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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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天使島

実は海外行ったことないんですよね。いつかアイスランドに行ってみたいです。

カルフォルニア湾にポツンとその島はある。島の名はエンジェルイスラデラグアルダ。通称“天使島”


天使なんて名前が付いているけど不毛地帯が続く島だ。


この島は標高1300メートルの山々が並ぶ島でカルフォルニア湾からはどこからでも視認する事が出来る。酷く乾燥しておりサボテンなどの植物が自生していて島全体の形は磯が隆起したような形に見える。


この島はメキシコ側の島であり一般人は入ることが出来ない。こんな不毛な地帯であっても動植物が生息しているから生物保護区に指定されている。


普通ならすぐに一般人が入れない所ではあるけどそこは組織。許可は下りている。こういう時は本当に助かる…のだけど問題があった。


「オリオンさん、もう日が沈みかけているんですけど…。」


「あれ〜おかしいな?こんなに遠いとは、あまりここ辺りの地理に詳しくないので間違えてしまいました。」


(((絶対に嘘だ!)))


私達はオリオンさんに騙された。お昼を過ぎても着かないし途中でこれはおかしいなと思った私はスマホで距離を調べたらホテルから700kmもある場所だった。話しぶりから1時間ぐらいで行けるもんだと思っていたのに8時間以上もドライブする羽目になるとは。


「気付くべきだった…夜に不審な音がするのなら夜に行くのが普通なのに。オリオンさんの言葉を鵜呑みにしたばかりに。」


「すみません。緊張感がほぐれるかと思いましてね。恐らくあいの風の言う通り能力者が居る可能性がありますので、出来るだけ良いコンディションで上陸したかったのです。」


そこまで行くと気を回し過ぎなような気もする。確かに緊張感は無い。だけど疲れはある。休憩は挟んでいたけど8時間も座りっぱなしは流石に女性としてキツい。特にお尻の所とかが。


でも一応オリオンさんには借りがある。だからあえて文句は言うまい。それに上手く事を運べば逆に借りを作る事だってあり得る。


「夜か…。」


「理華?」


「能力の制約上、私は夜だとあまり活躍出来ないから。」


理華の言葉に私は疑問と違和感を感じた。


「…逆じゃない?光が無いのは敵にとっても不都合な場合があるじゃない?でも私は探知で相手の位置が正確に分かるから。」


「それはお前だけだろうに。私も暗ければ相手と同じ条件…」


「だから相手がライトみたいな光源を持っていて理華を照らせば姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」


「あ。」


理華は実戦経験が少ないけど自分の能力を卑下しすぎて活用方法を考えてすらない。


「逆に相手は光源を持っているんだから理華からは相手の位置が丸見えだし暗い方が理華が有利だと思うのだけど。」


「…お前勉強は出来ないのにそういう事は頭が回るんだね。」


「お?殴るよ?」 


人がせっかくアドバイスしたのにこの仕打ちは無いと思いますけど、ホテルで高校の宿題をしていた時に私の学力を理華に知られてしまっているから強くも言えない。


因みに理華の高校の宿題は私が高校で学んでいる範囲の遥か先に進んでいたので私には理解不能だった。


「では船に乗ってください。出発します。」


辺りは暗くなり波の音が良く聴こえてくる。私達はモーターボートに乗り込み天使島に向かった。


「モーターボート初めて乗ったよ。」


「私も。というより船が初めて。」


「でもこんな事で乗りたくありませんでしたね。」


「「me too」」


モーターボートってお金持ちが乗る船ってイメージだけど本当に金持ちの乗り物って感じ。細部から高級感を感じる。


「オリオンさん船まで運転出来るなんてどこで習ったんですか?」


「それは…先輩、の人から教えてもらったんだよ。」


少し歯切れが悪いように感じたけど、私のリスニング力が悪かったからそう聞こえたのかもしれない。


「夜になると少し肌寒いかもね。」


モーターボートは予想していたより速度が出ており海の潮風が肌に当たるとみるみる体温を奪われる。日中は暑いのに夜は涼しいを通り越して寒く感じた。これが海外か…。


そうだよね。私、海外に居るんだよね。気候の違いで改めて気付かされたよ。


「夜の海って何だか怖いですね。ライトを照らしても真っ暗でどこに向かっているのか分からなくなります。」


「辺りに建造物や目安になる物が無いから方向感覚が麻痺するんだと思うけど…この海は不気味だな。」


「能力の関係で私は方向感覚を失う感覚が分からないんだけどこの海が怖く感じるのは分かる。」


月も雲に隠れて周りは黒一面の景色、その中を進むのは本当に怖く感じる。モーターの音が大きいから騒がしい筈なのにこの海自体とても静かな印象を受ける。


「武器の確認しておく?多少揺れているけど上陸する前に攻撃される可能性があるからさ。」


「賛成。ナイフとかある?近距離で戦いたいから近接武器が欲しい…。」


そんな物欲しそうな顔で女子高校生がナイフを強請(ねだ)るな!


「私は…どうしましょう?」


「ワタシと船で待機してもらいましょう。船を壊されたら脱出出来ませんから。」


「え?来ないんですか?」


「非戦闘員が居ても邪魔になるだけでしょう?それとも一緒に行ったほうが良いですか?」


「いや…大丈夫です。理華、いけるよね?」


「ああ…2人で行くか。オリオンさん、時間はどうします?時間によって探索出来る範囲が変わりますが。」


「そうですね…取り敢えず2時間探索して一度連絡をください。そこで何も無ければ終了し撤収します。」


「では何かあれば…延長する形ですか。」


「その通りです。」


ニッコリと笑いながらモーターボートを操るオリオンさんはさながら冥府の河を渡るカローンそのものだった。カローンとは死者を彼岸まで運ぶ老人で、渡し賃を渡せば生者でも運んでくれる。


「そろそろ到着します。」


ライトの明かりの先をじっと睨むと島の輪郭が見えてきた。予想していたより大きい。特に上方向、標高が1300メートルもあるから東京にある川苔山(かわのりやま)と大体同じ標高かな?私自身登ったことが無いから比較出来ないけど。


「あいの風、見えるか?」


「能力でって事だよね。何も見えないしここからじゃまだ良く分からない。」


「なら上陸するしかないか…。装備して向おう。」


アメリカ支部から用意してもらった装備品を次々と付けていく。先に言ったナイフは勿論の事、銃も携帯する。理華は再びサブマシンガンを選んでいるあたり気に入っているな。カーチェイスの時の成功体験があるから仕方ないとはいえ分かりやすい。


「私はこれかな。」


私は普通の拳銃ではなく信号拳銃を携帯した。オリオンさん達に自分達の位置を知らせる為にも必要だし私には“銃”がある。


そして念の為にナイフも携帯。サバイバルナイフは無人島では必須でしょう。


後、忘れてはいけないのが無線機。ここは電波が届かない場所があるからスマホで連絡を取れない。船に無線機が備え付けられているからいつでも連絡を取れるようになっている。


(絶対にこの展開を見越して準備していたね。)


オリオンさんは昨日の内から準備していたのだろうけどまさか二日目で無人島で登山とは。人生何があるか分かったもんではない。


そして最後にブーツを履く。軍人が履いてそうなブーツでこれなら足場の悪い山中でも平気だろう多分。日本の山とここ辺りの山は全くの別物だから足場に気を付けて登ろうっと。


「陸が見えてきました。二人共、良いですか?」


「「はい。」」


モーターボートは陸を目指して進んで行き、真夜中の探索が始まろうとしていた。

あいの風と理華の2人で無人島に潜入し探索していきます。書いていて何故か緊張してきました。

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