相手の狙い
誤字脱字があったらごめんなさい。今日はもう時間が無いので明日の朝確認して修正したいと思ってます。
「それで、モグモグッ敵の狙いは何だったのでしょうね。」
「ズズーッ私達の妨害でしょ?」
「ふーふー…確かに私達を追って来てましたけど何で能力者が居なかったのでしょう。こっちにアイが居ることを知らなかったのでしょうか。」
「逆だね。あいの風が居るから能力者が居なかったんだよ。能力者が近付けばすぐに気付かれるからね。」
「なるほど…。」
地上24階にあるホテルの一室で私達はオードブルを頂きながらカーチェイスでの出来事を話していた。
「あいの風をどうにかするには人を使わない手段しかないからね。爆弾トラップをや食べ物に毒を盛らないかぎり殺すのは無理だろう彼らの戦力では。」
「オリオンさんは敵の当たりがついているのですか?」
「いや、まだ自分の中でも確信を持ってていないから話す事は出来ないけど今日の夜に敵を知ってそうな人物に接触を図ろうと思っている。」
「能力者ですか?」
「一般人だよ。ただ、能力者に詳しい一般人だから組織とも情報を共有してくれている協力者だけどね。」
日本でもヤクザとか無能力者であっても能力者の存在を知っている者は居た。アメリカでも似たような立場の人間が居るんだろうな。
「何時に出ますか?私達も同行した方が良いですよね?」
「そうだね。…本当の事を言えば1人でも良いんだけど経験を積んで欲しいからね。今回はみんなで行こうと思う。」
オリオンさんは理華とハーパーを交互に見ながら話した。こんな時でも新人教育をするとは恐れ入る。私がオリオンさんの立場なら殆ど自分一人で何でもやってしまうな。
「ワタシはここの偉い人と話してこないとだから少し抜けます。21時には戻りますのでそれまで自由に過ごしてもらって良いですが、基本的に休憩を取っていてください。夜も働かないとなので。」
そう言い残してオリオンは部屋から出ていった。オリオンさんは働きっぱなしだけど…大丈夫なのかな。
「あいの風どうする?私は部屋の中でゆっくりしようと思っているけど。」
「私もそうしようと思ってる。ご飯食べたら眠くなってきたけどあと1時間しかないしね。」
「私も少し横になりたいです。能力を使い過ぎました…休まないと能力に支障が出ますので。」
ハーパーは疲れがどっと出たのか、ベッドの方に向かい横になった途端に寝息が聞こえてきた。
「疲れていたんだな。」
「1番能力を使ってたもん。そして理華もずっと能力使ってたから横になりな。顔色が良くないよ。」
「いや、私は良いよ。」
「この部屋ベッド2つあるし理華が使っていいからさ。」
理華は間違いなく脳を酷使している。少しでも休ませないと彼女自身が危険な目に合う可能性が出てくる。私個人の意見として寝るのが1番脳の為になる。
「だから良いって…っ!?何して!?」
「うるさい。落ちるよ。」
私は理華をお姫様だっこして持ち上げてベッドまで運ぶ。この意地になっている思春期娘は無理やりベッドに放り込まないと駄目だと気付いた。彼女をベッドの上に落として寝かしつける。
「はいお嬢様、お昼寝の時間ですよ。」
「お、おい。」
「自己管理も仕事のうちだよ。」
聞き入る姿勢を見せない事で抵抗は無駄だと謂わせて諦めさせる。
「…寝れないんだよ。人を殺したから。」
あーそうか。理科は任務の事よりそっちの方が気になるのか。
「だったら尚更寝ないと。癖になるよ。人を殺した後に寝れなくなるのが。」
こういうのは精神的なものだから最初が肝心。ちゃんとここで寝ないとこれから先も眠れなくなる可能性がある。
「…美世は人を殺した後は眠れなかった?」
「いや全然?普通に寝たし、寧ろその日は寝付き良かったかも。」
仇を取れたと思っていたからね。心の重荷が無くなったみたいに軽やかな気分で寝てた気がする。私はそういう奴だ。
「やっぱり美世は精神力が凄いな。心構えが出来上がってる。」
「いや嬉しくない。心構えが一般人とは違うだけだよ私は。」
「私もそうでありたかった。期待していた訳じゃないけど人を殺した後でもちゃんと任務をこなせると思っていたのに……これが1週間続くのか。」
理華は右腕を目元の方に持って行き目線を隠すように置いた。相当堪えているのが見ていて私にも伝わって来る。
「アメリカでは1週間、他の国にも行くからもっと長い間任務をこなす事になる。だから今は寝て、お願いだから。」
ちゃんと任務をこなす為には初日で躓く事は許されない。まずその事をちゃんと自覚して休んでくれないと。
「…分かった。ちょっとだけ休ませてもらう。」
理科はそう言ってから暫くするとハーパーと同じく寝息を立てて眠りについた。私の能力は相手が寝てるかどうかも分かるからこういう時に役に立つ。みんなの健康状態を把握して管理するのも今回の私の仕事だと思っている。
そして私個人でも今回の任務、気にしないといけない部分が多そうだ。
1つ、何故待ち伏せに近い形で追われたかだ。情報が漏れた?ふざけるな。これは人為的に私達の情報が外部に流されていた。99.9%の確率で蘇芳が絡んでいると私は睨んでいる。
2つ、このメンバー。集めたのは蘇芳だろう。私の知り合いを集めたこのメンバーで蘇芳が何をしたいのかは分からないけど絶対にろくな事じゃない。
3つ、そもそもの話だけどこの任務が気に食わない。先生と共同で敵対組織を潰す?なんで私が必要なんだ?天狼さんを連れてくればすぐに終わるだろうにわざわざ理華と私を組ませて海外に送ったのが気に食わない。
(私が国内に居るのが邪魔だった?)
探知能力を持った私が日本に居ると邪魔になるから海外に行かせた可能性がある。物理的に射程距離と効果範囲に制限を掛けたかった?もしそうなら蘇芳は何をしたい?
彼女は生存を第一に考えていると思われる。蘇芳は何でも知っていても自身の力では運命…つまり因果は変えられない。私と先生を介入させる事で自分の都合の良い展開を作りたい。ていう事はこの状況そのものが蘇芳にとって都合の良い展開なのか。
私と死神を国外に出せれば自由に動ける?いや、彼女は私が常にモニター出来る。何か怪しい動きをすれば分かる……あっ。
私はそこで気付いた。これが目的か?
彼女はもう自身で動かなくても思惑が上手くいくと私に見せつけている?もし…そうなら彼女はもう目処が立っているんだ。自分が死神の手によって殺される未来を回避する目処が。
彼女はもう盤上をコントロールしきり展開全てを読み切って王手をかけたのか…。
(凄い。もしそうなら私は彼女の側に立つだろうな。私はそういう奴だから。)
【探求】で蘇芳の居る部屋を見ると蘇芳が紅茶を飲んでいた。そしてそのティーカップを私に向けてから微笑んだ。
…やってくれる。私もここ最近活発的に動いていたのに完全に出し抜かれた。もうこの流れは変えられない。私は現状蘇芳の思惑通りに動くしか選択肢が無い。
「この仕事、一筋縄ではいかないかもよ理華。」
静かに寝ている理華に私はそう言い聞かせた。
グラブルをしていて最近あまり時間が取れません。無料ガチャが悪いんです。無料ガチャが。




