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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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能力の波状攻撃

You Tube見ながらの執筆捗らねえ…でも止められねえ。

揺れは収まり私達の居る谷底に落石の落下音が響き渡る。私は逃げられないと判断して理華に指示を出した。


「理華…本気出さないといけないっぽいからその男を避難させてくれない?能力を見られると殺さないとだからさ。」


「分かった。…フッ」


蹲っている男の側頭部に理華の膝が決まり男の意識は刈り取られる。私と違って判断が早い。


「あとこれも持っていって。」


バックパックを下ろして理華に向かって投げ飛ばす。その間もこの騎士からは目線を離さない。危なすぎるからね。何をしてくるか分かったものではない。


「すぐに戻るから無理はするなよ!」


「誰に向かって物言ってんの。」


(…本当は無理しようにも出来ないんだけどね。)


転移の位置がズレた時、急いで能力を行使したからだと思っていたけど違った。能力の使い過ぎて脳への負担が多かったせいで上手く能力を使えなかったんだ。まだ限界では無いけど目の前のコイツ次第では限界値にまで行ってしまう。そうしたら私でもどうなるか分からない。多分脳が潰れるか能力を行使出来なくなってしまう。そしたら終わりだ。


「あ〜〜…えーと、あなたの目的は何?やっぱりデータ?」


一応話しかけてみる。話し合いで済むのならそれで済ませたいし正直こう立て続けに戦闘になるとは思わなかった。見通しが甘かったと反省しても状況は変わらない。もし仕掛けてきたなら長期戦は避けて短期決戦で勝負を付ける。


「ピーピーピーーーィン」


「ピッピ?」


不自然な挙動でこちらに突進を仕掛けてきた騎士に対して私は迎撃しようとしてベルガー粒子を操作する。


「やっぱり仕掛けてくるよね…!」


敵は頭から突進して私に突っ込んでくる。構えなんてない。手足も動かさず直立不動のまま高速移動をしている姿は本当に人形そのもので、まるで人間ではないみたいだけど私の探知能力では能力者として認識されている。


だから間違いなく敵は人間の筈…なのに、何なのこの動きはッ!?虫レベルの思考しか持ち合わせてないの!?ただ真っ直ぐ突っ込んでくるだけとかさッ!


(舐めるなよカトンボ風情がッ!【削除(リボーク)】でこの世から消し去ってやるよッ!…“怪腕”!!!)


左肩から生えた怪腕が騎士に向かって放つ。どうせ防御力に自信があるから突っ込んできたんだと思うけどこの怪腕なら一撃で殺し切れる可能性が高い…これで決める!


怪腕と騎士が激突すると強く張った金属板を強く叩いたような音が近距離で鳴り響き、その影響で鼓膜が痛む。だけど私の攻撃は敵の右肩に命中し敵を吹き飛ばす事に成功した。敵は錐揉しながら放物線を描き、その後は地面へ激突して私の探知の射程圏外へと…


(そんな事あり得るの…?)


私の【探求(リサーチ)】はあの鎧が液体金属のように表面が揺らぎ変形したのを認識した。多分私の攻撃を相殺するように柔らかくなって衝撃を受け流したんだと思う。その証拠に目測で100メートル近く吹き飛んだのにアイツは死んでいない。


「起き上がった…。あれを貰って生きていたのは天狼さんぐらいなのに…。」


騎士は起き上がり私の元へ浮遊しながら近付いてくる。速度は大人の早歩きぐらい。ゆっくりとも早いとも言えない微妙な速度。さっきよりはかなり遅い。多分本体にダメージが入ったからだと思う。だけど私は自分から攻められずにいた。


その理由はあの騎士の異様な有り様だったからだ。敵は左肩から腹部辺りにかけて押し潰れて裂けていた。例え能力者であっても即死…または瀕死状態の筈なのに、鎧が液状に動いて無理やり元の身体の形に変形している。


「…意識はある。だけどあんな治し方をしても致命傷が治る訳無い。悪足掻きか、またはそういう能力なのかは分からないけど受け身で守っていられるほど時間は残されていないんだよね!」


左手に意識を集中させて銃を再現し、それから銃口を騎士に合わせて引き金を引いた。


すると騎士の胸に風穴が空く。しかし出血は起こらずそれどころかそのまま浮遊を続けてこちらへ近付いてくる。


「…まさか、殺せない?いや、有り得ない。あれからは生き物の反応がしている。でも肩が裂けて胸に風穴が空いたのに死なないなんて…。」


私の探知能力は無機物、有機物を見分けられる。例えばサイコキネシスや創造系能力者が騎士の形をした人形を操ったり創り出したりしても私にはそれが何なのかが正確に分かる。目の前に居るアレは間違いなく能力者だ。無機物の金属に包まれているけど間違いなく中身は生身の人間の筈…。


(解せない…今までの敵の能力者とは明らかに別種。先生よりも不可解な存在かもしれない。)


「【再現(リムーブ)】」


再び胸に風穴が空き不格好な楕円が生まれた。…だが、それでも停止もしないでこちらへ向かってくる。しかも風穴が徐々に液体金属が埋まって塞がられていくではないか。


(コイツ臓器が無いのか?肺、心臓、背骨を吹き飛ばされたんだよ!?痛がる素振りも見せないなんて…生き物じゃない!)


「ピーーーィン」


観察をしている暇も対策を考える暇も無い。気が付いたらもう5メートルの距離まで詰められている。怪腕も銃も駄目なら…


「振動とサイコキネシスの合わせ技…!【再発(リカー)】act.サイコキネシス✕振動(ヴァイブレーション)(ヴァーグ)!」


左手の銃を消し去って敵に向けてサイコキネシスを放ち、右手から振動の波状攻撃を放った。敵の周りの空気が圧縮され振動を受けた結果、聴いたことも無い音が辺りに鳴り響く。


サイコキネシスによる凄まじい圧力を受けた敵はその場で押し潰れて地面へ落ちた。それから振動波の影響で鎧の表面は波を立てて形状を保てず、人の形だった鎧から金属の塊へと変形して敵は地面へと徐々に徐々に埋まっていく。


「早くッ…押し潰れろよッ!」


美世の異様なまでのベルガー粒子と脳の開拓範囲によってその威力はコピー元であるラァミィとシークの能力を超えた威力を発揮していた。最初のあの地震の攻撃もそうだったが本気で能力を行使した美世の能力は途轍もない威力を秘めており、並の能力者では防御する事すら不可能な領域である。


「ピーーーーーーーーーーーーィン」


機械音、または金属音か電子音か判断がつかない声を発するこの敵を目の当たりにして美世は気付く。この敵は死なない。意識を失う事も能力を解除する事も無い。


明らかに常識の外側に居る存在であり、彼女ですら殺せないという事実はこの敵が天狼や死神と同じ高次元の能力者である事を証明していた。


「殺せないのなら…殺り方を変えるまでッ!」


足元の地面の軌道を固定してからサイコキネシスで私の方へ引っ張る。そして…


「シィッ!」


固定された地面と怪腕の拳で騎士の頭を挟み込むように思いっきり振り下ろした。そのあまりの衝撃で私の身体が浮かび上がる。だが本来ではこういう現象は起こらない。怪腕は軌道なので本来は私の身体に作用させるかどうかを選べる。でなければ怪腕で敵を殴った際に反動で私の身体も後ろへ吹き飛んでしまうからだ。だが今回は敢えて私の身体に反動が来るように能力を行使した。何故なら…


「【再発(リカー)】act…堕ちた影(エトンヴェ・オンブル)ッ!!」


上を取る事で私の影が敵に墜ちる。最小限の効果範囲でコイツを影の中に沈めるッ!


頭がクルマに轢かれた空き缶のようにぺしゃんこになった騎士に私の影が覆い被さる。


…お前の頭を潰そうが殺せないんだとしても、それはお前自身の生命力が原因じゃない。能力が起因しているからだ。つまりベルガー粒子あっての生命力。私の影はお前のベルガー粒子だけを弾いて包み込む!


能力が使えない状態でその頭を治してみろよ騎士(ナイト)野郎ッ!

また変な能力を持った敵が現れました。作者はこういう能力を考えて書くのが好きなのでこれからもいっぱい出して行きます。

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