銀色の四肢
作者は激怒した。必ず、かのサーバー落ちを除かなければならない。
下書きの1000文字消えましたので頑張って思い出して書き直しましたとさお終い。
私が伝えた作戦内容が気に入らないのか理華がイチャモンをつけてくる。
「作戦…なの?これ。」
「私がそんな頭の良い作戦立てられると思っているの?」
(う〜ん…割と頭の回転が早い部類で良いと思うんだけど。)
能力者は脳の開拓が広がる都合上、思考力、想像力が高い傾向がある。特に強力な能力者ほどIQが高かったりする。例に出すと天狼のIQは145で、かなり高い知能指数を誇っている。
これは余談だが天狼は勉強があまり好きではなく大学へは進学しなかった。高校ではスポーツ推薦でも学業での推薦も貰える程の成績だったが、仕事と学業の両立が難しく、しかもこの頃にアイドルにどっぷりハマってしまい沼に沈み込んでいたので、最終的に仕事とアイドルの両立を選んだのである。因みにこの話は組織では有名な話だ。生粋のアイドルオタクである。
そしてここで美世を引き合いに出すと彼女も勉強が好きではないが知能指数はかなり高い。能力者として優れている点と勉強が嫌いな点は良く似ている。だからと言って勉強が出来ない訳ではない。美世が勉強を嫌う理由は幼稚園時代の経験によるものだ。美世の通っていた幼稚園は受験を意識した方針で毎日勉強をする時間を設けていた。そして幼い彼女にとってそれは苦痛なものでありサッカー少女だった事も相まって、勉強=つまらない。と刷り込まれるには一週間とかからなかった。
それでも彼女は幼稚園へ行き、嫌いな勉強をし続けた。それは自身の母親の為にである。娘をそういう幼稚園へ通わせるという事は勉学に力を入れている事に他ならない。つまり娘に勉強をさせて将来の為にという期待あっての行為、子供はそういう所に聡い。特に美世にとって母親とは何よりも優先されるべき存在。母親に褒められたい。喜んでもらいたいという思いで彼女は勉強をし続けた。
その結果、美世は幼稚園の中でも特に成績が良くて幼稚園児ながら小学校高学年のテスト問題を全て正解する程の秀才っぷりだった。
…そう“だった”なのだ。過去形である。母親を失ってから勉強をする意味も目的も失った彼女は勉強をしなくなりその結果、成績を著しく落とす事になり今日に至る。
「時間も無いしこれで行くしかない。…美世ばかりに負担を押し付けてしまってゴメン。私ではアイツらに有効打を与えられないから。」
「私の友達の悪口は許さない。…だったよね。ネガキャンは無し。私達にとって任務が優先でしょう?」
「…私の言ったことだけど私ってムカつく言い方してるな。…ハァー分かった。任務優先ね。殺ってやろうじゃない…!」
良し、エンジンがかかってきた。やる気にさせるのが一番難しいと思っていたから助かる。
「じゃあ…行くよ?…3…2…1!」
私のタイミングで影のドームを崩すとその瞬間、騎士達がこちらへ頭から突っ込んで来る。…プログラム通りの動きって感じだ。独立的に動いていると見て良さそう。直接操っている能力者が居たらコイツらを通じて私の情報を入手していもおかしくない。だから自立型で良かった…不幸中の幸いだったね!
「私と…理華の方にもか!」
敵は二手に別れて私と理華に向かって来る。ベルガー粒子に反応してる?…まだコイツらの生態が分かっていないし覚えてもいないから後手に回らざる得ない。
理華と私は後ろへステップを踏み直撃を避けた。敵は頭から地面へ突き刺さって下半身の部分だけ地表から見えている状態だ。頭が悪いと言ってやりたいがコイツにそういう概念は無い。決まった動きをただ再現しているに過ぎないからだ。
(行け!)
バックステップを踏んだ際に私は影だけを残しておいた。つまり敵は私の罠にまんまと引っ掛かったのだ。
「あいの風の言った通りになった…敵の動きが単調過ぎる。」
理華に私が伝えた作戦内容は影のドームを解除したら敵が多分突っ込んでくるから足元に影を残しておいて直前で回避する。たったそれだけの作戦だったわりには効果はあった。あとは影の中に落とすだけ。コイツが穴を開けてくれたおかげで上半身がすでに影の中に入っている。地中は真っ暗だからね。
(獲った!)
そう思い上半身を影の中へしまった瞬間、信じられない光景が目に入る。なんと腰から下辺り、つまり地表から出ていた下半身部分だけ空中へ飛び退いて身体が真っ二つに切れたのだ。まるでトカゲの尻尾切り、それを上半身と下半身で行なった。
「有りなのそんなの!?」
頭を潰しても胸に風穴を空けても死なないのなら、上半身そのものが無くてもコイツらは死なないのか…。
「オエッ…」
理華が心底気持ち悪いものを見る目で騎士達を見る。なんと騎士達の下半身の断面同士を合わせてくっついたからだ。もはや見た目も存在自体も気色悪い。上も下にも足が伸びていて深海の生物のような有り得ない造形をしている。しかもメタリックな表面をしているから生物っぽさが皆無だ。
「血が、流れない…。」
下半身だけになった時、血が一滴も流れなかった。足元に転がっていたあの死体も血が流れていなかったしコイツらには血液という生命活動に必要なものが欠如している。
そこで私はある疑問を抱く。…コイツらの中身って必要なの?これはあくまで推測の一つだけど中身の能力者は多分この金属を操っている能力者ではない。何かしらの方法でこの騎士を生み出す能力があるんだ。
調整体…。この響きから察するに能力者を人体実験した副産物のようなものだろう。確か雪さん達がそんな事を話していたような気がする。だから当たらずとも遠からずだと思う。意図的に戦える能力者を作れる実験といったところかな。
能力者だからといって全員が戦えるという訳ではない。中には自身の能力に対して精神的苦痛を受ける者も居ると聞く。能力のせいで人間関係を駄目にしたり、色んな勢力に狙われてしまい能力自体を憎んだりと色々な理由がある。
もしそういう能力者を無理矢理実験している勢力が居るのなら…、そいつらは私にとって、世界にとって邪魔な存在だ。必ず見つけ出して殺してやる。
「来るッ!」
「分かってる!」
4足の騎士…いや、アレはもう騎士ではない。ダイミョウザザ○?ショウグンギ○ミ?
…奇肢でいこう。その奇肢が地面スレスレに飛行し攻撃を仕掛けてこようとしている?コマのように回転し周りを不規則に飛び回って的を絞らせないつもりだ。…ちょっと工夫してくるの止めろ。ウザったい。
「ウザったいな…。」
理華も私と同じ思いのようだ。蝿と蚊並みにウザい。影でさっさと始末してしまおう。
「堕ちた影!」
足元の影から複数の支柱を生やし回避行動をする隙を与えないように操作する。影のスピードはこの敵より速い。支柱の生えている位置をスライドさせながら支柱を曲げたり追加で生やして敵を追い詰める。
「すっご…コピーしたてでこれ程までに動かせるの?」
褒めてくれるのは嬉しいけど結構無理してるんだよね。頭がどんどん痛くなって来てヤバい。この操作はかなり脳への負担が大きい。
(でも…もう捉えられる!)
上へ逃さないように支柱を上方向へ伸ばし続けたおかげで敵は詰んだ。後は支柱と支柱の間を狭めるだけで終わり。支柱同士の距離が近付き敵は空中で停止した。身動きが取れなくなったからだ。
しかしここで予想外の展開が起きる。奇肢の身体が千切れて分散したのだ。細かくなった身体の破片はそれぞれ支柱の間を縫うように飛行し私目掛けて突撃を仕掛けてきた。
「クソッ…」
慌てて私は影を動かし大半の千切れた破片を影で捉える事が出来た。だが残りの破片がすぐ目の前にまで飛んで来たので私は反射的に右腕で払い除けた。そして金属の破片が私の皮膚に触れた瞬間、その部分から侵食され私の右手は私のものではなくなり、終いには奇肢の一部へと変質したのだった。
明日は普通に執筆出来るよねハム太郎。




