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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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影に落ち空に墜ちる

美世達視点です。

体調は万全、精神も落ち着いている。だからこの戦いも問題無く勝てる。私はいつも通りに戦えばいい。それでいつものように勝てる筈。


「魔女狩りって火炙りだっけ?わたし火の能力は持っていないんだけど、あなたの能力は火よりも良さそうだね。」


能力を理解しなければ私は相手の能力を【再発(リカー)】する事が出来ないけど、あの訳の分からない能力を理解しなければいけないのか…骨が折れそうだ。


「まずは…様子見っと!」


足元にあった丁度良さげの石を蹴り抜いて影にぶつけてみる。まずこれが物理的にどう作用するか見なくては話にならない。影に当たるとすり抜けるのか、それともすり抜けず激突するのか、それで私の立ち回りは大きく変わっていく。


「…なにそれ舐めてるの?あなたも私を馬鹿にしているって訳ね!」


石は影の中をすり抜けて明後日の方向へ向かっていく。


(やっぱり影は影か。2次元の域を出なかった影が立体的に変容しているから物理的に干渉出来るかもって思ったけど…。)


私はこの結果に大いに満足した。だけど黒髪美女に何故かキレられた。…いや怖い怖い。外国美女のキレ方まーじで迫力満点。声がデカいし表情というか身体の動きに怒りを感じる。誰が見ても怒っている事が分かるから日本人の私としてはちょっと萎縮してしまう。


「…感情的になってくれた方がこっちとしては楽、か…。」


多分私の行動全てにイチャモンをつけてキレると思うから逆にその沸点の低さを利用して立ち回りに組み込もう。


(じゃあ…これは防げるか見てみようかッ!)


左手に意識を向けて銃を持つ構えを取るとそこには大型のリボルバー式拳銃があり私は銃口を美魔女に向けて引き金を引いた。


「…なにそれ、さっきまで持っていっ!?」


ルイスの能力者としての直感が彼女を突き動かした。咄嗟に身体全体を影の支柱の中に入れて美世の攻撃を回避する。


(まだあの影の中に彼女は居る。)


私は銃口を影の中に隠れた美魔女に合わせて再び引き金を引いた。そうすると軌道は確定され不可視の弾丸が軌道上を走る。この悪魔の弾丸は軌道上にあるものに物理的に干渉し破壊する。あの影がこの弾丸と衝突するか、衝突せずにすり抜けるか、それで私の…


「は?」


予想外の結果に私の頭の中は一瞬真っ白になる。


弾丸が影に衝突せずにすり抜けて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


つまり弾丸の軌道は空気の中をただ突き進んだだけで私の攻撃は何も破壊する事無く完璧に防がれたのだ。


(あの影…物理的に干渉出来なくさせる能力なのか!?)


そういえば一番最初に彼女は影の中から現れたよね。その時は私の【探求(リサーチ)】が彼女の位置を正確に探知していた。影って2次元って言っていいぐらいに薄いから彼女も存在も影と同じ様に薄くなるんだねと認識してたっけか。


(一種の転移能力だと思ってたけどちょっと勘違いだったかも。)


この能力は今まで見てきた能力の中で本当に異質だ。探知能力は彼女の位置を正確に表わしている。つまり探知能力の射程圏内であり効果範囲って訳。しかし一方で時間操作型因果律系の能力からの射程距離と効果範囲から逃れている。


この事実だけで彼女の能力の異質さが良く分かる。しかも結構応用が効きそうな能力だしまだ隠し玉を持っていそうだね。


「銃…?でも銃撃の音は…サプレッサー?いやあの大型のリボルバーにサプレッサーを付けた所で静音性はたかが知れているし。」


私の銃が気になるのか彼女はブツブツと囁いて観察している。


(参ったな…ずっと影に隠れられたらこっちからは手出し出来ないしどうしようかな。)


理華が居たときは強い光を影に当てて消したけどその理華が今居ない。もしかして理華の能力ってこいつの天敵だったのかも。…無理矢理にでも起こして連れてくれば良かったな。ちょっと後悔。


「いや、この際銃なんかどうでも良い。警戒しなければいけないのはあの能力なんだし。」


特異点と初めに戦闘した際に彼女の身体が発光した。そして彼女の身体に触れた瞬時、痺れるなんてレベルじゃない激痛が全身に駆け回り私はそのまま気を失ってしまった。


恐らく電気系の能力。彼女は複数の能力を持っている能力者って事ね。予言もあてにはならない。大切な情報が抜けているのだから。


「これは落ち着いて対処しなければ私が殺られるわね。」


私は地面に落ちた影の範囲を広げてその影の中へ潜水した。


「ちょ!お前それは反則でしょ!」


彼女の居る位置を中心に真っ黒な影が液体のように侵食していき私の足元にまで彼女の影が伸びてきた。まだ暗い夜の地面にもハッキリと際立つ黒さに私は慌てて飛び退いて空に逃れる。


「おっとと…セーフ。」


自分の身体を地上から10数メートルの空中で固定する。


困ったな。この能力を相手にする場合、地面にはいられない。彼女の射程距離が予想以上に広くて厄介極まりない。


「浮かんでいる…?何で?他に協力者が居るとでもいいの!?」


美魔女の姿が影に浮かぶ。しかしその見た目は墨汁を溶かした水の中を漂っているようだ。だから完全に影から這い出てはいない。まだ影の中に居るけど影の表層まで浮かび上がっているみたいに見える。


(これ…私の能力の情報と目から入っている視覚情報が合っていない。)


探求(リサーチ)】では彼女が影の中に居る。つまりとても平べったいのだ。でも視覚情報では彼女が地面の中を漂っているみたいに見える……これって私だからこその認識の差異だよね。普通の人は彼女が地面の中を移動しているように認識するものね。


「突破口が現状では無い…。この能力制約があるけど結構無敵の能力かも。」


私と違って熱も電気も衝撃も防御出来るんだろうな…防御面ではサイコキネシスのバリアより優れている。先生の方はサイコキネシスを相手にしてバリアで遅延されてるからお相手さんのサイコキネシスのバリアも相当防御面が優れているんだけどね。


「浮かんだまま降りてこないわね…。協力者が居るか居ないかはまだ分からないけど今のうち叩いてしまおうかしら。」


影の支柱を特異点に狙いを定めて…射出した。


(速い!しかも無音だ!)


ドリル状の影が私に目掛けて高速で伸びて来て私は避ける為に私は更に上へと落ちる。重力で下に落ちる軌道を逆行させて上へ落ちるからその速度は落下速度に依存する。いくら空気抵抗を無視した速度だとしてもこの影よりも遅い。


「捕まる…!」


上空へ落ち続ける私の身体へ影達が追従してくる。あと5メートル…4メートル…3メートルとドンドン距離を詰められている。ヤバいッ!


そして少し離れた場所でちょうどその様子をラァミィ達は目撃していた。


「彼女…めちゃくちゃ怒っているわね。」


「特異点を殺したりしないかしら…。」


『やっているな』


黒色の影が地上から上空へと伸びている様子を見て戦闘中でもそんな感想を言うラァミィ達だった。

なんで執筆の最中にサイエンスの勉強をしているのだろうか…。やっぱりこれローファンタジーじゃない?

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