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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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予想だにしない攻撃

気を失うレベルで寝てました。おはよう御座います。

「ねえ…フランス語喋るお姉さん達に囲まれているの冷静に怖いんだけど。」


「ドイツ語やオランダ語も混じっているから殆どがベルギー人だろうな。公用語が3つもあると大変だ。」


暢気に話しているようで観察を怠らない。理華も情報をちゃんと集めて共有してくれているし大丈夫だと思う。戦いには関係ない情報だけどね。問題なのは目の前の魔女達。


彼女達のベルガー粒子量が多い。戦闘慣れしている能力者はベルガー粒子量が多い傾向があるけど…もしそうなら彼女達は危険な能力者だ。何故なら人に能力を使う抵抗が無いって事だから。


「勧誘目的なのかもしれないけど私達を殺そうとしてくる可能性があるから…分かるよね?」


「分かってる。」


「あとわたし今回は先生の使わないつもりだから。」


「使え!」


理華のクソデカボイスが引き金だった。彼女達からしたら聞き慣れない言語で叫ばれたらビックリもするだろう。巨大な狼が私に向かって突撃させて来た。


(あの時の感覚を思い出せ、天狼さんが流した電流の流れを。)


身体の芯の奥から熱が生まれる感覚、ベルガー粒子が細胞の一つ一つに染み込むように操作され私の身体から光が発せられる。


「なっ!?あいの風?」


私から発せられる光に理華が反応を示す。しかし私は突っ込んでくる狼に集中しなければならないから説明をする暇なんてない。


この狼は四足歩行なのに頭の高さが私より高い、それ程までの巨体でありながら速い。10メートルの距離をたった3〜4歩で詰めて来る。


(生物では無いからもしかしたら物理法則も効かないのかもしれない。)


探求(リサーチ)】で狼を認識すると生物の反応を示さない。どちらかというとベルガー粒子の類、創造系の能力か?狼という生命を概念を生み出して操作している?


「あいの風!」


後ろに居る理華もそのプレッシャーを感じ取ったのだろう。光ってから動き出さない私に対して叫んで声を掛けるけど反応している暇なんて無い。狼の吐息が私にかかりそうなぐらい距離が縮まって狼と私の視線が交差した。


「シィッ!」


一瞬でボルテージを高めた私の身体に電撃が帯び電光が周辺を照らす。そして私の拳は正に電撃のように速く苛烈な威力を持っていた。


私の拳が狼に触れた瞬間、狼が風船のように破裂し凄まじい爆風が私達を襲う。


「ーーー!!ーーーー!!!」


狼を操作していたと思われる能力者の彼女が叫び声を上げたけど何を言っているか分からないし私から完全に意識を逸したのは致命的な失敗だね。私はまだ能力を行使し続けている。


「理華、()()()()!」


私は理華にコールしてから爆発的に加速し創造系能力者まで一瞬で間を詰めて腹部に軽く触れる。たったそれだけで彼女の身体は吹き飛ぶ。


「かはっ!?」


完全にフリーの腹部に一撃が決まったから彼女の意識は遠退き5メートル程地面を転がって戦闘不能状態の人形に成り代わる。


「ーー!デス・ハウンド…!?」


私はすぐに空を飛んだ能力者に目掛けて突進攻撃を仕掛ける為に地面を蹴り抜く。そうすると地面に電撃が走り黒く焼け焦げた。天狼さんと全く同じ現象を私も再現出来るようになっていたとは…。


「ーーーー!!」


突然目の前に黒一面の壁が生まれて反射的にブレーキを掛ける。


(突然地面から生えてきたけど物質では…無い!?)


あの影を操っていた魔女の仕業か?この影が何なのか全く分からないけど壊そうにも触れてはいけない気がする。何故なら生き物ように動いて私の動きに連動している…まるで捕食者のようだ。


「目を閉じろ!」


理華の手の中に光り輝く球体がありそれを影の壁に対して向けていた。つまりその方向に居る私もその光に飲まれる可能性が…ヤバい!


地面を慌てて蹴り抜いて抉る。そうすると乾燥した地面が私の周りを覆うように舞い上がり簡単な遮蔽物となる。そして両腕で顔を覆い尽くして目をギュッと瞑った。


そして理華は私の発した光を利用してフラッシュバンのように光を爆発させる…。ここまでの一連の動きは理華が私の意図を汲み取ってくれなければ成立しなかった。彼女はやっぱり頼りになる相棒だよ。


あいの風は上手く事が運んだと思っているが理華からすれば無茶振りされたも同然。内心では心臓がバクバクで上手くいって良かったと安堵していた。


(あの時に言われなければ私は何も出来ていなかった。)


「理華、利用して!」


あいの風はそう叫んでから相手に向かって行った。


(利用…!そうか!)


今のあいの風は発光している。つまり光源だ。私は敵があいの風に注目している間にあいの風から発せられる光を両手に集めタイミングを伺う。


そして僅か数秒も満たない時間で魔女の一人をノックさせたあいの風は別の相手に向かって方向転換をしたが黒い紙のような薄い影が地面から生えて彼女の進行を止めた。


私は光を操るからこの影に対してすぐに性質を理解する事が出来た。強い光を当てればこの影を無効化する事が出来ると。


「目を閉じろ!」


私は両手に集めた光を影に向けて放出した。指向性を持たした光は1番近くで見ていた私の目を灼く事は無い。光の指向は全て私がコントロールしているからだ。


もしこの光を直接向けられた場合、最悪失明する。溶接など発せられる光量と同じぐらい私は光を強めて放出させる事が出来る。目眩まし程度しか無いこの能力だけど影を操る彼女に対しては天敵の能力だ。


「ーー!」


光を当てられた影が透過し始めて輪郭が朧気になり完全に消失する。私はそのタイミングで能力を止めてあいの風に合図を出す。


「影は消えたっ!」


「ナイス!」


あいの風は目を閉じたまま電光のように地面を走り魔女を蹴り飛ばす。その威力は凄まじく魔女に電流が走ったのかバヂッと弾けた音を鳴らし身体をくの字に曲げながら空中を飛んだ。


瞬く間に二人も片付けたあいの風は私と合流をして再び発光を始める。多分私の為に発光しているのだろが身体に負荷がかからないか不安だ。彼女は自身より他人を優先する節がある。


「それ平気?負担ならやらなくても良いよ。」


「今やって分かったんだけどチャージしないと私あまり速く動けないみたいなの。」


「…どういう事?」


「こうやって発光している時ってスマホみたい充電しているみたいでこの動作を挟まないとあの加速は出来ない。」


「制約か…。もしかしてその能力良くわかっていないの?」


「うん…あとめちゃくちゃ疲れる。カバー欲しい。」


戦闘中では普通こんな暢気に話している余裕は無いがあいの風の働きのおかげで彼女達は酷く動揺している。だって探知能力者が発光したかと思っていたら超加速からの接近戦で味方を二人もやられたから。さっきからその事で魔女達が話しているが面白いくらいに驚いている。


「任せろ。畳み掛けるぞ。」

明日は早い時間帯に投稿したいと思います。

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