでしょ。でもね、そのかわり作戦を提案した人達からは非難轟々だと思うよ。でも今回の件を外から見ている人達からしたら面白く見えるかもしれないけど。」


「それが嫌なんだよね。」


あまり注目を浴びるのは好きではない。しかも非難が殺到するとか勘弁です。


「そんな事を気にするタイプだっけ?」


「ネームバリューを考えてよ。絶対に私に集中するからさ。」


「それなら死神の考えた作戦という事にしましょう。ワタシの方から連絡しておきます。」


オリオンさん……それはちょっとご勘弁を……。


「また先生にご迷惑を掛けてしまいますし……。」


先生からの評価だけは下げたくない!嫌われたくもない!


「死神はそんなことを迷惑には思わないと思いますよ。それに早く決めないと、時間がもうあまり残されていませんから。」


現実は辛いよ。だれも待ってはくれない。


「あの〜今回の任務、死神と協力してミューファミウムの本拠地を潰すのが目的ですよね?死神は今回の作戦内容について何か言っていなかったですか?こっちが勝手に決めて良いのかなって今思ったのですけど。」


確かに一理ある。勝手にやっていいものなのだろうか。私がパスを使って裏で話し合いしないとかもしれない。


「作戦と言ってもある程度の筋書きは全て同じなのですよ。私達以外にも今回の任務で動く人は居ますしある程度一連の動き方は決まってます。」


「本当に手柄欲しさの行動なんですねこのファイルの数は……。」


つまりこの数時間は出世欲に取り憑かれた者達の妄想を読んでいたのか……、なんて無駄な時間を過ごしたのだろう。


「だから組織のやり方に沿わず別のやり方をするのも1つの手だろうね。あいの風としてはどうしたいんだい?」


これは……試されているのかな。オリオンさんはこうなる事を分かっていたんだ。わざわざこんなゴミの山を持ってくるような無能な人ではない。このファイルは私達がどう動くか見る為の小道具に過ぎない。


「……少し考えさせてください。」


3人の視線を浴びながらも私は目を瞑り思考を重ねる。先ずは私がどうしたいかだ。私としてはミューファミウムを潰したい。理由は色々とあるけど一番は邪魔だからだと思う。出資者からして碌なところではない。平穏な世界の為には消えてもらうのが手っ取り早い。


そして次は潰した後のことだ。最もリターンの大きい方法を選び自分達にとっての利益を確保する事が第一条件。それでメリットの話だけど私にとって一番のメリットはなんだろう……お金?出世?正義?


どれも全く欲しくない。私が欲しいのは結果だ。自分にとって良い結果を残す事が一番。つまり私と理華とハーパーの3人が無事に任務を終える事が一番だ。それが確定するのなら方法は別に何でもいい。このファイルの山から適当な作戦を選んでもいいし私達で勝手にやってもいい。


なら次はその方法だ。正直な所このファイルからは私達に対しての理解度が低過ぎると言える。まあ、仕方ないけどね。私の能力の詳細なんて先生と理華しか知らないし、それに理華の能力もこの数日で大きく成長した。理華のスペックをフルに活用しないと勿体ない。


そしてハーパーの事もどうにかしたい。彼女の立場がかなり悪い事はオリオンさんとの一件で分かった。この任務で彼女が良い結果を出せば一目置かれる筈。だけどただ参加させるだけでは周りが認めてはくれない。特に疑いの目を向けている人達には。


だから私と理華に一緒に付いてきてもらって前線で戦ったという結果がいる。それなら彼女の任務に対しての姿勢を伝えられる。裏切り者がこの私、あいの風と一緒に前線に出る?ありえないでしょう。終わった後に私がちゃんと上へ報告する。彼女は勇敢そのもので信頼出来る仲間だってね。


……あれ?ていう事は私達で勝手に動く方向が一番なのかな?本当に?


まだ考える事があるんじゃないかな……もう少し考えよう。


私達が勝手に動いた場合、周りはどういう反応をする?不平不満を述べる?それとも称賛される?人それぞれで変わるとは思うけど今回の場合は少し話が違ってくると思う。


何故なら先生が絡んでいるから。先生に文句言える奴が組織の中に居るとは思えない。だってみんな死神の事を恐れている。異常なまでにね。私もその理由を最近知ったよ。それはね、絶対に敵に回したくない相手だから。


どの勢力も、どの派閥も死神には手を出せないし文句は言えない。……あ!そうだ!派閥だ!良いこと思い付いたよ。


私は目を見開き3人にこう告げた。


「死神をトップに置いた派閥として今回の任務を成功させます。」


かなり決め顔で言ったけどみんな無反応だった。私の頬が赤く染まる。……恥ずかしい。ひとりだけエンジン全開だったね……。


「悪くは…無い、か?」


首を傾けて何やら色々と思考している様子の理華。派閥に関しては彼女の方が詳しい。その辺の損得勘定は任せたよ。


「もし成功したら手柄は私達の派閥が独占する感じですよね?良いんじゃありませんか?」


ニコっと笑うハーパーは何も考えていなさそうだった。恐らく思考を放棄している。彼女らしいっちゃ彼女らしいのかな?


「それだとワタシも派閥に入っている事になりますが?」


オリオンさんは先生の下でこき使われているからね。私的にはもう先生の付属品としてこの派閥に入って欲しい。でもこれをオブラートに包んで話すにはどう嘘でコーティングして言えばいいんだ?


素でゲスな思考をする女子高生がここに居た。


「派閥に入ってくれませんか?特にこれをやって欲しいとかは言いません。いつも通り仕事をしていてもらって結構です。ただ色んな場面でオリオンさんの名前を出す許可が欲しいのと情報提供をお願いしたいんです。」


「強欲過ぎる……。」


理華がドン引きだった。……常識人の理華には到底理解出来ない事だろうけど最初はこれぐらい要求してから交渉していくんです〜!ここから向こうの許容出来る範囲を探っていくんです〜〜!!


「まあ、それなら良いですよ。」


「「オッケーなの!?」」


まさかのオッケーを貰えました。私の交渉術を理華に見せつけてやろうと思っていたのに。


「彼女と関わる事になった時からある程度の要求を叶えてあげるつもりでしたからね。オリオンの名前は好きな時に使ってください。」


なんか、怖いな……。後で何かを要求されたりしない?どんなものにも等価交換の法則があるってのが錬金術の鉄則だ。逆に私がオリオンさんの為に何かをやらされるかもしれない。ツイッターの住人が好きそうな展開だ。


「えっと……私が言うのはおかしいかもしれませんが、なんでそこまでしてくれるのですか?」


先ずはここを明確にしておかないと駄目だよね。オリオンさんの考えがイマイチ読み切れない。


「平穏な世界を創り出す為にはあなたをサポートするのが一番だと判断したからです。それに……」


先生と私の共有している考え、平穏な世界を創り出すという目標。確か初めて会った時もオリオンさんが言っていたような…。でもこれはあくまで建前かもしれない。学校や会社でもスローガンを貼り出すけど別にみんなそれに向かって行く訳ではない。本心は別にあると見た。


「それに……?」


ゴクリと唾を飲み込む。


「仕事ですから。」


「仕事……ですか。」


仕事中毒者というのはオリオンさんの事を言うのだろう。そういえばあの時もすぐに仕事に戻って行ったよねこの人。先生にオリオンさんが休める時間を作ってくれるようにこの仕事が終わったらお願いしようっと。

4章からはかなり伏線を回収していこうと思ってます。その為の3章でしたから。

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