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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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種を蒔く

この1話で結構進みます。テンポはこんな感じで進めていきたいです。

ホテルへと向かう道中、私はグロッキーそうな理華に声を掛ける。車酔いとかが心配だ。あれだけ食べたのだからもし吐いてしまった場合は隣に座っている私が一番の被害を受けてしまう。


「理華大丈夫?少しでも寝たら?」


「結構寝てたし大丈夫。私より美世が寝たら?徹夜だったんでしょ?」


「そうです。アイも死にそうな顔してますよ。」


「私は移動中寝てたし眠くはないよ。ただ流石に疲れたかな。あんなに能力を使い続けたのは初めてだったから。」


嘘だ。本当はかなり眠い。でも中々寝つけないから起きているだけ。本当に死ぬ思いをしたからなのか、寝てしまうともう起きれないんじゃないかって不安に襲われて眠れなくなる。


だけど都合も良い事もある。起きていれば私が索敵出来るしみんなもその方が違う意味で安心出来ると思う。


「“調整体”…報告には上がっていましたけどミヨの言う数が信じられません。全ての個体が能力を使っていたのですよね?」


「はい。みんな能力者の反応でしたから間違いありません。能力は皆同じだと思います。」


オリオンさんに報告した際に北米の支部の人達に天使島へ派遣してもらっている。そこであの死体を回収してもらう為に調査を依頼したのだ。


「リカが全て倒したのですよね。凄いです!」


「私あんまり覚えていないから良く分かっていないの。夢心地というかぼんやりとしか事の流れを把握してないし…能力の行使に集中していたから。」


ちょっと半信半疑気味に言う理華。脳のリソースを割きすぎた結果、記憶に関してはかなり曖昧になっている。私ですらそんな経験は無い。それ程までに負荷が強い能力なのだろう。


「あ、でもね。能力の使い方は何となくだけど感覚を掴んでいるの。多分また使える筈だから…これで美世の力になれる!」


嬉しそうに自分の握り拳を見て言う理華を見て私も嬉しくなる。でも本人が一番嬉しいだろうけどね。これからあの能力を上手くコントロール出来れば凄い戦力になる。それはこの世界にとって、理華自身にとってもすごく良い事だと私は思う。


「…いいですね。…羨ましい。」


小声だったし車の騒音や私のリスニング能力の問題もあるけど、ハーパーは確かに羨ましいって言ったよね?ハーパーも凄いオンリーワンに近い能力を持っているのに…隣の芝は青く見えるとは言うけどちょっと心配かな。


「あともう少しで着きますよ。」


オリオンさんの一言で私はホテルに意識を向けた。そういえば昨日からずっと忙しくて遠くの方に対しての意識が疎かだった。車の周りしか意識向けてなかったし…


(まさかそんな!)


「…オリオンさん。今すぐ組織にも知られていない安全な場所に向かって下さい。」


「…ホテルで何かあったのかい?」


オリオンさんの返しに対して私は指を指して答える。私が指を指した方向から黒い煙が立ち昇り、今から私達が向かう筈だった目的地の場所付近だと誰もが想像した。


「ワタシ達が居ない間に襲撃されたか…。」


「あ、あの!アイの能力なら救える命があると思います!今から急いで向かうべきでは!?」


「…いや、このまま美世の提案通り安全な場所へ避難しよう。」


理華がハーパーの意見に対して反対意見を出す。


「何でですかッ!?」


「美世の能力はハーパーも良く知っているでしょ。燃えている人の様子をこれ以上美世に見させたくない。私達は外からしか見えないけど…美世は死ぬ瞬間、苦しむ瞬間が視えてしまう。」


「あ…ご、ごめんなさい!そんなつもりじゃ…。」


「…気にしないで。ハーパーは間違っていないよ。だけど…。」


ハーパーの気持ちは痛い程分かるし伝わってくる。でもね…。


「今行っても意味が無いの。…意味は、分かるよね?」


「っ!…ごめんなさい。」


謝らないといけないのは私の方だ。私がもう少し警戒範囲を広げておけば防げたかも知れない。世話になったにも関わらず…この恩知らずが!クッソ…。


「モーテルに向かいます。」


オリオンさんの提案で私達はモーテルに向かう事になった。帰る所を失い、仲間も失った私達だったが任務は続行される。亡くなった者達の代わりにやらねばならない。必ず、必ずや任務を遂行させる。


オリオンさんの運転でモーテルに着いた私達は部屋の中に入りそこで休むことにした。流石に動きすぎて頭が働かない。でもやらないといけないことは山のようにある。


「ボロくて臭い。このカーペット洗ったのいつだろう。」


「これだけボロければ見つからないでしょ。」


「そうですね…中々泊まる機会の無いタイプですよここ。」


女子3人組からの評価も悪い。この1部屋で泊まるのはちょっと無理があるけどオリオンさんは情報を集める為に外に出てるし変更は出来ないよね流石に。


…オリオンさんは居ない。居るのは私達3人だけ。


(チャンスかもね…。)


「理華、先にシャワー浴びて来なよ。私はこの辺りを見て回ってくるからさ。」


「駄目。私も行く。」


「わ、私も行きます!」


「いや、隠れている自覚ある?私が1人の方が敵に見つかりにくいしハーパーが能力使ってここを守っててよ。」


「なら私は問題ないでしょ?視認できないよう…」


「だから駄目だって。今の理華のベルガー粒子は不安定だから能力の行使が安定していないでしょうが。20〜30分で戻ってくるからシャワー済ませておいてね。帰ってきてまだ入ってたらシャワー室から追い出すから!」


そう言い残し私は部屋の外へ出た。…今の受け答え、不自然では無かったよね?さっさと目的を済ませて帰らないと。


外はもう空が暗くなっており、私はそんな中で人の気配の無い道を選んで歩いて行く。これから行なう事は決して誰にも知られてはいけない。やれる事は全てやり遂げなければ寝ることも出来ない。どこぞの杜王町の殺人鬼も言っていた。頭の抱えるようなトラブルや夜も眠れないといった敵をつくらないというのが大切なのだ。


「ここで良いかな。」


数年は放置されたであろう古い家を見つけ、玄関の錠前を破壊し屋内へ侵入する。ここなら誰にも見つからず事を進められる。


「埃も積もってるし中は広い。問題無さそう。」


私は影の中からあるものを浮かび上がせて並べる。


「時間が止まっていたから新鮮だよね…臭うけど仕方ない。…軌道も追える。射程圏内だ。」


床に()()()()()()()()()()()。合計で7人もの遺体が古い家に並ぶのはかなり猟奇的なシチュエーションだ。


「先生に対して嘘もついて完全な裏切り行為だけど…私にはやらないといけない事がある。お母さんの仇を取るまでは死ねないの!」


騎士達に襲われた時、私は何もかも諦めてしまった。あれだけお母さんの仇を取るって息巻いていたのに…本当に私は恩知らずのクソだ。だから必ずやり遂げると誓う為に私は行動を移す。この選択が亡くなった者への償いになると願って…!


「【再生(リヴァイブ)】」


死んだという事象は消し飛び生きているという結果が固定される。


「…特異点!?ここはどこだッ!?…ステファニー!?何で生きている!?」


「はあ〜!?どうなってるのこれ!?」


そこからは正に(かしま)しいという表現がピッタリだった。ルイスがラァミィに食ってかかったりみんなが私に能力を行使しようとしたり本当に大変だった。でも…これからの事を考えれば避けられないことだから。

という訳で魔女の集会リターンズ。分かりやすかったと思いますけどここで復活です。



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