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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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白熱した戦いの終わり

ここで無人島パートは終わりです。気が付いたらめちゃくちゃ長くなりました。でもちゃんと着地させられて良かったです。

私は理華の肩を抱きここを離れる為に移動を始める。最初は理華を動かすか迷った。理華の能力がどういう性質を持っているか良く分かっていなかったから動かすと能力を解除してしまうかと考えたからだ。でも理華の能力が全ての騎士に感染させた時に思いきって移動させる事にした。


空から熱された騎士が降り注ぐこの灼熱の火葬場に居ては理華が一緒に灼けてしまう。だから私が近付いても反応が無かったけれども、肩を抱いて背中を押すと一緒に歩き出してくれた。


私の探知能力なら騎士達がどこに落ちて来るか分かるから、私が理華を誘導して避難している途中で、理華がまた違う能力を行使した。白く輝く騎士達から光を吸収し冷却してくれたのだ。


「ありがとう理華。」


この状況をちゃんと理華は理解してくれていた。彼女の手の中にある光球が小さくなっていきベルガー粒子の動きも鈍くなっていく。彼女がもう能力を行使する必要が無いと判断したんだと思う。私も同意見だった。全部で978体も居た騎士達は最早虫の息でもう能力を行使する必要は感じられなかった。灼けた金属の身体は重なり合って固体の境界線は無くなり虹色の炎を上げている。


今の理華は天狼さんと同等レベルの能力者になったと私は思う。金属が灼ける温度なんて1000℃近くまで上がらないと駄目だろう。そんな強力な能力を広範囲に一瞬で拡散させられる理華は処理課のエージェントとして合格だと思う。条件、制約は少しあるけどこの威力を考えれば当たり前だ。


「オリオンさんに報告しようね。理華が調整体を全滅させたって。」


「…」


能力を解除しても反応が薄い。かなり脳に負荷を掛けてしまったからだと思うけど念の為に病院へ連れて行きたい。この任務にはもう参加出来ないかもしれないけど実績は充分残した。これだけのサンプルがあれば組織のお偉いさん達も理華と…天狼さんを認めざるを得ないだろう。


私と理華は無言のまま、死に絶えた騎士達を背後に歩き続けた。


その後、気絶させて放置していた男を回収し、少し時間を置いて脳が回復したタイミングでテレポートを使って上陸したビーチへと向かった。その時点で私は能力を使えない程までに疲弊し、理華も電池が切れたかのように眠りについた。


少し不安だったけどすぅーすぅーと寝息を立てていたからこのあとちゃんと目を覚ますと何となくそう感じ、私はオリオンさんに連絡を取ることにした。


「あー、あーこちらあいの風。聞こえますかどうぞ。」


「はい。聞こえてます。連絡があったという事は終わったようですね。リカもそちらに居ますか?」


オリオンさんの落ち着いた声を聞いた瞬間、緊張が捕れて全身の力が抜けてしまい横に倒れてしまう。


「あぁ…えっと私と理華と男が上陸した場所に寝ているので回収してください。」


「了解しました。フトンを用意してるから船の中で寝ていて良いよ。お疲れさま。」


「はい、おやすみなさい。」


報告を終え、潮の匂いがする風を浴び陽射しを浴びながら横になった私の意識はそこで途切れた。


これは後に聞いた話だけど、私と理華とオッサンをオリオンさんが船まで乗せてくたらしい。私も理華も気付かなかったけどオッサンは気付いたらしく、抵抗を見せたけど薬を使って眠らされてそこら辺の甲板に放置されただとか。また放置されてるよこの人。


それでその時に男を担いだ時に違和感を感じたオリオンさんが男の服の下を見てみたら、ハードディスクが入ったカバンをベルトで取り付けている事に気付いた。そのデータに何が入っているかはまだ分からないけど恐らくミューファミウムの研究データだと思われる。


「じゃあ、私達は何とか任務…ていうか目的は達成出来たんですね。」


数時間後に目を覚ました私はオリオンさん達から事の顛末を聞いていた。一件落着とみていいだろう。


「アイ達から連絡が来ない間、本当に心配していたんですよ。」


「ごめん。本当に忙してくて連絡取れなかったんだよ。先生…死神からオリオンさんに連絡あったと思うんだけど。」


「え?私…知りませんでした。」


ハーパーは聞いていないと答えたけどおかしくない?あれ、オリオンさんとハーパーって一緒に船に待機していたよね?何でだろう…ハーパー寝てたのかな?


「…二日酔いってこんな感じなのかな。」


非常にグロッキーそうな理華がテーブルの上に頭を乗せて唸っている。あれだけの事をして数時間後に目を覚ますなんて頑丈にも程があるよ。


「私のオレンジジュース飲む?」


「飲み物より食い物欲しい…糖分も塩分も何もかも足りない気がする。」


「もう少しで来ますから。」


そう、私達はホテルに戻る前に遅めの朝食をいただく為にダイナーに来ていた。理華が車での移動中に目を覚まして何でも良いからご飯が食べたいと訴えたので近くのダイナーに寄り道をしたのだ。


映画でしか見たことがないアメリカのレストランに来れたのはとても嬉しかった。テンション上がり過ぎて何枚も写真を撮ったぐらいだ。理華はハーパーに支えられながら入店していたから悔しそうにしていたけどね。理華も写真撮りたかったんだろうな。


「パンケーキとハンバーガー、サンドイッチにスクランブルエッグ、サラダとスープはここね?」


「はい。」


どっぷりと豊満なボディのオバさんが注文したものを持ってきてくれた。おー感動!日本じゃこういうメニューが並んで運ばれてくる事なんてないからね!


「あ、コーヒーのおかわりください。」


「少し待っててね。」


やっぱりハーパーは慣れてるよね。私もオレンジジュースおかわり欲しいな〜。このオレンジジュース美味い。果汁100パーセントって感じで味が濃い。


「ああ〜飯〜!ハンバーガーとスクランブルエッグとサラダとスープは私〜!」


「じゃあいただこうか。」


それぞれ注文したものを自分達の前に置いて私達は食事を始めた。


「う〜んアメリカサイズのパンケーキのカロリーやっば〜!カロリーを食ってるって感じ〜!」


パンケーキなんてマックの薄っぺらいのしか食べた事が無かったけど、ここのはホットケーキぐらいの大きさだ。しかも4段重ね…アメリカ人食い過ぎじゃない?


「ハグハグ…もぐもぐ、カロリーが、カロリーが足りない…!」


理華はテーブルまで噛み付くんじゃないかってぐらいの勢いでハンバーガーを頬張っている。…あの能力は結構身体に負担が大きいのかもしれない。何回か使ってその後の経過を見てみないと断言は出来ないけど…。


「オリオンさんって食べないんですか?」


「ん?船内で食べてたし満腹になると運転に支障が出るからね。ミヨこそそれだけで良いのかい?」


「見えてます?この大きさ?女性が食べる量を超えてますからね。それに私も島での移動中にちょこちょこ食べてましたから。」


オリオンさんの基準は日本の女子高生基準ではない。この量を食べられるのは私みたいな異形能力者か大食い女子(笑)だけだろう。


(でも、良かった…。みんなでまたこうやって集まれて本当に。)


そうして、無事に私達の無人島での任務は終わりを告げたのだった。

これからはテンポ早めの展開が続きます。…多分。


下地と土台は出来たので出来るとは思うんですけどね。更新しながら色々と試してみようと思います。

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