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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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因果律の停止

次回でこのパートは終わります!皆さんここまで読んでくださりありがとうございます!まだ終わっていませんが!

憑依能力の彼女がベルガー粒子を動かしたと思ったら既に私の中に粒子が入いりこんでいた。凄い…。私でもこのベルガー粒子を追えなかった。理華の中に侵入された事に気付かなかったのも頷ける。()()()()()()()()()()()()()()()()


信じられない事に彼女は私のベルガー粒子を変容させて自分の物にし、そのベルガー粒子を経由して自分の意識を憑依させているんだ。


『先生…憑依されようとしていますが、どうしましょうか?』


『問題無い ワタシとミヨはパスで精神が繋がっている つまりワタシに対しても憑依を仕掛けられるという事だ』


『それのどこが大丈夫なんですか!?』


先生の落ち着きように反比例して私はパニック状態だった。まさか先生には被害が及ぶなんて。失態だ…。私だけにしか効果範囲が及ばないと考えていたのに。


『ワタシだってこの事を想定していなかった訳ではない ミヨに精神支配が及んだ時 ワタシの方でブロックする用意は出来ている』


わお…。流石は能力オタクと評される(一部から)先生だ。もう対策を講じていたとはなんて抜かりのない…。


『まあ…本当はワタシが防ぐ必要は無いんだがな 精神操作系の能力には制約がある 自身よりベルガー粒子量の多い能力者 つまり脳の開拓範囲が広い能力者は支配し切れない』


『本当ですか?』


『ああ 実際今は精神支配されていないだろう?脳の開拓範囲が広すぎて支配しきれないんだ 彼女の効果範囲ではカバーし切れず完全には憑依出来ない』


『そ、そうなんですね。』


自分の身体を見回しても特に普段とは変わった所が無いから本当にそうなんだろう。でも彼女のベルガー粒子を感じ取れるから気持ち悪いな。病原菌が体内にあるのを見れているような気分だ。


『逆に彼女の能力をこのままコピーしてしまおうか 軌道を見て因果を読み取ってコピーしているのだろう?初めて見た時は驚かされたぞ』


『ははっ、まあこの空間限定の能力ですけどね。先生とユニゾンして掌握した空間でしか出来ませんよ。』


謙遜した私は気持ち悪い乾いた笑い声が出てしまったけど、この状況下限定のコピーの仕方なのは本当だ。この掌握された空間以外では無理だろうな。


『じゃあ、憑依能力もコピーさせてもらおうかな。』


私の目的である憑依能力をコピーする為に私の中にあるこの変異したベルガー粒子の事象を読み取って【再発(リカー)】してっと。


『あ、先生、私の身体を受け止めてくだ…』


意識が憑依能力者の彼女の元へ向かい私の身体は糸が切れたかのようにその場で倒れ込む。


『おっと …うむ 軽いな まだまだ成長期なのだから食事を疎かにしないように後で言っておかねば』


死神はミヨの身体を抱えてそんな感想を漏らす。


「どういう状況…?サラは憑依出来たの?」


ラァミィはサラの方を見ると彼女も美世と同じく意識を失って身体を横たえている。


「う、うぅ…」


メリッサも意識を失ったままうめき声を上げているがこのまま目を覚まさない可能性が高い。出血はボーが抑えてくれているがボーも血を失い過ぎた事と精神面の問題でいつ気を失うか分からない。それに加えてシークも限界なのか上体を起こしておく事も出来ず頭を地面に着けて浅い呼吸を繰り返している。


(サラがしくじったら全滅確定。もし成功しても助かりそうな者は私とシークとサラと…ボーが半々って所ね。)


ラァミィはあくまで冷静に物事を図り思考を重ねる。ネガティブな思考をしていてもポジティブな思考をしていても何も結果は変わらない。と考えた上での客観的思考を続ける。彼女にとって、もはやこのぐらいの事しかできる事が無いのだ。


「ん、ん〜〜…あ、あ〜い、うえお。かきくけこさしすせそ。」


サラが聞き慣れない言葉を発して起き上がる。…サラ?


「あ〜〜〜気持ち悪い気持ち悪い。言葉が流れ込んできて自分の一部になっていく…。しかも、あー〜〜すっごい勢いで頭の中に認識されていく…あっはっはすっごいなこの能力。」


サラではない。口調が雰囲気が彼女とは別人。


「まさか…そんな事が。特異点、あなたなのね。」


「え?特異点?私の事を言っているの?もしかしてずっとそう呼ばれていたの私?」


この身体の持ち主であるサラの記憶が私の中に入り込み様々な事が手に取る様に把握出来た。そう、特異点。彼女達の目的がやっと理解出来た。特異点というワードを聞いた瞬間、サラの記憶が呼び起こされ彼女達の目的、彼女達の正体が分かった。


(良し。私の予想通りで狙い通りだ。後は…。)


「ボー・ペティット。彼女の能力もコピーしないとね。」


ボーに近寄っても彼女の反応は無い。ただ無心に脇腹から出血している女の止血をし続けている。無駄なのにね。


「血を貰うね。」


彼女の腕に付いている血を指先ですくって弄ってみる。それでも無反応か、まあいいけど。


血液って内蔵に近いほどネチョネチョするよね。ふんふん…なるほどね。ベルガー粒子を上手く溶け合わせているのか。予想は付いていたけど触ったら私にも出来そうだよ。


「お前は、何者なんだ?どうやって能力をコピーしている?元々はそういう能力だったのか?それとも死神が…」


どうせ答えたって()()()()()()()()()()、答える訳ないじゃん。


「私は私のするべき事をしているだけ。あなた達と同じだよ。」


ラァミィと話している間も私は先生の様子を伺い続ける。今までの自分の立ち回りに問題が無いか判断しなくちゃいかないから。私は…私のすべき事をするだけだ。


憑依を解除して元の身体へ意識を戻す。そうすると私とサラは元の状態に戻ってお互いの憑依能力が解除された。


「ううぅ…ごめんラァミィ、失敗しちゃった。本当にごめん…。」


「良くやってくれたわ。全部私の責任よ。」


ラァミィはサラの失敗を責めなかった。この2人同時に相手するには私達は力不足過ぎただけ。誰が悪いとかそんなレベルの話ではなかったのだから。


「…やっぱり自分の身体が一番だね。しっくりくるもん。」


これで能力のコピーは終わった。後は先生が居るうちに殺してしまおうか。


『先生、どう殺します?私が新たなに得た能力で実験がてら殺りましょうか?』


『それも是非見てみたいがワタシがミヨに見せておきたいものがある 今のミヨなら因果律の先の段階へ行ける筈だ 見ていろ』


先生はそう言って私の身体を支えてくれていた腕を離してラァミィ達へと近付いていく。まさかまた授業を始めるつもりですか?何をする気なのだろう。


『時間操作はほぼ出来ているミヨに因果律の真髄をみせてやろう これが()()()()()()()()()()()


停止(リメイン)


先生がその能力を口にした瞬間、景色が、世界が、全てのものが停止した。ずっと吹いていた風は止まり彼女達も時間が止まったかのように動かなくなり、そこで私はある能力の名前が頭に浮かび上がった。


「ま、まさか…()()()()!?」


『いや これは時間停止ではない 時間停止も出来るがあれは使い勝手が悪い 光も空気も動かなくなるから見えないし聴こえなくなる ミヨは探知能力があるからその点は問題ないだろうがな 問題なのは相対的な速度の差だ 例えばミヨが停止した時間で動くと相対的に光速より速く動いている事になってしまう それは問題だとミヨは分かるな?』


空気の分子と私の身体の分子と核融合してしまうからだっけ?確かにそんな中で私は少しでも動いてしまったら死んでしまう。


『時間停止では、無い?じゃあこれは?』


『因果律をある一定まで排除した空間だ 取り敢えず範囲は結界内に留めたがこの中では何も起こらない 敵は因果が発生しないのだ だから何もせず停滞している ここで因果を発生出来るのは因果律系能力を持つワタシとミヨだけだ』


ち、チートだ…。時間停止(ザ・ワールド)より質が悪い。何も起こらないとかゴールドエクスペリエンス鎮魂歌みたいな能力だ。しかも気が付いたら私も先生寄りの位置にさらっと居たのが恐ろしい。


(次元が違う…私はその言葉をまだ履き違えていたんだ。先生は本当にこの世界に存在する死神なんだ。)


先生は人でも能力者でもない。超常的な存在の何かだと改めて思い知らされた。世界中から恐れられる理由の一旦を見せつけられた私は、自分の行動が間違っていなかったと確信させられたのだった。

先生は生物かどうかの議論スレがソプリの掲示板にあります。

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