連結された情報
投稿出来てなかった!焦った…。
私は馬鹿だ。あいつらの声を軽視し過ぎた。機械音みたいなただの音の訳無いのに…。コイツ…味方に情報を伝えていたんだ。もっと早く気付くべきだった。良く分からない存在だったからこの声も意味の分からないものとして考えようともしなかった…。声なんて情報共有に使うものでしょうが私のアホ!
「あいの風!」
分かってる…分かっているよ。もうこの方法しか思い付かない。だけどどこまで戻すかによって私の記憶と脳の負荷は変わる。私としてはあの会話を無かったことにはしたくない。消したくない記憶すら消し去ってしまう【再生】は諸刃の剣だ。
私の脳のコンディションが一番良い状態は魔女の集会と戦う前だけどそこまで戻してしまうのは悪手だ。コピーした能力も消し去ってしまう。だから戻すとしたら能力をコピーし終えた所までだ。影の能力が無ければコイツらを相手にするのは難しい。かと言って魔女の集会と戦った後の私の脳は度重なるコピーによってそこそこ脳に負荷がかかっている。アレを2回も殺すには少し心もとない。
でも理華との会話すら私が忘れてしまう事は絶対に嫌だから戻すとしたら足元に転がっているコイツと戦う前しかない。…倒し方は理華が覚えてくれている。早く決断しないと!
(この能力の負荷はかなり高い…能力を使ったら私の脳は潰れてしまうだろう。だけど、それすら消し去ってしまうのがこの能力!)
「スゥー…やるぞ。……【再生】」
「…え?騎士野郎が…え!?増えてる!?」
いきなり状況が切り替わったみたいに景色が変わった。しかも足元には死体が転がっているし空にはあの騎士が2人も飛んでいるし!
(…飛んでいる?飛んでいると言えば私の記憶もそうだ…つまり私は【再生】を使ったのか?)
「おい、あいの風。どうしたんだ?本当に記憶が…?」
「…私、理華に何か言ってなかった?」
訳を話している暇なんて無い。敵がこちらへ向かって来ているから早く迎撃の準備をしたり相手の事を観察しないといけない筈だけど、ここに理華が居て私が何の考えも無しに【再生】を使うとは思えない。絶対に保険を掛けている。
「…うん言っていた。あの敵はベルガー粒子が本体で外の鎧も中身の能力者もただのデコイのようなもの。影を使って敵のベルガー粒子を奪えとさっきお前に言われた。確かに伝えたから!」
「数十秒前の私天才…!」
過去の…いや未来か?どっちでも良いけど数十秒前の私のナイスアシストのおかげで対抗手段を得れた。まだ頭が重くてコンディションは良くないけど倒し方が分かっているのなら問題ない!
「うわッ!」
私の足元から凄まじい量の影が溢れかえり辺りを侵食した。理華の足元付近は除いてだけど突然影が浮かび上がったから驚かせてしまったみたい。一言言っておけば良かったね。
でももうそんなことを考えている暇はない。そのまま影は私達二人を覆い隠すようにドーム状へ変形し騎士達がこちらへ来られないように蓋を閉じる。そうすると完全な無音の空間に私達2人がポツンと立っている状況が生まれ、理華と情報を交換する時間が生まれてくる。
「…せ、説明を求む!」
暗闇の中でも彼女のパニック具合が良く伝わってくる。
「えっと…どれから説明したらいい?」
「一から十まで!」
う〜ん…どこからが“一”で、どこまでが“十”なのかな。時間操作した影響で始まりと終わりが定義しきれない。漫画とかでタイムリープを取り上げた作品があるじゃん?ストーリー内で時間系列順に説明をしようとするパートが絶対にあるよね。その説明を読者が読んでると頭の上に?を浮かべるような感じになるじゃん。
どういう事なんだろう?これがこうで…あれはあーだったのか?みたいなさ。
しかも今回わたしは記憶を欠除した状態だから尚更説明する事が難しい。推測混じりの説明を分かりやすく纏めて理華に話さないといけないって…、無理じゃないっすか?
「時系列順には説明出来ない。ゴメン。だから箇条書きっぽく説明するから質問があったら言って。あ、それと敵は簡単には来れないとは思うけど出来るだけ巻きで行くから。」
・この影のドームは魔女からコピーした能力で物理的な物体は固体、液体、気体も飲み込める。
・しかし使用者以外のベルガー粒子は飲み込めない。
・敵は情報を共有していたと思われる。だからこの影には突っ込んでこない。私達を空から見下ろして対空している。
・私は能力を使い騎士と戦闘を行なう直前の状態まで戻った。
・その際に記憶まで巻き戻ってしまい騎士を倒した事を覚えていない。
・この能力は先生から絶対に言うなと言われているから先生にバレたら多分殺される。
「最後!!私DIE!!」
「この能力を使わないと私がポンコツのまま戦闘しないといけなかったからさ…ゴメンて。」
「私にヘイトが溜まっていく〜〜!!すお〜う…だっけ?私の方が先に殺されそうなんだけど…」
「そしたら私が間に入るから大丈夫。一緒に先生相手に戦おう!」
「そしたら仲良く地獄行きだよバッキャロー!!!」
理華は暗闇の中でもちゃんとリアクションを取ってくれるからおもろい。理華を見ていると頭の重さも忘れられる。
「で、質問はもういい?」
「なら次の手を教えてよ。私の役割は?」
「えっとね、先ず言っておかないといけないことがあるんだけど、アイツらは絶対に殺す。私の能力を見られたしアイツには意思疎通するぐらいの機能はあるからね。情報を持って帰られたら困る。」
「なら何で来たのかが引っかかるな…。」
「私は理華の口調が引っかかるよ。ちょっと背伸びした話し方好きなんだよね。私より年上だもんね。数ヶ月だけで同い年だけど。」
「止めて、言わないで…ください。」
モジモジしていてかわいい!この時の為に【探求】があったんだね!暗闇でも良く分かるでゲス。理華は年上である事をマウントしてくるから可愛いんだよね。ああ〜頭痛が消えていく〜。癒やされますよ本当に、感謝感謝。
「…イジワル。」
「好きな子にはイタズラしちゃう年頃なの。」
男子小学生レベルの精神年齢なんです私。今でもコロコロコミッ○をゲラゲラ笑いながら読めるから間違いない。
「死ね。」
「ゴメンて。ごめんなさい。本当にスイマセンでした。」
頭痛くなってきた。やりすぎ厳禁なのを忘れていた…理華って結構打たれ弱くて泣いてしまうんだった。泣かないで〜!
「早く答えてよバカ〜〜…」
「え、えっとね。死体が残っているから回収しに来たんだと思う。コイツは自分の存在を隠して活動してたんじゃないかな。」
「調整体って言うでしょ。報告数が少ないからその線が濃厚だと思う…。」
しおらしい理華もこれはこれで…ゴクッ。乙なモノです。
「調整体…?どこかで聞いた気がする。」
「雪さん達との会話で聞いたみたいな事を言ってたよ。」
「本当?全然思い出せないんだけど数分前の私記憶力良すぎ。」
「組織に引き渡せば正体が分かるでしょ。捕まえるの?」
「第二部に恩を売れるチャンスだし死体3体欲しいな…。」
「無茶じゃない?」
「理華さ…私とパス通じさせてみない?」
「パスって前に言ったやつ?能力をシェアするのに必要な工程だっけ。」
「そう。」
「断る。」
即答…ブレないね。結構ヤバ目の状況なのは分かっている筈なのにそう言われちゃー無理強いは出来ない。ここは理華を尊重しよう。
「そう言うと思った。…じゃあこっちの作戦で攻略しますか。」
私は理華に作戦内容を伝え空を浮遊しているクソ騎士共を地上に叩き落とす準備を整えるのだった。
明日はもう少し早く投稿します。




