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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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創造上の領域

サーバー混雑して投稿出来ないんじゃないかとヒヤヒヤしました。

それは最初、小さな違和感だった。気が散っているから余計な事を感じ取っているからだと切り捨てても良いような小さな違和感。


私と理華の身長はそこまで高くないので辺りを見回すにはある程度高い位置まで移動しないとなんだけど、これがまた面倒くさい。あの上が良さそうだと思って登ったらまた別に高い場所が見つかりそこに行けばまた違う場所の方が高い…みたいな展開が続いて1時間経過した段階で私はその違和感の原因を探った。だがその違和感の原因は不明のままで遂には足を止めてその場で辺りを見回した。


「さっきから何なの、何この違和感…気持ち悪い。」


「どうした?」


「地形に違和感を感じるの。」


地形…そう地形だ!理華に説明する為に言語化しようとしたら違和感の正体に気付けた。地形が、こう…なんというか妙なのだ。今わたし達が居る場所は酷く渇いた砂漠のような地面になだらかな勾配な大地が延々と続く。砂漠のようなとは言ったけど砂だけのエジプトのような砂丘の事ではない。どちらかというとアフリカのような渇いた大地だ。


「地形?」


「うん、理華も何か感じない?」


「何も感じないけど…。日本との地形と違うからそれが違和感として感じているんじゃない?」


「そう言われたらそうなんだけど…。」


確かにここは日本とは違う。生態系が異なるから植物も動物も土の種類まで何もかも違う。だけど私が言いたいのはそういうことじゃない。もっと別の違和感だ。


「私が言いたいのは…そう、上陸した時と今の感じが違う感じがするって事!」


「あいの風が何を言っているのか分からないな。どこも似たような地形でしょ?」


「似たような地形…。」


自分の中で何度もその言葉を反芻(はんすう)する。


(おかしい…それはおかしいと思う。)


ここに来るまで色々な場所を歩いてきた。そうすると色んな事に気付く。見たこともない植物を見かけたり土の種類が明らかに違う盆地を見つけてここは水が溜まっていたんじゃないかと推測したり蛇や小動物を見つけたり…あれ?


「そうだ…、生き物だ。」


「何?」


「生き物が居ないんだ。この周辺に生き物の反応を感じない。」


これは前に感じた事がある。POISONのリーダーを処理した後に結界を張られて時に…!!!


「理華近くに潜んでいるぞォォーー!!スタンド能力だァァ!!」


「え、え?どういう事?」


理華の受け答えを聞いた瞬間、私は理華の首を左手で締め上げて身動きが取れない状態にして彼女を凝視した。


「がっ!?あ…あい、のぜ?」


彼女が驚きの表情で目を見開いて私を見る。


「お前…誰だ?理華じゃないだろう?」


「か、が…かはっ。」


私が首を締めているから上手く話す事が出来ない…呼吸もままならないだろう。だけどこの手を離す訳にはいかない。彼女がどういう状態なのかまだ分かっていないからだ。


私の能力によると目の前の彼女は間違いなく本人であると判断しているみたいだけど私はそうではないと思っている。


「…中身が違う?精神操作系…憑依タイプか?本物の彼女を出せ!」


首を締めた左手を下ろすことで彼女を跪かせる。私の力の強さは異形能力者特有の発達した筋肉から生まれるものだから理華の筋力では抗えない。


「い、息が、できっ…。」


首は掴んだまま手の拘束を少しだけ緩める。そうすると気道が確保出来たのか、ゲホゲホと咳き込んでから弁明を始めた。


「わ、私は本物、あなたと初めて会った時の事だって話せるしここに来た理由だって…。」


目を潤ませた理華の顔で私に訴えかけてくる。…イラッとするなぁ。


「憑依タイプには記憶を覗けるタイプも居る。それに理華なら私にそんな事は言わない。私が首を締めようとした瞬間、間違いなく反撃してくる。理華はそういう娘だ。」


理華は私と何度も模擬戦をしているし生真面目な彼女は気を抜かずこのアメリカに来てから常に気を張っていた。なのにさっきはあまりにもお粗末な動きをしていた。私の動きに一切反応出来ず切り返しに攻撃もしてこない。彼女の性格上それはありえない!


「理華は手が出るのが私より早いんだよ。テメーはさっきから情に訴えて来てるけど理華の姿でそれは止めて吐き気がする。」


「…」


理華に憑依している能力者は苦々しい表情で黙り込んでいる。どうにかこの状況から好転しようと考えを巡らせているように見えるけどどうするつもりなのだろう。


「逆に質問をさせてくれ。なんで憑依されていると思った?」


「さっきのネタ、分かった?」


「お前の好きなジョジョネタだろう?」


「それで分かったの。」


「はぁ?」


本当に意味が分からなそうにしている。理華に憑依しているコイツは本当に分かっていない。理華の可愛いさを。


「理華はね、私のつまらないボケにも絶対に反応して律儀にツッコミをいれるの。あなたは記憶を覗いて私がそういうネタを話す事は知っているのかもしれないけど別人だから気にもしなかった。」


理華はいつも私の事を意識してなんでも反応を示してくれる可愛い女の子なのだ。分かる?人の着替え姿を凝視する程に私の事を気にしているんだよ?かなりの変態だからね?


「結局の所あなたの関心は別の所にある。理華は私との関係性を重視して行動しているし、あなたは私の情報収集を重視して行動している。魔女の集会との戦闘後に聞いてきたよね?あの状態は何かって、あそこからあなたに対して違和感を感じてたよ。あの時にはもう憑依していたんでしょ?」


理華は私との関係性を重要視している。ぶっちゃけ私と仲良くなりたいオーラが全開なのだ彼女は。だからあのタイミングで聞いてきたのは凄く驚いたし変な感じだった。あれはあまりに私の事を考えていないというか…あの時の彼女は配慮が出来ていない人だった。


なんだろう…この国に来て思ったのは日本人はエスパーなんじゃないかってぐらい空気を読んで人との距離感を意識しているって事だ。理華も日本人だからそこら辺の配慮は上手い。だからさっきのは本当に良くなかったと思う。


2人の仲がいいから聞いたみたいな雑さと距離感の無さで嫌な感じだったよ。憑依しているコイツは絶対に嫌な奴だ。私とは絶対に合わない性格をしている。


「あなた…さっきの魔女の誰かでしょ?」


魔女達と戦った場所を見ると全員その場から消えていた。勧誘や戦闘が目的では無かった。魔女の集会の目的は私の情報収集。つまりあの茶番自体が罠だった可能性が高い。


「…あんな事でバレるなんて予想外だわ。言葉だって日本語で話して口調も寄せているのに。」


「日本の女子高生の絆を舐めんな。ネイルのラメがいつもと違う事に気付かないとハブられるんだぞ。」


「日本人イカれてやがる…。」


指先ひとつ気付けない奴はハブられるはガチ。ソースはマリナ様、私がネイルに気付かなかった時マリナ様にラインで1時間説教されたもん。女子高生なら気付けってね。


「そんなイカれてやがる日本人はあなたの事をどうすれば良いのかな?追いかけて全員殺してあげようか?」


「そんな事をすればこの女を殺す。」


「そんな事したら死神に告げ口するからな。お前達の顔の形を正確に覚えているから似顔絵を書いて死神に渡す。絶対に逃げられないぞ。」


「(イカれてやがる…!!!)」


ん?今…声がシンクロしていたような?気の所為?理華もそう言っているように聞こえたような。

敵からしたらジョジョネタを振ってきたと思った次の瞬間には首を締め上げてきたんですよね。ヤバい女過ぎる。

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