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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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魔女との密談

暗躍始まります。

……駄目だこりゃ。彼女達は話を聞ける状態ではないよこれ。ルイスなんて私とラァミィ達のどちらから殺ろうか影を操作しているし、まとめ役のラァミィに関しては顎に手を当てて熟考し始めた。……もしかしたら気付いたのかもしれない。私の意図を。


「黙らないと死神呼ぶから。」


私の熱意が伝わったのか、彼女達は大人しくなり能力を解除した。最初からこう言えば良かったな。


彼女達がある程度英語を理解しているからこのまま英語で話したいけど私は彼女達の言葉は何となくでしか理解出来ない。サラに憑依した際はある程度言葉を理解したけど今じゃあやふやだ。


「ちょっと待ってて。よっこらしょ。」


適当な椅子に腰掛けて背もたれに背中を預ける。


(【再発(リカー)】act.憑依(ポセスィヨン)


「……あ、あーあー。良し上手く行った。」


「ルイス……?」


「ルイスじゃないよ。あなた達が大好きな特異点だよ。」


「なっ!?」「どういう事?」「憑依…。」


私は彼女達の中からルイスを選んで憑依した。理由は色々あるけど一番はルイスが持っている情報だ。リーダーだからこそ持っている情報や組織に所属していたという経歴。この中で一番私の得になる情報を持っていると踏んだ。


「あー……なるほど。ルイスはあなた達に攻撃して乱闘状態に持ち込んで逃亡を図ろうとしてたのね。」


「コイツを殺せ!」


ボーの意見はもっともだ。酷すぎるなこのリーダー。


「まぁまぁ落ち着いてよ。私は平和的に話を済ませたいの。時間も無いしね。だからラァミィ……あなたが代表として話を聞いてくれる?」


彼女はこの展開を読んでいたのか。落ち着いた様子で近くにある椅子に座りこちらに身体を向けた。


「……良いわ。私としても殺り合う気は無かったしこの状況の説明と目的を教えてくれるのならこちらから仕掛ける事は無いから。みんな、それで良い?」


「……ラァミィが言うなら。」


「私も同意見です。先ず話し合いをして状況を整理したい……です。」


ラァミィとシークは能力者らしい考え方をしている。効率的というか論理的な思考を持っているから助かるよ。


「じゃあ初めに言わないといけない事を言わせて。ここは今は安全だけど、この先あなた達はかなり危ない立場に立たされるの。だから話が終わったら人気の無い道を使って遠くの方へ逃げて。」


「……私達を逃がすの?」


「そう。あと信じられないかもしれないけどあなた達は一回死んでいる。私が能力で生き返らせた。そこのステファニーが生きているのが証拠。本人は分かっていないみたいだけど。」


部屋全体がザワつく。だが、驚いてはいるが何となく分かっていたらしく騒ぎ立てるような事はしなかった。伊達に修羅場をくぐり抜けていない。


「信じられないけど……そうなのね。私は死神に殺されたのかしら?」


「そうだね。でも私は死神に逆らってあなた達を生き返らした。だからあなた達が組織や死神に見つかったりされると非常に困るの。もし見つかったらまたあなた達は死神に殺される。見たでしょ?死神の能力を。死神の情報を持っている者を生かしたままにはしないよ先生は。」


「……2〜3、聞きたいことがあるのだけど。」


「聞く前にやっておきたい事がある。今はこの身体に憑依しているけど、憑依の能力は記憶の共有が出来るって知っているよね?」


「ええ。サラと同じ能力なら可能ね。」


「そこで私の記憶をルイスに共有するから後で彼女から死神についての情報を共有しておいてくれない?時間が無いから死神の能力については質問無しね。」


話すより共有した方が速い。端折(はしょ)れる所は端折る。


「だったら私にも情報を共有してちょうだい。彼女が情報を独占する可能性が高いから。」


信頼関係ゼロのリーダーと副リーダーである。


「ねえサラ。」


「え?私?」


突然自分が呼ばれた事に驚きながらも返事を返すサラ。


「何人も憑依したり記憶を共有させたりする場合デメリットってある?」


「……自分と憑依する相手と()()()()()()()()()()()()()()()()()()。私の名前なんて本当の名前かどうかすら分からなくなったし。まあ、そこまで混ざってしまうとデメリットにならなくなるけどね。」


「それは……どうして?」


「自分の明確な定義そのものが消えるから。自分が何者かという正解が分からないのだから気にする必要は無くなる。」


「問題しか無いじゃん……。」


そんな話の後にしたくは無かったけどルイスとラァミィに私の記憶を共有した。うぅ、ラァミィの家族愛と仲間愛が尊い……。めっちゃ良い人やんこの人。それに加えてルイス……控えめに言って独裁者(ジャイアン)です。ありがとうございました。


「「………」」


記憶を共有し終えたルイスとラァミィの2人は顎に手を当て熟考し始めてしまった。こういう所はとても似ている2人だ。だけど時間が無いから急いで欲しいな……。


「私絶対にルイスが暴れると思ってたぜ。憑依されて記憶覗かれた事でさ。」


「私もそう思ったわ。身構えてたけど大人しいわね。いつもこうなら良いリーダーなのに。」


「「「ホントそれ。」」」


仲良いなコイツら……そこら辺のソファーに座って寛いでるもん。態度と度胸どうなってんの。


「ルイスがああなってるからマジなんだろうな……。私殺されたのか。まあ、あそこから生還は無理だろうしな。」


「ていうかなんでルイスの胸元穴空いてんの?ウケる。」


「そんな事よりここどこよ。つうか死んでから何日経ってるの?」


「ねえ〜私達の疑問は無視?どうなの特異点?」


2人に憑依した影響でコイツらのウザさと言葉が理解出来るようになってしまった。初対面の丁寧さはどこ行ったんだよ!


「特異点は止めて。思い出したくない顔がチラつく。」


「じゃあ……デス・ハウンド。単刀直入に聞くけど私達を思い通りにして駒にしたいの?」


「まあ、そんな所かなメリッサ。」


「……出来るとお思いで?」


シークの周りの空気が振動しテーブルの上に被った埃が舞い始める。皆がソファーから立ち上がった所でルイスが口を開いた。


「止めなさい。勝てっこないから。私達の能力全てコピーされているから私の堕ちた影(エトンヴェ・オンブル)も使える。私に勝てたことない奴が勝てる相手ではないわ。」


艷やかな黒髪をかき上げて仲裁に入るルイスは、確かにリーダーとして相応しい立ち振る舞いだった。それは彼女達もそう思っていたのだろう。誰もが口を閉ざし席に座り直す。


「質問良いかしら。」


ラァミィは考えが纏まったのか、私に質問を投げ掛ける。一応情報を共有したから私の考えとか知っていると思うけど、かなり深い部分、昔のことについては共有しきれていないからそこらへんのことを聞きたいのかな?


「時間が無いから手短にね。死神も探知能力を使えて私の動向を見ようと思えば見れるの。出来るだけあなた達と接触する時間を少なくしたい。」


「分かったわ。あなたは死神と敵対しているの?」


なるほど……直接私の口から言わせたいんだね。ルイスとラァミィ以外は私の考えは知らないし、他のメンバーにちゃんと私自身の意思を聞かせたいんだ。やるな……。


「基本的には私は死神の味方。同じ目的を共有している仲だけど、目的って人によっては2つも3つもあるでしょ?それで私の一番の目的と死神とぶつかってしまうの。……今は話せるのはここまで。」


「なるほど……、母親に関してね。」


私が共有した以外の情報をラァミィが持っていることも私は知っている。なんかややこしい会話になってるな。


「……良くお調べで。他にご質問は?」


「私達の身の安全を保証する気はあるのは分かってる。……具体的に私達に何をして欲しいの?」


私の記憶を共有したのだから分かっているくせに……私の口からみんなに言わせたいんだね。


「私と一緒に死神と戦って欲しいの。」


部屋が静まり返り葬式のような、お通夜のような空気となった。

そろそろこの章の終わりを意識してゴールさせないと…。気が付いたら長く続いてしまいました。猛省しています。

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