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私は殺し屋として世界に寄与する  作者: アナログラビット
3.サイコパスの青春
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他国との交流

何とか投稿出来ましたー!偉い!良くやった私!

オリオンさんが店主と話し始めてからすぐの事だった。店内の隅で飲んでいた男二人が別れて一人は店内に残り一人は外に出ていったのを私は見逃さなかった。


「理華、4時の方向に居る男性、夏なのに上着来ている人を見張っていて。」


隣に居る理華に小声で話し私は自分の左足のふとももの付け根辺りを2回ポンポンと叩いて見せた。


理華は私の着替えを見ていたから私がここに銃を隠している事は知っている。


「……分かった。気を付けて。」


私の意図を全て汲み取った理華は店主の方に顔を向けたままそう答えて送り出してくれた。頼りになる相棒だ。


「アイ?」


「ハーパーはここで待機。」


理華がそれとなくハーパーを引き止めてくれたので私はそのまま店外へと出た。オリオンさんなら私が単身で行動しても特に何も言わないだろう。これでも様々な任務を一人でこなしてきた。結果を出せば文句は言ってこない筈。


(思っていたより色んな勢力の手が街周辺に伸びているんだね。)


私は早歩きで男性の後を追う。尾行はあまりした事が無いからあまり得意ではない。その証拠に向こうは私の存在にすぐに気付いたようだけど向こうはあくまで一般人のような立ち振る舞いを続けている。


「すみません。ナンパなんですけどお名前を聞かせてもらっても?」


男性が電話をかけようとしたタイミングで声をかけた。


「……こんな夜遅くに女性一人は危ない。タクシーを捕まえて帰ると良い。」


「だからお兄さんに声かけたの。お兄さんの家まで連れて行ってよ。」


そう言って私は詰め寄る。すると男性は反対方向に一歩二歩と後ろに後退して私に制止するように呼び掛けてきた。


「止まれ!止まるんだ!」


「止まるのはテメーだよ。【反復(リテイン)】」


すると男性の軌道が固定されて全身が動かなくなる。私は彼に予め自身のベルガー粒子を纏わせておいたからね。そのベルガー粒子を使って彼の軌道を創り出し私の効果範囲に入っていた。


私は彼と直接接触はしていなかった。ではどうやって彼にベルガー粒子を纏わせたかと言うと答えは出入り口の床だ。


あの店は出入り口が一つしかなく店に入るにも出るにも必ずあそこを通るしかない。店内に能力者が居ない事は分かっていたしベルガー粒子を視認される可能性も無かったから罠を仕掛けておいた。


そして彼が出入り口の床面を触れた瞬間にベルガー粒子を纏わせて……今に至る。


「やっぱり治安が悪い所は監視カメラが設置されているね。」


私は周りの様子を伺いながら彼に話しかける。監視カメラ以外にも車や歩行者がちらほらと居るからここで彼をどうこうする気は無い。


だけどこのまま彼が制止し続けていたら流石に怪しまれる。ただ突っ立っているだけなら誰も気にしないけどそれが数十分間も続けば歩行者もおかしいと思うだろう。


だから私はこのタイミングで彼の腕を引っ張って路地裏に連れて行った。私なら簡単に軌道を操作出来るし彼ぐらいの体重なら片手で動かせる。


「さて…上、かな?」


監視カメラは上から下方向に向けて見下ろすように写している。それなら()()()()()()()()()()()()()()()()()


私は彼に掛かっている重力の方向を認識する。彼は固定されているが常に下方向に力が加わっている。私がこの下方向へ働いてる軌道を【反復(リテイン)】し続けたら彼は落ち続けるだろう。


前に陽キャ三兄弟の一人に水を落として地中まで貫通した時と同じでね。ということはだ、こいつは常に下方向に向かっている。この下方向への軌道を【逆行(リワインド)】すれば彼は上へ落ち続ける。


「一緒に空の散歩に行きましょう?【逆行(リワインド)】」


()()()()()()()()()()()()


まるでライトノベルのタイトルみたいだけど文字通りの意味だ。見えないエレベーターで上がるみたいに空へ上がっていく。彼からしたら意味不明だろうな。身体が動かせなくなったと思ったら空に向かって上がっているんだもん。


上空500メートル程度の位置で私達二人の軌道を固定し空中で制止させた。


「頭は動かせるようにしたから話せるよ。」


「ゴボッゴホッ…スゥーハァースゥーハァー!」


そっか、呼吸もちゃんと出来ていなかったのか。危うく窒息死させる所だった。


「もう話せる?質問したいんだけど。」


「き、君は誰なんだ?なんで空に…」


「あーそういうの良いからさ。お前が怪しまれないように私の事を見ていたの知ってるから。まあ、そのおかげで分かったんだけど。」


「な、何?」


「見なさすぎたんだよ。あの店内だと私達の事をみんな見て話していたのにあなた達二人はあえて見ないようにしていた。私達が入店した時からみんなジロジロと見てたのにそれは怪しいよ。」


「…まさかそこまで見られていたのか?」


男も観念したのか一般人のふりは諦めたようだ。


「あなたどこの所属?アメリカ人じゃなさそうだけど。」


別にナチュラルな英語を聞き分けられる訳じゃないけどこの人の英語は少し私寄りな気がする。


「アメリカ人と一緒にするな。私はロシア人だ。」


「あ、ロシアの方ですか。わざわざ遠くからご苦労様でした。」


「地理的に貴様とそこまで変わらないだろう。」


確かに…そこまでの差は無かったね。


「それでロシア人。どこの組織所属?」


「どこにも所属はしていない。フリーだ。」


「どこに雇われているの?」


「知らん。ただ仕事を受けてここに来ただけだ。まさかデス・ハウンドがパブに来るとは思わなかったからな。」


ふーん。そういう感じか…なるほどなるほど。


「今日は休みで?」


「そうだ。」


「仕事の内容は?」


「現地の情報を伝えるだけだ。あそこは色々な情報が集まるからな。」


少しずつ彼らのスタンスが分かってきた。


「誰に伝えるの?」


「知らん。情報を寄越してはくれない。能力者相手だと頭の中に進入されて情報を抜き取られるからな。私達みたいな末端のフリーランスには情報は渡されなブッ……クソっ!」


私は彼の頬をぶん殴った。私の拳と彼自身の歯に挟まれた柔い肉はアッサリと切れて口から唾液と血が混ざったヨダレが垂れている。頬の内側を思いっきり切ったな。


「舐めんなよ。そんな嘘を信じると思ったか?お前の視線や細やかな筋肉の動きは認識している。用意された台本を読み上げるのなら役者にでもなればいい。」


「ビッチが…。」


血が回って怒りが(あら)わになる男。そんな熱っぽい目線を向けられても困る。どうせ何も出来ないでしょうに。


「さっきスマホで連絡を取ろうとしたよね?仲間か雇い主かな?そう考えると連れの男は怪しまれないように残ってそのまま情報収集兼監視といった所?」


図星だったのか、目線を少しだけ逸らす彼を見て私は確信を得た。


「非番だったのは事実だったと思う。そういう反応だった。お前は嘘をつく時に本当の事を織り交ぜて騙そうとしているんだろうけどそんな事はガキでも知っている。嘘に事実も混ぜればバレにくい事ぐらいはね。」


そこで私は気付いた。左手が疼くのを。この感覚…殺意、そう殺意だ。久しぶりの感覚で忘れてしまっていた。もしこの感覚に身を任せたら彼をすぐにでも殺してしまうだろう。だから抑えないとね。まだ話は終わっていないのだから。

明日か明後日に投稿します。時間は今日ぐらいです。

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